俺はヒーローに憧れない   作:アートレータ

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フィルムZ
再開


俺は両親に恨みを持つ海賊に攫われたようだ。

目を覚ますと知らない場所にいた。そして見知らぬ人たちが目に入った。

俺が子供だからか縛れるなんてことも無く、海賊達は宴に興じているようだった。しかし、俺は海軍大将の息子だ。子供とは言え両親に憧れて鍛えたりもしていた事が幸いした。宴に夢中な海賊たちを脇目に、俺はチャンスと見て逃げ出すことに成功したのだった。

 

 

しかし、建物の外は森の中だった。猛獣の鳴き声なども聞こえたが、どちらにしろここに居ても海賊たちに殺される事になるだろう。そう考えて、森の中へと歩き出した。

 

 

それからのことはよく覚えていない。ただ時に猛獣に追われ、時に毒を含んだ木の実を口にしてしまったり、時に島に立ち寄った海賊たちに追われたりしながら生き延びることに必死だったこと。生きるために力が必要だったことは覚えている。

 

 

力を求める上で思い浮かべるのは常に父の姿だった。海軍の訓練を見せてもらった時の姿。武装色の覇気と呼ばれるものを纏い、黒腕の両腕で相手をバタバタとなぎ倒していく姿。まさにヒーローそのものだった。

 

 

父の姿には憧れた。しかし海軍に憧れた訳では無い。逆に海賊に対する嫌悪感などがあった訳でもなかった。その為、ある程度力を身につけてからは島に立ち寄った海賊たちを相手にした。戦闘の経験を積み、盗める技術を盗んで行った。

 

 

そのうち海賊たちの間にはある噂が流れるようになった。

曰く、その島には怪物がいる。

曰く、その島にいるのはただの子供だった。

曰く、その島には六式を使う海軍の手練がいると。

曰く、その島には覇気を極めている大海賊がいると。

正解もあれば、間違いもある。所詮噂でしかないのだ。伝えるもの聞くものによって内容は違っていた。

 

 

そんな中で唯一誰もが口を揃えて言った言葉があった。

「軽い気持ちでその島に向かうな!生きていたいのならば!」

 

 

♢ ♢ ♢

 

 

それから30年あまりの月日は流れた。

少年は青年へと変わり、可愛らしさのあった顔立ちは彫りが深くワイルドな顔立ちへと成長していた。しかし不思議なことに彼の容姿は20代前半のそれだった。

気になることは山ほどあるだろう。30年の内容や彼の容姿がどうして若いのか、など。が今は置いておくとしよう。いずれ話す時が来ることだろう。

 

 

そんな彼は現在海の上を船で進んでいた。ある新聞の記事を目にしたからだ。

《“Z”率いるネオ海軍が島を破壊した》

という記事だった。

 

 

俺にはそれが父親だとすぐにわかった。そのため会いに行くことにしたのだ。

父親のことは別に引きずってはいない。父親に恨みを持っていた海賊に誘拐されたもののそれを父にあったても意味はないし、探してもらえなかったのも俺は世間からしたら死んでいることになっているので仕方ないと思う。

 

 

しかしそれから何があったのか、『ヒーロー』を目指していた『あの父』が一般人を巻き込む事件を起こしているのだ。

単純に『あの父』の一ファンだった者の一人とて気になったのだ。

そんなわけで俺は今、父“Z”に会うために《仲間たち》と共に船を進めていった。

 

 

「おい、爆破された島っていうのはこっちで会ってるんだよな、日和」

 

「ええ、もう少しで着くはずよ。」

 

俺はもう1人の船員に声をかけた。元々1人で来るつもりだったのだが、正確な父の居場所を特定するために航海術を持つ『日和』だけは連れてきていた。他のもの達も着いて来たがっていたが、島に置いてきた。

 

 

「ある程度島に近づけば俺の見聞色で分かるからな。」

 

「フフ、相変わらず恐ろしいほどの範囲と精度ね。」

 

「・・・まぁな、生き残るために必要だったから身に付けた。それだけの事だ。」

 

 

俺は少し、森の中で生き延びることに必死だった時の事を思い出していた。海からは海賊、森からは猛獣。常に気を抜けない状態が続くため睡眠もままならなかった。そして俺が思いついた方法が《見聞色の覇気で常に島全体を把握する》事だった。無茶だと思いつつも、生き延びるために必死で覇気の練度を高め、島での生活が3年ほどたった13になった頃遂に1日中島全体を把握する事に成功したのだった。

 

 

俺がそんな過去に思いを馳せていると日和から声がかかった。

 

「着いたわ、あの島で間違いないわ。」

 

「島全体が火山みたいだな」

 

「ピンク色に光っているのは何かしら・・・あれは!ダイナガン!」

 

「ダイナガン?確か、海軍が保管してる超強力な爆弾だったか。」

 

「ええ、でもダイナガンを使って何を・・・?そうか!《エンドポイント》を破壊して新世界ごと燃やすつもりなんだわ!」

 

「《エンドポイント》?・・・なるほどな、お前のその反応を見る限り実在していたわけか。」

 

 

『エンドポイント』それは3つある全てを破壊すると新世界を燃やし尽くすほどの大噴火を起こすと囁かれたが、海軍が嘘と報じて終息することとなった。しかし日和の反応を見る限り実在していたようだ。

 

 

となるとだ。既に2つの島が破壊されたようだからここがラストの《エンドポイント》ということになる。

 

 

「まぁいい、取り敢えず親父に会いに行くとするか。親父の居場所はもう把握出来てる。」

 

「フフ、世界の命運がかかっているって言うのに相変わらずマイペースな人。世界のことよりも感動的な再開の方が大事なのかしら。」ニヤニヤ

 

そんなからかい交じりなことを言いつつも日和は俺に着いてくる。

そんな日和をスルーしつつ進んでいくと火山の頂点に父の背中を見つけた。隣には長身の男が1人と青い髪の女が1人立っていた。おそらく父の部下だろう2人を無視して俺は父に声をかけた。

 

 

「久しぶりだな、親父。俺が分かるか。」

 

 

その声で始めて俺たちの存在に気付いたようだ。警戒をしながら3人が振り返る。父の顔は年こそ取っているが確かに子どもの頃見ていた父のそれだった。父は『親父』という言葉に訝しげに眉を寄せながら口を開いた。

 

 

「・・・俺には妻も息子もいねぇ。誰の許可をとって俺の息子を語る!」

 

「オイオイひでぇじゃねぇか。俺はしっかり覚えてるぜ。海軍としては優しくも厳しかった親父が、家では厳しさはなりを潜めただただ優しかったあんたの姿を。」

 

 

その言葉に目を見開きながら父は口を開いた。

 

 

「・・・なぜその事を知っている!・・・家での俺を知っていたのは海賊どもに殺された、妻と息子だけのはずだ!」

 

「だから俺がその息子だって言ってんだろ。俺はお袋が殺されたあと海賊に飛びかかって気絶させられて、ある島に誘拐されてたんだよ。売るためにな。だが俺は逃げ出すことに成功してこうして生きてる!分かったか、クソ親父!」

 

 

俺の言葉を聞いてそれがホントだと分かったのか、その場に膝を着きサングラス越しの目から涙を零しながら震える声で俺の名前を呼んだ。

 

 

「ホントに、『ゼニス』なのか!?」

 

「何回もそう言ってんだろ、クソ親父。久しぶり、だな」

 

 

 




はい、ということで最後の最後にオリ主の名前が出ましたね。
《ゼニス》→Zenith→頂点
という感じで決まりました!《Z》の息子はやっぱり《Z》が入ってないとですからね!

トキについても気になるかと思いますが、どうしてもZ編を書きたかったので書いちゃいました!笑
Z編が一段落したらおいおいで過去編や設定も、と考えています。

とは言っても、次でZ編は終わる予定ですけど笑

処女作ですが、頑張って続けていきますので応援していただければ幸いです!
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