学戦都市の捕食者   作:The Susano

1 / 4
リハビリも兼ねて投稿してみます。
序章のつもりで書いたのに、後半がメインに。何故だ?
なお、初の主人公目線に挑戦するため、少々不自然かもしれませんがご了承下さい。


第1話

「次に会うのは一か月後だな。いない間に、サボるなよ」

 

「うん!休みの間に追い抜くんだから、覚悟してね!」

 

「簡単に負けねえけど、期待しとくぜ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ようやく着いたな」

 

北関東のクレーター湖に浮かぶ、正六角形型のメガフロートに築かれた水上学戦都市「六花」、通称「アスタリスク」。世界中から集まった『星脈世代(ジェネステラ)』が、6つの学園に所属して「星武祭(フェスタ)」を競い合う巨大な街である。

 

その1つ、星導館学園の正門前に、俺———神薙龍弥が校舎を見上げながら呟く。黒髪に黒目、所々に装飾の付いた黒いジャケットとズボン、左手にスーツケース、右手にボストンバッグを持ち、正にここへ着いたばかりと言うような姿だ。

 

「ようこそ星導館学園へ。神薙龍弥さん」

 

声のする方に振り向くと、同年代の金髪の美少女が立っていた。正直言って驚きだ。俺みたいな訳アリの人物相手に、学園のトップが来るとは。

 

「生徒会長が直々に出迎えとはな。クローディア・エンフィールド」

 

「あなたの場合、人に任せるよりも私の方が適任と判断致しましたから。それでは、学生寮まで案内しますね」

 

ふんわりとしつつも、落ち着いた雰囲気を持つクローディア。来ることが決定した1年前に会ったきりとはいえ、全く変わっていない点に若干安心する。荷物を引きながら、寮までの道を喋りながら歩く。

 

「高等部からではなく、中等部3年からの入学で本当に宜しかったのでしょうか?」

 

「俺の場合、同学年と触れ合う機会が極端に少なかったからな。周囲に慣れる時間が欲しかっただけだ。それこそ、レヴォルフなら高等部からだったかもな」

 

「教材を提供したとはいえ、編入試験を最速で全科目満点合格でしたから、学力は問題ありませんからね。ですが、部隊内での人間関係は良好だったので問題ないでしょう?」

 

「逆に言えば、部隊内で関係が終わってる。外と関わりを持つ以上、避けられる前に慣れておきたい。というか、ロミオから当時のことばっちり聞いてたな?あいつ、今でも星導館にしときゃ良かったって愚痴ってるぞ。」

 

「……さて、学生寮はこちらですね」

 

ちょっと赤くなったクローディアを微笑ましく見ながら、折を見て各学園へ行くことを考える。近々学園祭があるので、日程を調整して会いに行くつもりだ。

そんなことを考えていると、学生寮に到着する。中・高・大学部が集結しているためか、マンション並みにでかい。

 

「ここが男子寮ですね。普段は相部屋ですが、奇数人なので高等部までは1人での使用になります。明日、書類や制服等を渡すので、先程の門の前にお越しください。」

 

「了解。始業式は一週間後だったな。こっちも色々準備するさ」

 

そう言って寮の鍵を受け取りながらクローディアと別れる。後で同僚全員に連絡するつもりだが、ロミオから質問攻めにされる気を感じながら鍵の番号の部屋に移動する。

約10畳ほどの一室に、備え付けのベッドと机が2つずつ。トイレにシャワーに簡易キッチンなど、ホテルに近い形式の部屋である。

 

置く場所を迷いながら整理したので、予想以上に時間を取られたが荷解きを終え、しばらく使う日用品の購入に中央区の商業エリアに向かうことにした。なお、事前に貰った地図からある程度のあたりは付けているが、散策も兼ねて適当に歩き回る予定である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こんなもんだな。足りない物はその都度補充するか」

 

ショッピングモールで日用品を買い込むと、そのまま商店街をブラブラと歩き出す。荷物はとある方法で運んでいるので、今は手ぶらだ。

食材も買い込んではいるが、来て初日ということで外食にしようかと考えていると

 

「やだって言ってるでしょ!しつこいなあ」

 

「なんだよ、連れねえな。ちょっとお茶するだけだって」

 

「そーそー。悪いようにはしないからさー。」

 

路地裏からそんな声が聞こえてきた。

ちらりと見ると、1人の女性が男性2人に絡まれていた。女性は私服だが、男性はレヴォルフの制服である。正直、ここで介入しても下手に恨みを買うだけなので、素通りするつもりだったが、

 

「あーっと、そこまでにしといた方がいいぞ。それに嫌がる相手に無理やり迫るもんじゃない」

 

今回に限っては、干渉することにした。

 

「あっ?なんだよ、お前。関係ないだろうが、引っ込んでろ」

 

「あんたらより俺もその子も数段強いぞ。ちょっかいかける相手を選べ」

 

「ハッ!ひょろいお前らが、俺より強いだと?冗談だろ?」

 

「見た目で弱者と判断してナンパしてる時点で、十分に小物だがな。」

 

その発言に、馬鹿にした表情の男性の顔がみるみる赤くなっていく。人を煽ることには慣れていても、煽られることには慣れていないようだ。

 

「言うじゃねぇか……!」

 

「ならかかってこい。最も、突っかかる時点で———」

 

「あ、危ない!」

 

言葉の途中で襲いかかってくる2人。その手にはナイフ状の煌式武装が握られていた。だが、その瞬間に戦闘モードに入った俺には、スローモーションに見えた。

 

『己の意識に一切の隙を見せるな。常在戦場を身に刻め。油断したものから死ぬだけだ』

 

そんな師の言葉を思い出しながら、相手の無意識に一瞬で滑り込んで懐に入り、それぞれの鳩尾を左右の拳で打ち抜く。

古武術で『抜き足』と呼ばれる移動方法である。

 

「「がはっ!」」

 

衝撃が体を突き抜けるように放った結果、意識は残ったがダメージで動けなくなる。その体勢で固まった相手の背中に回り込み、そのまま蹴り飛ばす。路地裏から蹴り飛ばすほどの威力になったが、仮にも星脈世代。それに、体格も大きかったので、自然回復できる程度の怪我で済んでいるだろう。

 

「そもそも、襲い掛かる時点で雑魚決定なんだよな」

 

そう呟きながら、女性の元に歩く。改めて見ると、結構な美人である。腰まで伸ばした茶髪に整った顔立ち。街中を歩けば見とれる男がいても納得する容姿である。

 

「えーっと。手を出される前に追い払ったと思いますが、大丈夫ですか?」

 

「う、うん。大丈夫、助けてくれてありがとう。」

 

「どういたしまして。あの2人はしばらく動けませんが、今の内に移動しましょうか。それじゃあ———」

 

「あ、ちょっと待って!」

 

これ以上は面倒になるためにこの場を離れようとすると、女性に呼び止められる。

 

「この後、時間ある?お礼をしたいんだけど……」

 

「いえ、たまたま聞こえて介入しただけですし。むしろお節介と思いましたが」

 

「全然!それに、助けてもらったんだから、相応のお礼はしないと気が済まないから」

 

(こりゃ、こちらが折れないと話が終わらないな)

 

即座にそう考えると、ちょうどいい頼みを思いつく。

 

「とりあえず、移動しながら話しましょうか。同じ人に絡まれるのも厄介ですし」

 

「うん!私は構わないよ」

 

という訳で走って裏路地から脱出し、人の多い通りを選んで進む。移動しながら頼みを聞いてもらうと、近場のためにそのまま案内してもらうことになった。

 

「でも、いいの?料理店を教えて欲しいだなんて。もっと無茶言われると思ったけど」

 

「女性の弱みに付け込むほど落ちぶれはしませんよ。それに人に教える以上、ハズレはないでしょうから」

 

「なら思いっきり期待してもらっていいよ?結構人気店だから」

 

「それは楽しみです」

 

そうやって会話していると、料理店に着く。少々女性向けの雰囲気があったが、男性客も少しいるので、総じて若者向けなのだろう。なお、女性の方もせっかくなので食べていくらしい。

若干夕食には早い時間だが、待ち時間が少なかったために好都合だった。ただ、唯一の誤算を除けばだが。

 

「まさか、相席する羽目になるとは」

 

「私もこれは予想外だったよ……」

 

店側から相席を頼まれたからだ。時間帯の影響か、中・大人数用テーブルしか空席が無く、他の客は家族連れだったため、個人で待っていた2人に相席を頼まれた。色々と出来過ぎたこの状態には、流石に空笑いをする。

 

「しかし、客やメニューを見るに、本当に期待して良さそうですね」

 

「えー。信じて無かったの?ちょっとショックだなー。」

 

「噂よりも実際に見て信じる主義でして。まあ、シルヴィア・リューネハイムの紹介ですから当たりとは思いましたが」

 

「えっ……!?」

 

女性はカルボナーラを、俺は日替わりメニューを注文し、手持ち無沙汰に会話を始めたのだが、突然漏らした言葉に女性が完全に固まる。その光景に、俺はニヤリと笑う。なお、周囲の喧騒に紛れるように言ったので、他の客にはバレていない。

 

「や、やだなあ。間違われるのは嬉しいけど、流石に人違いじゃ……」

 

「まあ、注意しないと全く気付かないでしょうね。私も分かったのは追い払った後ですし」

 

そう言うと、ばれた理由を列挙していく。

 

「有名人が外見を変えるのはよくある話です。あなたも髪型や色を変えていますが、声までは変えられないようですね。それに、立っている姿から強者であることは分かりました」

 

その程度なら他人の空似で済みますが、と言葉を切ると、一番の理由を告げる。

 

「決め手はナンパを相手した時の立ち振る舞いです。口説き文句に困惑せず、鬱陶しそうにしている。星武祭関係なら珍しくはありませんが、それにしては慣れ過ぎている対応です。恐らくはアーティスト。ここまで分かれば極少数に絞れます。後は、ばれた時の対応で確信しました。あれ、一応鎌をかけたつもりだったんですよ?」

 

説明が終わると、ばれたことが結構ショックだったのか、深くため息をつく女性。ネタばらし程度に考えていたのだが、思った以上のダメージが大きかったようだ。

 

「バレてたのかー。変装には自信あったんだけどなー」

 

「……すみません。少々軽率でしたね。ドッキリのつもりだったんですが」

 

「いいよ。気にしないで。でも、今日あったことは内緒にしてね?」

 

「承知の上ですよ。被害がどこまで広がるか、検討もつきませんからね」

 

世界の歌姫との密会。これだけで、場所の特定から嫉妬による奇襲まで容易に想像できる。最悪、彼女の引退沙汰まで考慮する必要が出てくる。

 

「じゃあ、改めて自己紹介。声には出せないからこれでね?」

 

そう言って備え付けのペンと紙ナプキンに名前を書いていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

シルヴィア・リューネハイム

 

 

 

 

 

 

 

 

それが女性の名前だった。

 

「ご丁寧にありがとうございます。では、私も習って」

 

シルヴィアと同じように、紙ナプキンの裏側に名前を書く。

 

 

 

 

 

 

 

 

神薙 龍弥

 

 

 

 

 

 

 

 

と。

 

歌姫を助けた通りすがりの新入生。この2人の邂逅がすべての始まりになることを、誰一人———当事者達ですら知らなかった。

 




正直投稿が止まっている最弱無敗よりもイメージしやすかったりw
ストーリーの関係上、前半はゴッドイーター要素はかなり少ないです。

ちなみに主人公の容姿は、GE2RB基準で以下の通りです。
ヘアスタイル スタイル7
アクセサリ なし
ヘアカラー 黒 (明るさ18ツヤ100)
フェイス 1
アイカラー ブラック
スキンカラー 初期設定
ボイス 5
ちなみに、作者はレイジバースト以降の作品は未経験です。
感覚だけで出すかもです。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。