血の軌跡   作:おいいいいい

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俺たちは情報を集めるためにセントアークに来ていた。

というのもフィーさんが何やら心当たりがあるらしく、遊撃士教会の支部として利用している場所にに案内されていた。

中には導力機が置かれており、フィーさんがカチャカチャと操作すると、導力機が起動しモニターに人物が映し出された。

 

『よっ、久しぶりだなリィン。元気してたか?』

 

「トヴァルさん…!お久しぶりです。」

 

通信に出たのはトヴァルさんという人らしく、彼は遊撃士で教官達とも知り合いらしかった。

 

『おっと、そっちの奴は?リィンの生徒か?』

 

「はい。エルド・アイゼンタークです。よろしくお願いします。」

 

俺が挨拶をするとトヴァルさんは少し困ったような表情で答えた。

 

『あー…リィン、こう言っちゃぁなんだが、エルドは実力はあるのか?正直言ってそこまであるとは思わないんだが…。』

 

「正直俺も不安ですが、最悪ヴァリマールでエルドだけ逃がすようにします。」

 

『そうか…』

 

トヴァルさんの問いに冷静に教官が応える。

しかし、その手を強く握りしめていたのが見えた、本当は連れて行きたくないのだろう。

 

それからトヴァルさんと結社の情報と行動に対する推測を互いに共有した結果、どこかに拠点があるのではとの結論になった。

その後同じく遊撃士のアガットさんが合流し、最終的に正規軍側の情報は知っておきたいとの事で、エリオットさんのお父さんがいるというドレックノール要塞に向かう事となった。

道中、アガットさんが持ってきた手配魔獣の情報をもとに余裕があれば討伐していく流れになったところでフィーさんが切り出してきた。

 

「ねぇ、エルド。」

 

「はい、何ですか?」

 

「さっき、トヴァルも行ってたけどエルドはどのくらいできるの?」

 

「えっ…と。」

 

フィーさんの言葉に思わず言葉が詰まる。

思えば、ここに来てからの戦いそのほとんどが負けているか、気を失っているかだ。

実際自分がどのくらい出来るのかは分からない。

そう思い考え込んでいると、教官が救いの手を差し出してくれる。

 

「その気になれば前衛も後衛も行けるだろう。でも、今回は戦わせない方向で行こうと思うんだ。」

 

「リィンのその考えは分かる。でも、危なくなった時自衛出来るぐらいの実力がないと困る。」

 

二人の意見はどちらも否定できるようなものではないだろう、教官は『生徒』として俺を見ているため、出来るだけ怪我をさせたくないのだろう。

その事は先ほどの、ユウナたちに対する態度で分かる。

一方でフィーさんは形はどうあれ、同じ任務にあたる『仲間』として俺を見ている。

その為、俺がどこまでできるか知りたいのだろう。もし俺が下手をすればその場で全滅という事もあり得るのだから。

そんな二人の想いを受けて、ラウラさんが一つの提案を出す。

 

「それならばフィーが直接確かめてみてはどうだ?」

 

「しかしだな…。」

 

「リィン、危険から遠ざけるだけが守るという事ではないだろう。時には試練を与え成長させることも大事だろう。」

 

結局ラウラさんの言葉に教官が折れ、俺はフィーさんと模擬戦を行う事になった。

 

「ん。ここならちょうどいいかな。」

 

街道から横にそれたちょっとした広場で俺とフィーさんは向かい合っていた。

 

「じゃぁ始めるよ。」

 

そう端的に言うと双銃剣を構え突撃してくる。

その速さは凄まじく、武器を創り出すより前に、俺の眼前に拳銃に着いた短い刃が見えた。

寸でのところでそれを回避するが、すぐに放たれた弾丸が迫りそれを横にローリングしながら回避して、そのまま剣を創り出す。

 

「へぇ、昨日はあんまりじっくり見れなかったけど、便利だね。」

 

そう言うとフィーさんは銃弾をまき散らしながら再び突撃をしてくる。

それを見た俺はすぐさま大楯を創り出し銃弾を防ぎながら、フィーさんが盾を搔い潜り突きを繰り出してくるタイミングで、俺は大楯を思いっきり押し出す。

俗にいうシールドバッシュである。

自分でも見様見真似でやったものの、ここまできれいに決まると少し驚いてしまう。

フィーさんも流石に堪えたのか、迫っていた銃剣が地面に落ちていく。

此処がチャンスと右手に握った剣をそのまま突き出す。

しかし、フィーさんは衝撃を最大限逃がしており、武器がなくなったその手で盾の上部を掴みそのまま上に跳躍し避けられてしまった。

 

「なかなか面倒だね。」

 

全くそう思ってなさそうな口調で言うとフィーさんの手から何かが投げられた。

それは手榴弾、しかもフィーさんの銃口はそれを追っている。

すぐさままずいと思い、大楯を前面に出し盾に身を隠す。次の瞬間には手榴弾は爆発し、あたりは砂煙に包まれる。

 

「これでチェックメイト。だね。」

 

視界が明けると、背後から銃口を頭に突き付けられていた。

 

「まだです。」

 

「!?」

 

俺が見せつけるように切傷を見せる。

そこから流れ出る血液は確かに地面に届いていた。

次に起こることを察して思いっきりバックステップをする挙動に入るしかし、それでは僅かに遅い。

すぐに先ほどまで俺が持っていた剣よりも二回りほど大きい剣が出現し、フィーさんが構えていた双銃剣の片方が大きく上に弾き飛ばされる。

大きな隙が出来る。

いま彼女が失くしたのは左手に持っていた銃剣。

つまり今彼女の左手側は何もない、そう判断した俺は巨剣の裏から左手を取れるように動き出す。

 

これで決まりだ。

 

そう思い剣を振るうがそれが当たることはなかった。

フィーさんは弾かれた衝撃のまま俺を超えるように横に跳び、一瞬で背後を取ると一瞬のうちに俺を拘束したのだ。

 

「参りました。」

 

武装を解除しつつ、両手を上げて言うとフィーさんも俺を図り終えたようで小さく頷き武器をしまう。

 

「それで?どうだったのだ?」

 

「ん。悪くない。」

 

それを聞いて俺は少しほっとする。

どうやらお眼鏡にはかなったみたいで、彼女が言うには守りと逃げに徹してれば問題ないとのことだ。

しかし、一つ問題が残る。

 

「それで、どのくらいまで創り出すことが出来るの?」

 

そう、俺の能力には限界がある。

俺の創り出す剣や盾は言うなれば、自分の血を固めて創り上げている物であり、それを飛び散った血を起点に出現させているだけなのだ。

アンリは明らかに人間が持っていていい量の血液を超えていた数の剣を創り上げていたが、俺はそんなことはできない。

せいぜいできて剣だけなら30といったところだ。

 

「限界は創り出す物の大きさに比例します。さっき出したような直剣なら30ぐらいですね。」

 

「どれくらい長く出せるの?」

 

「よくわかりません。」

 

「どういうこと?」

 

フィーさんが小首をかしげ聞いてくるのに対し、俺は見てもらった方が早いと剣を創り出す。

 

「これに思いっきり攻撃してみてください。」

 

「?わかった。」

 

そう言って彼女は銃剣の刃を思いっきり俺の持っている剣に打ち付ける。

すると俺の持つ剣の刃が欠けたかと思うと、すぐにその形を保てず只の血に戻る。

 

「今見てもらったように何かが欠損したり壊れたりした場合姿を保てなくなります。」

 

これは他のあらゆる武器を創り出しても同じことだった、そしてこれこそが俺が銃を創り出さない理由になる。

というのも能力を使う上での最も有効な戦法は何かと考えて銃を使う戦法を考えていたが、銃は言うなれば都度マガジンから弾を送ってそれを打ち出しているため、能力で創る銃はマガジンを含めての事でありそのマガジンも弾がフルで入っている状態が完全な状態とみなされているらしく、『一発撃ってしまえばそれで終わり』になってしまう。

 

そんな事を模擬戦後に説明しながら目的地に向かっているとドレックノール要塞が見えてきた。

そこではまたもや、教官の学生時代の知り合いに会えたり、エリオットさんの父親であるクレイグ将軍からとある許可証をもらい俺たちはサザーラントにおけるもう一人の最高責任者であるハイアームズ侯爵閣下の元へと向かうのだった。

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