ちょっと読みたいあなたへの一話完結   作:ぱるーる

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はるのん誕生日おめでとう
というわけでどうぞ。


ブルーハワイ

 

 

 

青とは嘘であり悪である。

青は清涼感、クールというイメージがあると思う。

夏のCOOL BIZの「清涼感のあるブルーカラーで夏をクールに過ごそう」という広告を何度見たか。

しかし、それは嘘だ。

青い海に青い空、こんなにも視界いっぱいに青が広がっているというのに、体はその青を見るたびに赤に染まっていく。

そのおかげで心がブルーだ。

 

 

さらに、青はあまりいいイメージも思い浮かべないのではないか?

今、心がブルーだと表現したが、青はあまりプラスの表現には使われないだろう。

この小説投稿サイトだって低評価が多いと青になるし。

しかも青は食欲を最も失う色でもある。

青い食べ物とかなにが含まれてるかわからないだろ?

今目の前にあるこのブルーハワイ味のかき氷も何気なく口にしているがこれ何味だ?

なんだよハワイ味って、土とか木の味しそう。

 

 

 

そう、青とは嘘であり悪であり、なにが含まれてるかもわからない。

 

 

 

 

……だからなんだって?

 

 

まぁ結局言いたいことは……

 

 

 

 

「比企谷くんおまたせ〜!」

 

 

 

 

この青い水着をきた雪ノ下陽乃こそ嘘であり悪であり、なにが含まれてるかわからない。

 

 

 

 

 

 

**************

 

 

 

 

 

 

陽乃「比企谷くんおまたせ!待った?」

 

 

煌々と輝く太陽に照らされたその笑顔はまさにスポットライトに照らされた歌手のよう。

周囲の人の目を釘付けにするには十分だった。

 

 

八幡「ええそりゃもう。もうちょいで美味しそうに焼けるとこでした。」

 

 

陽乃「そこは君は悪くないよ的なニュアンスの言葉をかけるんじゃないの〜?」

 

 

八幡「俺がそんなこと言うと思ってたんですか?」

 

 

陽乃「ううん、ぜんぜん。」

 

 

真顔で返された。

ちょっとくらい期待しようぜ。

 

 

陽乃「そんなことよりどう?お姉さんの水着姿は」

 

 

そう言って雪ノ下さんはその場で回って見せた。

水着自体はこの海水浴場にもかなりいる普通のビキニだが、普通だからこそ雪ノ下さんの破壊力が際立つ。

大人の魅力とでもいうのか。

ところでそれ下着とどう違うんですかね…

 

 

八幡「……まぁ、似合ってないと言えば嘘になりますね」ムスッ

 

 

陽乃「素直じゃないなぁ〜。あとなんか機嫌悪い?朝から拉致したこと怒ってる?」

 

 

八幡「あれは怒ると言うよりは恐怖です」

 

 

いや、怖いでしょ。

朝いきなりインターホンがなったからドア開いたらいきなりヘッドロックからの投げ技で車の中に投げ入れられていきなり連れてこられたんだから。

ヘッドロックの際に雪ノ下さんの破壊力が堪能できたことは黙っておこう。

 

 

陽乃「あはは、びっくりしたでしょ?」

 

 

八幡「ええ、度肝抜かれました。」

 

 

陽乃「まぁいいや!早く遊ぼう!」

 

 

八幡「一体なにするんですか…?」

 

 

陽乃「ここどこか知ってる?」

 

 

八幡「さぁ?」

 

 

だってわけもわからず連れてこられ車の中ではあなたに構ってましたからね…

 

 

陽乃「ここセレブ御用達のビーチなの」

 

 

八幡「へぇー」

 

 

陽乃「興味なさそうだなぁ」

 

 

八幡「ええ。だからなんだって感じですね。強いて興味があるとすればそこらじゅう全員金持ちかよってことですね」

 

 

陽乃「まぁお金持ちしかいないだろうね」

 

 

マジかよ。

………はっ!ここで将来の稼ぎ頭である俺の嫁を探すことができるのか!?

 

 

陽乃「比企谷くん、その腐った目でビーチ見渡すと警備員呼ばれるかもよ?」

 

 

八幡「見渡しただけで警備員呼ばれちゃうのかよ…」

 

 

……嫁さんは気長に探すとします。

 

 

陽乃「ちなみにここは結構アトラクションがあるんだ!」

 

 

八幡「それをやりに来たわけですか…」

 

 

陽乃「そそ、んじゃバナナボートからやろ!」

 

 

砂浜を軽快に走っていく。

その姿に魔王の面影はなく、無邪気な女の子のようだった。

 

 

陽乃「比企谷くん!はやく!」

 

 

八幡「…はいはい」

 

 

屈託のない笑顔で俺を急かす。

その笑顔につい俺も口角があがる。

でも彼女の目の奥になにが隠されているのかまではわからない。

無邪気な普通の女の子に見えるが、それは彼女の得意技を使っているからかも知れない。

なにを考えてるかわからない。

あの笑顔で俺を誘っている、騙しているのかも知れない。

 

 

しかし、暑さにやられているのか、青に騙されているのかはわからないが、あんな笑顔を見せられたら騙されてもいい気にもなる。

 

 

 

 

 

****************

 

 

 

 

 

 

水上バイクに繋げられた少し便りがなさそうなヒモがバナナボートを引っ張る。

でもヒモといえば頼らないくらいがいいよね!守ってあげたくなる感じするよね!

というわけで俺を養ってくれる人募集中。

あ、俺はそこらへんのヒモとは違って家事とかやるし奥さん癒せるから。多機能性ヒモだから。

 

 

 

そんな現実逃避をしたくなるくらいにこのアトラクションは…

 

 

陽乃「いやっふぉぅぅぅぅ!」

 

 

八幡「ぬぁぁぁぁ!!!」

 

 

怖い。マジ怖い。はるのんくらいこわい。

 

 

陽乃「ふぅぅぅぅ!!!」ゲシゲシ

 

 

ちょっとまって、楽しみながら蹴らないで!!

あとなんで後ろの人間が考えてることわかるの!?

 

 

 

陽乃「お、中間地点だね」

 

 

八幡「はぁはぁ…やっと休憩ですか…」

 

 

バナナボートを引いていた水上バイクの人はどこかへ行った。

 

 

八幡「あれ、どっか行っちゃいましたけど」

 

 

陽乃「ああ、いつもここに来ると数十分ここで一人にしてもらうんだ」

 

 

八幡「へぇ」

 

 

陽乃「というか、以外にこういうの苦手なんだね」

 

 

八幡「絶叫とかこういうのはあまり好みませんね」

 

 

陽乃「もしかしてお化け屋敷とかもダメだったり…」

 

 

八幡「それはないです」

 

 

もし俺がダメだったら修学旅行でサキサキと一緒にマラソンに興じていただろう。

二つの意味で汗だくになりそう。

 

 

八幡「というかこんなところまで来るんですね」

 

 

ここは陸地からだいぶ離れた島のそば。

人間の手が触れないところだからか、そこそこ深いはずなのに海の底まで見通すことができ、色とりどりの魚があちこちを行き交う。

 

 

陽乃「綺麗でしょ?」

 

 

八幡「ええ、まぁ」

 

 

こちらを見て微笑む彼女もまた、同じくらい綺麗だと思ったのは内緒だ。

 

 

陽乃「私ここ好きなんだ。いつもこのビーチ行くと水上バイクで連れてってもらってここら辺で浮いてるの。そうすると人間が自分一人だけしかいない世界に来たようで不思議な気分になれるんだよ」

 

 

ここは普段誰も来ない。

それを求めてここに来るのだろう。

親も、妹も、同級生も、先輩も、後輩も、仕事に関わる年寄りたちも、ここには誰もいない。

一人しか存在しない、しがらみなど存在しないと錯覚させてくれるのだろう。

この夏だけはここに来て、この青い海だけは嘘をついてくれるのだろう。

彼女はここに、青に騙されに来るのだろう。

 

 

 

陽乃「でも…」

 

 

八幡「?」

 

 

陽乃「今は君と二人。二人だけしかいない世界だね!」

 

 

八幡「……そうですね」

 

 

さっきの無邪気な笑顔とは違う、「二人で騙されよ?」と言わんばかりの悪戯な笑顔でこちらを見た。

足元を泳ぐ魚が、島の上を飛び交う鳥が、人間は俺たちしかいないと錯覚させる。

ここには二人しか、俺と雪ノ下さんしかいない。

 

 

陽乃「あーあ、もう来ちゃった」

 

 

どうやら水上バイクが戻ってきたようだ。

 

 

陽乃「どうだった?二人だけの世界は」

 

 

八幡「言い方があれですが……まぁ、よかったです」

 

 

陽乃「そっか」

 

 

会話こそ無かったが、たしかにあの空間は二人だけのものだった。

 

 

陽乃「さて、ビーチにもどりますか!今度は私が後ろね!」

 

 

八幡「はいはい」

 

 

雪ノ下さんは俺の後ろに移動すると、俺の腰に腕を絡め、女性特有の凶器を背中に押し付けた。

いいぞ、もっとやれ。

 

 

陽乃「それじゃれっつごー!」

 

 

八幡「……はぁ」

 

 

 

あの空間が、今の状況が、俺を騙そうとする。

でも、それがなんだか心地がいい。

 

 

雪ノ下さんと一緒に、青に騙されるのも悪くないかもしれない。

 

 

 

 

 

 

****************

 

 

 

 

 

俺たちはめちゃめちゃ遊んだ。

バナナボートだけでなく、ウェイクボード、ジェットパック、ビーチバレーなど。

それを終えた俺はというと…

 

 

 

陽乃「いや〜疲れたね〜!」

 

 

八幡「はぁはぁ………はぁ…」

 

 

 

死にそう。

 

 

 

陽乃「体力ないなぁ〜。雪乃ちゃんのやつうつった?」

 

 

八幡「体力がないのがうつるなんて聞いたことないです。そして俺が体力がないのではなくあなたが無尽蔵なんですよ」

 

 

いや、マジでなんでまだ動けるんだよ。

 

 

陽乃「よし、そろそろ帰りましょうか」

 

 

八幡「賛成。これ以上ないくらいに賛成」

 

 

陽乃「つかれてるねぇ」

 

 

それから、着替えて迎えの車を待つことに。

 

 

陽乃「いや〜楽しかった!」

 

 

そう言ってぐっと背伸びをする。

先ほどより布面積は多い服装ではあるが、薄手なのには変わりなく、なんならこっちのがエロい。

目のやり場に困っていると雪ノ下さんが話しかけてきた。

 

 

陽乃「……ねぇ、楽しかった?」

 

 

八幡「いきなりどうしました?」

 

 

陽乃「いや、今日無理やり連れてきちゃったし、あんまり笑ってなかったから……もしかしたらつまんなかったのかなって」

 

 

少ししおらしくする雪ノ下さんは笑顔を浮かべていた時と同様、とても綺麗で、無邪気な子供が謝っているようだった。

 

 

八幡「…心配しなくても楽しかったですよ。今日、雪ノ下さんと見た景色は忘れられないほど綺麗でした。あまり外に出ないので、いろんな体験ができましたよ。まぁ、事前に知らせてくれれば助かりましたけど」

 

 

 

陽乃「うん、それはごめん」

 

 

 

そう、楽しかったのは事実。

今日はいろんなものを見れた。

それは綺麗な景色もそうだが、普段とは違う雪ノ下陽乃を見ることができた。

普段のガチガチに固められたあの表情ではなく、純粋に、無邪気に楽しむ雪ノ下陽乃を見た。

あんな顔をすることを知らなかった。

俺に意図的にあの顔を見せたのか、それとも実はただの元気で無邪気な女の子なのか。

俺にはわからない、わからないがあの顔が見れたことで、拉致されても、連れ回されても、騙されてもいいと思えた。

 

 

 

陽乃「あ、きた!」

 

 

やっと迎えがやってきたようだった。

以下と同じく黒塗りの高級車だ。

改めて見るとこんなのに乗るの緊張するんだけど。

 

 

陽乃「比企谷くんを家に送ってあげて」

 

 

「かしこまりました」

 

 

八幡「え、場所わかるんですか?」

 

 

陽乃「そりゃナビに比企谷くん家いれてあるから」

 

 

八幡「へぇ……いや待って待って待って」

 

 

いや待って、なんで人ん家登録してんの?

怖い怖い怖い。

 

 

陽乃「冗談にきまってるじゃん!」

 

 

八幡「あなたの場合冗談じゃないかもしれないんだよなぁ」

 

 

心臓に悪い。

 

 

陽乃「にしても今日は……楽し…かった………なぁ」

 

 

八幡「そうですね。こんな暑いのに外に出ることはないので新鮮でしたし、いいものも見れましたし、何より………ん?」

 

 

肩に重みを感じ、そちらに視線をやると吸い込まれそうな綺麗な黒髪がすぐそばで見つかった。

 

 

八幡「…やっぱ疲れたんだろうな」

 

 

ふと、子供にまつわる話を思い出した。

子供は延々と走り回ったり遊んだらするが何故か。

あれは大人は100の体力があったとして、45くらい減れば疲れたといっても休むが、子供は70の体力でも69まで全力で動き続け、そして気絶するように眠ると。

 

 

まるで子供のように、無邪気に遊んで、車に乗ってすぐに寝息を立てている彼女を見てその話を思い出し、微笑ましくなった。

 

 

彼女の寝顔を見ても、やはり綺麗で、今日の雪ノ下陽乃が夢ではないことを示しているようだった。

やはり、彼女の本当の姿はこれなのか、これすらも彼女の特技の一つなのか。

 

 

 

彼女はブルーハワイのようだ。

 

 

 

 

何が含まれているかわからない、なんの味なのかもわからない。

 

 

 

 

でも、それはたしかに甘かった。

 

 

 

 

 

 

おわりん

 

 

 

 

 

 






マジでブルーハワイ何味かわかんねぇ。
ちなみに最初この小説いろはすで書こうとしたんだけど誕生日ってのと、はるのんのが何が含まれてるかわからない感があったからはるのんにした。
まぁ、八色も八陽も大好物なのでいいんですけどね。
ではまた。


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