side:ルーシィ
「この本はね・・・・・エバルー公爵が無理やりケム・ザレオンに書かせた、自分を主人公にした冒険小説なのよ」
「成程・・・・・確かにあのケム・ザレオンがこんな駄作に書く程嫌な人間だったしなアイツ・・・・・」
「構成も文体もデタラメ・・・・・名のある文豪が書いたにしては酷すぎるな」
ルーシィは〝
「だから秘密があると思ったの・・・・・この本にはね!!」
ルーシィは〝
side:依頼主の家
「こ・・・これは一体・・・・・どういう事ですかな?」
屋敷に戻った一行はルーシィが代表として〝
「私は確か・・・・・破棄してほしいと依頼したハズでは?」
「破棄するのは簡単です。カービィさんにだって出来ます」
「だっ・・・・・だったら私が焼却します!こんな本・・・・・見たくもない!!!」
ルーシィにそう言われたカービィはあからさまに怒りの表情を見せ、〝
しかし、ルーシィの次の言葉にカービィは動きを止める。
「あなたが何故、この本の存在が許せないのか分かりました」
ピクッ!!
「・・・・・」
「父の誇りを守る為です。あなたはケム・ザレオンの息子ですね?」
「∑マジかっ!?」
「∑パパーー!!」
「・・・・・」
「な・・・・・なぜ・・・・・それを・・・・・?」
ルーシィの確信めいたセリフにその場の全員が驚嘆し、カービィ本人も図星の様で、少し震えている。
カービィは何とか落ち着かせながらルーシィの質問に答える。
「この本を読んだ事は?」
「いえ・・・・・父から聞いただけで読んだ事は・・・・・しかし読むまでもありません」
「駄作だ!!父がそう言っていた・・・・・」
「だから燃やすのか?」
「つまらないから燃やす?父親がそう言ってたから?そりゃいくら何でもあんまりだろ!!!」
「ナツ止せッ!!」
「そうよナツ!それに言ったでしょ・・・・・誇りを守る為だって!!」
「えぇ・・・父は〝
ナツが怒りの形相を見せながらカービィに詰め寄ろうとしたのをJ・2とルーシィが抑える。
カービィはそんなナツに怖気付くこと無く、ルーシィの言葉に制定して話を続ける。
31年前、エバルー公爵による脅迫と監禁を受けつつ、独房で3年間書き続けたケム・ザレオンはカービィのいる家に帰宅した。
しかし帰ってきた彼は疲弊しきっていた。そんな状態で家を歩き回り、カービィが心配して声をかけても止まる事はなく、右腕を紐で縛る。
戸惑うカービィを他所に縛り上げた右腕を机に置き、斧を待ち上げて構える───自身の利き腕を切り落とす為に・・・・・。
利き腕を切り捨てたケム・ザレオンはそのまま病院に入院する事になった。入院した自分に会いに来たカービィを見て、ケム・ザレオンは笑った。
しかし事情をしらなかったとはいえ、カービィは3年も家族を放ったらかした父親を問い詰めた。
ろくでもない貴族の主人公の本を書き、〝最低の駄作〟だと笑って答えた父親が無性に許せなかった。
───だから心にも無い最低な言葉を吐いてしまった。
───ケム・ザレオンが死んだのは・・・・・それからすぐの事だった。
「そんな弱い所も含めてでしょうね・・・・・死んだ後も私はずっと父を憎んでいました」
「しかし、年月が経つにつれて憎しみは後悔に変わっていった・・・・・あんな事を言わなければ父は死ななかったかもしれないと」
「・・・・・」
カービィの話を聞いていたナツは黙ったままだった。当時何も知らなかった彼の気持ちも分からなくはなかった。
「だからね・・・・・せめてもの償いに父の遺作となった駄作を、父の名誉の為この世から消し去りたいと思ったんです」
後悔の念で震えていたカービィは懐からマッチを取り出して火を付け、〝
「これで父もきっと・・・・・」
マッチの火を近づけて本格的に燃やそうとするカービィにルーシィが待ったをかけると同時に突如
〝
「え?」
「!!(魔法の発動・・・・・!?)」
「な・・・何だこれは・・・・・!!!」
光出した〝
「∑文字が浮かんだァーーーっ!!!」
「ケム・ザレオン・・・いいえ・・・本名はザクス・メロン。彼はこの本に魔法をかけていたんです」
「ま・・・・・魔法?」
そう言っている間に〝
「そう・・・・彼がかけた魔法は文字が入れ替わる魔法です」
「中身も・・・全てです」
しかし本にかかった魔法は止まる事無く発動し続け、パラパラとページを捲らせながら中身の文字全てが空中に輝きながら飛び出してきた。
その様子はまるで文字達が繰り広げる幻想のパレードの様で美しく、その場にいた者達の目を釘付けにする。
「きれ〜!!!」
「こりゃ・・・こ「言葉に出来ないな!!」∑被ってるし見えねぇよ!!!」
「・・・・・」
「ナツ!文字が本を中心に螺旋状になっていくぞ!?」
「文字が踊ってるよ!!!」
幻想的な光景を見ていたJ・2が全ての文字が螺旋状となって集まり、更なる輝きを放ちながら本の中に吸収されていく。
「成程・・・・・ケム・ザレオンが作家を辞めたのは最低な本を書いたと同時に最高の本を書いてしまったからか・・・・・」
「えぇ・・・・・カービィさんへの手紙という本をね・・・・・」
美しく魔法の軌跡を目の当たりにしたカービィは2人の会話を聞いて父の言葉を思い出す。
全ての文字が入れ替わった事で魔法の効果が消え、〝DEAR KABY〟はゆっくりとカービィの手元へと戻ってきた。
「それがケム・ザレオンが本当に残したかった本です」
「父さん・・・・・」
〝DEAR KABY〟を受け取ったカービィは1枚1枚捲って内容を読んでいく。読んでいく内に手が震え始め、カービィの目には涙が溜まってきた。
「私は・・・・・父を・・・・・理解出来ていなかったようだ・・・・・」
「当然です。作家の考えてる事が理解出来たら本を読む楽しみが無くなっちゃう」
「ありがとう。この本は燃やせませんね・・・・・」
そう言って涙を拭い、鼻をすするカービィにナツ達は微笑ましげに見つめた・・・・・。
side:マグノリアへの帰り道
「信じらんなーーーい!!!普通200万チャラにするかしらーーー!!!」
「依頼達成していないのに金貰ったら〝妖精の尻尾〟の名折れだろ」
「あい」
「全部、上手くいったんだからいいじゃないのよぉっ!!!」
「それで金を受け取ったら他のギルドメンバー達に村八分されると思うぞ?」
「うぐッ」
シロツメの街からギルドへ帰るナツ達は結局依頼料200万を受け取らなかった。理由は元々の依頼の
依頼主のカービィは申し訳なさそうに払うと申し出るも、ナツ達は遠慮した。(※尚ルーシィは貰えるものは貰おうと3人に抗議していた)
「はぁ〜・・・・・結局あの人達お金持ちじゃなかったのか・・・・・小説家の息子のクセに何でよぉ〜」
「結局あの家は依頼を受けに来た魔導士が仕事を請けてくれる確率を少しでも上げる為に友人から借りただけらしいしな」
「警戒して損したぜ」
ナツの言う通りカービィ夫妻がいたあの家は見栄は張る為に借りていただけの家で、何もやましい事は無かった。
この1件が解決した夫婦は元の家に帰り、2人でケム・ザレオンの〝
「そんな事しなくても依頼引き受けてあげてたのにね」
「「どうかな?」」
「引き受けてたわよ!!・・・・・多分ねっ」
頬を膨らませて不貞腐れるルーシィにハッピーとJ・2が疑いの目を向けれ、ルーシィは思わず怒鳴るが次第に自信なくボソっと呟く。
「それにしても・・・・・30年も魔法が消え無い程の魔力とは・・・・・ケム・ザレオンは実はとんでもない魔導士だったんだな」
「若い頃は魔導士ギルドにいたみたいだからね、そしてそこでの冒険を小説にしたの。憧れちゃうなぁ〜」
「・・・・・」(・∀・)ニヤニヤ
ふとルーシィが零した言葉にナツが笑みを浮かべてルーシィを見る。
「ちょ・・・・・何?(汗)」
「いや〜この間ルーシィの家行った時机に紙の束が置いてあったのが見えてな」
「あれ・・・・・お前の書いた小説の原稿だろ?」
「!!!」ドキーンッ
「へー!だから本に詳しかったんだ!!」
「ぜっ・・・・・絶対他の人には言わないでよ!!!まだヘタクソだから読まれたら恥ずかしいの!!!」⁄(⁄ ⁄ ⁄ ⁄)⁄
「確かに・・・・・文章の構成文に誤字脱字、言葉使いがかなり酷かったな。あれじゃ誰も読みたくないぞ」
「∑アンタ見てたの!!!と言うかそこまで酷かったの!!?」ᔪ(°ᐤ°)ᔭ