Apexの能力貰ったけどこの世界じゃ通用せんだろ、それよりモザンビークヒアァ   作:ナメクジとカタツムリは絶対認めない

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ありえてはいけない事実(殺意)

リアス・グレモリー。…この駒王学園の『二大お姉様』の一人。容姿端麗、成績優秀。その才能は教員にも認められており、また、誰からも尊敬される立派な性格。どこを取っても不足はない彼女のその艶やかな紅髪を靡かせ、悠々と歩く姿はまさに『お姉様』。…なんだが……!

 

何でイッセーがそのグレモリー先輩と一緒に登校してるんですかねえ!?

おかしくない!?必死に俺はアイツの彼女を探してやってんのに、当の本人はなんであんな美人と仲良くなってんの!?

何で?(疑問)何で!?(殺意)

 

[落ち着いてソウ!?危ない思考に入り込んでるわ!]

[うわーお!男の嫉妬は見苦しいぜ?ま、そうなるのもしょうがないか!女の味も分からん様なお子ちゃまにはな!]

 

ウィットォ!!お前絶対殺す!もう…なんか…こう、殺すッ!!

 

[そこまでにしときな。ソウ、あんた今すごい顔してるよ?落ち着いて…落ち着いて…リラックスするのよ……]

 

あ…ああ分かった、よし。はい深呼吸〜!ゆっくり息を吸って〜!吐いて〜。教室のドアが開いて、そこからゴミクソ〇〇〇〇野郎が来たけど気にしなーい、気にしなーい!

 

「ようお前ら、生乳…見たことあるか?」

 

 

僕を覚えておいて?君を殺すことになるかもしれない、阿久須操だ!

 

 

 

 

[ソウ!?]

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さあ詳しく聞かせてもらおうかイッセー君と言うか意地でも聞かせてもらうから覚悟しろやこの野郎」

「殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す」

 

松田と元浜の怨嗟が凄い。今にもイッセーを殺しそうな勢いで問い詰めてる。あ、俺?もちろん殺意はありますよ!(満面の笑み)というかマジで分からんぞ。何で悪い意味で有名なコイツがあのグレモリー先輩と知り合ったんだ?グレモリー先輩も迷惑そうじゃなかったし…。

 

「まあまあ、落ち着きたまえよ諸君。とりあえず冷静に昼飯を食べようではないか」

 

イッセーは実にムカつく顔で弁当を取り出す。…この野郎、調子に乗ってやがる…!

 

「まず…何でグレモリー先輩と登校してるんだ!?どうやったら俺も美女とキャッキャウフフできる!?」

「そうだ教えろイッセー!お前だけ甘い汁を吸おうったってそうは行かねえぞ!!」

 

非リアの魂の叫びが教室内に轟く。…とか言ってる俺も気になるんだけどな!それに、他のクラスメイトも気になってるみたいだし。でも変態に聞きに行くのは勇気がいると。

 

[先を越されちまったな、ブラザー!早くアンタも女でも作った方が良いんじゃないか?]

[…?でも、あの塔城小猫はソウに──]

[あああーっと!パス?ちょっとお喋りが過ぎるんじゃないか、なあ?笑顔にさせるロボットはそんな喋るもんじゃないだろ?お前は笑顔にさせるのが仕事だからな!]

 

…?何してんのみんな。分かった、とりあえず何でも良いからドタバタするのやめてくれ頭が凄く痛いです。あーっ!困りますウィット様!パスと暴れ回られては困ります!あーっ困ります!というか本気で痛いんでやめてもらってよろしいでしょうか!?

 

[結局こうなるのか…]

 

そのやけに落ち着いたクリプトの呆れた声は、頭痛に悩まされる俺には全く届かなかったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おいイッセー、帰るぞ。結局あの場では聞けなかったけどな、俺も聞きたいことは山ほどあるんだからな」

 

授業も終わり、俺はイッセーと一緒に帰ろうとする。しかし、イッセーは渋い顔をしながらそれを断った。

 

「…すまん、今日帰れねえわ。用事があるんだよ」

「?用事ってなんだよ」

 

その返答について詳しく話を聞こうとすると、教室のドア付近から黄色い声がざわめくのが聞こえた。そこに居たのは、駒王学園の女生徒に囲まれる一人の男子が、困った様に笑っていた。

そいつの名は『木場裕斗』。スポーツ万能、成績も優秀、まさしく文武両道の文字が似合う男だ。さらに、容姿も整っており、The・完璧な人間である。

 

「兵藤一誠くんは居るかな?」

 

爽やかスマイルを振りまいてうちのクラスの女子をメロメロにしながら木場はとある人物の名前を口に出す。

 

「…おい、お前の用事って…」

「…ああ。──クソ、イケメンの横は歩きたくねえんだけどな…!」

 

純度100%の嫉妬を抱えて、イッセーは木場の元へと向かっていった。その光景に周囲の女子達の中で戦慄が走る。

…まあ良いか。じゃあ俺は帰りますかね。

 

「な…なんで兵藤なんかが木場くんと一緒に…!?」

「嘘よ!そんな事あり得るわけが無いわ!これは夢…!悪夢なの…!」

「──でも、案外良いかも…。兵藤×木場くんのカップリング」

「それを言うなら木場くん×兵藤でしょ?何言ってんのよ」

「は?」

「あ?」

「というか大丈夫なの!?阿久須×兵藤が無くなっちゃうわよ!?」

「──ハッ!NTR…?」

「それだ!!」

 

 

おい待てコラ最後についてちょっと詳しく話してもらおうか?

 

 

 

 

[…ゴクリ]

 

 

 

ナタリー!?辞めて!喉を鳴らさないで!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後クラスメイト達の誤解をしっっかり解いた後、俺は帰宅し、着替えを済ませ近くの公園へと向かっていた。辺りは薄暗くなり、自転車に乗ってくたびれた様に帰る小学生がちらほらと見える。

…薄暗い時って、危ないんじゃ無いか?あの翼の男がまた襲ってくるかも知れないし…。

 

[うん。でも、今日教えるのは中々人には見せられないものだからね。ごめん]

 

本日の講師──パスが申し訳なさそうな声色で謝ってくる。嫌、別に謝らなくても良いんだけどね?また逃げりゃ良いし。

 

[そっか!じゃあ、僕が今日教える能力で逃走率が更にアップすること間違いなしだよ!]

 

そう自信満々に言い切るパスについ苦笑を漏らす。…逃げるだけで、迎え撃つことは出来ないのね。ちょっと情けねえなあ。

 

[そんなことはない。逃亡は決して『敗北』では無い、どんなものでも、使い方次第では武器となり得る。…今は我慢しろ、奴らの首を掻くのはそれからだ]

 

クリプトのその言葉に他のみんなも肯定を示している。…まあ、みんながそう言うんだったらそうなんだろう。…よし!とりあえず、パス!能力、お願いしまーす!

 

 

[OK!…とは言ったものの、もう能力は使えるんだけどね]

 

 

…え?俺はパスの発言に首を傾げる。──特に変化は無い様だけど…何か変わったのか?試しに足を振ったりしてみるが、何も起こらない。ならばと、今度は左腕を突き出してみる。

 

すると、手の甲辺りから、ワイヤーのようなものが勢いよく飛び出して行った。

 

 

「………は?」

 

 

シュルルル、と音を立てて腕の中へ収まっていくワイヤー。それを見た俺は数秒間惚けた後に──、

 

 

 

 

 

「はあああああああ!?」

 

 

 

 

 

自身の体に起こった異常に絶叫するのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この能力──『グラップル』と言うらしい。ワイヤーを壁に引っ掛けて、大きく移動できる物なのだ。…まあ、簡単に言えばスパイ○ーマンみたいな。

それを聞いた俺は早速試してみた。最初は上手くいかず、凄い勢いで引きずられたりしていたが、自然治癒のおかげでドンドン練習できた。その成果が出たのか、なんとか狙い通りに飛べるようになってきた。…まあ、成功率は五回に二回くらいなんだけど。

 

「あぁ〜〜!疲れた!!」

 

その場に倒れ込み、息を整える。だんだんと落ち着いてきたところで、今日の事を思い出す。

 

(イッセーの野郎…夕麻さんの事どーすんだよ…。グレモリー先輩と仲良いのは良いけど…彼女もどうにかしないとまずいだろ…)

 

新しい能力を得たところで、夕麻さん捜索に進展があった訳ではない。その事実に心の中で焦りが出てきた。

…というか、なんでアイツは自分の彼女をほっといて他の用事に構ってんだ?普通は自分が率先して探すべきだろうが…。…あー!なんか腹立ってきた!それを認知したらムカってきたぞこれ!あー、やってられませんわー!こんなん給料払って貰わないとやっていけな──。

 

 

 

 

──敵に狙われてるぞ!逃げろ!!──

 

 

 

 

 

「ッ!?」

 

その『声』が聞こえた即座に起き上がり、前方へ全力のヘッドダイビングを繰り出す。受け身など考える暇も無かったので、顔にすり傷ができるが、それをお構いなしに俺は勢い良く後ろを振り向く。

 

そこには、つい先日見た光の槍が複数地面に突き刺さっていた。

 

…いや…いやいや、嘘だろ…?

暗い空を見上げる。やはりそこには、先日襲ってきた男が獰猛な笑みを浮かべていた。しかし、以前と変わっている点が一つあった。

それは──。

 

 

「おお、今の避けるんすか?ドーナシークの言ってた事ってマジらしいっすね」

「だから言ったであろう、ミッテルト。そいつには妙な察知能力があると。…まあ良い。嬲り殺しだ」

 

 

「二人がかりかよ…ッ!」

 

 

悲痛な呻き声を漏らすと同時に、空からの襲撃者は光の槍を投げつけてきた。

 


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