Apexの能力貰ったけどこの世界じゃ通用せんだろ、それよりモザンビークヒアァ   作:ナメクジとカタツムリは絶対認めない

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デートアドバイザー

「…眠い」

 

あの後、俺は家に無事帰れたんだが──あの注射、どうやらアドレナリンを活性化させるものらしく、薬が完全に抜けきってなかったらしい。それで家に帰っても目がギンギンに冴えてしまい、一睡も出来なかった。

 

「よう!そ…そ、操!?お前大丈夫か!?死にかけのコオロギみたいな顔してんぞ!?」

「──ようイッセー、今日も元気だな…彼女ができたからか?畜生俺も彼女欲しい」

「本当にどうした!?いつものお前ならそんな事言わねえだろ!?」

 

元気という元気が無くなった俺の肩を揺さぶるイッセー。心配をしてくれるのはありがたいが、今の俺は超疲れてる。今日は一人で学校に向かわせてもらおう。

 

「あー、大丈夫だから。お前は先行っといてくれ」

「お、おお…そうか?無理すんなよ?」

 

 

そう言うと、イッセーは俺が疲れていることを汲み取ってくれたのか、心配そうにこちらを何度も振り返りながら、学校へと向かって行った。

…悪い事をしたな、後で何か奢ってやるか。

 

[あの坊やにはエロ本で十分だろ?]

「兄貴、それは俺が社会的に死んじまうよ」

 

頭の中で豪快な笑い声が響く。だから眠いんだから静かにしといてくれ兄貴。俺はそう心の中でそう呟き、学校へと向かうのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「頼む操!俺にデートのノウハウを教えてくれ!」

 

昼休憩。俺はイッセーに頭を下げられていた。こいつの話によると、今日の放課後、彼女とデートらしい。しかし、彼女というものを作った事も無い万年発情期の自分に、純情なデートのプランが考えられる筈がない。故に、俺に相談してきたというわけなのだが──。

 

 

「…いいかイッセー。良く聞け。俺に彼女はいない

 

 

イッセーの背後にはすでに死体となった松田と元浜の姿が。待ってろ今俺もそっちに行く。死ぬ時は一緒さ。

 

「イヤイヤイヤイヤ!待ってくれよ!本当にこっちは相談してんだって!」

 

ふらふらと松田と元浜に近づこうとする俺を必死に引き止めようとするイッセー。ええい離せぃ。所詮リア充にはわからんだろうな、この胸の痛みは。

 

「頼むって!…人生初の彼女なんだ、初めてのデートは満足させたいんだよ…」

「…」

 

そう言うイッセーの目は本気だった。いつもの不埒な事を考えている目ではない、彼女を想いやる決意をした目だった。…はあ。

 

 

「…俺は分からん。…まあ、一応知り合いに聞いてみてやるよ」

「──ッ!ありがとう!」

 

 

[…随分と甘いんだな、ソウ]

 

こいつはいっつも、俺が手助けしないとすぐにすっ転んじまうからな。ちょっとだけのおせっかいってやつだ。

…さて。そうと決まれば、早速行動しますかね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「小猫ちゃん!このお菓子美味しいよ!食べてみない!?」

「…ありがとうございます」

 

私の机の上に、さまざまなお菓子が並べられる。…この人達は、いくら私が甘い物が好きだからって、こんなに食べれるって思ってるんでしょうか?…まあもったいないんで食べますけど。

もきゅもきゅと貰ったお菓子を咀嚼していると、周囲の生徒の声が聞こえてくる。

 

「やっぱり可愛いよなぁ〜!小猫ちゃん!」

「流石はこの学園のマスコットなだけはあるぜ!」

「あんなに頬いっぱいにお菓子詰めてて…抱きしめたいわ!」

…はぁ。なんなんでしょうか、一体。人がお菓子を食べてる時に…。まあ、私は人じゃないんですけどね。

それにしても、「抱きしめたい」…か…。あの人はそう思ってくれたことはあるんだろうか。

 

「…う」

 

いやまあ、やっぱり私も女ですから意中の人にはぎゅっと抱きしめてもらいたい訳で。…あの時、私の事を救ってくれた、ちょっと頼りなさげな顔つきの、あの人に。

 

「…城」

 

…大体、なんで私の好意に気づかないんでしょうか?いっつもいっつも私がスイーツ店に誘ってるのに、あっちはスイーツに夢中で全然私の事とか気にしてないし!せっかく可愛い服着てきたりとかしてるのに!…もういいです、次に出かけた時は意地でも気づかせてあげます!

 

 

「塔城!」

「ふえっ!?」

 

 

突如聞こえた声に体が反応してしまう。その声は、今私が思い浮かべていた人物と同じもので──。

 

 

「あ、阿久須先輩!?」

「お、おう…どうしたそんな大声出して…」

 

 

予想だにしない展開に顔が熱くなるのを感じる。それもそうだろう。今まで想っていた私の好意を抱いている人は、この人なんだから。当たり前だが、心の声は人には聞こえない。しかし、私の顔はどうにも熱さを逃すことはできなかった。

 

「い、いえ…何でもないです。それより、急にどうしたんですか?」

 

私は突然先輩が、突然ここに訪ねてきた理由を問う。──まあ、おそらくスイーツ店の話でしょうけど。先輩は甘党ですからね。どーせ、私個人なんかに用なんか──、

 

 

 

「デートに行くとしたら、どこに行きたい?」

 

 

 

「───????」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その俺の問いかけに、目の前に居る塔城は動きを止める。そして、感情が無くなった表情で俺を見る。…どうしたんだよ、マジで。

 

「で…デート……?」

「そう、デート」

 

その言葉を噛みしめるように何回も呟く塔城。めっちゃ怖いんだが。

しばらくその動作をしていたが、急にその端正な顔が赤に染まっていく。

 

 

「ふえっ、えっ!?ちょ、え、デート!?デートって、あのデート!?」

「お、おう…だからさっきから言ってんだろ?──で、どうなんだよ。答えてくれ」

 

 

そう言うと、しばらくわたわたとしていた塔城だったが、小さな声でぽつぽつと口を開いた。

 

 

「…わ、私だったら、どこかショッピングモールとかで買い物して、それで甘いものとか食べさせあいこしたり…したいです」

 

 

…なるほどな。つまり女子からしたらそれが理想的なデートってわけか。よし、データは取れた。早速イッセーの所に戻ろう。

 

「オッケー、ありがとな塔城。今度なんか奢るよ」

「…はい!」

 

何故か目がキラキラしている塔城に礼を言った俺は、その場を足早に立ち去っていった。

 

 

 

「あ、あの小猫ちゃんがあんなに表情豊かに…!?何者だアイツ!?」

「う、嘘でしょ…私の小猫ちゃんが…ッ!」

「アイツの名を教えろ…俺が消しとばしてやる…!」

 

 

 

 

「──にへへ、先輩とデート…!楽しみだな…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

放課後。塔城にアドバイスを貰ったあの後、俺はイッセーへと情報を伝えた。イッセーは号泣しながら何度も礼を言ってきたが──、大丈夫だろうか。絶対にアイツの彼女がそのデートプランで喜ぶとは限らないからな。心配だが…まあ何とかなるだろ。

 

[ソウ…他人の心配も良いが、まずは自分の事も考えろ。昨日のこと、忘れてはないだろうな?]

 

ブロスが俺に警告する。…そうだ。イッセーに気を取られすぎて、俺の事がすっかり疎かになっちまってた。

──あの男、何だったのか。人間では無いのは確かだ。翼も生えてたし、なんなら光の槍みたいなのを飛ばしてきたしな。あの時は逃げ切れたけど、今度は分からない。最初から本気で来られたらいくら『興奮剤』でも逃げ切れるかどうか…。

あの男の事を考えるとネガティブな発想しか出てこない。…はあ。イッセー達に相談してもなあ。どーせバカにされるだけだろうし。

 

[…しょうがないか。──ソウ、今から私の『能力』を君に一部分だけ渡す]

 

…え?ブロスもオクタビオみたいな『能力』持ってんの?

 

[当たり前だ、ここに居る全員は持っているぞ?…まあそんな事は今はいい。──いいか、イメージを今から送る…が、これを使いこなすのはそう難しい事ではない。大事なのは、自然に身を委ねる事だ]

 

そうブロスが言ったと同時に、俺の頭に『能力』のイメージが浮かび上がる。その『能力』は、オクタビオのものとはまるで違う物で──。

 

 

[──『全能の目』──。それは主神の力だ。敬意を表せ、ソウ]

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ブロスに新しい『能力』を与えられた翌日、俺は寝不足になる事もなく、清々しい朝を迎えていた。親が作ってくれた朝飯を食べ、制服に着替えて登校する。

少し早めに家を出たおかげか、いつもより早めに学校へと着いた。席につき、ホームルームが始まるのを待っていると、教室の扉が豪快に開かれる。そして、荒々しくイッセーがこちらへ向かってきた。

…そうだ、デートはどうなったんだろうか、成功か?こんなに元気なんだからな。ま、お祝いにどっかに連れてって───、

 

 

 

 

 

 

「──なあ、操。答えてくれ。夕麻ちゃんの事、覚えてるよな!?」

 

 

 

 

 

 

 

なぁにを言ってるんでしょうかねコイツは?

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