血の軌跡   作:おいいいいい

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調査報告書

 

調査対象:エルド・アイゼンターク(以下“甲”と記載)

 

≪調査趣旨≫

七耀暦1206年4月1日にてトールズ第二分校で行われた、入学時実力テストで同敷地内にある小要塞の攻略が行われた際、甲により異常な能力すなわち“異能”と思われる物が確認されたことにより、甲と同じくトールズ第二分校≪Ⅶ組・特務課≫である元帝国軍情報局所属のアルティナ・オライオンからの要請で調査を開始した。

 

≪調査内容≫

まず、甲の経歴を調べてみたが孤児であることが判明、その為、七耀暦1205年1月より以前の情報は甲との接触なしでは調査不可能と判断、アルティナ・オライオンにより調査を継続する。

七耀暦1205年1月以降は、ネア=アイゼンタークに拾われ、帝都近郊の街道にある孤児院に引き取られ過ごす。

七耀暦1206年1月、同施設は街道に発生した魔獣の襲撃を受け壊滅。

同日、街道の魔獣駆除に出ていた部隊により発見。報告によれば生存者は甲以外に無く、ネア=アイゼンターク、甲を除いた孤児11名が死亡。

死体と周囲の状況を見るにかなりの抵抗が行われたのか、魔獣の死体でバリケードを作り入り口を塞いでいたが、内側に魔獣が入り込んだことにより全滅したとみられる。

その後は鉄道憲兵隊隊員であるアサリム=ガードマンに引き取られ今日まで過ごすことになる。

次に“異能”の力について、此方については経過観察が必要だと思われる。

先日の小要塞での出来事を考えるに、様々な推測は可能であるが推測の域を出ないため今回は記載をしないものとする。

またこの件に関しては、G・シュミット博士が興味を示しており、本人の意思を尊重した上で実験を行っていくとのこと。

 

 

帝国軍情報局所属レクター・アランドール

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「以上が、情報局で調べて得られたエルド・アイゼンタークの情報だ。」

 

と、赤毛の男レクタ―・アランドールはため息交じりに答える。

 

「しかし…これは。」

 

レクタ―の言葉にリィンが信じられない物を見るかのような表情になる。

その表情を見てレクタ―は先ほどよりも深いため息を吐いて続ける。

 

「ああ…まったくだ。こんなのじゃ情報局の面子丸潰れだぜ、やれやれ。」

 

「全く……ですか?」

 

「全くだ、エルド・アイゼンタークの1205年1月より前の情報は噂話とかも含めて入ってきていない。むしろそっちで知っていることがあれば教えてほしいくらいだ、なんならお得意の推理力で何とかしてくれてもいいんだぜ?」

 

レクタ―は笑みを浮かべながら対岸に座る、長めに伸ばした赤髪を後ろで束ねた男、ランドルフ・オルランドに話を振る。

オルランドは首を横に振りながら、溜息を吐き答える。

 

「そういうのは俺の十八番じゃないし、そもそも俺はエルドと話したことすらねーんだ、聞く相手がちげーだろ。」

 

「俺ですか?そうですね……。」

 

ランドルフに指され、リィンは考え込む。すると一つの情報に行きついた。

 

「そういえば……。」

 

「おっ、なんかあるのか?」

 

「えぇ…、さっきエルドが目覚めてすぐ彼にⅦ組に入る意思があるかどうか聞いたんですが。」

 

「それで?」

 

「その時自分を知りたいからとⅦ組に参加したんですけど、もう一つあって、()()()にも会えるからって言ってたのですが……。」

 

()()()か……。」

 

レクタ―は少し考え、今は考えても仕方ないと思ったのか、そのことはひとまず置いてオーレリアに向き直る。

 

「取り敢えず、そのことは置いておくとして、どうでしたか?博士の依頼で動かれたのでしょう?」

 

レクタ―が言わんとしていることはエルドの“異能”について。

オーレリアはあの時の熱を思い出すように微笑み応える。

 

「なかなか良い物だった。“異能”についても自分の意志で使えるようになったからな。」

 

「それでどのような物でしたか?」

 

「ああ、自らの血であらゆるものを創る能力らしい。」

 

「「「!!」」」

 

オーレリアが示した情報は“異能”の中でも更に特別の物であり、もはや特殊(スペシャル)ではなく異常(イレギュラー)であった。

しかし彼女はそんなことを気にしていないかのように愉快そうに笑う。

 

「それに腕もそれなりに立つ、数打ちの物とは言え、私の剣を折ったのだからな。」

 

続いたその言葉に全員が驚愕をあらわにした。

特にリィンはその言葉を信じられなかった。

リィンが目にしたエルドは明らかに戦闘の素人といった感じだった。

黄金の羅刹、オーレリア・ルグウィンの剣を折るなど生中な剣士では到底不可能であり、エルドが出来るとは思わなかったからだ。

 

(エルド……、君は…一体。)

 

現実で起きた矛盾に、リィンは自身の教え子に対して疑問が生じたのであった。

 




今回大変だったaa
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