「ほう……それが…。」
「ええ…、御蔭で一矢報いることができました。」
そう言って構えを解くと、パシャリと音が鳴り、剣はその形を崩し血を地面にぶちまける。
そして零れた血が
「どうやら、俺の能力は
「だけど、前に見たとき剣は地面から……。」
ユウナの問いに頷いてさらに続ける。
「ええ、恐らくですが、自分の血が在る場所にしか創れないんでしょう。」
「どういう……?」
「つまり――。」
そう言って、俺は左に持っていた折れた剣の刃を自身の右手首に当てる。
すると手首からは血が零れ出し、その血を地面に一滴垂らし呟くと、血が付いた場所から剣が出現する。
「――こういう事です。」
その光景に誰もが息をのむが、分校長だけは愉快そうに笑っていた。
「恐らくですが、俺の異能は、自身の血を外界に出すことが発動の条件なんでしょう。そして、自分の血が付いた所からしか創ることは出来ないようです。」
「それはどれ程もつのだ?」
「現状では長時間は使用できないかと、一分程度でしょうか。」
分校長の問いに簡潔に答え、分校長に向き直り礼を言う。
「分校長、有難うございました。御蔭で自分の事が少し理解できました。」
「気にするな。私も良い物が見れた。それに礼を言うのはまだ早いぞ?アイゼンターク。」
そう言って分校長は腰に差している自らの獲物を取り出す。
それを見て思わず口角が上がっているのを自覚する。
理性がここから先は踏み込んではならないと告げている、ここから先に行けば戻ってこれないと。
「試したいのだろう?」
「よくわかりましたね。」
「なに、そんな目で見られれば読んでくださいと言ってるようなものだ。」
分校長が軽く剣を振るうと凄まじいほどの闘気が溢れ、俺の肌をビリビリと刺す。
自分でも分かっている、相手が格上なことも、これが必要ない闘争だということも。
「
「っ……!」
「
でも、こんな物を前にして我慢などできるわけがない。だって――――。
「いくぞ、雛鳥!凌いで見せろ!!」
「――剣よ!!」
――こんなにも身体が闘争を求めているんだから。
互いの剣が交わり、訓練室にぶつかり合う音が響く。
その音が互いの剣戟の重さを物語っている。
その剣戟も一合、二合とその数を増していく。
「随分と腕を上げたものだな。先程とはまるで別人だぞ?」
「ええ、剣が教えてくれますので。そういうものではないですか?」
「フフ、剣に振られている、という事か?」
互いに皮肉を言いながら、距離を取る。
両方ともに、相手を見据え予断無く構えているが、先に動いたのはエルドだった。
彼が放ったその突きは常人であれば、それだけで仕合が終わるような物であったが、オーレリアは剣の腹で受け流しそのまま斬撃を繰り出す。
それを避けられないと悟ったエルドは、空いている方の手に剣を創りだし、受け止める。
「忍ばせていたか。まぁいい、不出来な剣が増えただけだ。」
「その不出来な剣に随分と攻めあぐねているみたいですね?」
「ハハハ!!面白いことを言うものだ。ならば――、更に上げていくぞ?」
「っ……!!」
オーレリアがその言葉と共に、さらに闘気を高める。
実際のところ、エルドは限界だった。
起きてまだ、数時間しかたっていないことや、先ほどまで何度も打たれていたことも相まって疲労はピークであったが、何よりも技量の差が歴然であった。
先ほどまでの攻防も、なんとかギリギリ追えていただけでしかない。
「ほら、しかと受け止めるのだぞ?」
「グ……!!」
突如、目の前に現れた彼女から放たれた、上段から振り下ろされた刃を、剣を交差させ受け止めるが、それは今までの物がお遊びだと感じるほど鋭く、重い、エルドは思わず体制を崩してしまい、すぐさま攻撃に移れない。
しかしオーレリアは止まらない、彼女はすぐさま剣を横薙ぎに振るう。
「まずっ……!!」
「なかなかに楽しかったぞ。だが、残念だ。」
エルドは横薙ぎの攻撃に反応することが出来ず、何とか剣で防ぐも後ろに大きく吹き飛ばされる。
オーレリアはすぐさま距離を縮め、最後の言葉と共に一撃を放つ。
「
その一言を最後に、エルド・アイゼンタークは意識を刈り取られていた。
身体は闘争を求める。