ロストラグナロクIF 逃避行に願いをのせて   作:宿木ミル

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共同作業

「ここの枝を切っていいんだよね」

「その一つ上に魔力が集まっていますので、そちらをお願いします」

「わかったっ」

 

 成長の妨げになっている魔力を竹から取り除く。

 それが丈の成長に繋がる作業だ。

 流れさえ安定してしまえば、あとは私の力でどうにでもなる。

 私は竹の調子を確認しながら、魔力が集まっている悪い部分を指摘する。

 そして、ツリーズが高台を利用して枝を取り除いていく。

 私よりも、作業量はツリーズの方が多い。

 それでも、彼女は根気よく頑張っている。

 

「竹に調子は良くなってる? 大丈夫そう?」

 

 声をかけては、竹の心配をする。

 

「問題ないです。魔力は少しずつ抜けていっていますから」

「わかった、この竹が良くなるまで、まだまだ頑張る! で、次。ここ大丈夫?」

「その隣の枝が魔力を貯めこんでいます」

「そっち、切るね!」

「わかりました」

 

 丁寧に、声をかけて作業が進んでいく。

 

「私一人じゃ力になれなかったから、ミストルティンのお陰で頑張れてる!」

 

 何故か報告もしてくれた。

 

「私はただ、悪いところを教えているだけにすぎませんよ」

「でも、動けるだけでも嬉しいから! ここ大丈夫?」

「はい、そこもお願いします」

 

 褒めながら作業を彼女が進める。

 ……求められているのは、嬉しい。

 信頼されているのも、気持ちとして嬉しい。

 けれども、こんな求められていていいのだろうか。

 少しだけ、不安になる。

 

「あとどれくらい?」

「四、五か所を終わらせたら正しい形で成長させられそうです」

「わかった、教えて!」

 

 私が不安に感じていても、彼女は前向きに動いていた。

 

「……もう少し、上の方の枝に魔力が集まっています」

 

 だったら、せめて気持ちには答えたい。

 そう思って彼女の手助けに徹した。

 

 

 

 

 

 

 数時間が経過して、竹から魔力を取り除く作業が完了した。

 日は落ちて、もう夕暮れ時。

 集中していたことに今となって気が付く。

 ツリーズは疲れ切った表情で、それでもやりきったといった雰囲気を見せていた。

 彼女は私を信頼して、頑張ってくれていた。

 その信頼には答えたかったのだ。

 

「後は、やること、ある?」

「大丈夫です、仕上げは私が行いますから」

 

 ここで失敗するわけにはいかない。

 もう一度、竹に触れて様子を確認する。

 ……もう大丈夫そうだ。

 しっかりとした形で、成長させられる。

 魔力を込めて、目を瞑り、ドリュアスの力で成長を促す。

 

「おぉ……!」

 

 竹に無理をさせないように、成長させる。

 そして、鮮やかな緑色をした立派な竹へと変貌させることができた。

 ……成功した。

 

「やったっ!」

 

 さっきまでの疲れを忘れたかのように、ツリーズが走り寄ってきて、両手を合わせることを求めてきた。

 

「……これは?」

「成功のハイタッチっ」

「私がこんなことをしても、いいのでしょうか……」

「いいの、協力し合えたから竹は成長できた。それに、一緒にいてくれたから、こういう喜びも共有できた。それで、いいじゃないっ」

「しかし……」

「これで助かった人がいるなら、行動した意味があったってことだから」

 

 強引に両手を押し付けて、ハイタッチの形になった。

 これでよかったかはわからない。

 けれども、お年寄りの人も、子供も驚きながら凄いと言葉にしてくれていたので、きっとよかったのかもしれない。そう、信じることにした。

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