HUNTER×HUNTERの世界に転生する時にはおじいちゃん!? 作:リーグロード
ここはどこなのだろうか?
果たしなく続く緑の草原の上に、俺はいつの間にか立っていた。周りを見回すも、建築物らしき影すら見えず、風の音だけがこの場を支配していた。
だが、こんな状況だというのに、俺は困惑するどころか恐ろしい程に冷静でいる。まるで、自分が死人になってしまったかのようだ。
いや、案外死んでしまっているのかもしれない。こんな現実離れした状況などそうそうあるわけないからな。
しばらくボーっとしていたら、凄まじい突風が襲ってきた。その勢いに思わず目を閉じてしまう。風がやみ、再び目を開けてみると、目の前に俺と変わらない年齢の男が宙に浮きながらこっちをじっと見ていた。
「うぉ!?」
驚いて思わず叫び声をあげると、目の前の男は、意地の悪い笑みを浮かべながら、口を開く。
「お前に3つの願い事の権利をやろう。何でも好きなことを我に願うがいい!」
えっと・・・、つまりこれはどういう状況なんだ?気づいたら知らない場所にいて、目の前には願い事を叶えてやると言うおかしな男が浮いている。なんだこれは?
だが、俺は似たようなシチュエーションを知っている。これは、俗に言う神様転生で俺tueeeというやつだな。
「うん、その通りだ!ちなみに我は君の心も読めている」
「ってことは、異世界で魔王やドラゴンと戦ったり、仲間たちと絆を結んで友情を深めあったり、美少女ハーレムでキャッキャウフフを満喫できるというわけですか!?」
「いや、それは主人公補正のチートをつけなきゃそうそう発生しないイベントだな」
マジですか!?つまり主人公補正を願えばなろう系主人公みたいな展開が期待できると!!!
いや待て、願い事は3つまでなんだここは慎重に選ばなくてはならない。
「ちなみに言っておくが、願い事を増やしたり、とんちをきかせた願いは問答無用で願い事の権利を1つ剝奪するからな」
やっべぇ!!危うく願い事を無限に増やしてとか願いそうだった。こうなると、あまり時間をかけすぎるのも良くない気がしてきた。
「願い事は決まったか?」
「はい。俺の願いは、転生先を異世界じゃなく漫画の中の世界にしたいんですが、そんなことできますか?」
「勿論、可能だとも。それを願い事にすればの話だがな」
よし、知らない異世界に行くよりも俺の好きな世界に行く方が絶対に楽しい筈だ。
「ならば、俺の一つ目の願いは週刊少年ジャンプで連載しているHUNTER×HUNTERの世界にしてください」
「OK!まずは、一つ目の願いを受諾した。残りの2つを言ってみな」
よっしゃ!異世界じゃなくHUNTER×HUNTERの世界に行けたのは幸運だった。残り2つは能力系とそれを使いこなせる場所の願い事にすればいいか。
「それじゃあ、空間超越系の能力と修行場を用意してください」
「ん?空間超越系の能力は分かったが、最後の願い事が修行場で本当にいいのか?」
「そりゃあ、能力だけ貰っても使いこなせなければ意味ないですし。そういう系の転生者って作中じゃ大抵は踏み台転生者になるってのがオチだからさ」
今まで見てきたss系の知識をフルで使えば、願い事をしなくても主人公補正なんてのはゲットできるんだ。
「これで3つの願い事は聞き入れた。お前の転生先をHUNTER×HUNTERの世界に変更は完了した。それと、すでにお前に空間超越系の能力も授けてある。使い方は自分で確かめるがいい」
確かめるがいいって!?いきなりそんなこと言われてできるほど俺は天才じゃないんだぞ!
「別に今すぐ確かめろとは言っていない。お前が願った修行場で確かめればいいだけの話だろう」
あっそうか、そういえば修行場ってどんなとこを用意してくれるんだ?
「う〜ん、お前も修行はそれなりに楽しくしたいだろ?だったらさ、一足先に漫画の世界じゃなくてゲームの世界に行かないか?」
突然の神の提案だった。そりゃあ、修行をするならば苦しいよりも、楽しいの方が絶対にいいに決まっている。
「それじゃあ、俺の修行場となるゲームの世界ってどこなんですか?」
「う~ん、最近の我がやったゲームで修行場に相応しいゲームは……、おっ!これなんて良さそうだな」
そう言っておもむろに何も無い空間から一つのケースを取り出した。そのケースのパッケージには暗闇の中で、篝火に手をかざす騎士が描かれていた。
「まさか!?俺の修行場ってダークソウルの世界ですか!」
(ヾノ・∀・`)ムリムリ あれって死にゲーの代表格のようなものだぜ!そんな場所で修業なんてしようものならHUNTER×HUNTERの世界に行く前に死にますね。
「ああ、そこらへんは大丈夫だから。例え死んでも君を不死にするから問題はない。それと、その世界をクリアするまでHUNTER×HUNTERの世界には行けない。存分に生きぬきながら、闘いと死ぬことに慣れてくれ!」
そう言い切ると、パチン!っと指を鳴らして俺の足元に穴をあける。
「ちょ、ちょっと待っ……、ああああああああ!」
俺がゲームの変更を願う前に、足元に空いた穴の底めがけて真っ逆さまに落ちていった。
「あっ、因みにHUNTER×HUNTERの世界を生き抜く修業も兼ねているから、登場する敵は大体念能力者だから気をつけるといい」
今なんて言った?敵の大体は念能力者だと!?ふざけるな!そんなのクリアできる訳ないだろ。それじゃあ何か、俺もその修行場で念を覚えろっていうのか!?
俺が心の中でグチグチと文句を言っていると、体全体に強い衝撃波が走った。
どうやら、いつの間にか目を閉じていたようだ。ゆっくりと目を開けると監獄のような場所に座っていた。
「なんだここは?もしかしてダークソウルの世界なのか?」
ドサッ!
俺が辺りを見回していると、上から何かが降ってきた。上を見てみると、騎士と思われる人間が何かを落としたようだ。
近寄って確かめてみると……。
「うわぁ!?」
近づいてよく見てみると、騎士の男が落としたのは死体のようだ。思わず情けない悲鳴を上げてしまったが、すぐに気を持ち直した。
よ~く死体を確認してみると、何かの鍵を身につけている。
「これってあれだよな。リマスターの始まり方だよな」
急に動き出さないか、おっかなびっくりで死体が身につけている鍵を手に入れる。
一応他に何か身に着けていないのかとチェックしてみたが、あいにくとその死体が身に着けていたのはボロボロの衣服のみだった。
「はあ、分っていたけど何もなしからのスタートはキツイなぁ……」
溜息をつきながら牢屋の扉の鍵穴にカギを差し込み扉を開ける。
その先はまさに監獄であった。錆が目立つ鉄の牢屋に、その中に収監されている理性もなき不死者たちの叫び声や、ほのかに香る死臭に似た酷い臭いのオンパレードの数々に嫌気がさす。
「マジでこれ攻略するまで出られないのかよ」
軽く絶望しながら、俺は足を前に出して歩を進める。
(一応は神様から空間超越系の能力はもらったようだけど、それってどうやって使えばいいんだ?)
歩きながら自分の手を眺めて、上へ向けたり下へ向けたり、グーパーグーパーと握ったり開いたりを繰り返す。
その後も思いつくもの全てを試してみるも、一向に何かが変わる気配が見えてこない。
「クソォ!本当に能力は貰えたのか!?実はまだ渡せていませんだったら承知しねえぞ!」
そうやって悪態をつきながら、歩き続けていること1~2分で壊れそうなハシゴの前に到着した。
途中で壊れないか入念に確かめて、ゆっくりと登っていった。
ハシゴを登りきると、そこは重厚な扉の前にポツンと置かれている篝火のみがある中庭だった。
俺が篝火に手をかざすと小さな種火は、すぐさま炎となり薪が爆ぜる音が聞こえてきた。
「登ったのはいいけど、このすぐ後はボス戦なんだよな。近接戦闘で行くか、はたまた魔法を主体として戦うかが悩みどころだな」
篝火の前で胡坐をかき、剣をとるか魔法をとるかの選択を決めかねていた。
剣をとるのであれば、筋力や体力にステ振りで、魔法ならば信仰や理力へのステ振りなんだよな。
うーん、と考え抜いた結果!結局はなるようになれという考えに行き着いた。
「とりあえず、先にこの不死院を抜け出てから考えるとするか!」
重い腰を持ち上げて、重厚な扉に手をかける。
ゴゴゴォ!!!という大きな音を立てて扉が開く。