八幡side
あの後本館に荷物を置き、オレ達は集いの広場というか所へ連れていかれた。集いの広場には、たくさんの小学生がワイワイと話しながら座っている。全員が全員うるさく話してるからか、かなり騒がしい。オレ達はその迫力に少し圧倒されてしまった。良く言えばパワフル。悪く言えば耳障りだ。まだ小学生だからか、男女がとても仲良く話している。これが中学になると一気に変わって男女別れるんだよな。まぁ、どうでもいいが。ふと横を見ると玲達は引いていた。そりゃそうだろうな。あの雪ノ下ですら青ざめて引いているのだからよっぽどだ。ってかホントうるさいな。
八幡「なぁ、これどうする。収まる気しねぇけど」
出水「こういう時は嵐山さんがいたらな〜」
あ、うん。それは思った。多分あの人ならこの場を収めることぐらい朝飯前だろうな。けどオレ達はにはそんなスキルは無い!まぁ、この中で出来るやつと言えば劣化嵐山さんと言われてる葉山ぐらいだろう。そんな事を思いながら数分後あんなに騒いでいた小学生共は静かになった。
「はい、みんなが静かになるまで3分かかりました」
うわぁ…でたよ。生徒集会や、学級集会などで説教の前振りに使われるあの伝説の台詞。まさかこの年になってから聞くことになるとは思ってもなかった。そこから男教師の説教などが始まる。
出水「というかオレ達は何すればいいの?」
八幡「さぁ…?まぁ、多分小学生の手伝いみたいな感じじゃねぇの?」
出水「うわぁ…めんどくせぇ〜」
八幡「じゃあ何で来たんだよ」
ホントこいつには呆れるな。と言っても今更か。
するとちょうど、教師の説教も終わったようで、これでようやく話を進められる。
「それでは、今日から3日間君たちの手伝いをしてくれる高校生の皆さんに挨拶をしてもらいます。では、お願いします」
教師がオレ達に話を振ってくる。ま、こういうのは葉山に任せれば何とかなるだろ。俺はこういうのは苦手だ。はやく裏方に回りたい。案の定、葉山は一歩前に出て、挨拶を始める。
隼人「初めまして。高校2年生の葉山隼人です。皆さん気軽に話しかけてくださいね。3日間よろしくお願いします!」
葉山はそう挨拶すると、小学生、主に女子がきゃーきゃーと小さな悲鳴を上げる。うるさいなぁ。ちょっと挨拶したぐらいで悲鳴を上げるなよ。
出水「なぁ、ハチ。お前、挨拶しねぇの?」
八幡「あ?なんでオレが?」
出水「いや、この中で1番強いのお前だろ」
八幡「あ〜、なるほどね。でも強いからって挨拶しなくちゃイケナイなんてもんは無いし、ランキングで言えばお前の隊の方が上なんだし、お前がやったら?」
出水「え〜、めんどくせぇ」
八幡「だったら言うなよ。オレもめんどくさいって思ってるんだから」
出水「へーい」
ったく……
出水「しっかし…アイツなんだか嵐山さんに似てるような」
八幡「そうか?オレにしたらアイツは劣化版みたいなやつだ。というより葉山は嵐山さんの足元にも及ばない」
出水「なるほどな」
そんな会話をしていると…
「はい、ありがとうございました!では、オリエンテーリング、スタート!」
男教師がそう言うと、生徒達は我先にとグループを作り始める。この合宿が始まる前から、班は決めていたっぽい。
それに、みんな明るい顔をしている。おそらく、スクールカーストなる物が確立されてないのだろう。そういうのが生まれるのは中学生くらいだろう。そして、オリエンテーリングていうのは、指定されたポイントを順番に回っていき、ゴールに辿り着けばクリア。というスポーツらしい。コンパスと地図を持って全力疾走するという割とガチのスポーツだ。あんなの絶対やりたくない。玲にはちょっと難しいかもな。すると小学生達は我先にと、オリエンテーリングのコースへと歩いていく。そんな中、葉山グループがうるさく話し出す。
戸部「いやー、小学生ってまじ若いわー。俺らってもうおじさんじゃね?」
優美子「やめてよ戸部!それだと、あーしがオバサンみたいじゃん」
オバサンじゃあなかったらオジサンか…という言葉がでそうになったのをグッとこらえる。
三輪「さて、俺達は何をすればいいんだ?」
平塚「君達にはゴール地点で昼食の準備だ。生徒達への弁当と飲み物の配膳を頼む。私は車で先に行っているからな」
オレ達もの車で行こうと思ったら無いんだった。東さんも加古さんもいないけらオレ達は歩いていくしかないのかよ。
平塚「ああ、あと小学生達より早く着くように」
え?あんな早いやつより早く着くの?まぁ、いいや。それより
八幡「玲大丈夫か?無理なら迷わずトリガー使えよ」
玲「うん、わかった」
八幡「いいですよね先生」
平塚「体調が悪くなったりした場合は、最悪使って構わない。が、できるだけ使わない方がいいだろう。森の中とはいえ、トリガーは目立つからな」
玲「はい、ありがとうございます」
さて、出発しますか。その後、雑談したがら山を登る。由比ヶ浜は三浦達と話をしながら歩いている。雪ノ下は当然だろうかボーダーの女子達と話している。オレは玲、熊谷、奈良坂と歩いている。体力付いたとはいえまだ山登り厳しいだろう。そして近くにいた小町と彩加が…
彩加「でも、僕が小学生の頃は高校生ってすごく大人に見えたなー」
小町「小町からみても高校生って大人ーって感じしますよ。兄を除いて」
八幡「おい、オレは超大人だろ?と言うか大人って金を効率良く稼いだり、上には頭が上がらない。頑張って働いて終電ギリギリの電車に乗って家に帰る。そんな毎日だろ?」
奈良坂「八幡にとって大人ってなんなんだ?」
小町「まったく…このごみぃちゃんは…玲お姉ちゃんどう思います?」
玲「アハハ…確かにちょっとその考えは…」
小町「ですよね!ほらお兄ちゃん!お嫁さんがこう言ってるからそんな事考えたらダメだよ!」
八幡「は?」
玲「ちょっ…ちょっと!小町ちゃん!?///」
小町「あ、ごめんなさい。"まだ"でしたね」
玲「え?…ちょっ…え!?もう!何言ってるの小町ちゃん!?そ、そんな事…言ったら…ごにょごにょ///」
え?ちょっと玲さん!?そんな反応されたらこっちまで恥ずかしいじゃあないですか。というか最後の方上手く聞き取れなかったな。それよりそんなオレと玲を見てニヤニヤしている小町とボーダーの女子高生達よ。腹が立つのでやめてくれませんか?すると…
米屋「おおー、2人揃って顔真っ赤にして〜。息が合うね〜。やっぱそれでこそ『バイパー夫婦』だな」
……は?こいつ今なんて言った?バイパー夫婦だ?一体どういうことかきっちり聞かないとな。オレの殺気を感じ取ったのか米屋以外は少し怯えている。三輪に関しては無表情。冷汗すらかいてないので、多分オレには関係ないと思っているのだろう。しかも玲も黒いオーラーをだしているのに米屋はケラケラと笑っていた。
八幡「なぁ…米屋…」
米屋「ん?なんだよ…ひっ!?」
ようやく気づいたようだ。だがもう遅い。けどここじゃ小学生達が怯えるからどうしようかな……あ!あるじゃんいい方法がよ。
八幡「帰ったら…ランク戦…100本な」
米屋「は!?え?ちょっと!?それはさすがに…」
玲「ねぇハチくん。そのランク戦…私も混ぜてもらってもいい?」
八幡「ああ、いいぞ。2人でポイント根こそぎ取ってやろうぜ」
玲「そうだね」
米屋「ちょっ…マジ100本は勘弁してくれ!謝るからさ!」
八幡・玲「もう遅い(わよ)!!」
米屋「ひいぃぃー!助けて〜!」
ボーダー組(((米屋(君)(先輩)ご愁傷さま)))
米屋の処刑も決まった事だし、そろそろ歩かないと平塚先生に怒られるな。
雪乃「ねぇ、あの子達何してるのかしら」
雪ノ下の視線の先には、小学生数名がなんか溜まってる。
隼人「ちょっと見てくる」
葉山は走って小学生達に向かった。そこで雪ノ下がため息をつく。……こいつ、なんで葉山にはこんな当たり強いんだ?なんか葉山来てからずっと雰囲気トゲトゲしてるし。いつもトゲトゲしてるとかはいってはいけない。
「お兄さん!チェックポイントってどこにあるの?」
隼人「うーんどこだろう」
「じゃあお兄さん手伝ってよ!」
隼人「仕方ないな、ここだけ手伝うけどみんなには秘密な」
さすがリア充。コミュ力あるわ。でも1つ気になることがある。5人班なのに1人の女子だけが2、3歩ほど遅れて歩いている。健康的にスラリと伸びた足、少し紫がかったストレートの黒髪。他の子達より少し大人びた印象を受ける子。そして手にはデジカメを持っている。あんなに離れているのに誰も連れていこうとしない。いや、気づいているのだ。他の4人は時折振り返ってクスクス笑っている。
そして葉山がその女子に近づき……
隼人「チェックポイント、見つかった?」
女子「…いいえ」
隼人「そっか、じゃあみんなで探そう。名前は?」
留美「鶴見、留美」
隼人「俺は葉山隼人、よろしくね。あっちのほうとか隠れてそうじゃない?」
そう言って班の皆の所へと誘導した。うっわ……何ナチュラルに誘って、名前聞き出してるの?…でも
奈良坂「あんまいい方法では無いな」
八幡「ああ…だな」
そして、連れてこられたほんの一瞬だけグループの空気が詰まるが、その一瞬が過ぎ去ると他の4人は何事も無かったように談笑を続けながら進む。もちろんその一人を除いて。
八幡「やっぱりどこの世界にもあるんだな」
雪乃「小学生も高校生も関係ないと思うわ。等しく同じ人間なのだから」
八幡「そうだな」
奈良坂「同感だ」
そしてオレ達はそんな事を言いながら先へ進む。玲は少しずつ休憩しながら登る。まぁ、近くにオレがいるし最悪の場合おぶっていけばいいしな。
そして集合場所へと着く。そこにはタバコを吸う平塚先生の姿があった。と言うか小学生がいるのにタバコなんて吸うなよな。もうちょっと考える事できねぇのかよあの先生。
平塚「お、来たなでは」
そう言いながら車のトランクを開け、タンボールを降ろし始めた。一体なんだ?
平塚「弁当運ぶの手伝ってくれ」
え〜、めんどくせぇ。でもやらないとうるさいからな。それに暴力を振るおうとするしな。そんな事を思いながらオレ達は弁当や飲み物を運んだ。この後休憩できると思っていたら
平塚「今運んでもらった弁当の他にも、デザートの梨が冷やしてある。ナイフ類は用意してあるから、配膳と皮むきに別れて仕事をしてくれ」
平塚先生はそう言うと、近くの小川から梨の入った籠を持ってきて、オレに手渡す。オレかよ……。まぁ、いいや。さて、どうしようか。と言っても料理ができるやつとできないやつで別れるだろうな。と思っていたら案の定そのように別れた。まぁ、こっちは女子が多いから殆ど女子任せになってしまうな。
一応言うとできるやつはオレ、小町、玲、熊谷、水川、綾辻、三上、小南、永宮、日浦、雪ノ下、由比ヶ浜となった。いや、多いな〜。こんなにいらねぇだろ。
できないやつは三輪、透、出水、米屋、彩加、葉山グループ。まぁ、予想はできてたけどな。
八幡「こっち、多いなホント」
玲「そうだね。でもこんなに多ければ早く終わるんじゃない」
八幡「まっ、そうだな。じゃあさっさと終わらせますか」
玲「うん」
そしてオレ達皮むき担当は平塚先生からナイフとミニまな板、紙皿など受け取り、皮むきを始める。でも気になる事がある。それは……
雪乃「由比ヶ浜さん、あなた、皮むきできるの?」
結衣「任せてよ!あたし練習したんだよ!」
ホントかよ。由比ヶ浜がそう言うと、梨の皮むきをする音が聞こえ始める。しゅるしゅる…ざく、ざく、しゅる…ざく、ざく…ざく。…ん?ざく?なんだか嫌な音がするな。ふと由比ヶ浜の方を見ると、由比ヶ浜は梨の皮だけではなく、中の果肉までも抉りとっていた。由比ヶ浜の梨は、ナイスバディのボンキュッボンとなっており、食べられる部分の殆どは皮とともにゴミ箱の中にある。お前は梨になにか恨みでもあるのか?
結衣「なんでーー!?ママがやってるの見てたのに!」
熊谷「見てただけなんだ」
まったくだ。ホントアホかよ。見てできるのなら誰だって苦労しねぇんだよ。
雪乃「由比ヶ浜さん、ナイフは回転させないで固定するのよ。…なぜ、言ったそばからナイフを回してるのかしら?私の話聞いてた?」
何やら雪ノ下のお料理教室が始まった。そんな事を無視して、オレは皮むきを続ける。もう5個の梨をむき終わり、食べやすいようにカットしている。やっぱりこの人数だ、もう殆ど終わっている。
日浦「わぁ〜。比企谷先輩上手ですね」
と不意に日浦から話しかけてくる。ビックリするわ〜。刃物を使っている時に急に話しかけないでくれます日浦よ。
八幡「そうか?」
日浦「はい!」
八幡「そっかありがとうな。まぁ、確かに家ではたまに料理するしな」
日浦「そうなの小町ちゃん」
小町「うん、お兄ちゃんたまにご飯作ってくれるんだ。それにおいしいし」
玲「うん、そうだね。ハチくんの作った料理、すごくおいしいよね」
小町「はい!」
日浦「へ〜、なんだか私も1回食べてみたくなってきた」
何やら日浦もオレの料理が食べたいとか言って来たな。まぁ、別にいいケドね。すると…
奈良坂「終わった皿あるか」
八幡「ああ、これを頼む」
奈良坂「ああ」
透が皿を受け取りに来たので、カットされた梨がのった皿を透に渡す。
八幡「あと、雪ノ下。いつまで料理教室やってんだよ」
オレは今まで料理教室をやっている雪ノ下に声をかける。
雪乃「あ、そうね。ごめんなさい、つい熱くなってしまったわ。由比ヶ浜さん、あなたには悪けれど配膳をお願い」
結衣「うぅ…わかった」
これで少しは梨の無駄にはならないか。そう思いながら持っている梨に目を落とし、皮むきの続きをする。他の奴らも皮むきを続ける。そして、皮むきを続けてると小学生達が続々と到着する。オリエンテーリングが終わったばかりだというのに、ギャーギャーワーワーと元気にはしゃいでいる。小学生は俺達高校生と違って元気いっぱいだ。逆に気持ち悪いな。良くあんな元気にいられるもんだ。そして、オレも梨むきも終わった事だし、配膳に回るか。
いかがでしたか?ではまたお会いしましょう。