比企谷颯の青春ラブコメは間違っててもいい。 作:あいらぶ埼玉
ありがとうございます(??)
青春とは、嘘であり、束縛である。
「青春を謳歌する」というのは、学校という小さな社会の一員となり、ルールに縛られる事をいう。此処でのルールとは校則のみならず、スクールカーストや友達、恋愛、部活、先輩後輩など多岐に渡る。学生は自由なように見えて青春という規則に基づいて行動する事を強制され、人間関係に束縛される。
その点、ボッチは最高だ。青春という重石を捨て、孤独に生きることの許された「真の自由」を持っている。放課後や休日に何処で何をするも己次第であり、SNSの返信を強制されず、掲示板で好きなように書き込みできる。つまり、青春を謳歌するものよりもボッチであることが自由なのである。
結論を言おう。
リア充死すべし慈悲はない。
☆☆☆
「比企谷……何故呼び出されたか分かるか?」
「いえ、心当たりありすぎて何とも」
僕は今、校内放送で「1年生比企谷、職員室まで来い」という脅迫の下、平塚先生に呼び出され職員室にいる。
いつもの様に、殆ど平塚先生の私有スペースである喫煙所に連れてこられ、煙草を咥えた平塚先生に呼ばれた理由を聞かれるが、今回は見当が付かなかった。教室でなんちゃってホラーをしてクラスが恐怖に包まれたことか、それとも姉さんがまた生徒会長の権力を濫用でもしているのだろうか。後者は俺ではどうしようもない、兄さんに言って欲しい。
「それより先生、放送の時クラス内で『比企谷? 1年生にいたっけ? 3年生じゃないの?』という空気になってました。クラスメイトから僕が忘れ去られている良い傾向ですね」
「……それは本当に良い傾向なのか?」
「もちろん」
と言うのも、入学式の日、LHRの自己紹介で僕は噛みまくり、大笑いされクラス内で悪目立ちしたのだ。元々緊張や羞恥に打たれ弱い僕は大層傷つき、あの時はさすがに死にたくなった。それから目立たないことを意識し続け(兄さん秘伝のボッチスキルも活用して)、たったの2ヶ月で表面上とは言え噂(とついでに僕)の存在をクラスから抹消できたのは誇るべき事ではないだろうか。噂は消すのに75日も要らなかったんだ。
「という訳です」
「ったく、相変わらず君は後ろ向きにポジティブだな」
「兄姉の影響ですかね?」
「はぁ……。嫌な影響だな。まぁそれはいい、これを見てみろ」
「……これは」
先生が見せてきたのは、「学校」をテーマに100文字程の作文を書け、という課題で僕が提出したものだった。
「まさか最優秀賞ですか、兄さんが推敲してくれたんです。自信作なんですよ、えへへ」
「……通りで似ている訳だ。あと、当然だがこんな作文に賞はやらん」
「そ、そんな…………」
「やるなら私から『人間として残念賞』を贈ろう、君の兄にな」
「兄さんに?」
この前見てくれた時、兄さんは「自信を持って出してこい」って言ってくれたのに……。そういや、あの時の兄さんはなんか悪い笑みしてたな……もしかしてこうなると分かっていたのだろうか?
「わざとかなぁ……」
「だろうな」
「兄さん……ふふ、許せないよ。今日はトマト料理だね」
「程々にしといてやれ。にしても、やっぱりアイツ絡みだったか……意趣返しのつもりか」
「でもいい機会です。僕の復讐と、ついでに兄さんのトマト嫌いを治せて一石二鳥です」
「その後ろ向きにポジティブな思考はなんとかならないのか」
「性分なんで」
すると、先生は「はぁ……」と溜息を付いて煙草の火を消す。美人なのも相まってすごく様になっているのに、残念臭というか負のオーラが漂うのはなんでだろう?
そう言えば兄さん曰く平塚先生また婚活失敗したらしいし、落ち込んでるのかもしれない。お節介かもしれないけど、ここは兄の恩師として励ましておこう。
「先生。先生は男より男らしくてカッコいいです。もし行き遅れたら兄が貰ってくれるので、今は男らしく玉砕しましょう!」
「くっ…………」
そう言うと、先生は必死に堪える顔をして拳を握りしめてプルプルと震わせていた。
感銘を受けて涙が出そうなのだろうか。「……腐ってないキラキラした目にブリットはできない」と悔しそうに拳を解くと、少し震えた声で、
「あぁ……比企谷によろしく頼む」
と言った。僕のことは「比企谷弟」と呼ばれるので、先生が言ってる人物は1人しかいない。
「はいっ!」
平塚先生は僕の返事に満足したのか引き攣ったような笑みを浮かべたが、直後に表情を戻して僕の力作文(激うまギャグ)を片手で乱雑に掴み、僕に差し出してきた。
「とりあえず、この作文は再提出だ」
「……しゅん」
「自分で効果音を付けるな……次は比企谷妹にでも見てもらえ」
「おぉっ、その手があったか! わかりました!」
放課後には会えるだろうし、その時に聞いてみよう。桜櫻さんにも協力頼もうかな。
「当然だが、なるべくは自力でやれよ」
「えっ」
「あと停滞している課題は早めに出せ……お前は頭の回転は早いんだ。その気になれば現文も高得点が取れるだろうに」
「……じ、自分には数学があるんで──それではっ」
制止の声が掛かる前に、先生から紙を奪って職員室から逃走する。ただでさえ現文の点数は赤点ギリギリでヤバい。平塚先生って面倒見いいし、あのままだと流れで補修とかになりそうだった。これは戦術的撤退である。
……いやだって覚えるのとか頭使うのは無理なんだもん。頭空っぽにして数式弄るのが好きなだけだもん!
……今度、国語兄さんに教えて貰おう。
☆☆☆
[from弟
兄さんへ、伝言です。
行き遅れたらその時はヨロシク by美人教師平塚先生]
「……いや怖えよ。ちょっとお茶目な作文を書いただけだろ…………」
「あ、せんぱい! 探しましたよ」
「……いろはか」
「可愛い後輩が会いに来たんですよ~。せんぱいはもっと喜んで下さい」
「やったーうれしー」
「うわー凄い棒読み。まぁ良いです。せんぱ~い、今週末にまたデートしませんか~?」
「いや先週のアレはデートじゃねぇから、それに今週は予定がある」
「えーどうせアニメとか……」
[それと今度の休日、国語を教えてくれませんか? ボッチだから兄さんしか頼れる人はいません。デートの予定があるかも知れませんが、どうかお願いします。]
「ほらこれ。可愛い弟から勉強会に誘われたんでな、当然そっちを優先するわ」
「んー……。あ、なら私も参加します! さっきの講義ちょっと難しかったのでせんぱいに教えて欲しいです」
「だが断る」
「え? せんぱいに言ってませんよ? 弟さんにお願いするに決まってるじゃないですか~。というか弟さんまでぼっちなんですね~。兄弟で似てますね~」
「マジかよ……。頼むぞ弟、断ってくれ……」
たぶんずっとこんなノリです。楽しめたらいいな、と思ってます。
次回の後書きにでも人物紹介入れます。
好きなキャラ(その1)
-
比企谷八幡
-
材木座(下の名前?知らん)
-
天使戸塚エル
-
葉山隼人
-
戸部っち(っべー)