異世界で頑張ったので出戻りますね あるいは彼女は如何にして悩むのを止め、現代をエンジョイするようになったか   作:大回転スカイミサイル

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第42話「手品」「でも」「手品!!」

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その後はだいぶ大変なことになった。

 

それはそうだ。

 

死亡、あるいは植物人間化が確実視されていた患者が起き上がったのだから―――それも完治して。

 

医者は奇跡だとどよめくし、ぬえ子は泣くしで大変なことになっていた。

 

とりあえず治すは治したし、彼女には3ヶ月間一切の記憶がミナの目論見通りになくなっていたことだけはミナにはわかる。

 

後は警察がなんとか妹と同じ薬物によるものと判断してくれるだろう、と楽観視してミナとルルはこっそりと病院を抜け出して、今は外の喫煙所近くから空悟に電話をかけていた。

 

「おい、空悟……聞いてなかったぞ、重体の人が出てたなんて」

 

『……そりゃ、被害の性質のせいで隠されたからな。上の判断ってやつだ……済まねえな。お前にもっと早くに頼むべきだった。いわゆる強姦殺人未遂ってやつでよ』

 

その言葉にミナはため息をつく。

 

『副市長の娘さんでな。薬物投与だけで未遂で終わった―――ってことになってる妹さんはともかく、お姉さんの方はな。表沙汰には出来ないだろう。表向き事故で昏睡、ってことになってるはずだ』

 

空悟がそこまで言った時、ミナはもう一度ため息をついて話を続けた。

 

「わかった。表沙汰にするわけにも行かなかったろうし、守秘義務ってもんがあるからな。とりあえず他にはいねえだろうな?」

 

『ルルくんに似てる女の子がそんなにたくさんいてたまるか。少なくともその手の被害にあったのは彼女だけだ』

 

少なくとも声音からは嘘は感じられない。

 

そう思ったミナはふっと笑って「信じるよ。貸し一つな。休みの日はうちに来いよ。特訓で絞ってやらあ」と伝えた。

 

『おう、わかった。お手柔らかにな』

 

電話が切れると、ミナは「あぶねえ……もう少しで一般人の死亡被害を知らないままに出すところだった……」と冷や汗を拭いた。

 

「一人や二人なら問題ないでしょう。死人はこの世で常に出ています」

 

「そーいう問題じゃなくて、私らのせいで特に罪もない一般人が死ぬのが嫌だって言ってんのよ。心苦しいわ!」

 

ろくでもないことをいい出したルルに、ビシ、とチョップを食らわしミナは怒りを湛えた笑みを浮かべた。

 

「痛いじゃないですか。事なきを得たのだからいいじゃないですか。僕を殴る必要ないでしょう?」

 

「そう言う問題じゃないの!―――まあいいわ。ルル、お疲れ様。明日の漁もよろしくね」

 

「はいはい……わかってますよ、ご主人様」

 

ルルはそう言って、自分のスマホに3件ほどぬえ子から着信が来ているのを見て―――「大変なことになったので帰ります」とショートメールを入れる。

 

そのうえで彼女に再度連絡するかは、家に帰って夕飯を食べてからミナの判断を仰ごうと決意した。

 

その日の夕飯は焼き魚であった。

 

 

 

―――夜、ミナの部屋。

 

「はぁ、それで電話するべきかどうか、って?いや、連絡はしたんだし良いんじゃない?」

 

「なるほど……」

 

ルルに相談され、ミナは軽く答える。

 

「それにまたどうせ会わざるを得ないでしょうし、その時に謝罪すればいいでしょう。実際、あれ以上あそこにいてももみくちゃにされたろうし」

 

ミナは笑って、エアコンの温度を1度上げる。

 

「それにしても珍しいわね、ルルが私やパーティメンバー以外の人を気にかけるなんて」

 

「そーなんですか?」

 

魔法の練習を中断して岬が会話に混ざってくる。

 

「失敬な。仲間や元仲間の家族くらいまでは気にかけます。それ以上は何万人死んでも利害得失がなければ特別気にかけたことありませんが」

 

「同じですよ、それ」

 

岬のツッコミに、ルルは不本意そうに「そういうものでしょうか?」とそっぽを向いた。

 

神殿に行ったりルルが嫌がることをミナがしたわけでもないのに、このような態度を取ること自体が妖精の少女には珍しく感じられる。

 

環境の違いだろうか、とミナは少し思うがほんの少し過ぎてすぐに思考から飛んでいく。

 

「それはともかく、お前は明日漁に行くのではなかったか?コンビニエンスストアーとやらの仕事はどうするのだ?」

 

「ん?今日は2時まで。そこで新人バイトに引き継ぎしておしまい。それでコンビニバイトの日々も一緒におしまいね」

 

夕に聞かれてそう答えると、手に持った鉛筆をくるくると回した。

 

「次のバイトはまだ決まってないけど、宛はあるから大丈夫」

 

「それならいいが……働かざる者食うべからずだぞ、水門ミナ」

 

夕が嗜めると、ミナは苦笑する。

 

「これでも200年以上冒険者稼業で職がなかったことは一応ないわよ。自営業だけどね」

 

胸をそらして夕に自慢するミナに、ルルは「言うて実収入ある活動してた時期なんてそのうち半分くらいでは?修行とか冒険したいから冒険するとか、そんなことがかなり多かったように記憶しているのですが?」と笑った。

 

「そうね!でもそれが後の大きな収入につながったことだって多かったわ!」

 

「そうでしたっけ……?」

 

ルルが怪訝そうに首を傾げると、ミナはその頭を掴んだ。

 

「うるせえ、必要経費だって言ってんでしょうが!まだあの依頼受けなかったこと根に持ってんのか!」

 

「ああ、痛いじゃないですか……あれはどう考えても受けていたほうが後が楽になった案件だっていい加減認めてください!」

 

二人しかわからない過去の冒険での失敗について、二人が喧嘩し始めたのを見て廻と夕は苦笑しつつ部屋を出ていく。

 

岬もまた「あたし、お風呂まだでした」と聞いていないことがわかっていながら述べて階下へと向かう。

 

珍しい言い争いが終わるのは、バイトへ向かう時間の少し前のことだった。

 

 

 

明けて―――いや、まだ冬の午前四時であるため空は白んでもいないが―――翌日。

 

バイトの引継を終えてコンビニを辞し、その足で蒼抹湾の指定された場所へと赴いたミナたちは漁船の前でタバコを吸っている大将を発見した。

 

「おう、来たな……二人ともでいいのか?」

 

「ええ、僕も乗せてもらえるとありがたいですね」

 

聞かれたルルはそう答えて、大将に頭を下げた。

 

「……まあお嬢ちゃんの弟ならそれなりにやれるんだろうが……わかった。気をつけてくれよ。海に落ちたら、いくらここらがあったかい海だっつってもヤバイからな」

 

大将はタラップに足をかけて二人を促すと、そう注意した。

 

「やってもらうのは網だ。投網ってやつだな。オレだけじゃきついもんでね……ああ、もちろん合法だから安心しな。そんなことしたら命がいくつあっても足りねえさ」

 

「わかってますって」

 

ミナがそう言って、二人が船に乗ると大将は船のエンジンを回す。

 

漁は3時間ばかりかかり、ミナは母や岬たちの朝食を作っておいてよかった、と思うのであった。

 

 

 

蒼沫湾は現在のところは特になんの変哲もない小規模な漁港である。

 

昔は戦車修理工場があったこともあり、港にはそれなりの設備があったということだが、今は見る影もない。

 

とは言え海水浴場として機能している浜辺も存在し、それなりに春夏の賑わいはある海だった。

 

今は雪の降り積もる冬であるため、漁に向かう漁師以外は人は殆どいない。

 

湾内は小魚や貝が多く生息し、漁大くらげ屋の大将のように湾内で漁業を営むものもいないではなかった。

 

「でも、わざわざここで仕入れなくても市場で目利きして買ってくりゃいいんじゃないですか?」

 

ミナがそんなことを聞くと、大将は指を振ってそれは違うと答える。

 

「なに、これは秘密にしておかないとイケないもんでね……あそこの店長の紹介なら信用できるからな」

 

そうして彼の指差した先には、小魚や普通の貝類……しじみやあさりに混じって、妙な形の貝があった。

 

そう、わざわざ彼が仕入れではなく漁をしている理由がそれなのだという。

 

「図鑑にもどこにも乗ってねえんだけどよ。めちゃくちゃ出汁がうまいんだよ、この貝。なぜかわからんけど、他の漁師が取ったって話も全く聞かねえ……だが、実際食ってみりゃうまいし毒もないって水産試験場の連中が太鼓判押してたからな。店で使ってみようと思ったのよ」

 

拾い上げた貝をミナに見せて笑う。

 

「いや、未知の貝って……使っていいんですかそれ?」

 

「まあ見ての通り、ちいっとひん曲がったはまぐりみてえだろ?水産試験場に持ってったら奇形のはまぐりじゃねえかってさ」

 

冷や汗をかくミナにそういいながら、クーラーボックスに次々とその貝や小魚を大将は入れていった。

 

その様子を前に、ルルはジト目をしながらミナを見た。

 

そして耳に口を寄せ、エルフ語で囁く。

 

「……何?」

 

「厄介ごとですよ、これ。覚えてないんですか、海女の村で住んでいた時に散々食べたものではないですか」

 

「あ……そういえばそうだわ」

 

それを見たのは、確かに―――

 

その思考を遮るように大将が大声を張り上げた。

 

「すまねえな、嬢ちゃん坊っちゃん!おかげで助かった!来週も来てくれると助かる!来週からはバイト代も出すからよ」

 

「あ、はい。出してくれるなら是非」

 

ミナがそう答えると、大将は魚介類と謎のはまぐりめいた何かを積んだトラックに乗って、足早に去っていった。

 

「そうそう!あそこの店長がぬえ子の姉ちゃんに頼みたがってたことは、オレから言っとくから店長に聞きな!ただし、このことは内緒だからな!!」

 

窓から顔を出して大将はそう言って、今度こそ港の外へ出ていき見えなくなっていった。

 

「―――なんでこっちに向こうの生き物がいるのかしら……もう驚かないけど……」

 

ミナは海底の調査も必要なのではないか、とため息をついて天を仰ぐ。

 

空は晴れていて、放射冷却現象が大地を冷たく包んでいた。

 

 

 

それから家にゆっくりと戻る途中のこと。

 

ルルのスマホがけたたましく鳴り始めた。

 

「電話をこちらからかける必要はありませんでしたね」

 

ルルはそう言って通話を始める。

 

かけてきたのはぬえ子で間違いなかった。

 

『もしもし?ルルさん?』

 

「おはようございます、相羽さん。昨日は申し訳ありませんでした。あのような場に家族以外が長居するのは良くないことかと思いまして」

 

平素なルルの言葉に、ぬえ子は申し訳無さそうに言葉を続けた。

 

『いや、こっちこそごめんよ。まさか姉さんが……あ、いや詳しくは会って話したいんだけど、今から市民病院に来れるかい?』

 

「問題ありませんが、何かありましたか?」

 

ルルの言葉に、彼女はしばし口ごもるが、意を決したのだろう、話を始めた。

 

『あのね。姉さんにルルさんやミナさんの話をしたら、二人に話したいことがあるんだって。お願いだよ、市民病院に来てほしい』

 

「僕たちに?それはまた妙な」

 

ルルの眉が疑問に歪んだのを見たミナはこくりと首を縦に振る。

 

「わかりました。これからすぐに行きますので、お待ち下さい。それでは」

 

通話を切って、ルルはミナを見る。

 

「話は聞いてたわ。妙というか、なんでしょうね。私達の魔法を感知しているわけでもないし、何よりこの3ヶ月……私たちがこちらの世界に来てからの記憶は消してしまったのに」

 

ミナは首を傾げて、「まあ行ってみるしかないか」と自転車に乗り込んだ。

 

「承知しました」

 

ルルがそう言って後ろに乗り、ミナはペダルを漕ぎ出す。

 

雪のない道を選んで走り、病院にたどり着いたのはそれから30分ほど後だった。

 

 

 

「わぁ!本当にぬえちゃんにそっくりなのね、あなた!」

 

病室に入るや開口一番ぬえ子の姉、つぐみは手を叩いて喜んだ。

 

病室は先日の病室とは違う、それなりに宿泊設備としても普通に見える個室だった。

 

先日のそれはハイケアユニットと呼ばれる準集中治療室だったのかもしれない。

 

「……そっくりというほどには似ていないと思うのですが」

 

ルルは苦笑してつぐみに笑いかける。

 

「まあ姉妹兄弟の類と言われれば納得しそうな程度ね。雰囲気や背格好、声が似てると言っても」

 

「喋りだしたら別人なのはわかるでしょ、姉さん……」

 

ミナとぬえ子がツッコむと、悪びれもせずに「でも似てるじゃな~い」と間延びした声で笑ってまた手を叩いた。

 

「……こんな人だったんだ?」

 

「お恥ずかしい限り……だから姉さんの親友にも騙されて、アングラアイドルなんてやってたんだよ……」

 

ぬえ子にミナが小声で聞くと、妹はうなだれてバツが悪いと小さく笑った。

 

「単刀直入に聞きますと、最近ぬえ子さんの友人になった僕らにどのような用事でしょう?」

 

そんな二人を置いていくように、ルルはぬえ子より少し穏和な表情をしている自分に似た少女に聞いた。

 

目を細くしてルルを見つめたつぐみは、フッと笑って話を続ける。

 

「実はね……」

 

 

 

「……歌自慢大会に参加?」

 

怪訝な瞳でルルが聞くと、また手を叩いてつぐみは笑った。

 

「そうなのよ~その場所になんだか大変な人が来るらしくって……去年から商店街の人とかカレー屋さんの店長さんに出演を頼まれててね~」

 

少女が間延びした声でそんなことを宣う。

 

「賞金がなんと10億円……でいいんだっけ?おねえちゃん、眠りすぎて記憶曖昧」

 

つぐみに促されたぬえ子は、ため息をついて話を続けようとした。

 

「……ああ、うん。実は……」

 

そこまで言ったところで、バン!と病室のドアが開く。

 

「そこから先は私が説明しようッ!約束通り大将の手助けをしてくれた君たちのために私からねッ!!」

 

現れたのは、潤美を引き連れた店長である。

 

「ちょっと!面会はお静かに!」

 

エフェクトが出そうなほど激しく登場した店長は後ろから看護師さんに当然のように叱られる。

 

呆然とする病室の中の人々と、ため息をつく潤美、その中でもなおゆったりニコニコしているつぐみを残して。

 

三分ほどガミガミと看護師のおばさん、おそらくは病棟の師長さんの説教が続き、ようやく解放された店長がごほんっと咳払いをしたが、呆れた目が突き刺さるばかり。

 

「す、少しばかりテンションが上りすぎてしまっただけだ!私は悪くない!」

 

「いや、悪いのは店長ですから……失礼いたしました」

 

冷や汗をかく店長にジト目を向けてから、潤美が頭を下げるとミナは苦笑する。

 

「あ、どうも……それで、賞金がどうとか?」

 

店長がその言葉に促され、話を続ける。

 

「うむ、そのとおりだ。なんでもこの街出身の政治家の……えー、なんと言ったかな?」

 

「十瑚又三郎です」

 

「そう、それだ。元実業家の政治家の爺様が引退したのだがね。寄付を兼ねて我が街で歌自慢大会を行うのだよ。その賞金額、なんと10億円。参加資格者はある程度以上の団体の代表だけだがね。我が街は治安が悪かった上、去年の半グレ事件で開催も危ぶまれていたのだが、ね……」

 

その言葉をミナはゆっくりと飲み込んだ。

 

つまり、政治家を引退したので必要がなくなった財産を賞金の名目で故郷の町の団体に寄付しようということなのだろう。

 

そこまでする以上、政党からは完全に離れているのだろう。

 

そして、そんなもん仕事で忙殺され、精神的に追い詰められていた前世の三郎が覚えているわけもなかった。

 

「それって法律的には大丈夫なんですか?献金とかバラマキとかで公職選挙法違反にはなりません?」

 

「十瑚氏が政治家を引退したのは1年ほど前だよ。おそらくは問題はないんだろうさ」

 

店長は椅子にどっかと腰を下ろすと、笑った。

 

「他の団体は歌手やアイドルを連れてくる予定のようだが、我々商店街・韋駄天百貨店連合は違う。十瑚氏は我が街を愛している……つまり、我々が目をつけたのは、この街を中心にネットアイドルをしているつぐみ君と彼女の親友だったのだ」

 

タバコを吸おうとして、潤美に止められながら店長は言う。

 

「情に訴えるとか姑息な手段ですね……だから部外者にはもらせなかった、と。参加締め切りが来るまでにバレれば、向こうも対策を練って来るからというわけですか」

 

ルルはふっと馬鹿にするような笑いを浮かべて店長から目をそらした。

 

「むむっ!?なんだねその目は!こうしてくれる!」

 

「ぬっ!?み、耳を引っ張るんじゃあないッ!?」

 

ゴキブリのようにルルに近づいた店長は、怪しげな動きでルルの耳をつまんで上に引っ張る。

 

「やめてください」

 

瞬間、ミナに足払いをかけられて転んだ店長が「うぐっ!?」とうめき声を上げると、ルルは杖を取り出して店長を睨めつけた。

 

「―――打ち殺すぞヒューマン……!」

 

「あールルもやめなさい。話が進まないのだわ」

 

「あっ何するんですかミナさん!」

 

ミナがルルの杖を取り上げて自分のバッグにしまってしまう。

 

「……今のどうやったの?」

 

「手品」「でも」「手品!!」

 

ぬえ子の質問を強弁で返して、ミナは引きつった笑いを浮かべた。

 

「ルル、後で話があります」

 

「で、ですが!」

 

「やかましい!」

 

ミナが自分たちのことがバレる愚を怒りに任せて犯そうとしたルルにピシャリと言い放ち、話を続けた。

 

「で、私達が大将の漁を手伝った意味は……?バイトを辞めてすぐなのでありがたくはありましたけども」

 

「む、それは単純な話だ。あの大将の漁は力仕事だからな。君のような細っこい少女は実態を見れば諦めると思ったのだ。いや、これは私の見誤りだな。人は見かけによらぬものだ」

 

店長は呵々と笑う。

 

それはそうだ。

 

ミナのようなどう見ても中学生にしか見えない少女に漁などやらせるものではないし、余程でない限り現代日本ですることもないだろう。

 

ミナとてそれはわかっていたから快諾してミッションを成功させてきたのだが、完全にあからさまだったとはなんとも苦笑するしかない。

 

「まあ、事情はわかりましたし、私達に教えたくなかった理由もわかりました……で、つぐみさんがルルを呼んだ理由は?」

 

ベッドの上のつぐみを見て、ミナが笑う。

 

「それはねぇ~……実は、あのあと検査して、瀕死の重傷?だった私、なぜか治っちゃってたんですよ~でも、明らかにおかしすぎるってことで精密検査をするんですが、それが東京の病院でやらないといけなくてぇ~」

 

「2週間後の大会には間に合わない。背格好も声も私達に似ているルルさんに、つぐみ姉さんの親友と一緒に歌自慢大会に出てほしいんだ。ぶっちゃけ言うと、姉さんは活動であんまり歌ってなくて、親友の……」

 

相羽姉妹がそこまで説明した瞬間、ドアが先程の店長と同じ勢いで開け放たれる。

 

「このわたくし!一ノ瀬みはると一緒に歌う方はどなたですかッ!?」

 

開け放たれたドアの先には、どう見てもいわゆる悪役令嬢めいた容姿の少女が腕組みして仁王立ちしていた。

 

「……えっと、まあこの人が、姉さんの親友の人なんだけど、うん、ボーカルでね。演奏は私もやるから代わりに出てほしいんだ……」

 

あっけにとられつつも説明するぬえ子を尻目に、ミナたちの見守る前で一ノ瀬みはると名乗った少女は看護師長さんにずるずると連れて行かれ、戻ってきたのは30分後のことであった……

 

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