元の世界を去って、3ヵ月が経とうとしている。
この世界でも、私の怒りは収まらなかった。
白い服を着た人間が、嫌いになりかけていた。
…そういえば、新たな出会いがあった。
1匹の、狐。女の子だった。
出会いは単純だ。
私が白い服の人間を殺していた時、偶然出会った。
彼女は人々から“祟り狐”と呼ばれていた。
私と違い、暴走したままの状態であった彼女をどうにか鎮め、話を聞いた。
彼女曰く…
[自分の大切な人を殺した白い服の人間が憎い]
だそうだ。
同じだった。
白い服の人間といっても、その実態は違ったが。
大切な人を殺された。この観点に関しては同じだった。
先程も言ったが、白い服の人間といっても私と彼女では憎しみの対象が違う。
私が憎い白い服の人間は“研究員”だ。あの研究所にいた、白い服の人間は研究員。そう、どこかで聞いた。
対して、彼女が憎いのは“神主”。神社等にいる白い服の人間だ。
ただ、私の場合白い服の人間を片っ端から殺してた覚えがあるわけで。
…ううん。何とも言えない表情になってしまった。
結局、私はこの世界でも破壊を繰り返している。
ちなみに、それによって私に付いた名が“祟り巫女”であった。
[祟り狐あるところに祟り巫女あり]などと言われているそうだ。
解せぬ。
彼女の力はすさまじかった。
“妖狐”と呼ばれる存在らしい彼女は、
それだけでなく、体術も優れていた。
霊魂である私とは違い、彼女は狐からそのまま妖狐となっている。
彼女が白い服を着ていたことで、一度戦闘になったことがあったが、一撃一撃が非常に重かった。
私は体術面は弱い方だ。
だから、距離をとって攻撃術を放つしかなかった。
結局、その時の決着はつかず。
軽く正気に戻った彼女から事情と正体を説明されて私の怒りは収まり。
それがあった後は、普通に話していた。
元の世界を去ってから5ヶ月が経った頃、事態が動いた。
彼女が封印されたのだ。
この世界には、退魔師という存在がいた。
その退魔師も、被害を多く出したようだが、祟り狐と呼ばれていた彼女を封印したそうだ。
だが、私に彼女のことを気にしている余裕はなかった。
退魔師達の次の狙いは、祟り巫女と呼ばれていた私だった。
私は、どうにかしてその追っ手を振り切った。
…多少、白い服の人間がいたために殺したが。
いつの間にか、私は彼女が封印されている場所にいた。
私がその封印に触れると、彼女の思いが伝わってきた。
[封印は解かないで。自分が悪いことをした自覚はあるから。あなたはどうか…逃げてほしい。]
私は彼女の言うとおりにした。
その時、なぜ私が祟り巫女と言われているのかを彼女に聞いた。
彼女は答えた。
[それはあなたが祟りを放っているから。]
私自身はそんな自覚はなかった。でも、彼女が言うには、私にも祟りが纏わりついているらしい。
私はそれを聞いてすぐにその場を離れた。
彼女は祟りと共にいないほうがいい。
祟りが近くにあれば、彼女の心が壊されてしまう。
彼女が放っていた祟りのように、彼女の優しい心を。
そう、思ったからだ。
その後、私は世界を越えた。
それから私は、いくつもの世界を旅した。
その全てにおいて、私は追われる身になったが。
祟り狐と呼ばれた狐がいた世界を去って、4ヵ月が経った。
私が世界を越えると、見たことのある場所に放りだされた。
亡霊「ここは…」
周囲を探ると、私の力の反応があった。
それによって理解した。
ここは元の世界。そしてこの場所は……
亡霊「“約束の場所”…」
もう戻らないと思っていたこの世界に。
9ヵ月の時を経て。
偶然、戻ってきてしまった。
それに気づいた直後、足音がした。
私は警戒心を強めた。
この世界はもともと異端を排除していた世界。
以前私が潰したとはいえ、また同じようなことになっている可能性があった。
足音が止まった。
私は相手の姿を見た。
黒い髪に黒い眼。
白い、巫女服を着こんだ少女。
首から、3つの鍵と、紫色の宝石を下げている。
?「貴女は…そうですか。」
謎の少女と、出会った。
謎の少女。さて、一体誰でしょう。