その朝、眠りから覚めた奏は、まだ眠っている徹をそのままにし、警察署へ出勤した。
「おはようございます」
配属先の生活安全課で挨拶をする。
「おはようございます」
席に着く奏。
「吉崎さん!」
課長が奏を呼ぶ。
「相談者が受付に来てる。行ってくれ」
「はい」
奏が受付に移動すると、酷く怯えた状態の女性がいた。
「どうされたんですか?」
女性が十数枚の写真を渡してくる。
そこには女性の姿が写っている。
「これがポストに入ってたんです。ストーカーだと思います」
「それじゃあ、相談室に行きましょうか」
奏は女性を相談室に案内した。
「それじゃあ、まずあなたお名前を教えてもらえますか?」
「
「柿崎さん、ストーカーに遭い始めたのはいつからです?」
「ここ一ヶ月ってところです。毎日、無言電話がかかってきたり、手紙がポストに入ってて……」
「わかりました。それではこちらに必要事項を記入していただけますか?」
奏が書類を置く。
柿崎は書類に必要事項を記入した。
「では、捜査の方を進めさせていただきますね。あと、あなたのご自宅周辺に私服の警察官を配置させていただきます」
奏は書類を手に部屋へ戻る。
「課長、捜査に行ってきます。これ、受理しといて下さい」
奏は書類を課長のデスクに置く。
「猪俣、行くよ」
奏は新人の捜査員を連れて、柿崎の自宅を張り込む。
張り込みの結果、柿崎家のポストに封筒を入れる人物を特定した。
無言電話の犯人も電話会社の協力により、八重樫だと判明した。
八重樫の家へ赴き、彼を署に連行した。
取調で八重樫は犯行を認め、生活安全課は八重樫に警告を出した。
だが、八重樫は犯行を続けた。
結果、八重樫は何者かに殺されてしまう。
事件発生の報を受けた奏は遺体発見現場に向かう。
「八重樫ですか?」
捜査一課の刑事が奏に訊く。
「八重樫ですね。死因は?」
「詳しくは解剖待ちですが、恐らく失血死でしょうな」
ただ——と、刑事は続ける。「血を抜き取った痕跡がないんですよ」
「え?」
「少なくとも人間業には思えんですな」
「宇宙人の仕業、とでも?」
「私はそう思ってます」
奏は猪俣を連れて宇宙人街へ向かう。
ここは友好的な宇宙人たちが集う街だ。
この街では宇宙人に関する情報を入手することができる。
奏は情報屋に金を払い、血液を好む宇宙人たちをリストアップさせた。
「人間のおまわりさん、一体何を調べてるんです?」
「八重樫っていうストーカーが死んでね。体に傷をつけることなく血液を抜き取ることができる宇宙人がいないか探してるんです」
「見えない傷口を作るやつなら知ってますぜ」
「見えない傷?」
「ええ。キュレックス星人ですよ。ミクロサイズの管を標的に突き刺して血を吸い取るんです」
「どこにいるんですか?」
「渋谷で暗躍してるって噂ですぜ」
「渋谷ね。どうもありがとう」
奏と猪俣は渋谷に移動した。
通行人に声をかけて星人の写真を見せて回る。
星人の目撃情報はすぐに上がった。
二人は急いで目撃現場に向かう。
「いた」
目的の星人を見つけた。
「ちょっといい?」
星人に声をかける奏。
「あ?」
「八重樫って知ってる?」
その問いに慌てて逃げ出す星人。
「待て!」
二人は追いかける。
「先回りするわ!」
奏は先へ回り込み、猪俣と共に星人を挟み撃ちにする。
「くそ!」
星人は巨大化する。
我を忘れた星人は二人に向かってエネルギー光球を投げつけた。
もうダメ、そう思った刹那、ヴェルクが現れて二人を
「ぐあ! ああ!」
「ウルトラマンよ」
ヴェルクは立ち上がりざまに振り返り、星人に攻撃をしかけた。
怯む星人に拳を乱打する。
「トドメ!」
ヴェルクは星人を上空に蹴り上げ、必殺のスペシウムインパクトを放って粉砕した。
「シュワ!」
飛び立つヴェルク。
「被疑者死亡、ってとこかしらね」
奏と猪俣は署に戻って報告書を書くのであった。