バカとお酒とパチンカス 3浪と3留の物語   作:スピリタス3世

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バカテスト 現代文

問 以下の問いに答えなさい

『 幼少期から親しくしていた人の事を何と呼びますか? 』


木下優子の答え

『 幼馴染み 』

教師のコメント

正解です。さすがですね、木下さん。
ところで、木下さんには幼馴染みはいますか? 若い頃に仲の良かった友人には、一生仲良しでいられる人がたくさんいます。大人になってからでは得るのが難しい宝物です。今のうちに、たくさんの友人を作っておきましょう。


坂本雄二の答え

『 おさななじ………うがががががが! 』

霧島翔子の答え

『 いいなづけ 』

教師のコメント

一体何があったんでしょうか。


蕨屋敷爽の答え

『 特別な人 』

教師のコメント

蕨屋敷君にとって幼馴染みはかけがえのない存在なのでしょうね。


第二十六問 お試し結婚式

  side 爽

 

 目を覚ますと私と雄二は結婚式用のタキシードを着ていた。

 

「それではいよいよ本日のメインイベント、ウェディング体験です♪皆様、まずは新郎の入場を拍手でお迎え下さい♪」

 

 という女係員の演技をした秀吉の挨拶のもと入場することになった。私の計算が正しければ彼奴らはウェディング体験をメディアを通して拡散し、私達を世間公認のカップルにするつもりだ。そんな事をしたらますます優子と別れられなくなってしまう。彼奴は私よりももっと良い男と結ばれるべきだ。だからここは雄二と協力して……、

 

「雄二、隙を見て逃げるぞ。」

「無論。俺もそのつもりだ。」

 

 逃げるしかない。ただタイミングを伺う為に、とりあえずはステージに向かうことにした。

 

「それでは新郎のプロフィールの紹介を………」

 

 まずはそれをやるのか。まるで本物の結婚式みたいだな。

 

「省略します♪」

 

 前言撤回。手抜きもいいところだ。まあ雄二はともかく私のプロフィールなんて紹介する必要はないがな。

 

「ま、紹介なんて要らねえだろ。片方はただのパチンカスだしな。」

「興味ナシ〜!」

「ここがオレ達の結婚式に使えるかどうかが問題だからな。」

「だよね〜。」

 

 あれは龍之介に説得もとい脅迫されてた頭の悪そうな連中か。しかも私の事をそう呼ぶと言うことは、あのクイズ大会の時も居たと思われるな。

 

「他のお客様のご迷惑になりますので大声での私語はご遠慮いただけるようお願いします!」

「コレアタシらのこと言ってんの〜?」

「違ぇだろ。オレらはなんたってオキャクサマだぜ?」

「だよね〜。」

 

 相変わらず頭の悪い連中だ。私の計算が正しければ、『他の』という単語が聞き取れていないことから、あの連中には日本語のリスニング能力が不足していると思われる。

 

「ま、オレ達のことだとしても気にすんなよ。要はオレ達の気分がいいか悪いかってのが問題だろ?な、これ重要じゃね?」

「うん!ジョータはイイこと言うね♪」

 

 まああれだけ騒ぐ連中だと主催者側も手を出せないか。龍之介が居れば、とも思ったが公衆の面前で口喧嘩をするのもあまり好ましくないからな。そしてそんな連中を無理矢理無視して秀吉が式を続ける。

 

「それでは、いよいよ新婦のご入場です♪」

 

となると優子の入場か。彼奴のウェディングドレス姿はきっととても美しいものだろう。見なくても分かる。そんな彼奴がステージに出てきてしまっては見惚れて脱走のタイミングを逃してしまう。なら………

 

「すいません。少し御手洗に行ってきます。」

 

 トイレに行くフリをして逃げてやろう!でも雄二は何故か動かないのだろう?理由を聞いておくか。

 

「おい貴様、何故逃げない。」

「翔子のドレス姿だけでも見とこうと思ってな。もし似合ってなかったら興醒めもいいところだしな。俺はその後で脱出するんだが、お前は見なくていいのか?」

「優子がとても似合うのは目に見えてる。だから脱出するタイミングは今しかないと考えた。」

「成る程な。じゃあ先に行っててくれ。」

「心得た。」

 

 さて、ステージから出て、トイレへ行くとするか。

 

 

 

 無事ステージを後にし、この建物から出ようとすると……

 

「爽、トイレは僕が案内するよ!」

 

 とまさかの明久がやってきた。貴様に付き纏われては脱走は出来ない。なら………

 

「明久、貴様の好意はありがたいんだが私は一人でトイレに行きたいんだ。だから着いてこないでくれ。」

「それは無理だね〜。だって逃げる気なんでしょ?僕以外にも警備員が沢山いるから無理だと思うけど、一応僕がついていないとね〜。」

 

 クソ!明久如きに私の考えが読まれていたか!なら………

 

「ここで逃がしてくれなければ貴様の股間をこのパチンコ玉で潰す‼︎」

「無駄だと思うよ〜。ほら、周りを見てごらん?」

 

 明久に言われて周りを見てみると、そこには10人くらいの警備員が居た。流石にこれだけの人数を1人で相手にするのは無理がある。なのでパチンコ玉作戦は諦めることにした。

 

「成る程な。それでは私は普通にトイレに入らせて頂こう。」

「そうするといいよ〜。」

 

 そうして私はトイレに入った。

 

 

 

 さて、ここで作戦会議だ。私の携帯の充電があれば兄貴と鮫之介先輩を呼んで如月グランドパークをめちゃくちゃに出来るんだが生憎充電が無い。しかも私の荷物は預けられているから仮に脱出出来たとしてもその後の帰り道に困る。そもそもこのタキシードを着たままでは目立ってしまう。だったら脱ぐのが良いのか?そうなると今度は半裸の変態が出没したとなってかえって目立ってしまう。ならどうすれば良いか…………ん、待てよ!この手があるではないか!

 

 

 そうして私はトイレの個室に入った。そして私がやることといえば………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「爽、まだなの〜?もう十分も経つよ〜?」

「すまん明久、二日酔いがぶり返してきてな………」

 

 トイレでの籠城だ。私の計算が正しければこれで時間を潰せるはずだ。しかも体調不良となれば誰も文句は言えまい。

 

『ごめん皆、爽のトイレが長引いてるから、先に雄二と霧島さんだけでも始めてて!』

 

 どうやら雄二と霧島の分だけ始まるようだ。まあそれで良いだろう。

 

 

 

 さて、トイレの個室でする事もないし、何をしようか?

 

 

①パチンコ、シン○ォギアを打ってるフリ

②パチンコ、海○語を打ってるフリ

③スロット、バジ○スクを打ってるフリ

④スロット、ジャ○ラーを打ってるフリ

⑤スロット、リ○ロを打ってるフリ

 

 

 う〜ん、どれも捨てがたいが、想像していると絶叫してしまう恐れがある。良い作戦だと思ったんだがこれでは私の仮病が明久にバレてしまう。仕方ない。適当に過去を振り返るとするか。

 

 

 

 

 私は昔からパチンコやスロットが大好きだった。お金とか関係なく、ただ純粋に玉の挙動を見たり、ボタンを押して絵柄を揃えたりするのが好きだった。そして文月学園に入学する直前の春休み、私は兄貴と鮫之介先輩に誘われて実際にパチスロ店で打つことになった。名義は兄貴のを貸してくれた。兄貴は結構私と顔が似ていたのでちょうど良かったのだ。

 

 そしてこの時、なんと私は大勝ちしてしまった。そして5万円という中学生にとってはかなりの大金を手に入れてしまった。大好きなパチスロをやってるだけでお金が手に入る。そしてまたそのお金でパチスロが打てる。その黄金サイクルを発見してしまった私は、パチスロ店に行かずにはいられなかった。好きでもない上にお金が手に入るわけではない学校と、好きな上に勝ったらお金が手に入るパチスロ店。どっちを優先させるかなんてとても明白なことだった。そうしてパチスロ三昧な生活を送っていると、気がついたら3留していた。

 

 それでも私は止める気がなかった。卒業出来たら卒業後はパチプロとスロプロに、卒業出来なくても退学してパチプロとスロプロをやると決めていたからだ。こうして私の将来が決まった。あとは沢山勉強と研究を重ねて、ひたすら期待値を追い続けるだけだ‼︎

 

 

 

 

 さて、そろそろ式はどうなったかを確認するか。明久にでも聞けばいいだろう。

 

「明久……」

「ごめん爽、電話が入ったからちょっと待って‼︎」

 

 まあ待つとするか。

 

『どうしたの美波?』

『アキ、聞いて‼︎霧島さんが居なくなっちゃったの!さっきステージを妨害した不良達に悪口を言われてショックを受けちゃったみたい‼︎今は瑞希や木下さん、そして他のお客様と一緒に霧島さんを探してるの‼︎』

『なんだって⁉︎そしたら雄二に霧島さんの逃げそうな場所を聞いてみよう。』

『いや、坂本は面倒くさがってどこか行っちゃったわ。』

『あのバカが‼︎何してんだよ‼︎分かった、僕があのバカを探すから、美波は他の人達と一緒に霧島さんを探して‼︎』

『分かった‼︎』

 

 どうやらあの頭の悪い連中が頭の悪い事をしたらしい。

 

「爽、ごめんまた後で‼︎」

 

 どうやら明久も居なくなったみたいだ。警備員も今はきっと霧島達の捜索に当たっているだろう。霧島達には悪いが、逃げるとしたら今がいい機会だ。とりあえず荷物をなんとか回収して着替え、その後で帰るとするか。

 

 

 荷物を取りに向かっている途中、例の連中を見かけた。

 

「マジでさっきのウケたな!」

「うんうん!私、結婚が夢なんです…。どう?似てる?可愛い?」

「あぁ、似てる‼︎けど……キモいに決まってんだろ‼︎」

「だよね〜w」

 

 無事である事も発言そのものも癪に触るがこの際無視しよう。さて、私は帰ると………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ちょっと貴方達、なんて事をしてくれてるんですか‼︎」

 

 優子⁉︎どうして今、ここに?霧島ではなくて不良の方を探しに来たのか⁉︎流石にウェディングドレスでは動きにくいと思ったのか私服に着替えている。そしてご丁寧にこんな頭の悪い連中にも敬語を使っている。アイツらを説得するつもりなのか?いきなり私が手を上げるのも駄目だし、ここは隠れて様子見するか。

 

「誰だテメェ‼︎」

「ねえジョータ、コイツパチンカスの方の女じゃない?」

「あぁアイツのか!んでそんな趣味の悪りぃ女がオレ達に何の用だ⁉︎」

「用ならありまくりですよ‼︎人の夢をバカにするなんて何を考えているんですか‼︎そりゃあ貴方達にとってはアタシたちは邪魔者かも知れませんけど、それでもやっていいい事と悪い事があるでしょう‼︎」

「ガキの分際でアタシらに説教しようだなんて、調子に乗るんじゃないわよ‼︎」

 

 調子に乗ってるのは貴様らの方だけどな。

 

「そもそもテメェの彼氏なんかろくでなしじゃねえか‼︎」

「爽兄……アタシの彼氏はそんなろくでなしなんかじゃありません‼︎人の事を何も知らないのに勝手にバカにするのは良くないと思います‼︎」

「わぁ〜爽兄だって〜♪アンタなんか子供っぽいね〜wバカみたい♪」

「コイツには大人のオレたちがタイセツなことを教えてやろうぜ!」

「アタシに手を上げても刑務所に行くだけですよ‼︎」

「「知るか‼︎」」

 

 彼奴らめ、優子に手を上げるつもりか‼︎私のゴムパチンコでブチ殺してやる‼︎この塵共が‼︎

 

「死に腐れ貴様らぁぁぁぁぁぁ‼︎」 

「「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ‼︎」」

「爽兄⁉︎」

「くたばれぇぇぇ‼︎」

 

 殺してやる、殺してやる、殺してやる、殺してやる、殺して………

 

「ちょっと爽兄、やめて!落ち着いて‼︎」

「優子、貴様は下がってろ‼︎」

「でも………」

「いいから‼︎私が彼奴らをブチ殺してやる‼︎」

「爽兄、それだけはダメ‼︎」

 

 どこまでも貴様は優しいのだな。だからそんな貴様が傷つかぬように私が……

 

「木下の言う通りだな。」

 

 雄二が私の肩を掴んで止めてきた。

 

「雄二、貴様は私の邪魔をする気か‼︎」

「違うぞ爽。死なない程度に痛めつけるだけだ。やるぞ‼︎」

 

 そういうことか‼︎上等‼︎

 

「心得た‼︎」

「ちょっと2人とも⁉︎」

 

 そうして私と雄二は彼奴らに近づいて……

 

「なんなんだよテメェらは!」

「アタシらになんて事してくれてんのよ!」

「なあ貴様ら。」

「ちょっとそこまで……」

「「ツラ貸せや‼︎」」

 

 

 

 

 

 あの連中をタコ殴りにして雄二と別れた後、私は優子と帰ることにした。

 

「あ、あの、これ、爽兄の荷物……」

「感謝する、優子。」

 

 結局私は優子のウェディングドレス姿を見ることはなかった。でもこれで良かったと思っている。そもそも私が貴様のドレス姿を見る資格なんてない。その姿はもっと相応しい相手に見せるべきだ。だから今日この場で私がはっきり言わなければいけない。貴様の幸せのためにもな。

 

「優子、今日でいろいろ分かっただろ。」

「な、何が?」

「貴様は私と別れるべきだ。」

「え、そ、そうなの………」

「そうだ。」

「ちなみに理由は?」

「私が貴様に相応しくないからだ。」

 

 貴様が理由は分からんがずっと私のこと好きでいてくれて、かつ今貴様が幸せそうなのは分かる。だが誰よりも優しく素晴らしい貴様はその程度の幸せで満足して欲しくないのだ。もっと相応しい相手を見つければ、更なる幸せを手に入れられる。今とは違った素晴らしい世界を見る事が出来る。それをまだ貴様は知らないだけだ。だから是非とも知って欲しい。私と別れる事によって更に手に入る幸せを、な。

 

「な〜んだ、そんな事か♪」

 

 は?貴様は何を言っているんだ?

 

「爽兄がアタシに相応しくないかどうかはアタシが決める事にするよ!」

「おい優子!そんな勝手な……」

「アタシは相応しいと思いま〜す♪」

 

 何故だか知らんが上機嫌になってしまった……。何故だ?これではますます貴様が地獄を見るというのに………

 

「それより爽兄はアタシのことが嫌いなの?一緒にいるのが嫌なの?アタシのことは気にしなくていいから正直に答えてね。」

 

 ずっと自分の事を好きでいてくれて、自分といるといつも嬉しそうにしてくれる人。いつも笑顔でついてきてくれて、色々と尽くしてくれる人。そんな人は嫌いになる方が難しいと思う。一緒にいると楽しいし、もっと色々な事を知って仲良くなりたいと思う。でもそれを正直に言うことが貴様の為になるとは思えない。だからキツい言葉で突き放せばいいのではないか。そう思ってはいるのだが、中々言葉を紡ぐことが出来ない。

 

「えっと………」

「うん。」

 

 正直に言うべきか……。それともキツく突き放すべきか……。迷った挙句………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「答えるのは保留で……」

 

 一番情けない答えを出した。

 

「分かった!じゃあ気持ちが固まったらまた改めてアタシに言ってね!」

「あぁ。」

「それじゃあ、一緒に帰ろ〜♪」

「あぁ。」

 

 こうして私の惨めで恥ずかしい一日が幕を閉じた。

 

 

 

 

  side 龍之介

 

 如月グランドパークでは色々あったな〜。でもこれで雄二&霧島と爽&木下の関係がもっと深まってくれるといいな〜。さてと、今日はこのハイボールを飲みますか!そんなことを思っていると………

 

「おい貴様。」

 

 爽に声をかけられた。

 

「なんだい爽?」

「如月グランドパークでは散々私の事をハメてくれたな‼︎」

 

 クソ!コイツ俺に復讐しにきやがったな‼︎でもここは誤魔化してやる‼︎

 

「え?それは明久じゃない?」

「明久は雄二の手によって始末された。だから私が貴様を始末する。」

「は?おいおいちょっと待ってくれよぉぉぉぉぉぉ‼︎ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ‼︎」

 

 こうして俺は爽に股間と尻をゴムパチンコで執拗に攻撃され、大ダメージを負った…………。

 

 てか気付いたんだけど、アイツいつも自分のゴムパチンコで他人の股間を攻撃しているから、自分の股間だけは無事なんだよな。それは許せねえよなぁ‼︎待ってろよ、爽!必ずお前の股間をボコボコにしてやるからな‼︎




 ということで如月グランドパーク編、終了です。爽と優子の関係は今後どうなっていくのでしょうか。それはこれからのお楽しみということで。

 そして龍之介はどのような方法で爽に復讐(逆ギレ)するのでしょうか。それについては少し先になりますね。まずは次の話からはプール編になります。よろしくお願いします。

 最後に、評価・感想をお願いします。
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