亡霊のお話   作:Luly

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読んでるだけで辛くなってくるんですよね…これ


第七話 微かな望み

 

昨日は夢のことを考えているだけで終わってしまった。

 

夢に関してはもう考えても仕方ない、ということで納得しておいた。

 

気を取り直して、空に続く方の痕跡を辿ることにした。

 

これまでの痕跡より、ずっと薄い。

 

まるで、消え去ろうとしているかのようだった。

 

それでも、私はその痕跡を辿り始めた。

 

その痕跡を辿っていると、見覚えのあるような風景が見えてきた。

 

こちらに来たことはないはず、そう思いながら痕跡を辿った。

 

すると、1つの岩山に辿り着いた。

 

ここで痕跡は止まっている。

 

なぜか、懐かしい感覚がした。

 

この場所に見覚えはない。しかし、なぜか懐かしいと感じた。

 

感覚を鋭くさせて周囲を探ると、2つの反応があった。

 

動くものではない。ただ2つの、霊力の残滓。

 

今いるこの場所に、2つの霊力の残り香があった。

 

さらに感覚を鋭くさせると、もう3つの霊力の残滓を見つけた。

 

その霊力の質を調べた。

 

調べたところ、3つが私の霊力。もう2つが、美恵の霊力だった。

 

何故ここに私と美恵の霊力が残っているのか。しばらく考えて、ようやく分かった。

 

ここは、美恵と一緒に逃げてきた洞窟があった場所だ。

 

洞窟が崩れ、岩山だけになっているが、間違いない。霊力の残滓を詳しく調べたところ、一番強い私の霊力の残滓が“風”を扱ったことを示していた。

 

この風は恐らく人影たちを吹き飛ばしたときに使用したものだ。

 

そして一番強い美恵の霊力の残滓。これは洞窟の奥に入った後、美恵がしていた作業によるものだ。あの時はわからなかったが、“結界”を扱ったらしい。

 

他の小さな残滓は1つずつが“索敵”によるもの。残ったもう1つは、私の使っていた風の防壁だ。

 

そこまで分かったところで、私は美恵の痕跡がこの場所の外に続いていることに気が付いた。

 

今まで見ていた痕跡よりも、ずっと薄い。

 

感覚をかなり鋭くしていなければ、見つけられないほどに。

 

鋭くしている影響か、頭痛を感じ始めた。

 

私は、今日の捜索を断念して、その場で眠りについた。

 

 

 

翌朝、感覚を鋭くさせたまま岩山を出発した。

 

鋭くさせていると、体に変化を感じた。

 

重い。

 

体が、とてつもなく重かった。

 

普段、私は霊力を使わずに空を飛んでいるのだが、体が重すぎてそういうわけにはいかなかった。

 

だから、霊力で小さな風を起こした。

 

しかし、霊力の安定がうまくいかず、何度か落ちかけた。

 

どうやら、霊力の方にも異常が出ているらしい。

 

だが、行動しないわけにはいかないと思い、無理やり動いた。

 

結局、その日はいつもの半分も行動できなかった。

 

 

 

…それから、5週間が経った。

 

この世界の1年は53週間、12ヵ月。371日であると美恵から聞いていた。

 

私が美恵と出会ってから、1年と189日が経っていた。

 

今、私は砂漠にいる。

 

感覚を鋭くしたままにしておくのも慣れ、いつものような進度で動くことができるようになっていた。

 

それでも、美恵は見つからなかった。

 

ここまでに痕跡が強い場所はいくつも見つけた。

 

でも、美恵はいなかった。

 

私にも変化は起こっている。

 

まず、私は“四大元素”と呼ばれる火風水土の4つの属性を操れるようになった。

 

今まで、私は風と土しか上手に操れず、美恵の補助があって火と水が少し操れた程度だった。

 

だが、美恵が応用として扱う“天候操作”のような術はいまだに扱えなかった。

 

次に、私の中で渦巻いていた力の1つ…魔力が扱えるようになった。

 

霊力とは別の力ではあったが、扱い自体は霊力と同じようだった。

 

そういえば、4つの力は性質がそれぞれ違うのかもしれない。

 

霊力は正の力を持ち、傷つけるような術を不得意とし、逆に癒すような術を得意としていた。

 

しかし魔力は負の力を持ち、扱う術に得意不得意が無いようだ。

 

妖力と神力はまだわからない。

 

最後に、応用術として“催眠術”、“華舞術”、“結界術”が使えるようになった。

 

結界術はあの岩山を訪れた後、時間をかけて習得した。

 

華舞術は風の術の応用に近い。花を生み出し、それを周囲に舞わせる。その気になれば催眠をかけることも可能だ。

 

催眠術に関してはいつの間にか使えるようになっていた。

 

痕跡が続く先に辿り着いた。

 

…ここにも、美恵はいない。




ちなみに暦の流れがこちらと違うのは仕様です
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