異世界で頑張ったので出戻りますね あるいは彼女は如何にして悩むのを止め、現代をエンジョイするようになったか   作:大回転スカイミサイル

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第250話『……あーあーあーあー、そういうことか。完全に理解したわ』

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『……あーあーあーあー、そういうことか。完全に理解したわ』

 

カレーナの声が、呆れを含んで空間に響き渡る。

 

『破壊の炎でスライムも我が姿をした記憶人形も焼き尽くしつつ、再生と転生の炎で支配権を奪い復活させるとはのう……』

 

「……つまり、お前のばーちゃんが若いころのボディそのものだってわけか、アレは」

 

体の誇りを払いつつ近づいてきた空悟はミナにそう聞いた。

 

するとミナはニタリと笑って、「そういうことだぜ」と得意げに胸を反らす。

 

そして、「これでうちのばーちゃんの記憶はもう使えないだろ!他の知り合い何度呼んでくれてもいいが、全部こうしてやるから覚悟しろ!」と虚空へ中指を突き上げた。

 

「……で、アレ生きてるのですよね?どうするのです?」

 

眠り姫のように寝息を立てるその人形へ、岬は恐る恐る指を差す。

 

ミナはわずかに怯えた様子の岬に、「心配ないない」と伝えて槍の柄を地面に立てた。

 

「アレは厳密には生きてはいないわ。アレはフレッシュゴーレムと大差ない、魂なき生き人形……つまり、まあモノよ」

 

しれっとそう言って、ミナは自らの腰に佩かれた存在を見て、フッとまた笑った。

 

「……だからこそ、やれることがある。ばーちゃん、働く気はある?」

 

ミナは祖母に意味深に語り掛ける―――その声音は、どこか冷たく、どこか楽しんでいるかのようだった。

 

「おい、三郎。ストレスでおかしくなったか?」

 

「……え。マジ?そう見えるの、今のオレ?」

 

ミナはいつもの調子で、空悟にそう返すと「ちょっと見えるぞ」と空悟が窘めてきた。

 

『それに魔王をいつまで放っておくつもりだ?』

 

夕がそう咎めると、「うん、でも奴が空間の位相を戻してここに帰還するのにもう少し時間がかかるから、その前にやりたいことはやっちゃうのだわ」と返して彼女はため息を吐く。

 

「ミナさん」

 

ルルが声を掛けると、ミナは振り返った。

 

その顔からは、フェニックスを呼び出す準備を始めてから以降にあった妖しい笑みはすでに消え、いつも通りのミナがいる。

 

その様子に空悟は、わずかに心配して竜の兜を手で押さえ、ルルもまた何かに気づいたように唇を噛んで……

 

「早くやってしまいましょう」

 

そう返して微笑んだ。

 

『ま、まあやりたいことは分かったが、それはそれで我ってば好き勝手しちゃうぞ☆』

 

しばし放置された祖母は、そう悪戯っぽく笑う。

 

「心配しなくても手綱はつけるわよ―――私に戦力ありがとう、腐れゴミ魔王!」

 

ミナは客人碎を構え、今度は妖しさの欠片もない獰猛な笑みを浮かべた。

 

『おのれおのれ―――!フッハハハハハハ!ウワーッハハハハハ!わずか1年ばかりの間に随分と!フハハハハハ!』

 

記憶の魔王の哄笑が響く中、『確認するが、これは飛車取りの類かね?』と廻がミナに聞く。

 

「そーいうことなのだわ!」

 

ミナはそう明快に返答して、灰の中に倒れ伏す祖母の姿をした人形の上に―――

 

「カレーナの剣」を置いた。

 

「―――竜の剣よ!その身に在りし魂を駆動せしめ、仮初の僕となりたまえ!」

 

「破壊と渇望の王、呑み込み喰らう我らが神よ。古の盟約に従い、この人形に真実と真理の印を与えよ。我が仮初の僕と変えたまえ―――マリオネット・ゴーレム」

 

主従の呪が響くと、カレーナの剣から少しだけピンクの魔力が漏れ、人形に触れた。

 

すると。

 

「―――うおおおお!」

 

―――人形が叫び始めた。

 

「100年ぶりか?いや、もっとじゃ!何百年ぶりかのう、肉の体は!あははははッ!気持ちがいい!」

 

テンション高く哄笑する、かつてと全く同じ肉の体を持つ祖母がいた。

 

「ばーちゃん、ちょっとやかましいから黙って?」

 

ミナは全く笑っていない瞳で、カレーナの頭を槍で軽く叩く。

 

ボコン、といういい音がした。

 

「痛ぁ!?何をするのじゃ、我が孫よ!」

 

「嬉しいのは分かったから黙れってんだよ」

 

ミナは抗議に構わずにデコピンしてやって嘆息する。

 

「おおお……痛いぃ……!何するんじゃァ!」

 

「何するんだはこっちの話だ、ババァ!ちょっと黙って話聞け!」

 

「ふん!我を自由にするなど、愚かもいいところ!このまま―――あれ?」

 

ミナの制止を振り切って逃げ出そうとするカレーナは、しかし自分の身体が自由に動かないことにようやく気づいたのであった。

 

「……まさか」

 

「まさかじゃありませんよ。そのお腹の紋章を見てください。あなたは僕のゴーレムで、僕とその主であるミナさんの言うことには逆らえないんですよ」

 

ルルは呆れてその腹部、ちょうど子宮の上のあたりにある紋章を指してハーとため息をつく。

 

「……まさか、これが伝説の淫紋ですか!?」

 

素っ頓狂な声音で、エロい創作ではおなじみのエロっぽいお腹の紋章に岬がまさか!と口を押さえてドン引きするが、ルルは努めて冷静に「違います。それはゴーレムを動かすための印ですよ」と返してもう一つため息をついた。

 

それは神の言葉で「真理」と書かれたゴーレムの駆動式であり、今の彼女が剣に宿る魂魄のみで身体を駆動せしめることが出来る理法なのである。

 

つまり……

 

「はい、ばーちゃん私の操り人形。了解?ある程度は動けるけど、許可しない行動はNGだかんね」

 

予想通りの答えを返されたからか、カレーナは一瞬言葉を飲んで、次いで少し青褪め、すぐに顔を真っ赤にする。

 

「ぎゃー!?やっぱりそうか!?我を何だと思ってるんじゃ!?」

 

「何って、うちのばーちゃん?それも放置しておくと近所の小学生とか中学生のDT食い散らかしそうな変態BBA?」

 

抗議する祖母にミナはにっこりと太陽の笑みを浮かべてそう返して、「じゃあみんな戦闘準備ね。態勢整えましょう」とイーガックの時計が戦闘開始より9分27秒を指していることを確認して、後ろを振り向き―――

 

バッグから青色のローブを取り出して祖母に投げた。

 

「その格好は目の毒だから、それ着ててねバーチャン」

 

―――その視線に映るのは、生まれたままの姿の祖母であった。

 

 

 




書き溜めがァァァァ

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