異世界で頑張ったので出戻りますね あるいは彼女は如何にして悩むのを止め、現代をエンジョイするようになったか   作:大回転スカイミサイル

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第24話「いや、あたし、○ラゴ○ボー○とかも好きでして」

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―――廃工場。

 

「ホントは立入禁止なんだがね、ここ」

 

空悟が自分の車にストックしてあるコーヒーを取ってきて、それを3人に配りながらそう言って苦笑いした。

 

「緊急事態だし、しゃーねーだろ。つーか、ブラックじゃねえか。張り込みの時とか辛くないんか、それ」

 

「俺はブラックしか飲まねーんだよ。糖分はパンで取るんだ」

 

冷えた缶コーヒーにぶつくさ文句を言うミナに空悟は笑う。

 

笑って、岬に缶コーヒーを渡す。

 

「ありがとうございます……って、そうじゃなくて!あれ!一体何なんですか!!」

 

渡された岬は、少し元気を取り戻したのか大声で叫んだ。

 

半分以上は怒りと困惑、だがそれだけではないものをにじませる声音で。

 

「アレは願い魔。あなたの心の中の願いが形になったものよ……普通じゃないみたいだけどね―――私達のことはまた後でお願いします、店長」

 

缶コーヒーを一気飲みして、顔をしかめつつミナは答える。

 

「ただ、あんな姿の願い魔なんて見たことないのよね。願い魔って願いの形に擬態するから」

 

金がほしければ金貨に、食べ物がほしければ食材を模し、労働を厭うのならばそれにふさわしい姿になる。

 

それが願い魔というものだ。

 

「…………あれがあたしのお願いを形にしてるなら、たしかにおかしいです。あたしは子供の頃に戻りたかったけど、でも、魔法なんて……」

 

膝を抱えてしゅんとした女性に、ミナは「なんでもいいから思い出してください。願い魔を殺す手段は色々ありますけど―――出したくはない」と言った。

 

「それは……?なんで……?」

 

「簡単なことです。あれを願い魔の一種と仮定するなら、あれはあなたの心の一部から出来ています。そのまま倒してしまえば、あなたは心の一部を失うことになるでしょう」

 

ルルはメガネをくいと人差し指で押し上げる。

 

「すなわち、あれを穏便に消す手段は唯一つ。あなたの願いをあれに頼らずに叶えるしかない。しかし……」

 

ルルはメガネを外して布で拭く。

 

「こちらの世界には若返りの技術はない。だから、間接的に今の貴方の願いを叶えるには……仕事を辞めて、別の仕事を見つけるしかないのでは、と」

 

そう思うんですけどねえ、とルルはメガネをもう一度かけて、壁の段差に腰を掛けた。

 

「そんなこと言われても……借金だってあるし……ああ、こんな時……助けに来てくれる人がいるって、子供の頃なら素直に信じられたんだろうけど……」

 

ハァ、とため息をついて膝に顔をうずめてしまう岬だが……

 

その姿を見て、ミナは「待てよ」と思いつくものがあった。

 

(店長……岬さんは、仕事中は弱々しいけど、しっかりした大人のようだった。今は願い魔のせいで精神が少し幼くなっているのか、弱音をこぼしまくっているけども、そんなふうにする願い魔、いたか?)

 

そして、願い魔の姿は願いに左右される。

 

それが意味するところは―――

 

そこまで考えた時、ばん、と厚い鉄の扉が開く音がした。

 

「おや、こんなところに逃げ込んでいたとは」

 

「しつっこいわ妖怪!!」

 

それは当然マジカル・アナンであり、ミナは準備していたかのように即座にスタングレネードの術を放って岬を背負い逃げ出す。

 

ルルは足止めのため、不死者召喚の魔法でゾンビやスケルトンを呼び出していた。

 

「あらあら。どちらが悪い魔法使いなのでしょうか」

 

「うるせー!空悟!」

 

おかしそうに笑うアナンに投げナイフを一本投げてミナは叫ぶ。

 

「おう!そいやぁ!!」

 

事前に準備していたのだろう、空悟が鉄柱にいわゆるヤクザキックをぶちかますと、それはマジカル・アナンの方向へ向けて倒れていく。

 

「小賢しいですわね……」

 

その柱を軽く避けると、配下の仮面どもをゾンビたちにぶつける。

 

相殺されるかのようにお互いが数を減らしていく。

 

そのさまをすり抜けるように2階へ逃げているミナと岬に目を向ける。

 

「―――どうして逃げるんですの?わたくしは、貴女を助けに彼方より罷り越しましたのに」

 

ふと、寂しげな笑みを浮かべる願い魔に、ミナは一つの確信を持った。

 

「なるほど。疲れた店長の願いとなれば―――ねえ、店長?店長は子供の頃、どんなヒーローとかヒロインとか好きでした?」

 

ニヤリと笑って背に負う岬に声をかける。

 

岬は困惑しながらも、きっぱりと答えた。

 

「び、美少女戦士が。セー○ー○ーンが好きだったわ。タ○シード仮面様も……」

 

こころなしか瞳に力が戻ってきているのを感じて、ミナは笑みを深くする。

 

「グッド!謎は全て解けた!」

 

眼下で不死者を操るルルにミナは叫ぶ。

 

「あれ!あのアイテム、使っちゃうけどいいわね!どうせアホみたいな危険物だし!」

 

「アレ程の貴重品を、ですか?不承不承ながら承知しました。やれやれ。願い魔なんてすぐに殺してしまえばいいものを」

 

肩をすくめてルルは笑う。

 

なんとなくそうするだろうなと思った、とは彼が後で言った言葉だ。

 

もっと大事な時に使え、とも思ったそうだが、使うなら今だという確信もミナにはあったのだから仕方ない。

 

ミナは無限のバッグから虹色に光る指環を出して、その右手の薬指にはめた。

 

「一つ聞くわ、願い魔。あの飴玉は何?」

 

「ふふ―――魔女っ子ですもの」

 

ニコリと邪気のない笑いが帰ってくる。

 

「―――あ、それってもしかしてふしぎな……」

 

地面に下ろされた岬が続きを言おうとして、ミナが制する。

 

「みなまで言うな。大人が子供に、子供が大人に。あの虹色の飴玉は青いキャンディーってわけね」

 

少女が青いキャンディーで大人になり、赤いキャンディーで元に戻る有名な漫画のことを二人は想起した。

 

そして虹色の飴玉が大人になる青いキャンディーのことならば、赤いキャンディーとは……

 

「青いキャンディー、つまり肉体の年月を虹色の飴玉にされて抜かれた岬さんは部分部分から子供になっていく……あんたが分離しているということは、もう最終段階ということよね」

 

そしてハイエルフの焼き菓子、年月を経たエルフの作った「食べる霊薬」によってその「状態異常」は一時的に解除される。

 

もしミナがグリッチ・エッグでの故郷にいる兄姉ほどにハイエルフの持つ技術に長けていたならば、完全にもとに戻り願い魔も成長する前に消滅していただろう。

 

つまり、ミナの謙遜なだけで「呪いを一時的に解除する」ほどの力はすでに彼女の焼き菓子は持っていたのだ。

 

「チッ……里であと何十年か修行してりゃあ、初手でどうにかできたってわけね。だからこういう貴重なものを使う羽目になる!」

 

ミナは虹の指環を高く掲げる。

 

掲げて、エルフの言葉で音を紡いだ。

 

「自らの願いにて都を沈めし虹の帝ティトゥスよ。そなたの末裔が希う。汝が指環に希う。ささやかなる願いを、百の巡りを糧に叶え給え!」

 

紡いだ言葉が消えると、その指環から虹色の光が消える。

 

それは願いを叶える指環。

 

上古の森人たちの王の中で最も愚かだったと言われるティトゥス、虹の帝と呼ばれる王の魔力がこもった指環だ。

 

それは一度使うと100年はただの石塊になってしまうが、相当に無茶な願いでもなければ叶えることのできる「危険物」である。

 

これを望んだ、一時はミナの友人でもあったとある国の王は、その使い方を誤り都を死の街へと変えてしまった。

 

その時にミナが魔物と化した友人を斬って手に入れたものだ。

 

「いつ始末するか悩んでたんだけどね!ありがとう、魔法少女もどき!」

 

指環が光も艶も喪って、石塊の輪になった時、「ミナとルル」が白光に包まれた。

 

白光に包まれ、それが消えた時、そこに並んで立っていたのは―――

 

所々がフリルやハート型の装飾で飾られながらも、動きやすく誂えられたドレスを身に着けた二人だった。

 

ルルは白、ミナは黒いドレスである。

 

それはまるで……

 

「そりゃあここ最近のバトルヒロインといえばこれだけどさぁ!ええい!みだりに名を呼ぶと怒られるシリーズっぽい服じゃない!」

 

「なんで僕まで……」

 

そう、それはまるでどこかの伝説の戦士の初代、光の使者を名乗るバトルヒロインのような衣装となっていたのである。

 

コホン、と咳払いをしてから、岬を見るとその目はキラキラと輝いていた。

 

まるで、少女のように。

 

「……」

 

そんなミナとルルを憎しみの目で見つめるのは、魔法少女マジカル・アナンだ。

 

「どうやらビンゴみたいね!」

 

「ぷ、くく……いや、笑っちゃいかんのだが、ぷっ!あ、いやそうじゃなくてビンゴってどういうことだ?」

 

笑いを堪えながら空悟がそう言うと、ミナはフッと鼻で笑って続きを言う。

 

「岬さんの願いは、『子供の頃に戻りたい』じゃなくて『ヒーローに助けてもらいたい、今の状況を打開してほしい』というものだったわけだな。そして奴が彼女を若返らせようとしていたのは、『ヒーローに助けてもらうのは子供の特権』ってことだ。だから、願いの形はこれしかなかったんだよ!」

 

ビシィ、とアナンを指差してそう言うと「でもなんで○リ○ュ○?」と怪訝そうな顔で苦笑した。

 

「いや、あたし、○ラゴ○ボー○とかも好きでして」

 

「あーそういう」

 

キラキラと輝く目でそう言う岬に、ミナは額に指を当ててため息をつく。

 

そしてもう一度咳払いをして、「そう言うわけだからあんたの出番はもうない!さっさと消えろ、願い魔!!」とミナは叫んだ。

 

ミナとルルが構えを取ると、憎しみの目のままアナンは言った。

 

「なぜ……?どうしてですの?わたくしと一緒に来れば、全部叶えて差し上げられますのに……」

 

「そりゃあ……いくらなんでも、あたしも大人ですし……こんなわけのわからないことで生活捨てらんないですし……愚痴ですもの。ストレスが多くて、そりゃあ……色々いいたくもなりますもの」

 

岬は瞳を伏せる。

 

伏せて、言った。

 

「あたしが変なことに巻き込まれても、ミナちゃんは助けてくれそうですし!これからも一緒に仕事して、あんな借金返しちゃうんです!ミナちゃん勇者って言ったよね!伝説の!」

 

目を上げて、まっすぐアナンを見た。

 

「―――馬鹿な」

 

顔を片手で覆って、片目だけでミナを睨む。

 

ミナはニヤッと笑って、猫足立ちに構える。

 

拳法の心得のないルルは、いつもどおりに杖を構えた。

 

「現代人のストレスは昔に比べて何百倍も増えてるし、それに伴って願いの質も量も増えてるのよ。グリッチ・エッグの文明レベルでは考えられないほどにね」

 

「おのれ……だが、貴女さえいなければ……」

 

アナンはその姿のまま、その邪気のない姿を変えぬまま、瞳だけを憎悪に歪ませて―――その瞳が血の色よりもまだ紅く染め上がる。

 

「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

その杖から、今までの白い光ではなく、朱く禍々しい光が放たれようとしている。

 

それを見ている二人ではなく、飛ぶように走り出した。

 

「ちぇりゃぁッ!」

 

手刀が赤い光を放つ杖を弾き飛ばす。

 

弾き飛ばされた杖は虚空にかき消え、もう一つ同じものがアナンの手に握られるが、もう遅い。

 

ルルが杖を振ると、黒い光が彼女の杖を絡みとった。

 

「これ、鞭にもなる便利なやつなんですよ」

 

「くっ!」

 

もらった、とばかりにミナの拳がアナンの腹部に直撃しようとした時、アナンは紅い目を光らせる。

 

すると衝撃波が彼女を中心に飛び、それは二人を吹き飛ばした。

 

しかし、二人は―――空中でくるくると縦回転しながら、天井に両足をしっかと叩きつけその瞬間まるで天井に立っているようにアナンを睨みつけた。

 

「がんばれ!がんばれー!」

 

岬は空悟に支えられながら、そんな二人を一心に応援している。

 

その様子を憎々しげに見つめて、アナンは叫んだ。

 

「いいのですか!?わたくしを消せば、岬の心は!」

 

しかし、ミナは意に介さない。

 

「やかましい。岬さんの心の願いが叶った以上、お前なんかただの妖怪だ。浄化してしまえば後は店長の心に戻るだけ。願い魔を相手にしたのが今回だけと思わないでよね」

 

天井から二人は地面に降り立って、そして手をつないだ。

 

「ルル、合体魔法よ」

 

「はいはい……」

 

二人は目を瞑り、それぞれの神へと祈りを捧げる。

 

「「消し去りたまえ、滅ぼしたまえ、焼き尽くしたまえ」」

 

「それは破壊の限りの後の再生」

 

「それは調和に満ちた静寂の地」

 

「「神罰を此処に象りたまえ!パニッシュ!!」」

 

瞬間、白光が天より降り注ぎ、砕け散る。

 

神聖魔法の第十位階、完全浄化の魔法、神罰が白い魔法少女に降り注いだ。

 

「おのれええぇぇぇぇぇぇ!ですがこのままではすませませんわよぉぉぉぉぉ!!!」

 

憤怒の形相でアナンは叫ぶ。

 

そして半分以上が消滅したにもかかわらず、その手に握られた杖が岬を向いた。

 

「まずいっ!」

 

ミナは咄嗟に彼女をかばうように前に立ちはだかるが、時すでに遅し。

 

放たれた桃色の光線はミナを避けて―――

 

「ああっ!?」

 

岬に直撃したのである。

 

「ふ、ふふふ……わたくしの救いを受け入れなかったことを後悔なさい!」

 

崩れ行く中で少女は悪態をつく。

 

「う……あぁぁ……」

 

光が直撃した岬を見れば、その姿は―――ピンクや黄色、萌黄色の装飾が所々に現れ、髪も短く、更には年齢もおそらくは9歳か10歳くらいまでより若返っているものの―――魔法少女マジカル・アナンそのものになっていた。

 

「これは!?あんたまさか!」

 

「ハハハハハハ!アハハハハハハ!」

 

哄笑が虚空に響く。

 

岬を魔法少女に変えた光は、そのまま無数の虹色の飴玉となって―――そのまま神罰の魔法が開けた天井の穴を通って、空へと飛んで行ってしまった。

 

「これが終わりではないのですわ!これが始まりなのですわ!わたくしをただの願い魔と侮ったツケは岬と勇者様に負ってもらいましょう!」

 

哄笑が響く。

 

響きながら白い魔法少女は崩れ去る。

 

遺されたのは桃色の魔法少女。

 

―――これが後に神森魔法少女事件と呼ばれる一連の騒動の「始まりの事件」なのであった。

 

 

 

虹色の飴玉に化けて逃げた光も崩れ去った魔法少女も消え去ると、ものの数秒もしないうちにミナとルル、そして岬の変身は解け、普段の姿になった。

 

いや、岬だけは完全に普段の姿に戻ったわけではない。

 

ぶかぶかの衣服に包まれた体は―――

 

「うぁぁぁぁぁぁん!完全に縮んじゃいましたぁぁぁぁぁ!!」

 

―――変身していたときと同じ、9歳から10歳ほどの少女となってしまっていたのであった。

 

「くそったれ!やられた!店長の願いの力を全部若返りのパワーに変えて消えやがった!!あのクソアマぁ~~!」

 

ミナは地団太を踏んで悔しがるが、もはや手遅れであった。

 

「ヒーローっぽい魔法じゃなくて、爆発系の魔法でとどめを刺すべきでしたね。ハァ……」

 

ルルもまたため息をつく。

 

「でもそれじゃあ岬さんの願いをかなえたことにはならないし……おのれ!」

 

「とりあえず逃げるぞ三郎。すんげ―魔法使ったし、騒ぎになる前にケツまくるべ」

 

泣きじゃくる岬にコートをかけて背負った空悟がそう言うと、ミナとルルはこくりとうなずく。

 

既に日はとっぷりと落ちていたのであった。

 

空悟の車に乗り込み、水門家へたどり着くと、そこには怒りを湛えた茜が引き攣った笑みを浮かべていた。

 

「ミナ……いえ、三郎。詳しく説明しなさい。空悟くんと阿南さんも交えてね……」

 

「あい……」

 

まだ今日の修羅場は終わっていないようであった。

 

 

 

後日のこと。

 

正月期間も明け、新年気分も冷めやらぬといった世間をよそにミナの気持ちは落ち込んでいた。

 

結論から言えば、岬の呪いは完全に解けていたことがわかり、ミナの焼菓子を食べても年齢が元に戻ることはなかった。

 

知識や知能、記憶といった点は失われてはおらず、若干少女らしく感情的な面が目立つ、というのが今までとの違いであった。

 

「眼鏡なしでも見える!腰も痛くない!ブラも必要ない!ご飯がおいしい!快適です!!」

 

ミナの部屋でプリンを食べながら、岬はやけくそでそう叫んだ。

 

「とりあえず岬さんの部屋から必要なもんはみんな取ってきたけど、これからどーしよ……」

 

頬杖をついたミナはそんなやけくそになってる岬を見て、ハァ、と深いため息をついた。

 

事件が一旦解決した翌日、グリッチ・エッグと自分たちについての説明を終えたミナは、荷物を取りに行きたいという岬に付き添い、岬のアパートのものをだいたい全部無限のバッグに詰めて持って帰ってきていた。

 

自分の部屋以上に殺風景で、ゴミ袋がいくつも置いてある部屋に哀愁を覚えてしまったミナは、岬が遠慮したにもかかわらず掃除も行っている。

 

そして、綺麗に何もなくなった部屋にこのまま彼女を行方不明とせざるを得ない場合に備えてグリッチ・エッグの金貨を100枚ほど置いてきた。

 

金の含有率では高い定評のあるミナの定宿がある王都で鋳造された金貨だ。

 

少なくとも金であることが証明できれば、数百万円は下らない金額になり、数年分の家賃や光熱費にはなるはずの代物である。

 

結局は騒動になる解決しかできなかったと、部屋の鍵を閉めながらミナは暗澹たる気持ちとなったのだった。

 

「岬さん、親戚とか仲のいい友達とかいないんでしたっけ……」

 

「いないです!父母がそもそも天涯孤独だったそうですし!父の連帯保証人になってもらってた遠い親戚の人も1年前に亡くなってますですし!そこの家族の方も相続放棄したらしくて完全に法事以外でのつながりないですし!だいたい10年も仕事しかしてなかったら友達なんて雲散霧消ですよッ!」

 

ズビシッ!と謎のポーズを取って元39歳は言った。

 

「言ってて悲しくなりません?」

 

「なる……なるですよミナちゃん……だからテンション上げないとやってられないんですよ……」

 

そう言って、岬は「虚空から」杖を取り出した。

 

「これで何をすればいいんでしょうね……」

 

そう、今までとの違いは年齢だけではなかった。

 

岬はマジカル・アナンの力をそのまま受け継いでいたのである。

 

虹色の飴玉はミナが無限のバッグに入れていた分を除けば、やはりあの日に消失していたようだ。

 

そのため、あの消えた飴玉によって今後何が起きるかがわからないという不安が残ってしまった。

 

これも邪神の計略なのか、それとも無関係なのか。

 

少なくともグリッチ・エッグの何かが関係していることだけははっきりしている。

 

それを解決するのは、今はミナたちにしかできないことである。

 

「こんなことで挫けて何が勇者か。何するものぞ、魔法少女!かかってきやがれバグども!」

 

「その意気ですよ、ミナさん。さあ、今日はコンノ一家が来る日でしょう?早く準備をしてください」

 

日誌を書き終えたルルがミナたちの方へ向き直って笑う。

 

空は青く、雲は早く。

 

明日の天気予報は雪であった。

 




区切りのいいところまで投稿しておきます。

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