異世界で頑張ったので出戻りますね あるいは彼女は如何にして悩むのを止め、現代をエンジョイするようになったか   作:大回転スカイミサイル

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第66話「この魔法少女の力、だというのですか?」

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―――起きなさい。

 

寝かせられた岬はまどろみの中で夢を見ていた。

 

なにか温かいもので包まれているのを感じる。

 

それは遠い昔に忘れ去った母のぬくもり。

 

それは遠い日に置き去りにした父の腕。

 

それはそのどちらとも違う、柔らかな褥。

 

ふと気づくと、岬は誰かに優しく抱かれていた。

 

「ここは……?」

 

―――起きましたね、岬。

 

「ファッ!?誰なのですか!すっげえ綺麗な女の人なのです!おっぱいもおっきい!」

 

彼女を優しく掻き抱いている大きな存在に、岬は思わずそうして叫んでしまう。

 

―――わたくしは幸運神ヒトコシノミコト……あなたがここに来るのを待っていました。

 

それは……ミナたちをこの世界に送り込んだ存在。

 

幸運の女神そのものであった。

 

「もしかしてミナちゃんの言ってた女神様、ですか?」

 

―――ええ。あなたにはわたくしの不手際で辛い目に合わせてしまっています……大変申し訳無いことをしました。

 

「……え、マジカル・アナンの元凶はあなたなのですか!?」

 

またびっくりして岬は叫んでしまう。

 

しかし、それについて女神は首を横に振る。

 

―――わたくしがミナ・トワイライトをこちらの世界に送り込んだことは知っていると思いますが、その際にイレギュラーな出来事が起きてしまったのです。

 

女神はかつてミナたち黄昏の傭兵団の前に姿を表したときとは異なり、はっきりとその姿を岬に見せて、申し訳無さそうな顔をした。

 

水色に透ける髪。

 

大きな白い翼を持ち、その瞳の虹彩は右目は天秤を映し、左目は四つ葉のクローバーを模している。

 

整った容姿に豊満な体を持つその女性は確かに女神と呼ぶにふさわしい姿をしていた。

 

岬は彼女の言葉に、仲間であり同居する家族とも言える少年の姿を思い浮かべる。

 

「もしかして、ルルくんですか?」

 

―――端的に言えば。彼をこの世界に送り込む予定ではなかったのです。彼はわたくしの加護―――幸運の力を得ています。

 

99%失敗するものが90%失敗するほどに改善される程度の加護。

 

その加護の力のため、起きた現象が―――

 

「この魔法少女の力、だというのですか?」

 

―――それだけではないのですが、大きな原因の一つではあります。そのために生まれたあなたの影―――あのマジカル・アナンという存在が起こしたことこそが真のイレギュラーなのです。

 

女神曰く、ルルの加護は小さな小さな幸運を作り出すだけのもの。

 

例えばそれは半年も離れていたくなかったという彼の気持ちが形になったような、ミナとともにこちらの世界に出戻ったという事実。

 

例えばそれは彼が余計な企みを考えずに、ミナの心象を徐々に良くしているという事実。

 

それ自体は大きくない思考、行動が起こした因果。

 

因果はわずかに歪み、それは人にとっては大きく、神と天然自然にとっては小さな歪となる。

 

歪は簡易に是正され、それは何事もなく世界に影響を与えることはない―――はずであった。

 

―――ですが、それを利用したものがいる、歪を使って事を成したものがいるということなのです。まだ正体はわかりませんが……

 

「おおおぇぇぇぇぇ……十中八九、それミナちゃんが言ってた邪神ドミネーターとかいうやつですよねぇぇ……」

 

心底嫌そうな顔を、自分をその豊満な胸にうずめている女神に向ける岬だったが、事態は何も解決しない。

 

―――わたくしもそのように感じます―――が、確証はないのです。アレはミナが確実に完全に滅ぼしたのですから。

 

女神は困ったように、憂いるようにそう言って、悲しい顔を岬に向けた。

 

―――そのうえで、私はあなたに力を与えましょう。虹の欠片―――あなたの可能性の一片をお出しなさい。

 

「可能性……なるほど、あたしが大人になるために使ってきた可能性を逆算してできてるってことなのですね、これは」

 

岬はポケットからその半分に欠けた飴玉を出して、それを女神に渡す。

 

―――そう。それはあなたの幸運と不運の可能性を形にしたもの。既に変質しているから、あなたに戻してもあなたはもとには戻れないのですが……

 

「それはもういいのです。あたしはもうあの境遇に戻る気はないのです」

 

そうして岬はヒトコシノミコトに下ろしてもらう。

 

「さあ、やっちゃってくださいなのです!」

 

岬が叫ぶと、ヒトコシノミコトはその飴玉のような何かを岬の額に当てる。

 

―――糾える縄のごとくに、あなたの未来に幸運を。新しい可能性を。運命を開きましょう。

 

飴玉は彼女の中に吸い込まれ、岬のドレスにもう一対の翼が生え、額には金の光を放つティアラが現れた。

 

―――さあ、目覚めなさい。現実に。

 

「はいなのです!このことはちゃんとミナちゃんに話しますですね!」

 

―――はい。彼女に、森人の勇者ミナ・トワイライトによろしくお願いします。私の気遣いでいらぬ気苦労をかけたこと、申し訳なく思っていると伝えてください。

 

辛そうな顔で女神は言った。

 

―――虹色の飴玉を手に入れたら、同じように額に当てて。この世界に解き放たれた虹の欠片を、あの恋という少女が言っていたように壊すか、あなたの中に戻してください。

 

戻すことで新たな力が使えるようになるかもしれない。

 

壊すことで他の誰かが助かるかもしれない。

 

幸運とは糾える縄のごとし。

 

―――そして最後に。虹の欠片は不幸な境遇にあるものに訪れ、あなたと同じ力を与えているはずです。それが邪悪なら奪ってください。それが正しいことに使われているのであれば、そっとしておいてあげてください。

 

「……わかりましたのです。それではまたなのです!」

 

岬は空を見上げる。

 

見上げれば、空の向こうに現実の世界が見える。

 

―――燃える炎のような何者かが廻、そしてあの恋という少女と戦っている。

 

行かねば、と岬が思った時、意識は急激に現実に引き戻されていくのであった。

 

 

 

「……なるほど、強い。だが、魔王ほどではない。勝算は十分にある」

 

廻は半身構えに右手刀を突き出す形で炎と燃えるマスクドジェラシーに向く。

 

その後ろでは、鎌を構えた恋が冷や汗を流していた。

 

「……なあ、あんた。ホントにこんなん倒せるのか?」

 

「先方の戦闘に関わる各種数値について、上昇を続けている。だが、私なら十分に勝算があり、外の仲間たちが駆けつければそれは万に一つも負けはなくなる」

 

廻が淡々と事実を述べる。

 

声に焦りはなく、平坦だ。

 

「マジか……あんたら強いのな……」

 

『ヴァーハハハハハ!何を戯言を!このマスクドジェラシー、最強のジェットモードに勝てるものかよ!嫉妬の心よ燃え上がれ!!』

 

叫ぶ炎の塊のようななにかとなった覆面レスラーを見据え、廻は思案する。

 

(半分が熱量の塊……エネルギー体、とでも言うべき姿と化した。しかし、質量が急激に減少している。長くは持つまい―――だが、その前に彼女に問題が発生するだろう)

 

彼らが地下に降りてきた瞬間、マスクドジェラシーは一瞬膨れ上がり、ロボットの残骸を取り込んでこの姿となった。

 

当初20tほどあった質量が、廻の計測では既に18tにまで軽くなっている。

 

質量保存の法則もエネルギー保存の法則も無視した急激な質量の減少を警戒した廻はすぐさま肉弾戦に移行したが、しかしそれはいずれも有効打にならず、現在に至る。

 

燃料となるものが自らのそれだけであるということは、明らかに魔法的な燃焼、つまり廻には計測ができない燃え方をしていることだけは明白であった。

 

「速攻で決めよう。伊良湖恋」

 

「恋でいいよ、廻だっけか。あたいが最強の技をぶちかますから、そっちも殺ってくれよ」

 

「承知した」

 

恋のぶっきらぼうな言葉に、廻も淡々と返して半歩マスクドジェラシー・ジェットモードへと近づく。

 

『ふん!いくら強くても一山いくらのイケメンごときに我が嫉妬は打ち砕けぬわ!喰らえい!必殺ジェラシーファイヤァァァァァ!!』

 

瞬間、目であった部分から炎の怪物はより一層激しい火炎を発射した。

 

(―――摂氏三〇〇〇度。装甲板融解領域に非ず。当機体の防御、回避の要なし。伊良湖恋の防御可能性、零%)

 

アセチレンガスの燃焼に等しいそれは、いかに彼女が魔法少女であろうと―――ミナのような理外のものでなければ―――焼き尽くされてしまうだろう。

 

ほとんど間違いなく、このままでは恋が死ぬと判断した廻は瞬時に後ろへ下がり、恋を抱いて跳躍する。

 

ちょうどお姫様抱っこになる形で青と白の魔法少女を抱いた廻はそのまま空洞の端まで走り、そして牽制のため出力を絞った殺人光線を3度放った。

 

恋がいた場所は業火に包まれ、もしそこにいれば彼女は自分が灰になっていたことを理解し戦慄する。

 

そして、その結果恐怖から廻の首筋に抱きついていたことに気づいた。

 

「あ、あっぶねぇ……あ、もう下ろしてくれよ」

 

「承知」

 

下ろした彼女には目もくれず、廻は分析を続行する。

 

(表面温度、摂氏二五〇〇度。あの炎を吹き散らさなければ殺人光線も無意味だな)

 

瞬間的には太陽表面に近い温度すら出せる彼の殺人光線だが、しかし燃え盛るあの怪人には今のところ無意味であることを牽制の攻撃で確認した廻は、恋に一つ確認した。

 

「―――氷や風の術は使えるだろうか」

 

「……水ならなんとか」

 

その言葉に廻は一瞬逡巡する。

 

表面温度からして、水蒸気爆発の危険性があるからだ。

 

だが、それも一瞬。

 

水蒸気爆発に自分は耐えられる。

 

そして、彼女も自分がかばえばミナのスチームデトネイターと同じレベルの爆発までなら耐えることができることを計算し終えた廻は恋に告げた。

 

「よろしい。では、全力で放ってほしい」

 

恋をかばうように―――実際にかばっているのだが―――立って、廻は体を大の字に広げる。

 

「電磁防護膜展開―――術を放ったあと、私の後ろにすぐに隠れ給え。水蒸気爆発が起きる」

 

「水蒸気爆発……?」

 

「焼けた石に水をかけたらすごい音がするだろう?それの物凄いものが来る。瓦斯爆発のように。いいかい?」

 

やはり実年齢が岬の見た目と変わらないこともあってか、水蒸気爆発は理解できなかったらしい彼女に廻はそう言って敵を向いた。

 

「ガス爆発……わかった。ちょっと怖いけど、やってみるぜ」

 

恋はそうして鎌を掲げる。

 

『ヴァーハハハハハ!ちょこまかと何を企んでいるかは知らんが、今の俺に勝てる道理がない!この燃え盛る嫉妬の炎で貴様らを焼き尽くしてくれる!!』

 

マスクドジェラシーだったものはそうして再び目から炎を発そうとしたが―――

 

既に恋の術は、魔法は完成していたのだ。

 

「虹の源、大いなる雨よ!降り注げ!レイン・エール!!」

 

『何!?これは!!』

 

大粒の雨が虚空から降り注ぐ。

 

シュウシュウとマスクドジェラシーの体に降り注いで、水蒸気を発生させ―――

 

雨粒と水蒸気は収束し、大きな大きな涙の滴くへと変わっていく。

 

鎌を振って「レイン・フォー・ユーッ!」と恋が叫ぶと、その涙はマスクドジェラシーへと向かっていき―――衝突した。

 

瞬時、ほぼミナのスチームデトネイターに匹敵する水蒸気爆発が発生する。

 

その轟音こそ防御できないが、その衝撃波と熱波は廻が展開した不可視の障壁―――電磁防護膜によってシャットアウトされていた。

 

ミナや魔王と戦った際には、装着されていなかった装備の一つである。

 

『ぎゃああああああ!?!?なんてことしやがるううううう!!!』

 

表面から炎が消え、転げ回るマスクドジェラシーを廻のセンサーが視認する。

 

(敵表面温度、一二〇〇度。今のうちに撃破する)

 

バシュ、と装備の各部から排熱を行った廻は口を開いた。

 

「それはこちらのセリフだ、マスクドジェラシーとやら。お前の嫉妬は既に侵略行為の域。よって、こちらは迎撃を行ったまで」

 

廻は厳しい表情でそう言って、電磁防護膜を解除しエネルギーを充填し始める。

 

「―――殺人光線、出力最大。滅びるがいい」

 

そうして額から殺人光線が発射され、光の速さでマスクドジェラシーに直撃したのだ。

 

『はぎゃああああああああ!!?!?』

 

断末魔の絶叫をあげてマスクドジェラシーは転げ回った。

 

―――しかし。

 

「……照射、終了。驚いた……まだ原型を保っているとは」

 

マスクドジェラシーは……まだ焼け残っていた。

 

ロボットと合体し異形化していた部分は全て消え去ったが、もとの覆面レスラーの姿で生き残っていたのである。

 

「凄まじい……」

 

これは廻にとっても驚嘆するべき事象であり、廻は素直に感嘆した。

 

「ふぅははははは!この程度で死ぬ俺ではないわ!貴様のようなイケメンが滅び、この世界からカップルが消え尽くすまではな!!」

 

そうしてなんと立ち上がり、ファイティングポーズまで取るではないか。

 

これには廻も一瞬たじろいでしまった。

 

「……君、すごいな……その力があれば、嫉妬などに身を狂わせなくとも、女子の一人や二人ついてきそうなものだが」

 

「うるせーバカ!今は力が勝つ時代じゃねえんだよ!体鍛えたからってイケメンじゃなきゃあ虐げられるんだ!」

 

指差して涙を流す男に、恋はため息をつく。

 

「※ただしイケメンに限る、ってか?そんなにイケメンがいいなら金ためて整形でもなんでもすりゃいいじゃん……芸能界とかそういう奴いっぱいいるけどよ」

 

「そういうことじゃねえんだよぉ!!」

 

男は情けなくも地団駄を踏んで悔しがる―――が、勝負の結果が覆るわけでもない。

 

恋はただ無慈悲に、一言告げる。

 

「じゃ、出せよ。虹の欠片」

 

鎌を男の顔に突きつけて、そう脅す。

 

「だ、黙れ!アレは俺が飲み込んだのだ!そうそう簡単に体から出せるものか!」

 

焦って後ずさるマスクドジェラシーに、恋はただ静かに「あ、そ。じゃあ殺すわ」と淡々と答えた。

 

「―――待つのです」

 

その時であった。

 

翼を生やしたドレスを身にまとい、金色のティアラで額を飾った岬がふわりと穴の中に降り立ったのは。

 

「……殺すことはないのですよ。虹の欠片を分離する術はありますです」

 

「あんだぁ、その姿はァ……?」

 

マイナーチェンジではあるが新しいフォームになった彼女を恋はじとりと睨む。

 

しかし、それを意に介さずに岬はその杖を覆面レスラーへと向けた。

 

「女神様のギフトというやつ、ですかね。それはともかく、殺すわ、って物騒ですね!?まさかもう殺人経験者!?」

 

岬がちょっと怯んだ表情で恋を見るが、「脅しに決まってんだろ。虹の欠片は『オリジナル』以外は自由に体から取り出せるんだよ。その女神様から聞かなかったのか?」と唇をへの字に歪ませる。

 

「聞いてないのです……それはともかく、自分で出す意志がないのならあたしが浄化してあげましょうですよ!」

 

杖を向け、岬は笑う。

 

「……辛いことがあったのでしょうけど、それでも意味もなくバレンタインイベントに喧嘩売るのは大人の所業ではないのです!そのカルマ!あたしが祓う!!」

 

廻はその様子にただ黙っていた。

 

彼女らに任さなければ、これ以降はどうにもならないと「直感」したからだ。

 

「任せる、岬」

 

廻はそう言って、一歩退く。

 

それに岬は「任されたのです!では、行きますですよ!」と杖を掲げる。

 

「い、嫌だ!俺は力を手に入れたんだ!この力があれば、俺は……!」

 

「別に日本で普通に生きていくのに力なんか必要ないのです。大事なのは切欠と助けてくれる人……ある事件で助けてくれる人がいなかったらあたしは多分死ぬか、心を失ってましたです。もし事件が起きなければあたしはクソみたいな環境で今もブラック業務していましたですよ。切欠となる事件は起きた。あなたが起こした。そしてここには助けられる力を持ったあたしがいる。だから、あなたはあたしが助けてあげるのです」

 

それに、どうせその力はあたしの可能性から出たもの。ろくなものではないのです。

 

言外にそう自嘲する響きを込めて、杖を振る。

 

「どうにもこうにもならなくなったら、市役所で泣きわめきなさいです。生活保護の一つや二つ出してくれない国ではないのですよ」

 

身も蓋もないことを告げて、掲げた杖に力を入れる。

 

「光よ―――夢と希望は悪しき心に歪められた―――その心、支配するものから解き放ち給え」

 

掲げられた杖に虹色の輝きが収束する。

 

「悪しきを、凶つを、魔に落つ前の姿へ。天の道を思い出させるのです―――!」

 

光は華と開き、華は光を放つ。

 

「アナン・レインボー・フラワー!チャージアップなのです!!」

 

華と開いた光は、虹色のひまわりとなって覆面レスラーの全身を包み込む……

 

それは外で戦っているミナが見れば、恐ろしいほどの解呪の力と気づくだろう。

 

呪いを解くためにだけ存在する浄化の光であった。

 

「あああああああ……お、俺は……俺は……」

 

「罪は神様に返しなさい、罰はあたしが受け取ります。それではまた明日!ぐっすり休んでまた明日なのです!」

 

ハラハラと覆面が破れていき、素顔が明らかになる……

 

その顔を見て、岬は呟いた。

 

「なんだ。結構ハンサムではないですか」

 

その言葉を聞くやいなや、男はばったりと倒れて動かなくなった。

 

「生命活動、正常な人間のものへ更新。異常熱量検知されず。ふむ……どうやら倒したと言っていいようだ」

 

廻がそういうと、岬はコクリと頷いて倒れた男へ近寄っていく。

 

そしてすぐに、覆面の欠片は彼女の手に収束して、半分に欠けた虹色の飴玉となった。

 

それは岬の額のティアラに当てられて、彼女の中へと消えていく。

 

ティアラは一瞬輝いて、真ん中に輝く白い宝石が赤く光り、そして白に戻っていった。

 

「一件落着!なのです!!」

 

「一件落着じゃねえよ!お前、今何したんだ!?」

 

マスクドジェラシーだったものを見下ろし、岬が勝利を宣言すると恋が食って掛かる。

 

「いや、その……?女神様に言われたとおりに虹の欠片を扱っただけなのですが……?」

 

岬が不思議そうに首を傾げると、恋は絶句した。

 

「おま……それじゃ、お前が?オリジナルか?!」

 

「オリジナルがどうとかは知りませんですけど、あの飴玉があたしから生まれたことだけは確かなのです。女神様からは、潰すか取り込めって言われてるのですよ」

 

岬がしれっというと、恋が「ようやく……ようやく見つけた!」と叫んだ。

 

その内容を詳しく聞く前に、外から声が響く。

 

「おーい!終わったみたいね!あのしっ○団もどきは全部消えたわよ!そこの女の子とレスラー引き上げて撤収するわよ!」

 

ミナの声だ。

 

どうやら外の戦いは、岬がマスクドジェラシーを人間に戻したことで収束したようだった。

 

「承知。岬、行こう」

 

「あ、ちょっと待て!」

 

ふわりと浮き上がった岬と、元マスクドジェラシーを抱えて腕からワイヤーを出した廻を恋は呼び止めた。

 

「……今更こう聞くのはなんだけどもよ。あんたら、なんなんだい?オリジナルだけじゃなくてさ」

 

それに岬はふっと可憐に微笑んで、「それはもう通りすがりの正義の味方、ってことにしておいてほしいのです」と、どこかの青狸のような猫型ロボット、或いはマゼンタ色のヒーローのような言葉を投げかけて、ミナの言葉に逆らって恋を置いて去っていった。

 

「……見つけたぜ。思ったより早く」

 

恋がそんなことを呟いたのは、風に流れていって。

 

廻の耳朶はそれを正しく捉えていたのであった。

 

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