比企谷颯の青春ラブコメは間違っててもいい。 作:あいらぶ埼玉
僕は論理的に考えることが苦手だ。
もちろん、後先考えずに行動するような馬鹿にはなりたくないが、兄さんみたく、損得勘定とか被害とかを考えるのが苦手だった。姉さんもいつも感情で動いてる様に見えて、その実強かだったりするから、これは僕にとってコンプレックスだったりする。僕なりに考えようとはしているんだけど、2人ほどうまく考えは纏まらない。
そのせいで優柔不断と言われたこともある。そこは兄さん似てるとかも言われたけど、別に兄さんは優柔不断じゃなくて、「選ばない」という選択をしているに過ぎないんだ。僕とは違う。……姉さんと戸塚さんの対応は別枠だけど。
だから……
「颯、お姉ちゃんの言うこと聞けるよね?」
「颯さん。部活無断欠席は先生に報告しますよ?」
「え、えーと…………」
……この時の正しい判断の仕方を教えて欲しい。助けて兄さん。
──ことの始まりは……平塚先生から逃げ、奉仕部の部室でゆっくりしていた時だった。
奉仕部は兄姉ともに所属経験があり、入部早々姉さんに攫われるような形で入った部活だ。
話は聞いていたし、部室で姉さんに引っ張られる僕を苦笑いで迎えてくれた平塚先生に説明を受け、特に入りたい部活がなかった僕は入部を決定。
その時の部員は僕を含め3人、姉さん、僕、そして2年生の
姉さんとの仲は言わずもがな、桜櫻さんとも最初は冷たかったが、2ヶ月の間で大分打ち解けられていると思う。放課後はもちろん、昼休みも(クラスから存在を消すために)部室で取っていて、桜櫻さんも部室を利用していたからお互いに話す機会が多かった。最初は僕が桜櫻さんに話しかけても殆ど無視されていたけど、僕にとってはクラス内のように笑われることもなく、緊張で噛むことも無かったのが嬉しくてしつこい位喋りかけてしまっていた。でもなんやかんや拒絶はされなかったし。その内、ポツポツとだったが共通の話題(動物とかゲームとか)を見つけてからは少しずつ会話する様になり、最近は桜櫻さんからも話を振ってくれる様になった。
話しかけられた辺りで、桜櫻さんの要望で笹倉先輩から桜櫻さん呼びに変わったんだけど、それを姉さんが知ると何故か不機嫌になってしまった。もしかして「先輩」呼びが羨ましかったのかな。そう思い、試しに家で家で「小町先輩」と呼んでみたら、驚き、泣き出しそうな顔になって「颯が……颯が姉離れしちゃったよぉぉぉ!!」と兄さんに泣きついてしまった。兄さんにはめっちゃ睨まれた。解せぬ。でも依存しなくなるのは成長の証らしいし、成長が認められたようで内心喜んでいたんだけど、姉さんに「姉離れしないで……」と懇願され、渋々まだしないことにした。今年中にはしたいと思っている。
そんなメンバーでの部活だけど、姉さんは生徒会長に就任していて部活にはあまり来れていない。専ら僕と桜櫻さんの2人きりだ。
でもゲームの話題で盛り上がったり、桜櫻さんが持ってきた動物写真集を一緒に見たりと退屈はしていない。
そして、今日も桜櫻さんとディズニーな動物の話題で盛り上がっていると、姉さんが突然乱入してきて僕に言ったんだ。
「颯、生徒会入ろ?」
と。
どうやらこの学校では、入学2ヶ月後から生徒会役員になれるようだ。だから、丁度2ヶ月後のこの日、6月1日に姉さんは雑務を他に押し付け会いに来てくれたらしく、もしかするとクラスに居場所がない僕に、生徒会という仕事で青春を忘れられる場所を与えようとしているのかもしれない。
そして、僕が姉さんに逆らえる訳でもなくそのまま生徒会入会……しようとした所で桜櫻さんから反対の声が上がる。
「颯さんは奉仕部部員であり、平塚先生から面倒を見るよう頼まれている。生徒会に入るのを認めることはできない」
と。
僕には聞き覚えのない話だったが、最近会話をしてくれていたのが平塚先生の助力によるものだと知って、僕の中で平塚先生に対する感謝の念が込み上げた。
しかし、姉さんは「なら小町が生徒会で面倒見るよ。小町も奉仕部部員だし」と反論。
それに桜櫻さんも「小町さんは生徒会長として忙しいでしょう。私に任せて生徒会に専念して下さい」と取り合わず、話合いは平行線を辿る。
そうして、「じゃあ本人に決めてもらおう」と傍観している僕に脅迫と共に決定権が委ねられたのが冒頭の図。
姉さんは姉の立場を利用して、桜櫻さんは僕に苦手意識があり、助力してくれた感謝によって裏切れない平塚先生を盾に迫ってきている。
これが兄さんの言う「巻き込まれ修羅場」というやつか。重要なのは、中心は自分ではなくただのプライドや独占心のぶつかり合いってこと、と兄さんが言っていた。
この時兄さんなら……ダメだ。妙案は思いつかない。僕はそもそもこういう判断が苦手だし、ここは2人に素直な気持ちを伝えようかな。
「姉さん、桜櫻さん。僕ってさ、こういう『どっちも良くて、どっちでも良い』って選択が苦手でさ。だから、2人が納得する形で決めて欲しいんだ。むしろ両方行きたいレベルだよ」
そう言うと、2人は顔を見合わせて……ため息をついた。
「はぁ……我が弟ながら相変わらずだね。ほんと優柔不断」
「……仕方ないですね。本人の意思を尊重しつつ決めましょうか」
「そだね。ちょっとは妥協してあげる」
えっと、上手く行った……のかな? 2人とも若干呆れている気がするけど。でももし片方が僕に呆れて見放せば、もう片方の意向にすんなり纏まるだろうし、妥協点はあるかな? 兄さんに聞いてみよう。
その後は互いに歩み寄るように話合いが進み、結論として、「生徒会がある日は1時間程生徒会室で過ごし、その後部活に行く」という案で双方納得したていた。僕? もちろん異論なんてない。
生徒会に行くのは明日から。生徒会に入りたい声は多いらしいけど、僕の入会に反対する声は姉さんが会長権限で捻じ伏せるとか。「ちゃんと、穏便にするよ?」とか言っていたけど怖いよ姉さん。
「それじゃ、さよなら桜櫻ちゃん。颯はまた後でね」
「……ちょっと待ってください。小町さんは何故颯さんを生徒会に誘ったんですか? 家族なら家で会えますよね?」
「んー……桜櫻ちゃんならいっか。ほら颯ってクラスに居場所ないでしょ? この前、休み時間に颯に会いに行った時『比企谷? そんな奴居たっけ? 他のクラスじゃないですか』って言われたもん」
そんな事があったのか。多分トイレとか行ってたんだろうけど、携帯に連絡くれれば1発だったのに。
雰囲気が若干暗くなるが、直後に作った張本人である姉さんが「ほんっと兄弟って似るんだよねー。似なくていいとこまで」と朗らかに笑って吹き飛ばす。
「だからさ、生徒会をクラス代わりの居場所にして、ついでに友達が出来ればいいかなーって。生徒会メンバーみんな良い人だし」
「……そうでしたか。ありがとうございます」
あぁ、姉さんは生徒会という居場所を僕にくれようとしたのか。兄さんもだけど、相変わらず面倒見が良い。弟冥利に尽きるよ。
「あと、ついでに此処も颯の居場所なのかな? 桜櫻ちゃんも颯をよろしくね。
「…………」
弟思いの姉さんは桜櫻さんにも笑顔でお願いしてくれ、桜櫻さんもそれを汲み取ったのか、ほんとは友人じゃないのに否定せず黙っていてくれた。
僕は万感の思いを込めて、姉さんにお礼を言う。
「姉さん、ありがと」
「じゃあお礼に『お姉ちゃん』って呼んでも……」
「恥ずかしいから無理」
「そっかー残念」
互いに照れを隠すように何時ものやり取りをして、「また家でね」と姉さんは部室を出て行った。廊下を駆け足で遠ざかるのを見るに、本当に仕事を放り出して来たらしい。嬉しさと申し訳なさが溢れてくる。家でもう一回行っておこう。
姉さんを見送り、次になぜか神妙な顔をしている桜櫻さんに礼をいう。
「桜櫻さんもありがとうね」
「……私が礼を言われることはしていません」
「引き留めてくれてさ」
「……邪魔しましたか?」
「ううん、嬉しかった」
「私はただ放課後の喋り相手が居なくなるのが嫌だっただけです。颯さんとの会話は……まあ苦ではありませんし」
「そっか」
最初は喋ることも嫌で、平塚先生の頼みで無理に喋ってくれていた相手に、「苦ではない」と言わせられた。これは僕なりの進歩じゃないだろうか。兄さんに聞いてみよ。
その後は、いつもの様に共通の話題で盛り上がった。undertailって神ゲーだよね!
☆☆☆
「せんぱーい! 何見てるんです?」
「……もう少し静かに近寄って来い、注目集めるだろ」
「ふふーん。周りへのアピールですよ!」
「そですか……。弟からメールが来たんだよ」
「相変わらず仲良いですね。私にも見せて下さいよ~」
「は? まぁいいが、面白くないと思うぞ」
「別にいいですよ。早く早く」
[from弟
兄さんへ
週末に兄さんの家にお邪魔します。いろはすさんと雪のんさんも誘いました。ゆいにゃんも誘ってないけど来るみたいです。]
「…………アイツら纏めて来るのか。というか何故全員あだ名さん呼びなんだ? 由比ヶ浜にいたってはほぼ呼び捨てだし」
「いろはすってせんぱいが呼んでいるからじゃないですか? 雪のんも結衣さんが言ってますし。でもゆいにゃん? は謎ですね~」
[今日修羅場を初めて経験しました。僕は傍観しかできませんでした。]
「自慢か」
「弟も……血なんですかね?」
[兄さんの大変さが少し理解できた気がして嬉しいです。]
「……俺は言い争いに巻き込まれていただけで修羅場じゃねぇよ」
「…………」
「……なんか言えよ、怖えよ……」
[その後、嫌われていた人に、僕と話すのは苦ではないと言われました。これは進展ですか? ]
「マイナスが0になった……まぁ進展なのか?」
「おぉ、せんぱいと私の関係みたいですね」
[勉強の後は兄さんとゲームでもして遊びたいです。兄さん相手に思わぬ手を使われて負ける
のが楽しいですし。それでは。]
「皮肉……じゃないんだろうなぁ」
「確かにせんぱいって姑息な手使いそうですよね。リアルで妨害したり」
「流石にそこまではしない」
「それ以外はするんだ……。そうです。なら折角ですし私も弟さんとゲームしてみたいです」
「やめとけ……アイツめっちゃゲーム強いから」
「ふふん、得意ジャンルのパズル系とかなら私も上手い方だと思いますよ?」
「マジで強いんだって。レートカンストさせたゲームとか沢山あるし」
「えっ、そんなに!? そ、それに勝ったせんぱいって……」
「……勝てれば良いんだよ。世の中結果が全てなんだ」
「うわぁ……」
「引くな。弟も何故かはわからんが負けて喜ぶような奴なんだよ……」
比企谷 颯(はやて)
オリ主。比企谷家次男で高一。手のかからない兄姉に対して、かなりやんちゃで昔から手が掛かりまくった。自信家で後ろ向きにポジティブというこれまた比企谷家特有の捻くれた性格をしている。
高一にしては小柄で、戸塚エル程ではないが可愛い印象を受けるタイプ。目も腐らず美形であるが、前髪が長く顔が見え辛いために噂されたことはない。表情もあまり変化なく、ヒッキースキルを受け継いでいるため目立つことは少ない。緊張しやすく、よく噛む。
八幡とは真逆根っからの理系。感覚で解くタイプで、じっくり考えるのは苦手。覚えるのも苦手で、文系タイプが壊滅的。そのせいで平塚先生に苦手意識がある。たまに八幡に教わっている。
比企谷 小町
颯の姉。八幡と小町の関係は原作から殆ど変化していない重度のブラコン。それは颯も含まれ、颯に対する愛は八幡→小町へのお兄ちゃん愛に似ている。しかし八幡と違い自信家のため、頼り甲斐ある所を見せようとして空回る天然ポンコツな一面もある。
なんとか颯に「お姉ちゃん」と呼ばせようと愚作中。
比企谷 八幡
颯の兄。目の腐り変化なし。颯とは険悪でもなく仲が良い兄弟。互いにぼっちで気が合い、勉強も教えているため、小町に若干嫉妬されていたりする。ちなハーレムルートで大学2年。いろはすが同じ大学。
笹倉 桜櫻(さくら)
オリヒロイン。名前は誤入力から生まれた。
笹倉家の一人っ子で高二。物静かで本を読むイメージがする黒髪美少女。ゆきのんに似てる。でも毒舌はない。ツンデレ気味ではある。
インドア内に置いては多趣味であり、ゲームやアニメなどサブカルにもほどほどに詳しい。そういう意味では積極的な性格。逆に運動はNG。
その実内気で、家族以外には敬語しか使えず、コミュ力も無い。平塚先生に相談して奉仕部に入部。気の許せる友人もできた。中でも颯は、遠慮なく趣味の話が出来る異性の友人として特別感を抱いている。恋愛フラグはまだなし。
勉強面の成績は総合的に良く、文系が壊滅的な颯を心配している。
好きなキャラ(その2)
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由比ヶ浜結衣
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雪ノ下雪乃
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一色いろは
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比企谷小町
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ルミルミ(これを選んだやつロリコン←偏見)