異世界で頑張ったので出戻りますね あるいは彼女は如何にして悩むのを止め、現代をエンジョイするようになったか   作:大回転スカイミサイル

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第84話「出てこいやオラぁ!!」

 

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「あー怖かったのです!食われるかと思ったのです!!」

 

十分に離れてから岬はそうして怖気を振るう。

 

「……女神様もあんなのに力を与えなくてもいいのに……多分あたいみたいになんか不幸だったんだろうけども」

 

恋もまた空を見上げてそう零した。

 

「完全に無作為ランダムで不幸な人間にコミットしてるのですね、きっと……ああ、魔法少女組織がああいうのばっかりだとしたら本当に関わり合いになるのが嫌になるのです!」

 

岬はそう言って、空に舞う。

 

眼下を見下ろすと、そこには旅客機―――岬にはボーイング767ジェット旅客機の姿に見える―――の形をした木々が織りなす文様が、滑走路のような模様を作った木々の真ん中に鎮座していた。

 

「やはりそういうことなのです。恋ちゃん、あの旅客機のような模様のほうへ行ってみましょう」

 

「そういうことって、どういうこと?」

 

「んー、つまりですねぇ」

 

そうして岬は恋と共に眼下の木の模様で作られた旅客機へ向かいつつ説明をした。

 

―――あのイカれた魔法少女曰く、ここは格納庫である。

 

即ち、眼下の木々で象られた飛行機たちはすべて本当に飛行機そのものなのであろう。

 

岬たちに襲いかかったMiG-25もおそらくはあの女の差し金であり、ここから生まれくるものなのだ、と。

 

「そんなこと……あるかもな。魔法はなんでもありだし……」

 

「魔法少女のは、ですけどね。法則のない力の発露だから、消耗が大きいのが玉に瑕なのです」

 

故に簡易な攻撃や補助は精霊術や古代語魔法のほうがいいのだ、とミナやルルに教えてもらったことを反芻する。

 

やがて降り立った場所は、もしこれが本物なら―――タラップが横付けされる場所、つまり乗客用のハッチが存在する場所の下である。

 

「そしてぇ、おそらくここで魔力を―――ただ、流してみるのです」

 

岬がそうして意識をステッキに集中させ、力を木々に注ぎ込む。

 

―――すると。

 

まるで魔法のように、否、魔法そのものである現象が起きた。

 

それは周囲の木々が集まり、捩れ、金属の質感を持ち、やがて飛行機そのものの形へと収束していく。

 

そしてそれが終わると、飛行機の足元……車輪が地面についている部分から光が奔り―――

 

いつの間にかそこにはボーイング767が鎮座する森の中の滑走路へと変じていたのだ。

 

「OK!ビンゴなのです!」

 

「すっげぇ……」

 

恋が驚きを隠すこともなく、それに近づいていく。

 

するとタラップ車がどこからともなく現れて、その飛行機に横付けされた。

 

「さあ、乗り込んでみましょうですよ」

 

「おう!」

 

タラップを慎重に登り、旅客機の中へ侵入する。

 

―――アイドルをしているため、何度も飛行機に乗ったことのある恋には本物の旅客機にしか感じられなかった。

 

ある一点を除いては。

 

「オ客様、空イテイルオ席ヘドウゾ。当機ハ予約ナシデゴ利用スルコトガ可能デス。料金ハオ客様ノ魔力トナッテオリマス」

 

たどたどしい言葉で話しかけてきた客室乗務員が、のっぺりとした顔の木の彫刻であったことだけが、普通の旅客機とまるで異なる部分であった。

 

「……怖っ!なにこれ!?」

 

「魔力で動いているウッドゴーレムってやつなのだと思うです。後、気付いてますですか?ここに入った途端、あたしたちの魔力がドンドン吸われているのですよ」

 

岬がステッキに魔力を込めると、その言葉通りに先端が明滅して集めた魔力が霧散していく。

 

それを見た客室乗務員らしきウッドゴーレムが「マァ!スゴイ魔力デス!コレナラ地上マデイケマスヨ!」と喜色を声に表した。

 

「なるほど……魔力飛行機ってことなんだな!」

 

「そのようなのです。ですから、決して変身を解かないように行くべきですね」

 

変身しているといないとでは体が生む魔力が段違いなのだ。

 

「わかってるって!そんじゃ、座ろ座ろ!あ、なんか食べるものとかある!?甘いものがいい!」

 

恋が一番見晴らしのいい窓際の翼で景観が邪魔されない席に座り、ウッドゴーレムの乗務員に声を掛ける。

 

「モチロンゴザイマストモ。スイーツデシタラ、ティラミス、パンナコッタ、アッフォガートガゴザイマス。ドノスイーツガヨロシイデスカ?」

 

くぐもった声でにこやかにゴーレムは話しかけてくる。

 

「じゃあ、あたいはティラミス!オレンジジュースもちょうだい!岬ちゃんは何にする?」

 

そんなさっき一瞬怖がっていたことを忘れて、無邪気にケーキを注文する恋をほほえましく思いつつ、岬は「じゃああたしはウーロン茶とパンナコッタでお願いするのです」と注文した。

 

「アリガトウゴザイマス。ソレデハ離陸後、機体ガ安定シマシタラオ持チイタシマスネ。ベルトノツケ方ハマニュアルヲドウゾゴ参照クダサイ」

 

そうしてウッドゴーレムは奥へと去り、二人は客席に残される。

 

「……衣装がゴワゴワするのです」

 

「まぁまぁ我慢我慢!あたいも変なスーツで乗らせられたことあるし!」

 

規定通りにベルトをつけると魔法少女の衣装が果てしなく邪魔になることに気付いて、岬は唸る。

 

恋は比較的シンプルな衣装であるため、そういうこともなくベルトを締めていた。

 

「とりあえず、これで出発準備は完了ですね。鬼が出るか蛇が出るか……試してみるのですよ」

 

岬がそう言った時、機内に放送が流れる。

 

『当機はまもなく離陸いたします。お客様におかれましては、どうか座席のベルトを締め、機長の指示あるまでお立ちにならないようお願い申し上げます』

 

その放送とともにボーイング767は離陸を始める。

 

『快適な空の旅をお楽しみください』

 

その言葉通り、本当に快適になるかどうかは―――まだわからなかった。

 

 

 

一方で、ミナたちはどうしていたかといえば……

 

雲海にて彼女らを待っていたのは。

 

『ひぃひいひひひひひひ!』

 

不気味に笑い続ける雲の化け物であった。

 

「わーい、やっぱり出ると思ったぁ」

 

「わーい、とか言ってる場合か三郎!どうすんだ!銃効いてねえぞ!」

 

その言葉通り、一〇〇式機関短銃も廻・夕の腕部機関砲にも目の前の怪物は平気な顔をして哄笑を続けていた。

 

「物理じゃ駄目かぁ、やっぱり……」

 

「やっぱりじゃなくてですね……まあ、ここは僕がやりましょう。時間をかけている暇はないですし」

 

杖を出そうとしたミナを押し留め、ルルが黒く捻じ曲った杖を掲げる。

 

「世界を支配する偉大なるロジックよ。混沌の中心よりあらゆる神に連なることなき白痴の王を呼び覚まさん。白き闇よ全てを吐瀉する白痴の光よ。昏き白よ、冥き闇を染めよ―――ホワイトホール!」

 

白い闇が杖からほとばしり、雲の怪物はその白き闇に押し流されていく。

 

杖は今や別の世界、白き空と呼ばれる異空間の法則に指向性を持たせて吐き出す虚空の穴に等しい。

 

杖がその役目を終えて再び捻れた黒へ戻った時、雲の怪物は周囲の空間ごと押し流されて消えていた。

 

そして、その垂れ流された異空間もまた周囲に押し潰されるように消えていく。

 

「ふー、久々に使いましたがこんなものですか」

 

「上出来上出来。よくやったわね、ありがとう。じゃ、行きましょう―――ってどうした、空悟?」

 

額の汗を拭いたルルを労ったミナが先を急ぐよう促すが、空悟はその開いた虚空を見つめて押し黙っていた。

 

「……三郎、アレなんだと思う?」

 

押し潰されるように消えていく白い闇の向こうを指差して、空悟は鋭い瞳でミナを見る。

 

その指先の向こうには―――確かに、森とそこを飛ぶボーイング767の姿が見えていたのだ。

 

「……なるほど。ルル、本当によくやってくれたわね!恋ちゃんの反応、今したわよね!」

 

ミナはそのボーイング767を見た瞬間、岬だけではなく恋に施したマーキングの反応が蘇ったことを感じた。

 

それはルルも同じだったようで、静かに首肯する。

 

「なるほど……今、ルル殿が呼び出したあの異空間に岬がいるというわけか」

 

廻の言葉にルルはまた首肯した。

 

「―――ホワイトホールは白き空、バグダンジョンと同等かそれ以上の異空間より破壊の力を呼び出し、ブラックホールの魔法を相殺する古代語魔法の奥義の一つです。その白き空に岬さんたちがいるとすると、かなり厄介ですよ」

 

「勿論、白き空にものを持ち込んで根拠地にするってのは向こうのヤバイ組織が何度か実行したことだから侵入する方法も知っているし、脱出する方法もある。だけど岬たちだけじゃ……」

 

ミナは唸る。

 

まだ推定でしかないが、魔法少女二人だけで脱出は相当に難しいと考えざるを得ない。

 

ミナにはまだここが恋の母親似の何物かが作ったのか、それとも岬を狙っている可能性がある何者かの領域なのか測りかねていた。

 

空間が閉じて消えていく。

 

「あっ消えちまうぞ?!」

 

「いいんだ。アレは空間の裂け目で、境界には余剰の破壊エネルギーが渦巻いている。入ることはできねーんだ」

 

ミナの言葉をほぼ同時に空間は消えてなくなる。

 

ホワイトホールはブラックホールの対抗魔法であると同時に最上位の攻撃魔法だ。

 

暗黒魔法のディメンジョンイーターとは異なる理論による破壊攻撃である。

 

それゆえ、それによって生じた空間の裂け目には破壊エネルギーが発生するのだ。

 

「……よし、これで追える」

 

ミナは杖を振って、マーキングの反応がまだ残っていることを確認して、ほっと安堵の吐息を漏らした。

 

そして、ふと雲の怪物の消え去った場所を見ると―――虹の欠片と、真っ二つになった白い鳩が一羽落ちていることに気が付く。

 

夕に振り返り首を縦に振ると、夕はその鳩をじっと観察した。

 

「……観測終了。問題ない、ただの鳩の死骸だ」

 

夕がそう言うと、ミナは「ありがと夕ちゃん。こっちももうこの死骸に魔力は感じないわ」と零して雲の怪物が守っていたものを見る。

 

それは一見して門のように見えた。

 

「観測終了。我々にはただの巨大な鉄製の門にしか感知できない。それも鋼ではなく鋳鉄でできている」

 

廻の行った門らしきもののスキャン結果を聞いて、ルルがため息をつく。

 

それも大変面倒だ、と言わんばかりに。

 

「どうしたルルくん?」

 

「いえですね。これが魔力の通った鋳鉄製だとすると内部には精霊術の対抗手段が設置されていると可能性が大です」

 

空悟の質問にそう答えてルルはもう一度嘆息した。

 

「ああ、そういうこと……これはルルもバグダンジョンの主やってた頃に使っていたもの、ってことでいい?」

 

「その可能性が高いとは思います」

 

ハルティアたちと共に挑んだルルのダンジョンに設置されていたものと類似するとすると、任意発動かつ第十位階以上の高位精霊術も弱体化することが可能なものの可能性がある。

 

ルルの知るものと同じなら、鋳鉄で出来た物体に特殊な魔法を組み込むことで、金属を嫌う殆どの精霊を召喚不能とする術である。

 

門や建物の建材に使用することで、内部の精霊術行使をほとんど不能とするものだ。

 

無論、ミナほどの技量の持ち主なら無視することは可能だが、魔力を余計に使う行為であることは言うまでもなく、そしてそこまで出来るのであれば、古代語魔法や陰陽術にも対抗手段を仕込んである可能性があることは想像に難くなかった。

 

そこまで考え、ミナもまた面倒だと言わんばかりに嘆息する。

 

―――さてどうするか。

 

ミナは数瞬の間、逡巡した。

 

その逡巡を解いたのは―――

 

「たとえそうだとしても、行かなきゃ岬ちゃんたちを助けられんだろうが。三郎、行くぞ!」

 

当然のように進むべきだと唱えるミナの親友であった。

 

「そうだな!幸い、オレたちも対抗手段の対抗手段くらいはある程度持ってるしな!」

 

ミナはニッと笑って門の前に立ち、そして。

 

「出てこいやオラぁ!!」

 

最大限に低い声て門にヤクザキックを食らわせる。

 

ゴガン、という衝突音が思いっきりして、門は倒れるかのように開いていったのであった。

 

「よし。逆に物理には弱かったわ。でも、門を壊したとしても精霊術封じは効いたままのはず。私の魔法の一部が弱体化していることは3人ともわかっていてほしい。ルルはわかってるでしょ?」

 

「ええ。皆さん、気を付けてください」

 

その言葉に仲間たちは首肯する。

 

そうして門の向こうの暗闇へ、ミナは一歩足を踏み入れた。

 

無言で仲間たちはそれに続く。

 

そして5人が門を通ると、その門はまるで何事もなかったかのように元の姿を取り戻していた……

 

 

 

上空を飛ぶ機体の中で、二人はお菓子と飲み物を楽しみながら客室乗務員に質問をしていた。

 

「えーと、まずこの飛行機はどこへ向かっているのですか?」

 

「当機ハコノ空間ノ入口ト滑走路ノ定期便トナリマス。フライト時間ハ1時間45分ヲ予定シテオリマス」

 

魔力を供給する人間に従うように設定されているのか、そののっぺりとした木の女は的確かつ迅速に質問に答えていく。

 

「入口ってどこなのですか?」

 

「申シ訳ゴザイマセン。ワタクシニハソノ情報ハ与エラレテオリマセン。機長モ知ラナイハズデス」

 

「機長さんが知らないって……それって大丈夫なのかよ?」

 

恋にそう言われた客室乗務員は申し訳なさそうに身を捩らせた後、「ソノヨウニ作ラレテオリマス。大変申シ訳ゴザイマセン」と丁寧に頭を下げた。

 

その様子に、それ以上この質問を続けても仕方ないことがわかった二人とも顔を見合わせて、質問を変える。

 

「んんー……あなた方を作ったのは誰なのです?」

 

「主ノ名ハオ答エデキマセン。申シ訳ゴザイマセン。シカシ、所属スル組織ノ名前ハオ答エデキマス」

 

その言葉に、岬は「じゃあそれを教えてほしいのです」と聞いてみた。

 

「ハイ、主ガ所属スル組織ハ、『スーパー・マジカルガール・ネットワーク』ト申シマス」

 

その回答は岬にとってだいぶ予想外で。

 

恋は「それ知ってる!みはるねーちゃんと一緒に見たなんとかロボジャン〇ー〇ンってヒーロー番組にいたやつ!」と何故か嬉しそうに跳ねて。

 

岬は「センスが平成キメすぎなのです!悪くはないと思ってしまう自分が悔しいのです!」と頭を抱えた。

 

「……ナニカオカシイコトデモゴザイマシタカ?」

 

「いえいえ、なんでもないのです。むしろあたしはカッコいい気がするのですが、あたしとしては漢字名だったらよかったなあって思っただけなのですよ。紺碧会とか青風会とか」

 

自分の所属する組織名をバカにされて怒らない人間は、その組織を嫌っていなければそうはいないだろう。

 

岬はこのロボットめいたゴーレムもそうなのではないかと思い、そう答える。

 

恋は恋で「じゃあ麗子様みたいな悪いやつがいるってことか!」と何故か喜んでいた。

 

―――岬は、みはるが恋に何を見せているのか一度詳しく年齢不詳のお嬢様風女子高生に問い詰めねばなるまいとその時にしっかりと決意したのである。

 

しかし、今は関係のないこと。

 

その件は頭の隅に追放し、岬は「まあ、少なくともそんなスゴイ名前をつける魔法少女の組織が予想通りに存在するってことだけはわかったのです。名前は予想外ですけど」と目の前の食べかけのパンナコッタを見つめる。

 

「目的もクロキとかいうあのヨーヨーの人からわかりました。流石に国家建設とか与太話かあの子の勘違いとか妄想だと信じたいところなのですが……」

 

緑の幼女もイカれたバルカン女もスーパー・マジカルガール・ネットワークの目的については特に口にしていなかった。

 

だから、目的は別にあるのだと信じたかったのだが……

 

「で、何やる集まりなんだそれ?やっぱり悪の組織?世界征服とか人類滅亡とか?」

 

恋の言葉にウッドゴーレムは律儀に答える。

 

「ハイ。主ノ目的ハ世界ノ主要国ヲ魔法少女ニヨルテロリズムデ崩壊サセ、以テ魔法少女ノミノ国家ヲ建設スルコトニアリマス」

 

それは―――クロキの言っていたことが真実であることを確かに裏付けていて。

 

「はぁ……勘弁してくださいなのですよ……」

 

ふーんやっぱり、とティラミスを口に入れながら相槌をしている恋の横で、岬は頭を抱えるしかなかったのである。

 

「ゴ質問ハオ済ミデショウカ?ソレデハ快適ナ空ノ旅ヲオ楽シミクダサイ」

 

ウッドゴーレムはそれだけ言うと二人から離れ、定位置の待機場所へと下がった。

 

これ以上聞いても仕方ないだろうと確認し、情報を整理する。

 

「主要国を崩壊させてその混乱のうちに魔法少女の国家建設を目論む悪の秘密結社……名前はスーパー・マジカルガール・ネットワーク……そんであいつらはあたしを殺すか、捕えてこの浄化の力を奪うかなにかしようとしているのですね……」

 

「いいじゃん。ぶっ倒してやろうぜ!」

 

恋の言葉に、岬は目を瞑る。

 

「最終的にはそうするしかないと思うのです……なんかもう狂信的な集団のようですし……」

 

クロキや戦闘機女を見れば、明らかにイカれた人間を組織に入れているのだ。

 

まともであるとはとても思えなかった。

 

そして、この空間にはクロキのものを含めて後3つ―――彼女が知覚できない場所でミナが1個回収しているためあと2つ―――虹の欠片があるのだ。

 

それを回収しないままこの空間から脱出するのはまずいような気がしていた。

 

「とにかくミナちゃんやルルくんとの合流が最優先なのです。廻さんと夕ちゃんももう来ているはずですし」

 

そう言って、自分の服の首後ろについていた発振器を取り出す。

 

「あー全く!とんでもなく面倒くさいことになったのですよ!」

 

パンナコッタをパクパクと食べつつ岬は叫ぶ。

 

―――その叫びは、当然のように客室乗務員に「搭乗中ハオ静カニ」と窘められてしまうのであった。

 

 

 

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