異世界で頑張ったので出戻りますね あるいは彼女は如何にして悩むのを止め、現代をエンジョイするようになったか   作:大回転スカイミサイル

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第123話「だから、あとはもう叩き潰すしかないのです」

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一方その頃、一ノ瀬家が入居するマンションでは―――

 

「とぅ!」

 

がぉん、と廻の鉄脚が粘液を吹き飛ばす。

 

場所はマンションの非常階段―――粘液の速度から、エレベーター内部のシャフトや非常階段を伝っての進行はかなり遅いと判断し、エレベーターをハッキングして停止させた上での迎撃である。

 

エレベーターを伝っては廻の仲間の到着までに一ノ瀬家への侵入はかなわないと見たか、小学生低学年の子供程度の大きさに集まって、狙い通りに階段を進行してきたのだ。

 

「ここから先は通さん!」

 

『ぐぶぶぶ……ため、らいが……すこし……ある……で、す?』

 

「……」

 

廻は沈黙して、その顔を拳で吹き飛ばし、通せんぼをするかのように腕を広げた。

 

彼は武装を全く展開しておらず、夕と違って明らかに手加減をしている。

 

それは、マンションの破壊をためらっているばかりではないようだ。

 

「私は兵士であり軍人だ。後ろ弾の真似事をさせられるのは不愉快極まる―――」

 

粘液の言葉にそう返して、再び肉弾にて粘液を階下―――地面へと落としていく。

 

落ちた粘液はある程度は死ぬのか、容積を減らして再び非常階段を昇ってくるのが探知できた。

 

「何が目的か、とは問うまい。一ノ瀬家の人間を害そうというのであればいくらでも相手になってやろう」

 

不機嫌にそう言って、またローキックが幼女めいた―――恋やミナの顔を模した人型のスライムを地面に接吻させるべく放たれた。

 

『ぐぶぶぶぶ……腐・病・快・楽……ぐぶぶぶぶぶ……まだまだいる……です……よ……?』

 

一番後ろに陣取る、少し大きな―――岬そっくりの顔をした粘液が嘲笑ってくる。

 

声まで真似てくるのだから、廻としては不快・不愉快としか思うことはできなかった。

 

「住居を壊すのは不本意だ……貴様らには、私の仲間がやってくるまでの間、此処で遊んでいてもらう。それだけだ」

 

つぶやくように言って、今度はヤクザキックを粘液に食らわせて吹き飛ばす。

 

最初に大半の粘液をなぎ倒すように階下へと落としたせいか、今はそこまで粘液の反応はないが、いずれはまた飽和することは目に見えていた。

 

今はマンションの17階に相当する非常階段での戦闘だ。

 

50m近い階段を登ってくるには人間でもかなり相当骨が折れるだろう。

 

まして人間に近い形をしているとは言え、遥かに遅いスライムたちだ。

 

今のところ、明白に時間を稼ぐことには成功している。

 

問題は―――彼の装甲を粘液が侵食して、それを攻撃ごとに装備中の液体窒素によって洗浄しなければならない状態になっているということだけだ。

 

つまり、液体窒素を枯渇させてしまえばその時点で詰みである。

 

しかしながら、計算では後2分かそこらでミナかルルのいずれかがここへたどり着くことは明白であり、彼はそれを待っていればいいだけの話―――

 

―――故に、この時間は廻にとってただただ不愉快なだけだったのである。

 

そうしてマンションを覆っている結界を憎々しげに見遣って、廻は一つ嘆息すると。

 

どうやら不快な時間はようやくにして終わりを告げるのだな、と目を細めて仮面の下で微笑みを浮かべた。

 

『アナン・レインボー・フラワーッ!チャージアップなのです!!』

 

少し反響するエフェクトが掛かったような声が響くと、大輪のひまわりが現れて結界に穴が開き―――

 

そこからガーゴイルに騎乗して杖を構える岬と一〇〇式機関短銃を携えている空悟、なんでもないかのように手綱を握るルル―――そのルルにしがみついている恋の姿が確認できた。

 

「大丈夫なのですか、廻さん!」

 

「無論だ。そちらこそ無事で何より。まずは此処を切り抜けよう」

 

空を飛んで自分の隣に立った岬に、廻は微笑んで肩を並べる。

 

そして、その次に来るであろう岬の感情に備えて、「気持ち悪いが気にするな」と声を掛けた。

 

「―――はい、とっても気持ち悪いですが、ええ」

 

20段ほど下の非常階段踊り場でプルプルと震える少女型の―――自分の顔貌をしたスライムを見て、岬は吐き捨てるようにそう廻に答える。

 

「うーん、ミナさんの顔を模した幼女体型のスライムは、ちょっと……」

 

「ちょっと何かね?」

 

ガーゴイルの上から声を掛けてきたルルに、廻はジト目でそう問いかけた。

 

その言葉を聞いた空悟はルルの後ろで苦笑している。

 

(流石に三郎激怒するからやんねーだろ)などと考えつつ。

 

するとルルは「大好きな方の造形をしていても、全身ピンク色というだけでもう気持ち悪いだけになるというのは興味深い現象だと思いませんか?」と屈託なく廻へ笑いかける。

 

「持ち帰ろう、などといい出したらどうしようかと思ったよ」

 

「あたしもそう思いましたですよ」

 

廻と岬にそう言われたルルは、「心外な。僕とて冒険者ですから、やる時はやりますよ。特にミナさんに危害を加えようとするものに対しては、徹底的に」と答えてエネルギーボルトの詠唱を始める。

 

それに首肯した恋と岬もまた同時に詠唱を始めた。

 

「「「偉大なるロジックよ!力の矢となれ!砕け!エネルギーボルト!」」」

 

いくつもの力の矢が現れ、それがスライムたちを迅速に砕いていく。

 

『ぐぶぶぶぶ……お、おな、おなじかお……こわすの、たのしい、です……?』

 

「うっさいのです!やかましいのです!」

 

岬は砕けた粘液が奥のスライムに集まっていくのを感じる。

 

どうやら、今はあれが本体なのだろう、と確信するには十分だった。

 

「ルルくん、アナン・レインボー・フラワーをもう一発放ちますです!ルルくんは離れていてください!恋ちゃんはあたしに魔力を!」

 

「ええ、あれは巻き添えを食らったら僕でも浄化されてしまいそうだ」

 

ルルはガーゴイルを操って20mほど離れ、恋は岬の上の段に降り立って彼女の肩を両腕で掴んだ。

 

『ぐぶぶぶぶ……』

 

「その泡吹いたような笑いをやめろなのですよ!」

 

岬はその杖を自分と同じ顔をした桃色の闇に向けて、怒りとともに魔法を紡ぐ。

 

「光よ―――夢と希望は悪しき心に歪められた―――その心、支配するものから解き放ち給え!!悪しきを、凶つを、魔に落つ前の姿へ。天の道を思い出させるのです―――!さぁお眠りなさい!アナン・レインボー・フラワー!チャージアップなのです!!」

 

虹色のひまわりが咲き、射線上のスライムの残骸を総て浄化しながら岬型のスライムへと向かっていく。

 

『快・魔・温・楽・死……ぐぶぶぶぶ……』

 

岬の耳朶に不快な自分の声が聞こえて―――ひまわりは狙いを違わずに粘液へと着弾した。

 

『ぐ……ぶ……ぶ……』

 

そうしてひまわりに溶けるようにスライムは消滅して、そして―――パリンと岬が結界に開けた穴が広がり、異空は崩れ去っていった。

 

「終わったようですね」

 

「うむ。ミナくんとの合流を急ごう」

 

「賛成だ。今頃は夕ちゃんと合流してこっちへ向かってんだろ」

 

男連中が冷静にそう話し合っているのを尻目に、岬と恋は静かに怒っていた。

 

「邪神はろくなことをしないってのは本当なんだな……クソおふくろだけじゃなくみんなの顔まで使ってくるなんて!」

 

「ミナちゃんは変な嘘なんかはつきませんですよ。だから、あとはもう叩き潰すしかないのです」

 

その時、廻は電探の捜索範囲内にミナたちの反応が入ってきたこと感知した。

 

後は合流して例の社に向かうだけである。

 

 

 

―――森果の社。

 

今やそこに黄昏の傭兵団七人は集合していた。

 

ミナはぐるりと見回して、問題がないことを確認するとバッグから妖精の雫を取り出す。

 

「廻さんも夕ちゃんも、ぬえ子ちゃんちもみはるちゃんちも無事で良かったわ。後はこの社の裏側にある空間に踏み込んで、ぬえ子ちゃんたちを救出するだけ……」

 

「それをどうするんだ?」

 

夕闇に雫を掲げるミナに、空悟はそう聞いてみた。

 

「こうするんだよ―――ていっ!」

 

ガラス瓶の蓋を取り、弧を描くように中身を空間へとぶちまける。

 

すると、水色の液体は濃紺の光を放って虚空へ溶け消え、その後には―――

 

「これは……」

 

人一人が通れる程度の小さな空間の穴が開いていた。

 

「文字通り、裏の世界―――まあ説明したが、年を経てほとんど精霊になったハイエルフだけが作れる異空間への入り口さ。脱出するのはオレがいれば問題ない―――さぁ、入ろうぜ。罠かもしれないが、いつもどおりだ」

 

ミナは悪戯っぽく笑って、その空間に足を踏み入れる。

 

次いで空悟が身をかがめて侵入し、岬、廻、恋、夕がそれに続いて、最後にルルが中に入る。

 

すると空間の穴は―――まるで何もなかったかのように消失し、暗かった空間の中が明るくなる。

 

「……本当に妖精の国みたいなのですね。センスオーラ使ってもはっきりとは見えない精霊さんたちがバッチリ見えますですよ」

 

―――雲と青空の境目が曖昧な空を飛ぶのはシルフやウンディーネの姿。

 

地面は柔らかい草に覆われ、まるで道のように花畑の間を交差している。

 

木々にはドライアードが咲い、ブラウニーやフェアリーが行き交っている。

 

まさに想像通りの妖精の国、というもののように空悟たち地球人には見える空間であった。

 

「たまげるわ、これ……」

 

空悟がフラフラと草花に触れようとして―――ミナがその手を掴んだ。

 

「やめろ、空悟。ここは妖精郷……ここにあるもんに妄りに触れると、郷の長に心を奪われるぞ」

 

いつになく真剣な顔でそういう親友に「おう……確かに、なんかが誘惑してくるような感じだ。やべえなこれ」と返して頭を振る。

 

「うー……なにかがまとわりついてくる感じ……気持ち悪い……」

 

恋はそうして怖気を振るっていた。

 

「逆に我々にはそう言ったものは何も感じ取れんな。ただの森に見える」

 

夕はセンサーで周囲を索敵しつつ、そう言ってため息をついた。

 

「どうしたの、夕ちゃん?」

 

急にため息などをついたものだから、ミナは彼女に振り返ってそう聞いてみた。

 

すると「私も躯体は女性を模している。そのような幻想的な光景であるなら見てみたかったものだが、残念だ」と、特に残念でもなさそうな声音でそう言って、一歩踏み出す。

 

「周辺に動物の反応はない。奇妙なほどにな」

 

夕はそうして此方を振り返ってくる。

 

「これからどう進めばいい?案内はお前にしかできんぞ、金髪女」

 

「うむ。ぬえ子殿らを連れ出すにも、我らはあくまで科学で造られている。地面を電波がすり抜けていくような環境では、我々の索敵機能がそう役に立つとは思えない。指示を頼む」

 

人造人間の兄妹はそうしてミナをじっと見た。

 

数瞬ほどの沈黙の後、ミナは「おそらくはこの草しか生えてない道に見える部分が順路よ。そして、そこから外れると何が起きるかわからない。慎重に行きましょう」と捜し物の杖を取り出した。

 

「まだ幸運の魔法のリバウンドは来てないから、とりあえずこれでどうにかするわ」

 

とその棒を前に突き出して、先頭に立った。

 

「さぁて、すぐに見つかるかそれとも……」

 

そう呟いたミナの予感は、悪いほうが当たってしまう。

 

そのことがわかるのはもう少し後のことであった。

 

 

 

「パンはパンでも食べられないパンはなーんだ!?答えなきゃ通さないよー☆」

 

可愛らしい容姿の妖精が、そうして7人の前に立ちはだかった。

 

「……なんだこれは?」

 

夕は怪訝にそれを指してジト目になり、すぐにミナを見てくる。

 

「何でもかんでもお前や女男に聞くのは実に恥ずかしいのだが……あえて聞く。なんだこれ?」

 

つんつん、と妖精の頬を夕はつついてそう聞いてきた。

 

「あーフェアリーよ、フェアリー。堕ちたハイエルフの魂が砕けて変じたと言われる精霊でも森人でもない生き物のような何かよ」

 

「ひどいなーぼかぁとっても真面目なフェアリーなのになぁー」

 

ぷんすこと擬音がしそうな表情で腰に両拳をあてて胸をそらすその妖精を見て、岬が「……えっと、どう思いますです?」とルルに聞いた。

 

「真面目なフェアリーなど、それはなんといいますか……勤勉なゴブリン、計画的なコボルトと比肩するほどの存在ではないかと」

 

苦笑いを隠そうともせずそう言ったルルに、そのフェアリーは「ひっどーーーい!!」と抗議するが、ミナがバッグからコンビニで買ったハニートーストを出してやると「くれんの!?くれんの!?」とフェアリーらしくバタバタと脚と羽を震わせてミナの頭にしがみつこうとしたので「それみたことか」と、妖精の勇者も自らの従者と同じように苦笑いをした。

 

「くだらねーリドルとかいいから、このあま~いパンが欲しかったらそこを退きなさい。退かないとルルのアレで妖精***にするわよ」

 

「はぁ~い!ここをまっすぐ行って、右に曲がると人がいるよ!」

 

ビニールが破られたハニートーストにかぶりつくフェアリーにそう言われて、ミナは探し物の杖をその方向へ向けて開いたことを確認する。

 

そして念の為にルルにも渡して確認させてからそちらの方へと進んでいった。

 

「……いいのです?」

 

「悪戯好きのフェアリーのなぞなぞに付き合ってると、時間感覚をなくすのよ。いつの間にか半年1年経っててもいいなら相手にしても良いのだけどね」

 

「ひぇー……」

 

ミナにそう言われ、岬は怖気を振るう―――が、その隣では。

 

「あのねーあのねーなんかー女の子が寝てるんだよぉー」

 

ハニートーストを持って飛びながらついてきたフェアリーがいて道案内の真似事をしていた。

 

そうしてその言葉を半ば無視して右へ曲がって森の奥を目指す―――

 

目指して、ついた場所では―――

 

「―――」

 

白いベッドに横たわり、安らかな寝息を立てるぬえ子の姿があった。

 

「ぬえ子ねーちゃん!しっかりしてくれ!」

 

恋が駆け寄ってその頬をペチペチと叩くが、しかし―――

 

「…………」

 

ぬえ子は何をやっても起きることはなかった。

 

「ミナくん、ルルくん、これは?」

 

バイタルを測定し、問題ないことを確認した廻は専門家二人に質問をする。

 

「はっきりとは言えないけど、多分、妖精の眠りよ―――このチョーカーと似たような魔法が掛けられてる。これと違って、体も精神も休まるけど時間が過ぎることはない―――けど、術者が解こうと想わなければ絶対に解けない系統よ」

 

「術の指向性としては停止の呪いに近いですね。ただし、停止している間も夢を見るし、体の損傷や疲労、精神の疲弊は回復していきます―――まあ言ってみれば」

 

ルルが岬と恋を見て微笑むと、彼女らは口を揃えて「「眠りの森の美女……」」と呟いた。

 

「んだ。まさにそれを作る魔法。あーもう!これが使えるってことは、あの粘液だけじゃないわね、ここにいるの!」

 

ミナはそうして、バッグの中からマメラ教授のルーペを取り出して寝息を立てるぬえ子の体を診察した。

 

「OK、やっぱり妖精の眠りね。深度は―――二。まだ愛の呪い破りを掛けなくてもいいレベルだわ」

 

ミナは少しホッとしてルーペをしまう。

 

「愛の呪い破り……つまり、王子様のキス?」

 

恋がそう聞くと、ミナは「そういうこと。この子が好意を持っているか、持つ可能性がある異性がキスしないと駄目だった。例え呪いの主を倒してもね」と苦笑した。

 

「本気で眠りの森の美女なのなぁ」

 

ポリポリと頬を掻いて空悟は唇をへの字に曲げた。

 

「そうなると、この場で対象になるの、ほぼ僕だけになるので勘弁してほしかったところでした」

 

「そう言わないの」

 

ミナがそうたしなめると、ルルは素直に首肯して「はい、わかっています」と答えてミナを見た。

 

「ぬえ子ちゃんを守るためにも、ここには誰か残ったほうがいい、か……」

 

ミナが顎に手を当てて思案する。

 

―――ここに堕ちたハイエルフがいるというのなら、間違いなく行くべきは自分だ。

 

女の形をしたスライムがまた来るというのなら、浄化魔法に長けた岬と暗黒魔法を得手とするルルも必要……

 

パーティを分断するのは上策とは言えないが、万一を考えれば誰かをここにおいていくのが賢明と言える。

 

どちらにするか十数秒悩んで、ミナは「よし、恋ちゃんと夕ちゃんはここに残ってぬえ子ちゃんを守っていて。空悟もだ」と結論を出した。

 

「良いだろう。私と夕が分かれていたほうが通信には困らないだろうからな」

 

「この空間では通常の電波通信は若干阻害されるようだが、緊急用の超光速粒子通信であれば問題なく通信が可能だと判明している」

 

廻と夕はそうして首肯して、夕がぬえ子のベッドの脇を守るように立った。

 

「恋ちゃん、ぬえ子お姉さんを守ってあげてくださいです。空悟さんも」

 

「うん……」「ああ、わかってるさ」

 

岬に言われて恋は彼女の手を握って寂しそうに首を振り、空悟は一瞬ミナへと目配せする。

 

「万一がある……『今津鏡』といくつか魔法の武具……後、ドラゴンが落としてった兜を置いていくから活用してくれや」

 

「おう、すまねえな」

 

空悟はミナが取り出した推定勇者の兜、マジックアイテムと思われる剣や槍、それに先だっての戦闘で夕が使ったブルーリボンを受け取ってニヤリと笑う。

 

果たしてこのパーティ分割が正解かどうかはミナにもわからなかったが、最悪の場合ぬえ子だけでも守らねばならないのでこうするほかはなかった。

 

「んじゃ、ここはお願いね、3人とも」

 

ミナはそう言って、3人に背を向けて歩き出す。

 

次はぬえ子の父を見つけなければ。

 

「おーいまっとくれーよぉー」

 

間延びしたフェアリーの声は、ミナの長い耳にはほとんど聞こえてはいなかった。

 

 

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