中に入ってみるとちょっとした迷宮のようになっており、比較的簡単な作りになっていたため、迷わずに先に進めることができていた。
また、魔獣が出現していなかったこともあり、少しばかり警戒が緩んでいた、その状態のまま皆が『なんだ案外楽じゃん』と思いつつ進んでいると先頭を進んでいたリィン教官が突然立ち止まった。そのおかげで教官の後ろを歩いていた俺はそのまま教官にぶつかりかけた。そのことを抗議しようとすると人差し指を立て静かにするように指示した。
「静かに…みんな、止まれ。」
その言葉に従い教官が見据えている方を見ると、兎のような鼠のような魔獣が二匹ほどうろついていた。
「……早速現れたか。」
クルトの一言をきっかけにさっきまで弛緩していた空気が引き締まり皆が教官の指示を仰ごうと教官を見る
「リィン教官、指示をお願いします。」
「そうだな…まずは現時点での戦力を確かめておきたい。―――各自、戦闘準備を!」
その指示を聞いて各自、自分の武装を取り出す。一応俺もナイフを構えた。
「ほんとにこの娘と、エルド君を戦わせて大丈夫なんですか!?」
「……?特に問題は感じませんが。」
「あはは…。」
ユウナの当然な疑問にアルティナは当然のように答えるが。俺は苦笑いを浮かべるしかなかった。
その様子を見て教官はいまだこちらに気づいていない魔獣を見据え答えた。
「大丈夫だ、俺もサポートする。このまま仕掛ける。君たちも気を引き締めてくれ!いくぞ!」
ユウナはどことなく納得していなかったが、その一言を切っ掛けに戦闘が始まった。
まず教官とクルトが速攻を仕掛け魔獣の背後から攻撃を仕掛けるが、さすが獣というべきか足音でそのことに気づき、二人の攻撃を躱し、背後に回ると攻撃をしようとする。クルトは魔獣が素早いこともあり反応が少し遅れたが教官はそのまま回転し、とびかかってくる魔獣に対しカウンター気味に斬撃を浴びせた。斬られた魔獣は吹っ飛んで地面を転がり壁に激突する。そこにアルティナがクラウ=ソラスによる追撃を浴びせそれで息絶えたのか、動かなくなった。
クルトの方にいた魔獣はクルトが反撃をもらう前にユウナが銃撃を放ち、そのことによって魔獣はバックステップで距離を取る、その様子を見て俺は魔獣の背後に回りナイフを突き立てた。しかし、行動が遅かったのか、感づかれ噛みちぎろうと攻撃を仕掛けてくるが一瞬俺の方が早かったため、俺のナイフが先に魔獣の首に突き刺さった、魔獣は息絶え動かなくなった。
怪我をすることはなかったが、もう少しで大けがになっていたと思うと腰が抜け、地面に尻もちをついてしまう。
「エルド、怪我はないか?」
教官が尻もちをついていた俺に手を差し出す。
おれはその手を掴んで立ち上がると怪我はないことを告げた。
「みんなも、怪我はないな?」
「……ええ、問題はありませんが…。」
チラッとアルティナを見るクルト、あんな綺麗な連携を見たのだその気持ちもわかる。ユウナもアルティナがここまで戦えるとは思っていなかったのかアルティナの方を見ていた。
「まぁ、アルティナはともかくクルト、ユウナ二人とも実線は問題なさそうだな。」
「……まぁ、魔獣の手応えもそこまででは無さそうですし大丈夫です。それよりも…。」
「あぁ…そうだな。エルド。」
「は、はい?」
さっきまでアルティナに向いていた視線が全て自分に集まったことによって少し動揺してしまった。
「エルド、先ほどの判断はよかった。」
「あ、ありがとうございます…?」
「だが、君は自身の武装を考えて行動をするべきだ。さっきは怪我無く魔獣を倒すことができたがいつでもそうできるとは限らない。それに失敗したらどうなっていたか分からないわけじゃないだろう?」
教官の指摘が正論過ぎて、ぐうの音も出ない…。
でもしょうがないんだ…。アーツもちゃんとした武装も無く使えるのはこのナイフだけだったんだから。
その後、教官がそれぞれの総評を言ったのちに探索再開となり、俺は魔獣との直接戦闘は禁止された。まぁしょうがないよね。
探索を再開してしばらくたった後、行き止まりの様な部屋にたどり着いた。
よく部屋を見渡してみると外に続いていそうな道があり、しばらく歩き回って疲れていた俺は安堵の溜息を吐く。
「やっとおわ…。」
思いっきり伸びをしようとしたとき、背後からなにか音が聞こえ、振り返ってみると先ほどまでは何もなかった場所に時空の歪みのようなものが現れていた。
『み、皆さん、逃げてくださいっ!』
そう慌てたアナウンスが流れると同時に、巨大な何かが時空の歪みのようなものの中から出てきた。それは立ち上がると全長5,6アージュはある鋼鉄の人形だった。
初戦闘シーン…戦闘描写って難しいね…