異世界転移された彼は【注文(オーダー)】と言うスキルで商人を目指す事にした。 作:北方守護
宿屋で朝食を取ったタケアキは再びギルドのカーネの席に向かった。
「おはようございます、カーネさん」
「ふえっ!?お、おはようございます!ってタケアキさんじゃないですか、こんな早くにどうしたんですか?」
「いえ、少し聞きたい事があって……もし俺が何か店を開きたいと言ったらどんな許可が必要かと思って」
「つまり何らかの店を開きたいという事ですか?」
「はい、今はまだ何を売るかは考えてないんですけど」
「そうですか……では私よりも商人ギルドの担当者を呼んで来るのでそこで座って待ってて下さい」
近くの椅子に座ったタケアキは担当者が来るのを待っていた。
少し経って呼ばれたので行くと背中に黒とグレーの羽が生えていて黒髪の所々に白斑があるメガネを掛けた女性がカーネの隣に座っていた。
「初めまして、商品ギルド担当のミランと言います」
「初めましてタケアキと言います」
「そうですか……タケアキさんが店を開きたいと申し出があったとカーネから聞いたのですが……ちょっと失礼します」
ミランは真っ直ぐにタケアキの目をみつめた。
「なるほど……タケアキさんは異世界人ですね?」
「え?えぇ、それはそうですけど……もしかして異世界人は店を出せないとかあるんですか?」
「いえ、そうではありません、ただ、どの様な店を出すのか気になったものでしたから」
「へぇータケアキさんて異世界人だったんですね」
2人の話を聞いていたカーネがどこか感心していた。
「所で、ミランさんは何で俺が異世界人だって分かったんですか?」
「私は梟の獣人でして【固有スキル リサーチ】を所持してるんです、それで異世界人だと分かったんです」
「なるほど……それで店を出すには何が必要なんですか?」
「まずは店舗になる建物ですね、それと商人ギルドからの許可書……始めはそれ位ですね」
「従業員とかは店を出してから募集するんですか?」
「それは、その人によります、家族や恋人と出す人達もいればギルドで早めに出す人もいます」
「そうか……どんな店を出すかまだ決めてないしな……それに店舗をどうするか……」
「それでしたらギルドの方でいくつか紹介する事が出来ますが?」
「え?そうなんですか?」
「はい、冒険者を引退した人が色んな店を出す事もあるのでギルドでも、それなりに用意してるんです」
「その用意してる店舗って見る事は出来ますか?」
「えぇ、先に見て手付金を払う人もいますから可能ですよ」
「なら見せてもらえますか?」
「畏まりました、それでは行きましょうか カーネ、貴女も来ますか?」
「は、はい!行きます!!」
タケアキとカーネはミランに連れて行かれてギルドが持ってる物件に向かった。
タケアキはミランから今、ギルドが保有してる物件は5軒だと聞いた。
「まずは、こちらですね……ここは街中にあり人の通りもあり、それなりに大きいのですが、その分代金が掛かります」
1軒目は街中にある3階建の店舗で家賃は一月120万ガルだった。
「確かに……店を開けばお客さんは来ると思いますけど……」
「では次の物件に行きましょう」
2軒目は少し街から離れた場所にあるが周りに住宅がある2階建の店舗で家賃は70万ガルだった。
「こちらは近くの住人達が使用する事が多い場所ですね」
「なるほど……家が近くにある分安いのか……」
3軒目は職人街の中にある2階建の石造りの店舗で家賃は50万ガルだった。
「こちらは見ての通り職人達が来やすい場所になります」
「うーん何を売るか悩む所だな……」
その後……
4軒目は海沿いにある1階建の店舗で家賃は20万ガル。
5軒目は街道の横にある1階建の山小屋で家賃は12万ガル。
とそれぞれの店舗を案内された。
「うーん、何の店をするにも……やっぱり家賃がなぁ……」
「こちらとしても、それほど頂かないと維持費とかが工面出来ないんです……」
「やっぱり、お金を貯めるのが先決か……「あれ?この物件って、まだ案内してないですよね?」え?」
ミランの横から書類を見てたカーネが1枚の書類に気付いた。
「これは……あぁ、こちらの物件は年数が経っているのでそろそろ解体しようとしてたんです」
「解体しようとしてた物件か……そこの案内をしてくれますか?」
「えぇ、私は構いませんが……こちらです」
ミランはその場所にタケアキを案内した。
案内された場所は森の中にあり2階建のログハウスだった。
「へぇ……こんな所にあったんですか……ミランさん、ここを借りるとしたら家賃はいくらになりますか?」
「え!?タケアキさん、本当にここを借りるつもりなんですか!?」
タケアキの提案にカーネが驚いていた。
「いえ、こちらの店舗は解体しようとしてたので逆に費用が掛かってしまうんです」
「じゃあ、家賃は掛からないって事ですか?」
「はい、こちらは家賃ではなく購入という事になりますので5万ガルになります」
「5万ガルか……店舗内を見せてもらっても良いですか?」
「えぇ、良いですよ……
「ミランさん!私は獣人で暗闇でもキャッ!?……あっ……すみません……」
「いえ、たまたま近くにいただけですから……それにしても ゲホッ……凄い埃ですね……」
中に入ろうとした時にカーネが転びそうになった時にタケアキが支えた事に気づくと頬を染めた。
「はい、先程も言った通り、こちらは解体予定でしたので最近の掃除もしてなかったんです……コホ……」
「埃が多いから窓でも開けますね……へぇ……こうやって見ると、それなりに中は広いんですね……」
窓を開けて光が入ったので中を見るとカウンターの奥に住居が併設されていた。
「確かに埃はあるけど掃除をすれば直ぐにでも住めそうですね……ん?すみませんミランさん、ここにある
「え?……その様な物があるとは書類には記載されてないのですが……」
タケアキがカウンターの下の床に何かを見つけたのでミランが行くと2m四方の真四角の扉の様な物があった。
「これって地下室か何かの扉じゃないですか?」
「そうだとしても……こちらに報告したと言う記録はありませんが……」
「もしかして前の人の宝物があったりして!」
「そうだった場合、その物はどうなるんですか?」
「タケアキさんがこちらを購入してるならタケアキさんの物になりますが、そうでなければギルドで保管、または以前の持ち主へ返却しますが……以前の方はもうお亡くなりになってますのでギルドで保管という事になります」
「そうですか……すみませんけど、この店舗を購入しても良いですか?」
「えぇ、構いませんが……こちらの鍵はギルドの方でも所有していません」
「え?そうなのミランさん」
「それはそうですよ、この様な物がある事を始めて聞いたのですから」
「まぁ、それを抜きにして俺はここが気に入りましたから……こんな時にすみませんけど、これ代金です」
タケアキはミランに5万ガルを支払った。
「はい、確かに頂戴しました……ではこちらの書類に名前を書いて鍵に触れて下さい」
タケアキが言う通りにすると書類と鍵が輝いた。
「これでこちらの店舗の所有者はタケアキさんとなりました」
「ありがとうございます……さてと、まずは、これをどうして開けるかだな……ん?」
地下室の扉を見ていたタケアキは近くのカウンターの壁に何か書かれているのを見つけた。
「これは……俺の世界の文字か……って事は前の持ち主は異世界人だったのか?」
「いえ、その様な話はギルド内でも聞いた事ありません」
「とりあえずは開けてみますか……これで開くはずだけど……[カチャ]さてと…って重っ!?」
「これは……プロン鉱石で出来た扉ですね……それならカーネ」
「分かりました……タケアキさん、私にやらせてください」
ミランから言われたカーネはタケアキと変わると扉の持ち手に手をかけた。
「危ないから離れててください……よいしょっと![ゴゴゴ……ガコン]開きましたー!」
「凄いですね……獣人の人達って皆、こんな事が出来るんですか?」
「いえ、カーネは犬の獣人ですので、それなりに力はあるのです……」
「へぇ、そうなんだ……カーネありがとう、開けてくれて」
「そ、そんな事無いですよー!私はただ言われた通りにやっただけなんですから……」
タケアキに頭を撫でられたカーネは尻尾を振って喜んでいた。
「それでもだよ……それで中は……ハシゴがあるから、これで降りるのか……じゃあ」
「待ってください、ここは私が先に降ります」
タケアキが降りようとした時にミランが制した。
「え?でも……何があるか分からないですよ」
「だからです……見た所、中は暗いので私が先に行きます……それに
「え?今何かって……降りて行った……じゃあ次はカーネが行くかい?」
「私は別に構いませんけどタケアキさんじゃなくて良いんですか?」
「カーネ……それだと最後にカーネが降りるけど……
「それは、そうですけど……それがどうかしたんですか?」
「はぁ……カーネもミランさんもギルド職員だよな?なら……
「嫌ですよ、タケアキさん 見ての通りこう言う……理由が分かりました……じゃあ私が降ります……」
カーネは職員の制服の下がスカートだった事に気づくと顔を赤くして降りて行った。
その後、タケアキが降りて行った。