「えっと…冗談だよね?」
ピンク髪の女子が信じられないように尋ねてくる。
周りを見てみるとみんながみんな同じような顔をしていた。そんなにおかしいことだったんだろうか少なくとも今までの人生で≪灰色の騎士≫なんてものは聞いたことがなかった。
「はは…その様子じゃ冗談じゃぁなさそうだな。改めて、君たちの担任教官のリィン・シュバルツァーだまだまだ新米だけどよろしく頼む。」
「こちらこそよろしくお願いします。エルド・アイゼンタークです。それで…。」
「クルト・ヴァンダール。帝都ヘイムダルの出身です。」
「ユウナ・クロフォード。クロスベル警察学校の出身です。正直よろしくしたくないけど…そうも行かないのでよろしく!」
俺がみんなの方を見ると続けて自己紹介を行い。残るはなにやら教官と既知の仲であるだろう幼女だけになった。
「最後は私ですね。アルティナ・オライオン帝国軍情報局の所属でした。」
「「!?」」
「一応ここに入学した時点で、所属を外れた事になっています。どうかお気になさらず。」
どうやら政府側の人間だったようだ、多分教官が政府の手伝いをしたときに知り合ったのだろう。
「…聞き捨てならないことを聞いた気がしたんだが。」
「情報局って、噂に聞いた…って、それより事になってるってなによ!?」
「失礼、噛みました。」
いや、噛んでないと思う。
「それより、そろそろ準備しなくていいんですか?」
俺がそういった直後に頭上からセッティングが完了したことを告げるアナウンスが流れた。
その後教官からARCUSⅡの説明を受け、もらったマスタークオーツをARCUSⅡにセットした。
すると、みんなの体から仄かな光が発せられた。
「わわっ…。」
「これが…。」
「マスタークオーツが装着されることでARCUSⅡが所持者と同期した。これで身体能力も強化され、アーツも使えるようになった筈だ…ってエルド、なんで同期してないんだ?」
リィン教官がそう尋ねてくるが自分でもわからない。自分もみんなと同じようにセットしたはずなのになぜだか同期することなく、何も起こらなかった。
「故障か?博士に見てもらおう。」
「フン、問題ないそのまま続行する。」
「しかし!」
「貴様がその分努力すればいいだけの話だ。」
「っ!」
「それでは見せてもらうぞ。≪Ⅶ組・特務課≫とやら。この試験区画を、基準点以上でクリアできるかどうかを―――!」
「!みんな足元に気をつけろ!」
教官がそういうと足元の床がガコンッ!と下に抜け俺たちはそのまま下に落とされていった。