夢を見た。
歳の若い少女が走り回る夢。
広い場所を、自由に駆け回っていた。
その少女を、静かに見つめる女性の影があった。
場面が変わる。
老いた女性が寝具の上に横になっていた。
眼も開けず、死んだように横たわっていた。
老いた女性が突如口を開く。
低く、威厳のようなものがありそうな声でこう言った。
[世界を支配する者はいずれ、強き悲しみによって打ち砕かれるであろう。空は荒れ狂い、地は焦土と化す。その地は草木の生えぬ死の地となるであろう。世界を支配する者は
その言葉を言うと老いた女性は何も言わなくなった。
老いた女性のそばに、少し若い女性と少女、それから若い男性の姿があった。
場面が変わる。
老いた女性が家の中で青く、特徴的な服の男に襲われていた。
老いた女性はその男から逃げていたが、やがて捕まり、体の右上から左下に斬られた。
老いた女性が吠えた。
[こんなことを続けていたら、いずれ罰が当たるよ!!]、と。
男はそれを嗤った。
男は言った。
[そんなものしらぬ。我ら、世界統一省がこの世界では正義なのだ。それに歯向かうものや普通でない異端なぞのことは知るものか。この世界には普通だけあればいい。]、と。
男は振り向いた。
顔に、鬼の刺青があった。
その場面を、若い女性が見ていた。
場面が変わる。
家の中に女性と少女がいた。
突如家のインターホンが鳴る。
女性が玄関に向かい、客と相手をする。
しばらくして、客と思しき人物が部屋に入ってきた。
灰色の服を着た女だった。
刃物なのだろうが、見たことのないものを持っていた。
その後ろから、女性が駆け寄ってきた。
女を引っ張り、追い出そうとした。
女は吠えた。
[世界総合法第4条!異端者を庇った者は即刻処刑される!!それでもいいのか!!]
女性は怒鳴った。
[法が何!?自分の娘に何かをされると聞いて、はいそうですかと渡せる母親がどこにいるっ!!]
さらに続けて怒鳴った。
[法なんて知らない!!私は私の意志であの子を守る!!]
女が吠えた。
[ならばこの場で処刑とする!!覚悟しろ!!]
女性はそれを見ていた少女に言った。
[美恵、逃げなさい!この世界の、どこまでも!]
女性がそういった直後、その女性が細切れになった。
少女はその光景を見て逃げた。
[捕まえろぉ!]
男の声が聞こえたが無視だった。長い長い時を、逃げ続けた。
逃げ続けて、1年が経った。
とうとう、少女の力が尽きた。
しかし、少女を追ってくるものはいなかった。
少女は奇跡的に、母と住んでいた家に辿り着いた。
少女はそのまま、眠り込んだ。
場面が変わる。
空き地に白い髪の少女が目を閉じた状態で倒れていた。
少女は透けて見えるようで、今にも消えそうに見えた。
そんな時、その場所に向かう黒い髪の少女がいた。
黒い髪の少女は白い髪の少女を見つけると、驚いた表情をしながらもその白い髪の少女に近づいた。
[あれ…どうしたの?]
黒い少女の声が聞こえると白い髪の少女は目を開き、黒い髪の少女を見た。
[貴女は…誰?]
その問いに白い髪の少女は答えなかった。
[弱ってるのかな…?…私の家、くる?]
白い髪の少女は、小さくうなずいた。
亡霊「っ!」
私は突然飛び起きた。
夢を見ていた気がする。
しかしその夢が何だったかを思い出せない。
だが、悲しみが残っている気がする。
体の細分化は解けていない。
おじいさんにもらった、青色のペンダントが、小さく光った気がした。
次回 “第七話 微かな望み”
美恵を探す亡霊の少女は、痕跡という微かな望みに賭けて探し続ける。