その朝、目を覚ます徹。
洗面所へ行くと、奏が歯磨きをしていた。
「おはよう、潤さん」
「おはよう」
「今日休みだから、一緒にハローワーク行こう? お金稼がないと家探せないでしょ?」
「はろおわあく?」
「うん。お仕事の求人票があるところ」
「いいけど……」
「じゃあ決まりね。顔洗って支度してね」
歯磨きを終え、リビングへと移動する奏。
徹は顔を洗い、奏が買った歯ブラシで歯を磨き、彼女のいるリビングに移動する。
リビングでは、奏がニュースを見ていた。
「嘘……嘘よそんなの!」
「どうしたの?」
徹もテレビに目を向ける。
ニュースではウルトラマンヴェルクが街を破壊する映像が流れており、自衛隊がそれに応戦している。
(バカな! やつは一体!?)
だが、よく見ると目が吊り上っており、足の爪先が尖っている。
「潤さん、どう思う?」
「え!?」
不意に訊かれて驚く徹。
「どう思うって何が?」
「ニュースに映ってるウルトラマンよ。私、違和感を覚えるんだけど」
「ああ、そうだね……」
やつは偽物だ、そう言ってもよかったが、理由を訊かれると思い、答えるのをやめた徹。
奏がテレビの電源を落とした。
「行くよ」
徹は奏と共に近所のハローワークに向かう。
「ん?」
奏が何かに気づく。
「どうしたの?」
「後ろを見ずに走って」
「え?」
「いいから」
走り出す奏。
「待ってよ!」
追いかける徹。
すると、背後にいた偽ウルトラマンヴェルクが走り出す。
「こっち!」
奏は路地裏に入り込んだ。
徹も路地裏に駆け込む。
「隠れて!」
物陰に隠れる奏と徹。
路地裏に飛び込んでくる偽ヴェルク。
(あ! やつは……!)
「どこ行った?」
周囲を見渡す偽ヴェルクだが、二人の姿を見つけられなかった。
「ならばこうするか」
偽ヴェルクが巨大化して暴れはじめた。
逃げ惑う地上の人々と次々に破壊される建物。
そこへ自衛隊が駆けつけ、偽ヴェルクに応戦する。
だが、自衛隊の戦闘機は呆気なく撃墜されていった。
(くそ……! 俺を
徹は奏を見る。
(俺一人ならいいが、今は吉崎さんがいる……)
そう、徹は変身して戦いたいが、できないのだ。
偽ヴェルクの様子を窺っていると、向こうがこちらに気づいた。
「そんなところにいたか」
偽ヴェルクが光球を投げ飛ばした。
(やば!)
攻撃に巻き込まれ、吹っ飛ばされる徹と奏。
徹は奏を空中で抱き抱え、体勢を整えて着地する。
「逃げるよ!」
徹と奏は逃げ出す。
「待て待て待て待て!」
偽ヴェルクが追ってくる。
「お願い! 来て、ウルトラマン!」
叫ぶ奏。
だが、本物のヴェルクは未だに現れない。
そこに、偽ヴェルクの光球が飛来する。
地面に被弾し、爆風で吹っ飛ばされる二人。
その時、奏以外の周囲の時間が止まった。
「え?」
奏は墜落寸前で光に包まれる。
光の中で奏は、女性のウルトラ戦士に会う。
「あなたは?」
「私はテラン。あなた自身よ」
「私自身?」
「そう。私はあなたの中に眠る力。さあ、解き放つのよ!」
光の中で奏とテランが重なり、巨大化すると同時に、時間が動き出した。
「うん?」
動きを止める偽ヴェルク。
振り返るウルトラウーマンテラン。
「うお!」
墜落する徹。
「あれは?」
徹はテランを見上げた。
(吉崎さんがウルトラウーマン……)
「お!」
テランに踏み潰されそうになった徹が巨大な脚を避ける。
(ここにいるとやばいな)
徹はその場を離れ、テランの戦いを見物する。
テランが素早い動きで偽ヴェルクに攻撃を浴びせる。
偽ヴェルクは攻撃をいなし反撃する。
「きゃあ!」
バランスを崩して倒れるテラン。
偽ヴェルクがテランにのし掛かり、顔面を殴打しようとする。
テランは顔面への攻撃を首振りでかわす。
「はあ!」
テランは偽ヴェルクを蹴り上げてどかすと立ち上がる。
「あなたがウルトラマンじゃないのはわかってるわ。正体を現しなさい!」
「今日のところは引き下がろう」
偽ヴェルクは煙に包まれて消え去った。
テランのカラータイマーが点滅をしている。
「シュワッチ」
テランは飛び立ち、空の彼方へ消えた。
「潤さん!」
徹を捜しにやってくる奏。
「吉崎さん!」
徹の返答に気づいた奏が駆け寄ってくる。
「爆風で
「君が無事ならいいよ」
「なんか、とんでもないことになっちゃったね。これじゃハローワークに行っても意味ないね」
「帰る?」
「うん」
二人は帰路に就く。