side:ルーシィ
下水道でルーシィを追い詰めていたエバルー公爵は突然現れたJ・2とハッピーによって逃がしてしまい、状況をひっくり返されてしまった。
しかし、エバルー公爵本人は余裕の態度で笑っていた。
「ほぉう・・・・・星霊魔法か、ボヨヨヨ。だが文学少女の癖に言葉の使い方を間違えておる。形勢逆転とは勢力の優劣状態が逆になる事だ」
「猫1匹に虫1匹増えた程度で我輩の〝
「下だ!!!」
そう叫んだエバルー公爵は即座に地面に潜り込み、ルーシィ達を下から攻め込む。
しかし〝
ルーシィはJ・2からの指示通りに動き、エバルー公爵の攻撃を避ける。
エバルー公爵も負けずにルーシィから〝
「この本に書いてあったわ。内容はエバルーが主人公の酷い冒険小説だったの!」
「何だそれ!!?」
「我輩が主人公なのは素晴らしい、しかし内容はクソだ!!ケム・ザレオンの癖にこんな駄作を書きおって!!けしからんわぁっ!!!」
「肝心の主人公のモデルがお前の様な男では作者も傑作にしたく無くなるな」
「
下から横へ、横から縦へと縦横無尽に潜るエバルー公爵にJ・2の指示通りに避けきれないルーシィをJ・2が庇う。
「我輩は偉いのじゃ!!!その我輩の本を書けるなどものすごく光栄な事なのじゃぞ!!!」
「脅迫して書かせたんじゃないっ!?」
「脅迫?」
「それが何か?書かぬと言う方が悪いに決まっておる!!!」
「なにそれ・・・・・」
エバルー公爵の余りにも自己中な態度に冷たい目線を送るルーシィ。そんな彼女の様子に気づく事無く、エバルー公爵は自身の悪行を自慢げに語った。
嘗てケム・ザレオンに偉い自身を題材にした本を書くように言ったが、断られてしまった。だから書かなければ親族全員の市民権を剥奪すると脅した。
「市民権の剥奪って・・・・・そんな事をされたら商人ギルドや職人ギルドに加盟できなくなるじゃないか!!こいつにそんな権限があるの!?」
「封建主義の土地は未だに残っている。だからこの男でも絶対的な権力をふるっているんだな」
「そして奴は結局書いた!!!」
「!!」
そう言ってエバルー公爵は
エバルー公爵は蹴り付けられながらも下らない悪事の自慢を危機と語る。
「しかし1度断った事は腹が立ったから独房に入れて書かせてやったよ!!!ボヨヨヨヨヨヨヨ!!!やれ作家や文豪だと・・・ふんぞり返ってる奴の自尊心を砕いてやったよ!!!」
「自身の欲の為にそこまでやるか・・・・・」
「アンタ何かの為に独房に監禁された3年間!!!彼はどんな想いでいたか分かる!!?」
「3年も!?」
「我輩の偉大さに気づいたのさ!!ボヨヨヨヨヨ!!!」
「違う!!!自分のプライドとの戦いだった!!!書かなけれ家族の身が危ない!!!だけどアンタみたいな大バカを主人公にした本なんて・・・作家としての誇りが許さない!!!」
エバルー公爵の手から逃れたルーシィは直ぐにJ・2達の元へ距離を取った。
そこでJ・2がルーシィが何故か詳しく説明したのが気になり、声をかける。
「奴の性格は理解した。だがルーシィ・・・・・何故お前がそこまで知っている?」
「全てこの本に書いてあったのよ」
そう言ってルーシィは〝
「はぁ?それなら我輩も読んだ。だがケム・ザレオンの名など登場せんぞ」
エバルー公爵の言う通り〝
その理由はルーシィが答えた。
「もちろん普通に読めばファンもガッカリする程の駄作よ。でもアンタも知ってるでしょ?ケム・ザレオンは元々優秀な魔導士」
そこまで答えた事でエバルー公爵も察した。ケム・ザレオンが最後に〝
「魔法を解けば我輩の怨みを綴った文章が現れる仕組みだったのか!!?け・・・・・けしからん!!!」
「発想が貧困ね・・・・・確かにこの本が完成するまでの経緯は書かれていたわ」
「だけどケム・ザレオンが残したかったのはそんな言葉はそんな事じゃない!!本当の秘密は別にあるんだから!!!」
それを聞いた周りの者達はそれぞれが驚きを見せた。特にエバルー公爵は1番驚いていた。
「だからこの本はアンタには渡さない!!てゆーか、アンタには持つ資格なし!!!」
そう言ってルーシィは〝門の鍵〟の束から蟹のマークが入った黄金の鍵───〝黄道十二宮・巨蟹宮〟の鍵をだし、星霊魔法を発動した。
「開け!!!〝巨蟹宮の扉・キャンサー〟!!!」
星霊界から門を潜り、頭や背中らか蟹の足を生やし、両手にハサミを持った理容師風人型の星霊であり〝黄道十二宮〟の一体、〝巨蟹宮のキャンサー〟が現れた。
「蟹来たーーーーー!!!!」
ルーシィの家で聞いた時から食い付いていたキャンサーが出た事でハッピーのテンションが上がった。
「絶対語尾に「〜〜カニ」ってつけるよ!!間違いないよね!!蟹だもんね!!おいら知ってるよ、〝お約束〟っていうんだ!!」
(テンションが高いな・・・・・)
「集中したいから静かにして・・・・・じゃないと肉球抓るわよ?」
騒ぐハッピーに微妙な顔をしながら呟くルーシィ。そんな彼らを他所に、キャンサーが口を開く。
「ルーシィ・・・今日はどんな髪型にする
「∑空気読んでくれるかしら!!?」
「∑エビーーーーーッ!!!?」
「エビ・・・・・同じ甲殻類だから有り・・・なのか?」
予想を裏切るまさかの語尾にハッピーは叫び、J・2は有りか無しかを真面目に悩む始末。
余りにも場違いなキャンサーのセリフにルーシィも思わず叫ぶが、直ぐに気を取り直して指示を出す。
「戦闘よ!!あのヒゲオヤジやっつけちゃて!!!!」
「OKエ「俺がやろう!」∑邪魔エビ!!?」
「まさにストレートかと思ったらフックを食らった感じだね・・・・・うん!!もう帰らせていいよ」
「あんたらが帰れば?」
キャンサーの〝語尾エビ〟のショックが未だに抜けないハッピーはプルプル震え、J・2は既に自身のペースに戻っていて、そんな2人に呆れながら帰れというルーシィ。
しかし、〝
(秘密じゃと・・・・・!?まさか我輩の数々の裏事業が書いてあるのか!!?マズイぞ!!それが評議会の〝検証魔導士〟渡ったら・・・・・我輩は終わりじゃないかっ!!!)
自身の行ってきた多くの悪行が記されてるかもしれない〝
それが現実になるかもしれない恐怖と焦りがエバルー公爵を精神を追いつめ、ルーシィ達〝
「これ以上お前のすきにはさせん」ガシッ!!
「アダダダダダダッ!!?」
〝
J・2に抑え込まれたエバルー公爵の左手にはルーシィと同じ〝門の鍵〟の1つ───〝黄道十二宮・処女宮〟の鍵を持っていた。
「星霊魔法!!それも〝王道十二宮〟の!?」
「バッバカめ!!片腕を封じた位で星霊を召喚出来ないと思ったか!?」
「!?」
「お呼びでしょうか?ご主人様」
「∑コイツも星霊だったの!!?」ガビーン!!!
「バルゴ!!!我輩を助けろ!!!そしてあの本を奪えっ!!!!」
エバルー公爵が召喚した星霊〝処女宮のバルゴ〟───その正体は屋敷の出入口でルーシィをつまみ出した巨体のメイドゴリラだった。
呼び出したエバルー公爵は自身を拘束しているJ・2から救うように指示を出す。しかしそこでエバルー公爵だけでなく、ルーシィ達もバルゴの上を見て唖然となる。
「あっ!」
「あっ!!!」
「あっ!!!!」
「あっ!!!?」
そこにはバルゴの襟を掴んだナツの姿があった。何故か星霊のバルゴと一緒に現れたナツを見て星霊魔導士のルーシィとエバルー公爵はありえない事象に困惑する。
「何故貴様がバルゴと!!!」
「アンタ・・・・・一体どうやって・・・・・!!?」
「どうって・・・・・こいつが動き出したから咄嗟に掴んだらいきなり・・・・・どうなってんの!?」
「∑こっちのセリフよ!!!!」
「おそらく、そのままナツごと星霊界を通って来ただけだろう」
「∑それ普通にありえないから!!!」
通常星霊魔導士は1度召喚した星霊を別の場所に再び召喚するのに星霊界に戻し、自信のいる場所に再召喚をする。
つまりナツは星霊〝処女宮のバルゴ〟を掴んだ事で星霊界に直接渡り、そのままルーシィ達がいる所へやって来た事になる。
そんな常識的に考えて有り得ない事をやってのけたナツに戦慄するルーシィ達。
そんな一同の様子を他所に、ナツは掴んでいた〝処女宮のバルゴ〟を倒す事に意識を移した。
「取り敢えずコイツを倒せばいいんだな!?」
「お願いっ!!!」
「∑何ィっ!!?」
起死回生の為に召喚した〝処女宮のバルゴ〟がまさかの1発KOに焦るエバルー公爵。そのスキをルーシィは見逃さなかった。
「もう地面の中には潜らせないわよ!!」
シュルルルルル
「んぶっ!?」
ルーシィは自前の鞭をエバルー公爵の首に巻き付け、思いっきり振りかぶって宙に投げ出す。
その投げ出されたエバルー公爵に向かって〝巨蟹宮のキャンサー〟とJ・2が駆け出した。
「アンタなんて・・・・・脇役で十分なのよっ!!!」
宙で2人の攻撃を受けたエバルー公爵はそのまま地面に落ち、無惨にも頭部の全ての毛がツルンっと全て刈り取られた。
「お客様・・・・こんな感じで如何でしょう?エビ」
「グッジョブだ」( ・ㅂ・)و ̑̑
「ハデにやったなァ、ルーシィww」ꉂ(ᵔᗜᵔ*)
「あい!」
「さっすが〝妖精の尻尾〟の魔導士だな(いつか大物になりそうだな)」
エバルー公爵との一悶着を終え、ルーシィはフゥとため息を吐き、〝
そんなルーシィをナツは娘を持つ父親の様な気持ちで見つめていた。