俺はヒーローに憧れない   作:アートレータ

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今回は物語的にはかなり進みます。
内容はほとんど進んでいませんが・・・意味深

探り探りで書いていますので、意見等がありましたらどんどん頂きたいです。
よろしくお願いします!

では、本編をどうぞ‼︎




新たな門出

「よし。じゃあ、行くか?」

 

 

親父の弔いを終えた俺は立ち上がり、後ろで待っていた日和。そして、親父の元仲間アインとビンズに声をかける。

するとら日和は笑顔で頷くが、アインとビンズは頭に?を浮かべていた。当然だろう。仲間というわけでもないのに、突然行くかと言われても戸惑うのは当然だろう。

 

 

「ちょっと、順番に話したらどうですか?」

 

「あぁ、そうだったな。お前ら、俺の船に乗らないか?」

 

 

俺がそう言うと、2人はまたしても揃って驚愕の表情を浮かべる。あまりにも表情豊かな2人を見て、ついつい笑ってしまう。しかし、原因を作っている本人が笑うのは失礼だろう。そう思った日和はゼニスの頭をこづいて嗜める。

そのことに咳払いしながら、説明に移った。

 

 

「俺はさ、楽しく自由に生きたいんだよ。自由に生きるためには強さがいる。楽しさはより多くの人と共有することでより楽しくなる。だから俺は海に出たんだ。なろうと思えば海賊王にだってなる自信はある。それだけの修羅場を潜ってきた自信も。でも《海賊王》なんで肩書きも、《ワンピース》なんて代物もいらない。ただずっと俺と仲間が笑っていけるならそれでいい。と俺は思ってる。だから、さ。親父が信頼してた奴らだ。俺たちと一緒に楽しもうぜ!」

 

 

そこで一度言葉を切ったゼニスは周りの者たちは、先程とは別の驚愕に言葉を失った。他の海賊が聞いたら笑われるだろう。「海賊王になる自信はある。でも、興味がない。」そんな事を言う奴がいたら、何を夢見ているんだ。妄想も程々にしろ。と。

 

しかし、その場にいるものたちはそれが出来なかった。語ったゼニスの目に確かな自信と決意を感じ取ってしまったのだから。

 

わずかな、静寂の後これまで傍観に徹していたクザンが思わず声を上げる。

 

 

「おいおい、大した自信じゃないの。新世界で海賊として生きていくなら四皇ともぶつかるんだそ?」

 

「あぁ、その時は倒すまでだ。俺たちの邪魔をするならな。」

 

「そういや、お前さん。急に移動してたり、現れたりしてたな。なんかの能力かい?」

 

 

そう言って能力を尋ねてくるクザンの質問に馬鹿正直に答える必要はないだろう。敵になるかもしれない相手にわざわざ自分の手札を晒すようなものなのだから。しかし、その質問に対してゼニスは言葉を続けた。

 

 

「なぁお前ら。3人とも悪魔の実の能力者のようだが、そもそも悪魔の実ってなんだと思う?」

 

 

突然のあまりにも抽象的な質問に誰も答えられずにいた。考えたこともなかったのだ。海に嫌われる代わりに超常の力を手に入れる実。それが世界共通の悪魔の実への認識だと思っていた。しかし、求められている答えはそれでは無いと分かる。故に沈黙してしまったのだ。

そして、そんな彼らの反応を分かっていたかのように、ゼニスは言葉を続けた。

 

 

「悪魔の実ってのは『世界の法則に干渉する力』だ。法則を無視して形を変え、法則を無視して新たなものを生み出し、法則を無視して世界に干渉する。それが悪魔の実の力だ。だから悪魔の実は世界に嫌われている。その証拠が海に弱いことだ。世界の7割は海でできている。主部分である海に能力者は嫌われているのさ。」

 

 

説明を聞いていた者たちは思い当たるところがあったのだろう。自分たちも能力者である故に経験してきた者なのだ。なるほどと思わずにはいられなかった。

 

 

「そして、俺の悪魔の実は『トキトキの実』だ。ある人から譲り受けたものだ。能力は『未来への干渉』。ちょうど過去に干渉するお前とは真逆だな、アイン。」

 

 

急に話を振られたアインはしどろもどろしながらも返した。

 

 

「私の『モドモドの実』は12年単位でしか戻すことができません。えっと、「ゼニスだ」ゼ、ゼニスさんは条件とかはあるのでしょうか?」

 

「まぁ当然の疑問だな。勿論ある。まず、『未来にしか干渉できないこと』言葉の通り現時点から未来への移動しかできない。二つ目が『一つしか干渉出来ないこと』複数を同時に未来へ飛ばすことはできない。例えばここにいる全員を飛ばすとなると、丘の上という指定をした上でなら飛ばすことができる。三つ目が『他の物体には干渉出来ないこと』物体にも未来の形がある。故にそれに干渉することは許されない。以上の3つを守った上でなら干渉は可能ってわけだ。」

 

 

説明を受けたがいまいち理解できないアイン、ビンズ、クザンの3人は首を傾げていた。それを見ていたゼニスと日和はまぁそうかと思いつつ、苦笑していた。

 

 

「まあ分からんよな。ビンズ、例えば剣士が相手を切るまでにどんな行動を挟むと思う。」

 

「拙者ですか?相手が定まったらまず剣を構えて、そこから間合いを詰めて、剣を振るって、相手を切るでは無いのですか。」

 

「その通りだ。それが俺の場合、切るという意思を持ったところから剣を振るという過程を飛ばすことができる。だが、他の物体に干渉出来ないため切るという結果は持ってくることはできない。そういう力だ。」

 

「おいおい、ずいぶん強力な力じゃ無いの。相手からしたら距離を置いていた敵が気づいたら目の前で剣を振ってたなんてことになるわけだろ?」

 

 

説明を聞いたクザンがあまりにも凶悪な能力に冷や汗を垂らしながら口を開いた。他の2人も言葉にこそしなかったが、その場面を想像したのか軽く青褪めていた。

 

 

「そんで持ってこれが相手に干渉すると。クザン、そこからあっちに歩いてみろ。」

 

 

クザンに頼み事?をした後に能力を行使する。すると、クザンは一瞬にして指示した場所へと移動していた。そのことにクザンは口を開いたまま愕然としていた。そんなクザンを放置して2人に説明をする。

 

 

「まぁこんな感じになるわけだ。移動するという意思があったから移動できたわけで、黙って立ってるやつの時間を飛ばしても何も変わらない。そんなもんだ。」

 

 

そこまで説明すると戻ってきたクザンが文句を言うがスルーしてやる。すると、諦めたの溜息を吐いて大人しくなった。それを傍目に改めて2人を勧誘する。

 

 

「それで、お前らどうする。俺たちと来ないか?」

 

 

そういって、手を差し出すがまだ迷っているようでなかなか踏み出せずにいた。そんな2人に日和が助け舟を出す。

 

 

「一緒に行きましょう?船はみんないい人でいつも賑やかで楽しいわよ?」

 

「そ、それではよろしくお願いします。」「拙者も、お願い致す」

 

 

手を握り返した2人に笑顔で頷きながら、全て丸く収まったことに安堵のため息をついたのだった。そして・・・

 

 

「クザン、あんたはどうする?親父が気に入ってた奴だ、信用はしてる。が、もし黒ひげのところに情報を持ち帰ろうってんなら返すわけにはいかないな!」

 

 

そう言って俺は覇王色の覇気を解放する。それは海軍の中将出会ったとしても人によっては気絶してもおかしく無い。そんな覇気だった。こっそりと、その場を離脱しようとしていたクザンは覇気に当てられて一瞬ビクッと反応したのちにゆっくり振り返った。

 

 

「あららら、そう上手くはいかないか。あーまぁーなんだ、俺もまだ死にたくねぇのよ。ティーチには黙っておくよ。」

 

「まぁ賢明な判断だな。今回は見逃すが、次に敵としてあった時は容赦はしねぇぞ。」

 

 

「おーおっかねぇ、おっかねぇ」と肩を落としながらその場を去っていったのだった。それを見送った後ゼニスは、 おもむろに懐を探り出し一つの『麦わら帽子』を取り出した。それを見ていた日和は頭を抱え一つため息をつき、それを見た俺は笑ってやるのだった。そんな俺たちにいまいち状況を掴めないアインとビンズは俺たちを交互に見たのち控えめに声をかけてきた。

 

 

「あの、ゼニスさん。これからどうするのでしょう。船も見当たらないようですが・・・」

 

「ああ、仲間を呼ぶからちょっと待っとけ。そのあと麦わらに改めて宣戦布告しにいく。俺の仲間であいつに会いたいって奴もいることだし。お前らの紹介はその後になるだろうが・・・大丈夫か?」

 

「はい、私の命は既にあなたのものですから」「拙者は主人と定めたあなたに忠を尽くすのみ」

 

「はっはっは!ありがとよ。だけどな、そんなに堅苦しくなるな!楽しくやろうぜ!」

 

 

どう接していいのかまだ戸惑っている2人に「徐々に慣れていけばいい」とひと声かけると、2人は小さく頷いた。とりあえず話がまとまったところで、仲間を呼ぶためにでんでん虫を取り出した。

 

 

「もしもし、ゼニス!?どこほっつき歩いてるのよ!」

 

「はっはっは、まぁ落ち着けよヴィオラ。お前なら分かってるだろう。用事も済んだから迎えにきてくれ。」

 

 

怒っているヴィオラに全く耳を貸さず自分の要件だけを伝える。そんな勝手なゼニスにでんでん虫越しのヴィオラはため息を吐いた。そのやり取りに近くで聞いていた日和はついつい笑ってしまう。心無しかでんでん虫目つきが悪くなった気がしたが気にしない。

 

 

「はぁ〜分かったわ。迎えにいくからいつものよろしくね。今はアジトにいるから。」

 

 

そう一言残してでんでん虫は切れる。それを確認した後俺たちも海岸へ向かって歩き出す。それと同時に能力を行使する。すると、何も無かった海岸に一隻の船が現れた。その船からは先程連絡をとったヴィオラに耳たぶの長い長身の男、左眼に傷痕の残るゴーグル付きの帽子を被った男、異様に首が長い白い男、金髪のお腹にタトゥの入った柄の悪い男、そして世界一の大剣豪と名高い長剣を背負った男。まぁ癖の強い仲間たちが現れた。

 

そんな彼らに一言声をかけて日和、アイン、ビンズを連れて船の中に入っていくのだった。後ろから眺めていた日和には、ゼニスの自然な振る舞いの中に強者(仲間たち)を引き連れる王の姿を幻視するのだった。

 




す・み・ま・せ・んでした〜‼︎

気分屋で飽き性な自分はまたしても悪ぐせが出てしまいました!
今回の再開のきっかけは『イセリアルさん』の感想のおかげと言っても過言ではありません。本当に励みになります。本当にありがとうございます。

処女作で感想も初めてなので、是非是非お願い致します!


仲間についてですが、『ミホーク』と『サボ』はすごく悩みましたが仲間にすることにしました。最強(ゼニス)の仲間ということもあり、結果的に入れました。賛否はあるかと思いますが、今作はこれでいこうと思います。

次回はなるべく早く投稿できるよう頑張りますので、今後とも宜しくお願いします。

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