亡霊のお話   作:Luly

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そういえばこちらの更新忘れてました。…実際更新したくないのが私だったといえばそうなのですが。


第四話 変動

 

 

 

事態は次の日に起こった。

 

ピンポーン…

 

美恵「お客さん…?は~い。」

 

美恵が玄関に走っていった。

 

カシャン

 

唐突に何かが割れるような音が聞こえた。玄関の方からだ。

 

亡霊「…美恵?」

 

嫌な予感がして玄関に走った。

 

亡霊「美恵…っ!?」

 

美恵「…──…─…」

 

目の前の状況を理解しにくかった。美恵が、青く特徴的な服の、顔に鬼の刺青がある男につかまって…

 

?「…?っ!異端者だ、捕まえろぉ!」

 

男の声を聴いたとたん、すべてを理解した。同時に男の影から複数の人影が飛び出す。その数5。

 

亡霊「っ!ちか…よるなぁっ!!」

 

左手を振ったとたん、(いかずち)が人影を襲った。

 

人影「「「「「ぐあぁぁぁっ!!」」」」」

 

?「異端者の上、異質者だとっ!?世界総合法第6条、“異質者はその場で捕縛せよ”により、貴様の身柄を…」

 

亡霊「そんな話を聞くかぁ!!」

 

地面に手をつき、揺れを起こし、美恵と男を隔離した。

 

亡霊「美恵、逃げるよ!」

 

美恵「…」

 

亡霊「美恵っ!」

 

美恵「っ!う、うん!」

 

その場で風を起こし、私達はその場から姿を消した。

 

?「…異端者共め…」

 

 

 

どれくらい飛んだだろうか。

 

美恵の家から長い距離を飛んだ気がする。

 

飛んだ先の岩山の中に洞窟を見つけ、そこの入り口に着地する。

 

亡霊「安全…かな?」

 

私は私たちを覆っていた風の防壁を解除しようとした。

 

美恵「待って。」

 

そんな時、美恵から声がかかった。

 

美恵「ここで風の防壁を解除しないで。この洞窟の…奥のほうまで行って。」

 

美恵の言うとおりに洞窟の奥の方まで行った。

 

美恵「風の防壁を解除して…私を下ろして。」

 

言われる通り美恵を下ろした。

 

美恵「…“気配遮断”。“証拠隠滅”。“周波遮断”…」

 

美恵が震える声で唱えると、洞窟の奥の方にだけ防壁のようなものが張られた。

 

美恵「こうすれば…少しの間は、大丈…夫…」

 

そう言うとそのまま崩れ落ちた。

 

美恵「…」

 

美恵の体が震えていた。私はそっと美恵の手に自分の手を重ねる。

 

美恵「っ…ありがとう、───…」

 

亡霊「私は何もしてないよ…」

 

美恵「そんなことない。───がいなかったら、今私はここにいないもん…」

 

そこで一端会話は途切れた。

 

美恵「…今日来た人…」

 

亡霊「そういえば…あいつらは…?」

 

美恵「あぁ、知らないんだっけ。あの人は…世界統一省の役人…だよ…」

 

亡霊「世界統一省…」

 

美恵「うん…そして…私のおばあちゃんを殺した男…だと思う…」

 

亡霊「え…」

 

私は驚きの声しか出せなかった。

 

美恵「昨日、お母さんは普通だった、って話したよね。」

 

亡霊「うん…」

 

美恵「でも…おばあちゃんは私と同じアルビノだったんだって…」

 

亡霊「アルビノ?」

 

初めて聞く単語に聞き返した。

 

美恵「あれ、説明しなかったっけ?私みたいな白い髪に赤い眼を持つ人の事。人以外にもアルビノはいるけどね。」

 

亡霊「へぇ…」

 

美恵「で、おばあちゃん…私が生まれる前に殺されたんだって…」

 

亡霊「…もしかして…」

 

美恵「多分、───の考えている通り。異端者だから。」

 

亡霊「そんな…」

 

美恵「お母さんの話だとね…青い服で顔に鬼の刺青がある男に刺された後…おばあちゃん、亡くなる前にこう言ったんだって。[こんなことを続けていたら、いずれ罰が当たるよ!!]って。何でそんなことを言ったんだろう、ってお母さんに聞いたら、私のひいおばあちゃんが異質者だったみたいで。亡くなる前にこう言ったんだって。[世界を支配する者はいずれ、強き悲しみによって打ち砕かれるであろう。空は荒れ狂い、地は焦土と化す。その地は草木の生えぬ死の地となるであろう。世界を支配する者は(いかずち)に打たれ、絶える運命となるであろう]、ってね。私もお母さんも意味わかんなかったけど…」

 

亡霊「…わかんない…」

 

美恵「おんなじだね。」

 

会話が止まった。

 

美恵「…ごめん、ちょっと寄りかからせて…」

 

私が答える前に、美恵は私の肩に寄りかかってきた。

 

美恵「…どうしよう。カモフラージュももう効かない…私は…どうすればいいんだろう…」

 

亡霊「…」

 

私はかける言葉が見つからなかった。

 

美恵「…家に…帰りたいよぉ…」

 

亡霊「…」

 

美恵「思い出の…あの家に…」

 

亡霊「家…」

 

美恵「思い出の…あの場所に…もう一度…」

 

ここで一瞬引っ掛かりを覚えた。

 

亡霊「…あの場所…?」

 

美恵「…“あの場所”っていうのは…───と初めて会った場所だよ…」

 

亡霊「え…」

 

美恵「あの場所はね…元々、私のおばあちゃんが住んでた家があった場所なんだよ…」

 

亡霊「そうだったの…!?」

 

道理であそこだけ空き地になっているわけである。

 

美恵「うん…あの日は丁度、おばあちゃんの誕生日で…私の誕生日でもあったから。」

 

亡霊「え…」

 

美恵「毎年誕生日にはあそこに行ってるの。お母さんが生きてた頃も同じことをしてたから。」

 

亡霊「…ね、美恵。」

 

美恵「?」

 

亡霊「その場所…私達の“約束の場所”にしない?」

 

約束の場所。それは、特定の個人との思い出の場所や、離れてしまった時の待ち合わせ場所として言われる場所。そう、美恵から聞いた。

 

美恵「…私もちょっと思ってた。たとえいつか離れてしまっても…」

 

亡霊「あの場所でまた…」

 

私の意識はそこで落ちた。

 

 

 

すぐに冷たさで覚醒した。

 

亡霊「つめっ…これ、水…?」

 

美恵「おはよ、───。」

 

亡霊「…おはよ…」

 

美恵「ごめんね、強制的に起こしちゃって。」

 

亡霊「いいけ…」

 

霊力の扱い方を教わり始めてからの癖になっている周囲の索敵が動き、何かの反応を検知した。

 

亡霊「…?」

 

美恵「どうし…」

 

亡霊「しっ。黙って…索敵術、全感覚状態」

 

全感覚状態で周囲を探った。すると、全方位に反応があった。

 

亡霊「…囲まれてる?」

 

美恵「えっ………ほんとだ…」

 

美恵がそういうと同時に破裂音のようなものがした。

 

?「流石流石。異質者といったところか…気配を察知するとは…」

 

亡霊「この声は…」

 

声のした方を向くと、青く特徴的な服で、顔に鬼の刺青のある男が立っていた。

 

美恵「おばあちゃんを殺した男…」

 

?「うんん?貴様とは昨日初めて会ったはずだが…」

 

亡霊「…」

 

?「ふむ…殺意を感じる。まぁいい。」

 

男は1枚の紙を取り出した。

 

忠次「世界統一省役人、“忠次(ただつぐ)”。世界総合法第6条により、貴様らを拘束する。捕まえろぉ!!」

 

そういった直後、壁が壊れて私たちは人影に取り押さえられた。

 

亡霊「離して…!離せっ!」

 

美恵「いや…やめて…!」

 

亡霊「美恵っ!このっ…!」

 

美恵「あっ!」

 

亡霊「美恵っ!?この…吹き飛べっ!!」

 

そう叫ぶと、私の上に被さっていた人影がすべて吹き飛んだ。

 

亡霊「美恵は…!?」

 

忠次「近づくなっ!」

 

亡霊「っ!」

 

美恵「んー!んー!」

 

忠次「そこから一歩でも近づいてみろ…こいつの命はないと思えっ!」

 

亡霊「卑怯な…」

 

忠次「なんとでもいえ…」

 

その態度に軽く怒りを覚えた。

 

亡霊「それが!仮にも世界を統べる者のすることなのか!!」

 

忠次「この世界に異端なぞいらぬ!!あるのは普通のみ!異端という害悪は排除するのみだ!!」

 

亡霊「だからといって!少し姿の違うだけの人間を…それも女の子を消し去るのか!?」

 

忠次「言ったはずだ!異端という害悪は排除するのみだと!!それは女であろうが子供であろうが関係ない!」

 

亡霊「この…!」

 

美恵「…もう、いいよ…」

 

熱くなっていた私の意識を元に戻したのは美恵の声だった。いつの間にか、口の拘束が解けていたらしい。

 

美恵「───は…逃げて…」

 

亡霊「なんで…!」

 

美恵「お願い!!逃げてっ!!」

 

亡霊「…っ…」

 

美恵「お願いだから…逃げて…私はもう…目の前で…仲のいい人が死ぬのは見たくないの…!」

 

亡霊「…」

 

美恵「お願い…っ!」

 

亡霊「…」

 

私は何も答えられなかった。

 

美恵「…」

 

亡霊「…分かった…」

 

そう言うと、美恵から息を吐いたような音が聞こえた。

 

亡霊「美恵…1つ、守ってくれる…?」

 

美恵「…?」

 

亡霊「絶対に…死なないで…また…会える時まで…」

 

美恵「…うん…頑張る。」

 

亡霊「約束だよ…?」

 

美恵「…うん。約束。そのかわり、───も…」

 

亡霊「…うん。」

 

そう言ってから、私は美恵に背を向けた。

 

亡霊「じゃあね…」

 

そう言って歩き出そうとした時だった。

 

美恵「───っ!いつか…絶対に“約束の場所”で…!」

 

亡霊「っ…待ってる。私、まってるからっ!」

 

そう言って私は洞窟から飛び去った。

 




なんか変、と思われるかもですがお気になさらず。
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