Apexの能力貰ったけどこの世界じゃ通用せんだろ、それよりモザンビークヒアァ 作:ナメクジとカタツムリは絶対認めない
少し状況を整理しよう。俺たちは少し休憩するために公園に来た。これは分かる。そして休憩しようと思っていたベンチに向かうと、そこにはイッセーがいた。これも分かる。さらにイッセーの隣を見ると、可憐な金髪小柄美少女が居た。これは分からん。
…うん。ッスー…うん。
「イッセー、お前誘拐はいかんぞ」
「いやいやいやいや!ちょっと待て何で俺が犯罪を犯したみたいな雰囲気になってんの!?ちげえよ!誘拐してねえ!!」
「あーあ、まさか友人が犯罪者になるとは思わなかったなー」
「だから何もしてねえって言ってんだろ!?」
「えと、そこの人?大丈夫ですかー?何かコイツにセクハラとかされて無いですか?なんかあったら言ってください通報するんで」
「話聞けやぁぁぁぁぁぁぁ!!」
一人でウキウキ鳴いてる猿は放っておいて、俺はイッセーの横に座っている少女に話しかける。すると、彼女は困ったように笑い、口を開いた。
『──────』
…え?あ、あれ?今なんて言った?
「ご、ごめんな?ちょっとよく聞き取れなかった。もう一回、言ってくれ」
『…?─────』
日本語じゃ…ない、だと…!?
コミュニケーションが取れないことに戦慄する俺。そこに、先程の少女の声を俺経由で聞いたのかウィットが頭の中で声を発する。
[あーっと、ソウ?その子、多分イタリア語で喋ってるぜ]
え?イタリア?いやまあ、たしかに外見的から見て日本系では無いとは思ってたけど、何でウィットがそんなこと分かるの?
[俺はもともとバーテンダーだったからな。いろんな人を相手していた。その中にはイタリア語を話すお客様もいてな。その人に教えてもらったイタリア語がその子の声の中に入ってたって話だ。ま、俺も完璧にはイタリア語は話せないんだがな]
ほえー…ウィットニキバーテンダーだったんすねぇ…。──あれ?じゃあちょっと待てよ?何でイッセーはその子と一緒にいるんだ?話せないはずだろ…?
「なあイッセー。何でその子と──」
それを聞こうとしたその時、公園に甲高い泣き声が響いた。
俺たちがそちらの方を向くと、子供が蹲って泣いている。どうやら転んでしまったようだ。よく見ると膝を擦りむいている。
流石に見て見ぬふりもできないので、俺たちはその子に駆け寄った。
「おーい、大丈夫か?」
「うわああああん!!」
「あっちゃー…結構擦りむいてんな。イッセー、とりあえず水で洗おう。連れてくぞ」
「おう!」
水道へ連れて行こうとしたその時、イッセーの横に居た少女が優しく笑いながら子供の膝に手をかざす。すると──緑色の優しい光が、少女の手から輝いた。
「──なあ!?」
「ええ!?」
「…!」
俺とイッセー、塔城は驚く。そのまま様子を見ていると、緑色の光が徐々に収まっていった。すると、子供の擦りむいた筈の傷が何事もなかったかのように、無くなっていた。
『────』
「うわあああ…あれ?いたくない!」
子供は泣き叫んでいたが、自分の傷が無くなっているのを見ると、目を丸くする。そして、その事実を確認したのか、笑顔で少女にお礼を言った。
「ありがとうおねえちゃん!」
『────』
その言葉は分からないはずなのだが、少女は子供に笑いかけた。
俺はイッセーにあの光は何なのか問おうとしたその時、子供の名前を呼ぶ声が聞こえた。どうやらこの子の親のようだ。その子の母親は、金髪の少女を、まるで化け物を見るかのような視線で眺めた後──、
「──っ!?ほら、行くわよ」
礼も言わず、立ち去った。
「──ッ、おいあんた──!」
それにイッセーが険しい顔で噛みつこうとしたが、それは少女の手によって止められた。
『────』
少女は、哀しい目をしていた。
イッセーに何故イタリア語を話せるのか聞いたところ、どうやらイッセーは駒王学園の受験勉強をしていた際に、イタリア語も覚えていたそうだ。いつの間にか博識になってて笑う。
彼女の名前は『アーシア・アルジェント』。なんでも癒せる超能力を持ったシスターらしい。しかしその能力が故に、迫害されてきたことも少なくなかった。…誰かを助けたのに、周りがどんどん離れていくなんて…周りの奴らはどうなってんだよ。
やるせない憤りを感じると、イッセーも同じ感情を抱いたのか、拳を握りしめている。塔城は何やら顔が青ざめている。…なんで?
そんなアーシアさんは路頭にくれていた所、ここの駒王町の教会に拾われたという。そこで働くため日本に来日した…のは良かったんだが、初めての地で右も左も分からない状態、そこに出会ったのが──。
「何でこんな可愛い子を迫害なんてしたんだろうな…!絶対教会潰す」
この変態だった。…まあ、コイツと会ったのが、不幸中の幸いというか。今はアーシアさんを教会に案内している途中らしい。俺たちも関わった直後にさよならとはいかないので、一緒についていく。…塔城は頑なに俺を行かせるのを拒否していたけどな。なんで?そんなに信用ない?もしかしてイッセーより危ないとか思われてんの?
「おおう、急に寒気が…!──と、着いた!ここが教会だぜアーシア!」
『────!」
そんなことを思っているうちに教会へ着いた。アーシアさんは何度も頭を下げている。いやあー。心が浄化されるなあー。
アーシアさんはお礼がしたいらしく、俺たちを教会へ誘ったが、その時塔城が血相を変え──、
「いえ、大丈夫です。いきましょうイッセー先輩、阿久須先輩」
と俺たちを馬鹿力で引っ張っていった。ずるずると引っ張られた後、イッセーと塔城はオカルト研究部の集まりがあるとか言って、そのまま駒王学園へと去っていった。
…なんか今日はいろんなことがあったなぁ…。
[なあなあ、シェの姉貴。あのコとアンタのドローン、どっちが使い勝手楽なんだ?]
[ウチに決まってるじゃない。…って言いたい所なんだけどねぇ、正直、ドローンを必要としない回復ってだけで良いわ。コストもかからないし、回復力も申し分ない。…結構自信無くすわね]
俺はシェのドローンも頼りになると思ってるぜ、元気だしなよ。
[…ありがと、ソウ]
[あ、姉貴がデレた…!]
[アァん!?だぁれがデレたってぇ!?]
頼むから頭の中で乱闘しないでくれー、頼むー。…マジでやめろやお前らァ!!(豹変)
ズキズキと痛む頭の中で、とある疑問が浮かんだ。
(イッセーのやつ、イタリア語勉強したって言ってたけど…何で『日本語』でアーシアさんと話してたんだ?アーシアさんとも会話できてたみたいだし…)
ま、いっか。とりあえず俺がしないといけない事は──。
「コォルルルァテメェら良い加減にしろやァァァァァッ!!」
コイツらを静かにさせる事だな。…はあ。