異世界で頑張ったので出戻りますね あるいは彼女は如何にして悩むのを止め、現代をエンジョイするようになったか   作:大回転スカイミサイル

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第30話「もしかして、地球人は成長早いのかしら」

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ミナの灯す光を当てに4人は進んでいく。

 

罠に引っかからないように岬は軽く浮かびながらついてきていて、他の三人はこれまでと同じだ。

 

闇はまとわりつくようで、照明の魔法も十数メートル先を照らすのがやっと。

 

気を抜けばはぐれてしまいそうな、闇の中。

 

それはまるで古いコンピュータRPGの3Dダンジョンのような趣さえあった。

 

「最深層に近いわね。真っ直ぐに見えてちょっとずつ曲がってる。平行に見えて少しずつ下っている。しかも、私ですらはっきりとバグの気配を感じるから……」

 

ミナのつぶやきに、最後尾のルルが言う。

 

「はぐれないでくださいね、コンノ殿、ミサキ殿。これはバグダンジョンの深層ではよくあることですが、質量を持つ闇が今我々を包んでいます。下手にはぐれると死にますよ」

 

「マジか。ルルくんでもやばいのか?」

 

ルルはそれに首を横に振る。

 

「この程度なら、僕は大丈夫ですが……お二人はまだ初心者ですからね。特に荒事と関係のない生活をしていたミサキ殿はパニックを起こしてしまう可能性が高い……」

 

「一つも言い返せないですぅ……」

 

「あははは、初心者なら当然です。間違って普通の洞窟や目的あって創られたダンジョンではない場所、つまりバグダンジョンに迷い込んで骨も残らなかった冒険者はこの100年に限っても10万は下らないでしょうね」

 

ルルの言葉に空悟は髪を掻いて「年に1000人は多いのか少ないのか……」と冷や汗を流した。

 

「間違いなく少ないですよ。多分、年間1万人かそこらは色んな理由で冒険者になるのですから。ねぇ、ミナさん」

 

「そうね。王都のギルドでは毎日一組は新人のパーティーが結成されるし、辺境でも10日に1度は結成される。ギルドに登録しない冒険者やギルドから追い出された冒険者くずれも含めると相当な数よ。そのうち職業の細分化で少なくなっては行くと思うけど、まだ何百年も先でしょうねぇ……」

 

コツコツと足音を響かせながらミナは言う。

 

「つまり、その1000人は運が悪かったってことよ。農村がゴブリンだのコボルトに襲われて亡くなる人口のほうが100%多いからな」

 

空悟に向けて男の口調でそう言うと、ミナは立ち止まった。

 

「どうした?」

 

「空悟、いつでも撃つ準備しろ。来るぞ」

 

ミナはそうしてヒヒイロカネの小剣を振って照明を宙に浮かせる。

 

前方を睨めつけていると、そこから来たのは空悟が持っているのと同じ一〇〇式機関短銃を携えたガスマスクの軍人たちだ。

 

「プロテクション!」

 

ガガガガガ、とそのサブマシンガンが吠えたのとミナがプロテクションをかけたのがほぼ同じタイミング。

 

銃弾は全て障壁によって遮られ、金属音を発して地面に落ちた。

 

「陽の火より来たりしもの、名もなきアメノホヒの子等よ。邪悪を討取る炎となれ。輝く破邪の穂となれ!」

 

火の中位精霊とも陽光の精霊とも言われる「名もなきアメノホヒの子等」の力を借りる破魔の炎の術セイントファイアが、燎原に広がる野火のように地面を覆い、前衛の5体ほどを焼き尽くす。

 

それに続いて、空悟と岬が集中的に射撃を行い1体が地に伏した。

 

それでもまだ後衛の6体が生き残っているが、すでに形勢は決まっていた―――と思われたのだが。

 

「ミナさん、後ろからも来ますよ。挟まれました」

 

「えぇぇぇぇぇぇぇ!」

 

ルルの言葉に悲鳴を上げる岬に、ミナはピシャリと「ちょっと、岬!落ち着いて!」と申し渡す。

 

「このくらいなんでもないわ!ルル、プロテクション。岬は空悟のサブマシンガンにファイアウェポンかけて、空悟と一緒に後ろの方を射撃して」

 

そう言って、岬が震えながら首肯したことを確認したミナはバッグから弓を取り出す。

 

弓は幽霊戦車を射撃した金属弓だが、番えられた矢は木製のものだった。

 

「全員壁に縫ってやる!」

 

そう叫んで、ミナは前方に3本を2射した。

 

それは正確に軍服ヴァンパイアたちのこめかみの辺りを直撃して、その勢いのまま脇の壁へと頭蓋骨を打ち付け固定する。

 

「岬、こっち!」

 

ミナはヴァンパイアたちが矢を抜こうとあがいているのを確認した後、岬を抱きかかえる。

 

「ルル!」

 

「わかっていますよ。デスウォール」

 

ルルは静かな声で詠唱が完了した闇黒の防御結界を後方に展開した。

 

「よし!空悟、ルル!逃げるぞ!前方に向かってな!いい加減相手してられるか!はぐれんなよ!!」

 

叫んで3人は走り出す。

 

「ちょ、ちょちょ!」

 

「喋らない!舌噛むわよ!」

 

意外と怖いお姫様抱っこをされた岬を抱えて、ミナはあがくレッサーヴァンパイアを尻目に闇の向こうへ駆け出す。

 

さらなる増援が不安だったが、どうやらそれはないようで数分も走ると周囲に静寂が戻ってきた。

 

「逃げてよかったのか?帰りに遭遇するんじゃないのか、アレは」

 

「そりゃあもう。あれ相手にしてるより先に進んだほうが良い。多分、あそこらを起点にして無限湧きするようになってたからな」

 

いわゆるポップポイントというものだと彼女は続けた。

 

そうしてミナは抱きかかえていた岬を下ろすと、バッグから取り出した緑色の風呂敷を地面に敷く。

 

それは魔除けが仕込まれた休息するためのものである。

 

「まあ座れ。幸いにして前のフロアで食料と水は補充できたから、4人で2週間でも3週間でも籠もってられる。まあおめーの仕事もあるから、今日明日でなんとかするのは当然だけどもな」

 

ミナがそう言って、バッグの中から自分とルル、岬のぶんの弁当を取り出す。

 

中身は鶏の唐揚げと炒めたさやいんげんのにんにく醤油びたし、それにたくあんと餃子だ。

 

飯の方はのり弁になっているが、おかずの塩気を考慮して鰹節の醤油びたしは入っていない。

 

「わかった。お前がそういうのなら」

 

空悟は地面にどっかと座って、防弾チョッキとレッグガードの留め具を緩める。

 

そして自分のリュックから愛妻弁当を取り出して広げた。

 

おかずは卵焼きとウインナーを焼いたもの、そしてきゅうりの浅漬である。

 

「おにぎりと言ったらこれが一番だな!」

 

「それは奥さんも同意見なんですかぁ?」

 

「うちの嫁さん、弁当はパン派なんだ……だから米の弁当にはこだわりないってさ」

 

おにぎりを包んでいるアルミホイルを破くと、そこからは海苔で覆われたゆかりごはんのおにぎりが出てくる。

 

市販のゆかりごはんの素と梅干しの紫蘇を刻んだものを混ぜたものだった。

 

中には当然のように梅干しが入っていて、それを口に入れた空悟が「あー効く……」としみじみとつぶやいた。

 

紫蘇といいその梅干しといい、市販のものではなさそうだったのでミナは聞いた。

 

「清水さん梅干し漬けるのか?」

 

「ああ、味噌も作ってるぜ。漬物とか発酵食品とか好きなんだよあいつ」

 

ガツガツとおにぎりを頬張る刑事を見て、森人の少女は笑った。

 

「あー清水さん、確かに漬物とか作ってそう」

 

唐揚げと海苔飯を一度に口に入れて、もぐもぐと咀嚼する。

 

そうして飲み込んだ後、スポーツドリンクを一口飲んであたりを見回す。

 

質量のある闇は未だに周囲を覆っていたが、先程よりは薄い。

 

灯りさえあれば20mかそこらまでは見通せる程度だ。

 

「このさやいんげん炒めのニンニク醤油びたし、本当に美味しいですよね!お酒が飲みたくなるやつです!」

 

炒めたことにより皮のキュッキュッという感覚がなくなり、柔らかくなった身ににんにく醤油が染みたそれは三郎の父の好物であった。

 

彼女は、自分でも作れるようになったことに嬉しく思う。

 

(こっちの作物の種とかも、帰るときには持っていきたいなあ……)

 

ミナはそう考えながら、岬に一言注意する。

 

「……元39歳でも飲んだら駄目だよ、岬……ビールひとくちで撃沈するほど弱くなってるんだから」

 

もりもりとご飯を食べる魔法少女の元気な声に、少女は唇を尖らせた。

 

「わかってるですよ。飲めるかなーと思って飲んだら、そのまま半日寝ちゃったですし……」

 

岬も唇を尖らせてブーブーと文句を言う。

 

「お酒も飲めない、すぐ眠くなるこんな体にしてくれたあの腐れ願い魔のやったことなんて潰してやるです。でも、なんかもう、コンビニ経営はもういいかなぁ……って……」

 

餃子を口に入れて岬は笑う。

 

抱かなくていい不必要な義務感を捨てつつあるため、メンタルは回復しつつあるのだとミナは嬉しく思う。

 

それはともかくとして、闇が薄れつつあるということは、上階……ゾンビたちが徘徊していた、空悟が落ちて測候所につながっていた空洞から失われたバグの行き先が近い可能性がある。

 

ミナは唐揚げを食べて、ルルを見る。

 

ルルはすでに食べ終えていて、丁寧に弁当箱の包みを元のように結び終わっていた。

 

そうして少年は少女の視線に気づくと、その目に肯定の意を投げかける。

 

しばらくの間、談笑しながらの休憩時間が続き、30分ほどした頃、ミナが立ち上がった。

 

「そろそろ行こうぜ。日が暮れちまう」

 

時間はまだ13時過ぎだが、ここから先でどういう足止めを食らうかもわからない。

 

急ぐことに皆異論はなかった。

 

 

 

案の定であった。

 

質量のある闇の領域を抜けると、そこは長い長い螺旋階段が続いていた。

 

そこに現れたのは―――頭部が九二式重機関銃になった大日本帝国軍の軍服を来た謎の人型物体である。

 

その数、22体。

 

22挺の機関銃が一斉に火を噴くが、それはルルの唱えたデスウォールによって全て防がれていた。

 

「うひゃあ気持ち悪い」

 

四つん這いになって機関銃を乱射してくるそれらに弾切れはない様子で、機関銃の反動にも負けずに徐々ににじり寄ってくる。

 

よく見れば手は吸盤になっていることがわかり、ミナはもう一度「気持ち悪いわね……」とつぶやいて弓を取り出す。

 

空悟も地面に身を伏せながら、すでにサブマシンガンによる射撃を行っているが、効いている様子はない。

 

金属音が響いていることから、ボディは硬めの金属でできていることが推測できた。

 

魔法金属の弓、古代の帝国の兵らが使ったといわれ、その頃の兵の呼び名であった単語を冠する「フィアナの弓」に番えられたのは、鍛銀の矢だ。

 

「ルル、岬、空悟とサブマシンガンにありったけのバフかけて。それが終わったら空悟はオレと一緒にアイツラを蹴散らす」

 

螺旋階段の影に隠れて手榴弾を一発ぶん投げ、それが爆発するのを確認すると空悟は「OK!」と返してきた。

 

そしてファイアウェポン、ホーリーウェポン、シャープウェポン、数種類の身体能力増強……フィジカルエンチャントが空悟にかかる。

 

「……よし、今!」

 

ミナが矢3本を一射すると、機関銃の頭部を吹き飛ばされて三体が沈黙する。

 

次いで、空悟が投擲した銃剣が、普段の彼では絶対に無理な速度で空を飛び、1本機関銃頭の胸に突き刺さって爆発した。

 

「爆発!?」「いいから撃て!」「わかってる!」

 

怯んだ機関銃兵士は、そうして放たれたミナの二射目と空悟のサブマシンガン乱射を受けて先に沈黙したものと合わせて9体が沈黙し、その頭の機関銃は一発もデスウォールを抜くことは叶わかなった。

 

「ギ……ギギ……」

 

形勢不利と見たのか、不気味な軋みのような機械音声を上げながら、ジリジリと機関銃頭は後ろに下がっていく。

 

しかし、それを見逃す冒険者たちではない。

 

ルルの詠唱が完了したのだ。

 

「世界を支配する偉大なるロジックよ。拡大せよ、拡張せよ、目に映るもの全てへ。繋ぎ止める素なる力よ拡散し霧散せよ。岩を砂に、砂を塵に、塵は消え去り、素へと還れ。ディスティングレイト!」

 

「ギ、ガガガ……」

 

効果範囲の拡大がなされた物体分解の魔法が発動すると、残っている機関銃頭は全て砂のようにバサリと崩れ去る。

 

ミナがゴミの始末に使っていた魔法だが、器物系の魔物には顕著な効果を発揮する立派な第七位階の古代語魔法なのだ。

 

「メタル属のモンスターの亜種だったようですね。これならディスティングレイトで一撃だ」

 

頭部を潰され転がっている、分解を免れた個体に近づいてその上着を剥ぐと、そこにはどういう意図で使われているかわからない機械がむき出しになっていた。

 

まるで昔の特撮で、ロボットであることを示すための演出として作られた回線や回路のような、これが動くとは素人目にも思えない無茶苦茶な配置である。

 

「なんつーか、懐かしいもん見た気がするわ。ジャ○パーソ○とか○イン○ペクターかよ。まあありゃあ顔は人間だったけど」

 

空悟がサブマシンガンを構えて近づくと、そんな懐かしささえ籠もった言葉を紡ぐ。

 

そして周囲を警戒し、これ以上何も来ないことを確認し、階段に腰を下ろした。

 

「油断するなよ。こいつは機能停止してるみたいだけどさ」

 

機関銃男の残骸からはぎ取れるだけものを剥ぎ取る。

 

そうしてミナは続けた。

 

「バグダンジョンにいる魔物は深層に近づくほど理不尽つーか、S■Pオブジェクトとかクトゥルフめいた不気味で祈り持つものに生理的嫌悪をもたらす姿になっていくんだよ。引っ張られると魔物にされちまうやつもいる」

 

ミナは螺旋階段の壁にところどころ開いている窓にも見える穴から続く吹き抜けに、機関銃頭の残骸を次々と蹴り落としながら目を細めた。

 

バグに侵されたものは魔物か、歪んだ種族と化す。

 

それが運命であり、バグの濃い場所で生まれる、もしくは作り出されるものはより歪んだ姿になるのは道理であった。

 

「おう……」と言って親友が冷や汗を流したことを確認したミナはニヤリと笑う。

 

「怖気づいている暇はないぞ、親友。この街を守るには、こんなん―――オレの直感ではだが―――序の口だぞ」

 

「望むところだ。俺は怪奇○作○大好きなんだぜ。こんなのキン○アラジ○に比べたらへーきのへーざよ」

 

彼女の親友もまた、ニヤリと笑う。

 

「……あたしはもう気持ち悪いんですけども」

 

「そのうちなれますよ」

 

岬とルルがそう言って笑った。

 

そして4人は再び歩き出す。

 

螺旋階段では機関銃頭だけではなく、頭がなく腕が擲弾筒になっている怪人、頭が生えているはずの場所にチューブが生えていてそれで手に持ったポリタンクから油分を補給して胸部から火炎放射を放つ怪物と多彩で不気味な機械の魔物たちが襲いかかってきた。

 

共通することは唯一つ。

 

階級・陸海を問わず、彼らが大日本帝国軍の軍服を着込んでいるという嫌なことだけだった。

 

「おるぁぁ!」

 

七体目の擲弾筒男を吹き抜けに突き落とした空悟は、ふぅ、と息をついて銃を構えた。

 

「なんでてめーら軍服着てんだよ!旧日本軍ナメてんのか!」

 

サブマシンガンを乱射して、擲弾筒男から奪った擲弾筒を発射しながら空悟は叫ぶ。

 

調子が乗っているのか、動きが明らかに良くなっている空悟を尻目に、ルルは主にディスティングレイトを中心に、ミナは弓、岬は魔力弾で押し寄せる魔物たちと戦っていた。

 

吹き抜けから覗く螺旋階段の先は、高さから見ておおよそ4分の1。

 

すでに4分の3の行程を終えているとミナは踏んだが、まだ先は長い。

 

「愛の光よ!混ざって弾けろ!」

 

岬が突然そんなことを叫ぶと、ドドドン!とすごい音がしてピンク色の光が言葉通りに弾けて、火炎放射男が5体ほど一度に吹き飛んだ。

 

「今のなに、岬!?」

 

「突然頭の中に浮かんだ言葉なのです!多分、魔力弾の上位互換かなんかなのです!」

 

ミナの質問に、そう答えて更に謎の魔法を使う。

 

「アナン・ファイヤーッ!」

 

マジカル・アナンの衣装から生えている翼が炎を放つ。

 

それに巻き込まれて、機関銃男が1体火だるまになって奈落へと落ちていった。

 

「どんなもんですか!」

 

岬がVサインを作って笑う。

 

(……早い、早すぎる)

 

空悟も、岬も明らかに洞窟に入ったばかりの頃より強くなっていた。

 

螺旋階段を降り始めてから、それは更に顕著になっている。

 

「ルル、どう思う?」

 

「間違いなく冒険者現象ですよ、これは」

 

ルルの言葉にミナは唸る。

 

冒険者現象とは、何か。

 

それは即ち、魔物を倒すこと……即ち、蝕み滅ぼす世界蟲たるバグを潰すことで祝福を得ることである。

 

「リソース」と呼ばれるそれを手に入れたものは、若干強くなる。

 

少々魔物を倒した程度では全くわからない程度に強くなる。

 

数値で測ることは、身体測定や魔力量の測定を行うことで可能といえば可能だが、それはあくまで測定の範疇だ。

 

体調や月の巡りでも変わってくるもののため、絶対的な意味で数値化しようとする努力は何百年も前に諦められていた。

 

即ち、強くなると言ってもRPGでよくあるレベルのようなものではなく、強くなる率も種族ごとに誤差はあるとは言え基本的にランダムである。

 

そして、リソースを大量に手に入れているからこそ、ミナもルルもその見た目通りの少女少年の力ではなく、常人離れした能力を持つことができるのだ。

 

魔物を倒す人間は、軍を除けば大体は冒険者のため、この現象は雑に冒険者現象と呼ばれている

 

更に言えば―――

 

「一番リソースに影響されやすい只人でも、こんな速度で成長するとか聞いたことないぞなもし……」

 

そう、たとえ何百体魔物を倒したところで、リソースが体に馴染む時間はかなり長い。

 

こんなにすぐ強くなることなど、本来はありえないのだ。

 

「チェスト―――ッ!!」

 

そうこうしているうちに、空悟が最後の一体を軍刀で袈裟斬りにした。

 

その様子を見て、今は心配をかけることを懸念して、このダンジョンを攻略した後にこのことを伝えるようとミナは決意した。

 

(もしかして、地球人は成長早いのかしら……バグが完全に全く存在しないはずの環境だもんね。感受性が高いのか……?)

 

ミナは考えるが答えはわからない。

 

自分が勇者の権能を持っていることともなにか関係があるのかも知れない、と考えたところで思考を打ち切って、前で荒い息をつく二人に近づいていく少女であった。

 

 

 

 

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