対馬を蒙古から救ってたらこんな事になってました…。
「…兄弟というのは少し違うな。
そう言って考え込む俺ではない俺の顔をした何か。
その醜悪な笑顔で歪んだ顔は月明かりに照らされ、より醜悪さを増す。
「何者なんですか…貴方は…。」
先程から言う事を聞かない身体を無理やり動かし剣を構え、絞り出したかのような声で問いかける。
「ん?今言っただろ。私はお前だ、エルド・アイゼンタークそのものだ。」
「違う!俺がエルド・アイゼンタークです!貴方は偽物だ!」
「はぁ…なら聞くが、お前をお前足らしめているものは何だ、お前がエルド・アイゼンタークであるという証拠を示せ。」
そう問われた俺はすぐに答えることが出来なかった。
俺には俺自身の根源ともいえる過去の記憶がないからだ。
しかし、その中で最後まで残ったものがある。それを手に握りしめ答える。
「この力だ!この力は俺だけのもです!」
「はぁ……。」
俺の答えに頭を掻きながら溜息を吐き此方に近づいてくる。
剣の切っ先が相手の首元にわずかに触れ、血が流れだす。それを指で掬うのと同時に持っていた剣が何かに弾かれ、パシャリ、と音を立ててそこに血だまりを創る。
「それなら…これはどういう事だ?」
「っ…!」
そう言ったやつを見ると、下卑た笑みを浮かべ、俺が先程まで握っていた物と同じ赤黒い剣を手に切っ先を此方に向けていた。
「お前と同じ顔、声、身体、そして能力、これでもまだ私を偽物だと?」
俺は否定するための材料を全て排除され、最早どちらが本物で偽物なのか分からなくなっていた。
自分という存在が大きく揺らぎ足元から崩れていき、何か別の物に侵されていく感覚がする。
「それに……やはりというべきかなんというか、Ⅶ組の面々は連れてきてないみたいだな。」
「っ……!巻き込みたくなかっただけです。」
「いいや違うな。お前は無意識にあいつらを煩わしく思っているはずだ、自らの意志で決めたはずなのに良い様にしか利用されてないからな。」
「そんな事は…!」
「ならどうしてこの場所にⅦ組と共に来なかった?あの場を制してからここに来ることも可能だったはずだ。」
「それは…。」
奴の言葉にすぐに返すことが出来ず、言葉が詰まる。
奴の言う通り、本来なら敵か味方かも分からない誰かが待つ場所に向かうよりも、あの場を優先するべきなのだ。
しかし、俺はそれをしなかった。
理由は巻き込みたくなかったから、確かに博士のデータ取りや、学院や、情報局の聴収などに煩わしい気持ちがないとは言えなかったが、それでも一人で来たのはきっと、彼らを思っての事だ。
「……私たちは
奴は一拍置いてから、先ほどできた血だまりに向かい、地面に広がる血だまりを指で掬いながらそう呟く、その顔はどことなく寂しげで、同時に憐れんでいるようにも見えた。
「何が言いたいんですか……。」
そう尋ねると先ほどの表情から一転して「フンッ」と鼻で笑い答える。
「要は私達は脚本に組み込まれることのない
「……だから殺すと。」
「まぁそう言う事だ。」
奴はやれやれと言った様子でため息を吐きつつ答える。
「それで貴方の目的はなんなんですか?」
今までの会話で奴が何かしらの組織、もっと言えば結社かそれに類似する何かと協力関係に有るのは明らかで、その組織の目的も分かったが、肝心のやつ自身の目的が分からなかった。
「目的か…最終的には奴らと同じだ。」
「最終的に、とはどういう事ですか?」
「今日は殺さないという事だ。」
「まるで、何時でも殺せるみたいな物言いですね。」
奴のまるで此方を舐め切ったような言葉に怒りを露わにするが奴はさも当然の様に告げる。
「あぁ、今のお前なら何時でも殺せる。だが、それではつまらない。」
「だから成長する迄待つと…随分と舐められた物ですね。貴方の方がやられるかもしれないのに。」
「やってみるか?」
「いいでしょう。」
互いに相手を見据え距離を取る、5アージュ程距離が空いた所で止まり、闘気を高め半身の姿勢になり何時でも武器を創れる様にナイフを左手に構える。
奴も手に持っていた剣を消して、左手に俺と同じようにナイフを構える。
そうして辺りが静寂に包まれ聴こえるのは風の吹く音のみ、風に揺られた葉がゆらゆらと互いの視線を切り、地面に落ちる。
その瞬間、互いにナイフで右手首を薄く切り、闘う為の祈りを唱える。
「「剣よ!!」」
人物関係とか微妙に間違ってたりして無いですよね?
大丈夫ですよね?