ウルトラマンヴェルク   作:桂ヒナギク

1 / 9
1.爆発

 地球を離れること百万光年。

 地球のように美しい惑星ヴェルドーレが、爆発を起こして消え去った。

 爆煙の中から、一人のウルトラマンが投げ出される。

「うわああああ!」

 悲鳴を上げ、回転しながら飛んできたウルトラマンが、ヴェルドーレの月にぶつかる。

 衝撃で月面にクレーターが出来上がった。

「くっ!」

 立ち上がるウルトラマン。

 その姿は赤く、胸部にプロテクターを装着している。

 彼の名は、ヴェルク……ウルトラマンヴェルクだ。

 ヴェルクは爆発したヴェルドーレで唯一のウルトラマンだ。

 ヴェルドーレが崩壊した理由は、星人の侵略行為だった。

 星人はなんとか打ち倒したが、ヴェルドーレが星人の攻撃に耐えきれず、ついには消滅してしまったのだ。

 ヴェルクは以前から親交のあった地球を目指す。

 ワームホールを抜け、あっという間に地球へ到着する。

(ん?)

 地上で怪獣が暴れている。

 ヴェルクは暫く様子を窺う。

 地球の防衛組織が怪獣に立ち向かう。

 だが地球人の力だけでは、怪獣には太刀打ちはできなかった。

 ヴェルクは地上に降り立ち、怪獣と対峙した。

「タア!」

 ヴェルクの攻撃が怪獣を怯ませる。

 ヴェルクは拳を乱打し、トドメの光線技で怪獣を爆砕した。

 光に包まれたヴェルクが小さくなって人の姿になる。

「誰か……」

 声が聞こえた。

 ヴェルクは声のしたところへ向かった。

 女性が瓦礫に埋もれている。

 ヴェルクは瓦礫をどかし、女性を救出した。

「ありがとうございます」

 礼を言う女性。

「助けていただいたお礼にカフェでもどうです?」

「いいですよ」

 ヴェルクは女性と共に近くの喫茶店へ向かう。

「私、吉崎(よしざき) (かなで)。あなたは?」

「僕はうると……(うるい) (とおる)

 咄嗟に名前を聞かれたヴェルクはそう名乗った。

 喫茶店に着き、中に入る。

 席に座った徹は端正な顔立ちをした奏を見つめる。

「うん?」

「あ……いや、綺麗だなって思って」

 (ほお)を赤らめて湯気を出す奏。

「やめてよ。照れるでしょう?」

 それよりも——と、続ける奏。「好きなもの頼んでいいわ。私が奢りますよ」

「それはありがたい。僕、現金を持ち合わせてなかったから」

「潤さん」

「……?」

「潤さんはどうしてあそこに?」

「僕は、その、彼が怪獣を倒すところを間近で見たくてね」

「彼って、あの赤いウルトラマンのこと?」

「うん」

「そうなんだ? でも怖かったんじゃない?」

「そんなことないよ」

「まあ! (きも)が据わってるのね」

 奏が店員を呼ぶ。

 二人は飲み物を注文した。

 すぐに届く二人の飲み物。

「ねえ、潤さん」

「うん?」

「私、潤さんとは初めて会う気がしないんだけど」

「え?」

「私たち、昔どこかで会ってるんじゃない?」

 徹が以前に地球を訪れたのは百年前だ。

 奏とは会ったことはないはずだった。

「いや、僕はあなたとは初めてですが」

「そうかしら? もしかしたら前世で会ってたりしないかな?」

「僕は前世とか信じないんで」

「ああ、そうなんだ」

 奏はコーヒーを一口飲んだ。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。