異世界で頑張ったので出戻りますね あるいは彼女は如何にして悩むのを止め、現代をエンジョイするようになったか   作:大回転スカイミサイル

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第238話「あのゲームのダークエルフは、どっちかというとトールキン前のエルフのイメージだからなあ」

 

 

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その頃、岬たち居残り組は―――

 

「ええい!やはりなんとしても邪魔をする気なのですか!」

 

岬はレインボー・インストレーションを貼り直しながら、迫り来る量産型殺人鬼の群れを蹴り倒していた。

 

「さっきのに比べりゃ全然強くねえ!だけど、あたいのことをとことん舐め腐ってやがるなぁ!」

 

恋が怒りの形相で、エネルギーボルトを分身たちに乱射させる。

 

『修復がまだ終わらん。済まんが私は防戦に回るぞ』

 

回線に接続されたままの廻の前に立ち、生きている左腕で援護射撃をしつつ夕は唇をむっつりと不機嫌そうに歪めた。

 

「大丈夫なのです!こいつら、相当弱いのです!あたしが蹴っただけで死ぬですよ!!」

 

岬が叫び、また再び後ろ回し蹴りを殺人鬼のチェーンソーに食らわせ、その回転しているノコギリごと殺人鬼を吹き飛ばす。

 

「このとおりなのです!」

 

そうしてピースサインをとる彼女は、すでに赤き装束―――フレアスタイルへと変身していた。

 

「いくら倒してもキリがないのですよ!大本を絶たないと!」

 

バゴォム、と轟音を発して岬のキックが唸り、殺人鬼を三体まとめて吹き飛ばす。

 

しかし、敵は怯むことはない。

 

一度記憶されたから、なのかどんどん出てくる殺人鬼―――のみならず、スライムやゴブリン、オークなどの魔物たちもワラワラと現れていった。

 

「こいつらもあたいの記憶から抜き出した奴らか!」

 

「だと思うですよ!あたしや夕ちゃんの記憶は読めなかったみたいですからね!」

 

岬はギターロッドでゴブリンを艦橋の天井に打ち上げつつ、そう言って唇を歪めた。

 

「魔力はまだ大丈夫ですか!?一気に殲滅しましょうですよ!」

 

「問題なしだぜ!ミナねーちゃんの薬はよく効くな!」

 

『あれで異世界の聖職者で魔法使いだからな……』

 

女三人寄れば姦しいというが、三人はそうして薄く笑いつつ集結する。

 

『殺人光線、広域放射。いまのうちにやれ』

 

「はいなのですよ!」

 

夕の援護に、岬はフレアスタイルのまま精神を集中する。

 

サンダーバード・ストライクとは別の魔法。

 

雷鳥の召喚とは逆に、赤い岬が白い恋を後ろから抱き―――魔力光がほとばしる。

 

「「鋼の秘密が暴かれた!封ずるものよここにあれ!天空より炎天を纏い、来たれ輪廻の守り神!マジカル・フェニックス・ライド!!」」

 

それは精霊術と魔法少女の魔法を混合させた新しい術法であった。

 

岬はフェニックスとの契約はしていないが、それを魔法少女の魔法の万能さで補うのだ。

 

無論、膨大な魔力を必要とする術であるが―――岬自身の持つ浄化の力とフェニックスの放つ浄化の炎の合せ技は強力である。

 

二人は抱き合いながら炎を纏い、一つの不死鳥の形を取っていく―――

 

「「燃えつきろぉぉぉぉぉぉ!!」」

 

不死鳥の炎を纏う二人は、そのまま魔物たちを焼き尽くしながら、魔物たちがポップしてくるポイントへと吶喊していく。

 

瞬間、その場所が黒い炎を放ち燃え―――やがて、それは赤い浄化の炎へと変わっていった。

 

ブジュム、となにかが燃え尽きる音がして、その炎も消え去って―――跡には何も残らない。

 

艦橋の半分ほどを焼いてしまったが、それでも―――

 

『打ち止め、のようだな』

 

夕が敵性体の発生が収まったことを確認して、戦闘態勢を解いた。

 

「あー……疲れたのです」

 

「同感……ミナねーちゃんたち、早く帰ってこないかなあ……」

 

二人はどしゃっと地面に倒れ込むように落ちて、ぶはーっと盛大に息をつく。

 

「魔力も体力もポーションで回復できますですけど、これはこれで依存症になりそうで怖いですね……」

 

消費した魔力を、ミナのポーションで回復させつつ岬はぼやいた。

 

と、その時である。

 

燃え尽きたポップポイントになにかがあるのを見つけたのは。

 

「えーと、なんだろこれ。草?」

 

そこにはなんだかスピーカーのような趣の葉っぱをした鉢植えが置いてあったのである。

 

「ははぁ、さてはこれはミナちゃん関連のブツに違いないのです」

 

岬はそれを拾って、そのあまりにも特徴的な草を矯めつ眇めつする。

 

『走査完了―――物理的な毒素、そして不規則性流体由来と思われる不審な熱量も検知されない。私が検知できる範囲内では問題ないと回答する』

 

夕の言葉に、岬は「ならよしなのです」と呟いて、そのスピーカーみたいな草に声を掛けてみる。

 

「おーい、聞こえますですかー?」

 

岬の声がその草に消えていく―――と、すぐに。

 

『岬!?どっから声かけてきてんの!?』

 

ミナの声が聞こえてきたのである。

 

ミナの声はだいぶ切羽詰まった感じを醸し出していたので、岬は逆に冷静になる。

 

落ち着いた声で「あ、やっぱりそういうやつでしたか。そちらはどうですか?」と返して、返答を待つ。

 

『現在絶賛苦戦中よ!そっちは―――言うまでもないわね?』

 

「はいなのです。記憶の魔王を名乗る輩に襲撃されましたですよ」

 

簡単に状況報告をすると、ミナは『やっぱりかあのハゲェェェェ―――ッ!!ラギオンだけじゃなかったようね、蘇った魔王はぁ!!』と怒りの叫びが響いてくる。

 

『どうする。一時中断してそちらに向かうか?』

 

『夢の中だから、無駄だからそこを守ってて!それよりも―――!』

 

夕にそう返したミナの声の次に、ガギィン!と巨大な金属がぶつかり合う音が聞こえる。

 

岬と恋はお互いにウンと頷いて、ミナの言葉を聞くのであった。

 

 

 

―――時間は少しばかり遡る。

 

かつての自分と一つになったミナは、感情をなんとか制御しながら、目の前の―――かつての自分のトラウマと戦っていた。

 

「あーキリがない!てか、倒せねえ!!」

 

苛ついたミナの声が虚空へ響く。

 

『プークスクス!あはははははっ!そりゃ倒せないわよ!昔の自分と一つになったのは失敗だったわね!そいつは条件を満たさなきゃ倒せないって、頭が思いこんでるから倒せないのよ!』

 

カイロスの馬鹿にする声に、ミナは「何をぅ!」と声を荒らげた。

 

「ミナさん」

 

「わかってるわ!―――これは私の記憶にある、とあるゲームの中ボスだもの。ただ、条件を満たすためにやれることが……!」

 

咎めるようなルルの声に、ミナは解決方法がひどく難しいことを答えて、バッグの中から勇者の剣を取り出そうとして―――

 

「まぁ待て。ここはこのまま戦うべきだと思うぜ」と空悟が遮ってきた。

 

そんな空悟は―――凄まじく重くなってしまっていた銃や斬鉄剣ではなく、ミナが取り出した棍棒を持っている。

 

そう、今この空間には謎の磁力が働いており、鉄を含む装備が重くなって使えなくなってしまっているのだ。

 

「なんか考えあるのか?」

 

「もちろん。精霊は自然の摂理に完全に反したことは出来ないんだろ?理不尽そのものは出来ないってことなんだろ?」

 

ニッと親友の顔が笑みの形に結ばれて、そしてミナは「……ああ!そういうことか!」と得心したように微笑んだ。

 

「えーと……僕にもわかるように説明してもらえますか?」

 

エネルギーボルトを目の前の肌の黒い妖魔へとぶちかましながら、ルルはそう質問する。

 

『クカカカカカ……ムダダ、ムダダ……コノ ダークエルフ サマ ニハ カテヌ……』

 

「ちょっともうこれが僕と同じダークエルフとか思いたくないんで、早く消し飛ばしたいんですが!」

 

「あのゲームのダークエルフは、どっちかというとトールキン前のエルフのイメージだからなあ」

 

空悟はそんな様子で、棍棒を用いてダークエルフを名乗る妖魔の飛ばしてきた毒の魔法と思しき攻撃を打ち返していた。

 

「お前のエンチャントしたこいつで、魔法も弾き返せるから条件さえ満たせば俺でも殺せる。その条件ってのは、簡単なことでな」

 

空悟はその身に炎と氷、そして雷の攻撃を受けるが―――ミナの張ったプロテクションでそれらはすべて弾かれてしまう。

 

「その簡単なこととは?」

 

「―――遠隔地に仲間がいて、そいつが楽器を演奏できることさ!それも魔物に効くようなやつをな!」

 

ミナがそうして、笑う。

 

―――それから十数分、無敵のダークエルフっぽい何かとミナたちの戦闘が続くことになる。

 

 




FF4のダークエルフって、なんかこう、なんかダークエルフっぽくないですよね。

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