人類が滅亡した的な世界で目を覚ましたけどTSしてたんで帰るのやめます 作:人は誰しもTS願望を秘めているのだ!
「さて、今後の行動方針は決まったかな?」
「そうですね、基本的には元の世界に帰る方向性で決まりました」
「なるほど。ま、そうだろうね。残念ながら、私は帰る方法を知っているわけじゃないけど、それなりに顔は広いからね。取り合えず、この世界について詳しく教えながら君たちの手助けをしてくれそうな人の所に行こうか」
そう言って、俺は四人を神社から連れ出した。この神社は特殊な神社だ。前提として、この神社は元の世界では存在すらしていないはずだ。
「この神社はね、新宿で唯一の安全地帯なのさ。立地も他の建物とは違うだろう?」
地面からの高さ、広さ、そして木々が生い茂る土地。砂漠にポツンと存在しているオアシスのようなアウェー感。まるでそこだけ別の土地から切り取ってきたかのような、違和感をこの神社に誰もが覚えるだろう。30メートルほど上まで、続いているであろう階段に、通常の三倍はあるであろう広さ。何もかもが異例だ。
「確かに、来たときは混乱してたから気にしてなかったけど、特殊な立地やな」
そう、まるで………
「まるで、ここだけ別の場所みたい」
夕凪ちゃんの発言に俺は頷いた。
「そうそう。ある意味この神社は別次元にあるともいえる」
首をかしげる四人を視界に収めながらかみ砕いて説明する。
「君ら風にわかりやすく、説明するならば結界というものがここには張られているのさ。それも結構強力なやつがね。だから、あの土地を管理しているものが許可しない限りは、誰も入ってくることができない」
説明をしながら、男性陣にウインクをしてやると面白いぐらい顔を赤くする。マジで楽しい。
「どうしたんだい?顔が赤いようだけど?」
「え、えっと、あー…………じゃあ、ここから出るのは危険ってことじゃないですか!?」
紅くなった頬を見られたくないのか太一君は話題をそらすために声を荒げる。………これだから、美少女ボディーは最高なんだよな。言動一つで、こうも相手を転がせるなんて。
「うるさい、きもい。だまって」
綺麗な言葉の三段ブローを麗華ちゃんに食らった太一君は一瞬崩れかかりそうになるが、すぐに立て直し麗華ちゃんに視線を向ける。
「………麗華ちゃんも少し落ち着けたようで何よりだ」
太一くんが突っかかる前に、麗華ちゃんに声をかけ会話を切り離す。太一君の方は、太清君になだめられている。
「ご心配をおかけしました………あと、昨日はひどいこと言ってすいませんでした」
少し申し訳なさそうに、麗華ちゃんは頭を下げてきた。別に対して気にはしていない。だが、それをここで正直に言うのは面白くない。
「いや~私は深く傷ついた~まさか、助けたのに罵倒されるなんて思わなかったしな~どうしようかなー」
「ッ………ごめんなさい」
凄まじい棒読みで、いかにも傷つきました風の演技をする。四人とも、大して私が気にしていないのが見て取れただろう。ただし、麗華ちゃんは立場的にはいそうですかっというわけにはいかないだろう。
「意外といい性格してるんやな………凛音さん」
ちょっと引いたように、大清君は声を上げるがそれは心外だ!私の容姿は某ロールプレイングゲームでいうなら、APP18!超絶美少女だぞ!メンタルケアもできる!俺は、長い前髪をかき上げ、麗華ちゃんの顎をクイっと持ち上げる。
茶色の視線と深紅の視線が交錯する。
「大丈夫、気にしてないさ!………それでも、私に申し訳ないと思うのならぜひとも君の可憐な笑顔を見せてほしい」
にっこりと笑顔も忘れない。師匠から、化粧をして本気で着飾ったら、美貌だけで兵器になると言われた笑顔。昔はよく、無自覚に振りまいたものだ。自覚してからは、自嘲していたが………こうした方が、彼女の心を開けるだろう。大して強くない人間が、長時間ふさぎ込んでいるとこの世界ではあっけなく死にかねない。
「、ぁ………」
ボン!っと、顔を朱色に染める麗華ちゃん。こんな臭いセリフでも、私が言えば問題ない!美少女最高だぜ!
「………直接見たわけやないから、断言はできへんけどたぶんあの美貌であのセリフは一種の兵器やと思うんよ」
「ああ、同感だ」
麗華ちゃんの意識が戻るまで、10分ほどかかりました。
神社から外に出ると、そこには一台の車らしきものがあった。車にしては少し歪だ。
その車らしきものは鱗のようなものに覆われており、朱色淡い光を放っている。
「乗ってくれたまえ、大丈夫危険はないよ」
太一たちが恐る恐る車に乗り込むと、その中は自身が知る車の内部とほとんど同じだった。よくある、6人用の車。違う点がるとすれば、椅子がゴワゴワとして硬いことと見覚えのないボタンが運転席に多数存在していることだろう。
「この車の説明も詳くしよう………だが、その前に機能の説明を少しおさらいしておこうか」
凛音は、全員が乗り込んだことを確認しレバーを引く。ゆっくりとだが、車体が目に進みだす。
「この世界は君たちの知っている場所とは違う。まあ、いわゆるパラレルワールドと言ったところだろうね?君たちの世界がどうかは知らないが、この世界では25年前に人類が滅ぶような何かが起きた」
「えっと、昨日も確認したんですけど、何が起きたのかはわかってないんですよね?」
「そうだね。夕凪ちゃんの言う通り、詳しく何が起こったのかはわかっていない。まあ、知っている人間が口を開かないっていうのもあるんだけどね。」
「え?」
「いや、何でもない。まあ、結果として君らも見たであろうモンスターが跋扈する世界になってしまったというわけだ。ちなみに、モンスター以外にも変な機械人形がいたり、亜人がいたりと様々だけどね」
「めちゃめちゃカオスな世界観やな~ってことは魔法もあったりするん?」
「君たちの指す魔法が、どういったものかは測りかねるけど特殊な能力を持っているものは数多く存在する。っというか、大半の人間は持っているよ」
「「おお!」」
目を輝かせる男性陣。その反応を見ながら、凛音は微笑んだ。
「たぶん、君たちもそのうち使えるようになるさ。この世界に、いる限りはね」
「………」
「さて、おさらいは終わりだ。質問タイムと行こうか」
「では、少しいいですか?」
夕凪が、まっすぐと手を上げる。それをバックミラーで確認しながら、凛音は答える。
「何かな?」
「2つ聞きたいことがあります。まず、一つ目。この乗り物が安全なのかについて。二つ目は、この世界の文明レベルについて。それと——————「一つ一つ答えよう」」
「………はい」
「一つ目の質問についてだけど、答えはyesでありしnoでもある」
「いったいどういう………」
「これは二つ目の質問にも関係することだけど、基本的にこの世界の文明レベルは下がっていると言える。昨日の君たちの話を聞く限り、滅びる前の世界では君たちの数十年先の文明レベルだったのだと思うよ。だけど、25年前の厄祭から文明レベルはガクンと落ちた。ただ………ここ10年で技術革新みたいなものがって、もとの文明とも君らの文明とも違うベクトルで成長してる」
「それが、この車だっていうんですか?」
「それだけじゃなくて、凛音さんが持っていた大鎌もそうですよね?」
「イグザクトリー、その通りだよ」
凛音は、夕凪と太一の言葉にハンドルを持ちながら器用に拍手を送った。
「まあ、詳しくは今向かっている場所についてから話した方がわかりやすいと思うから控えるけど、簡単に言えばこの車には車体を透過させる機能があってね。その上、ほぼ無音で走ることができる。後そこそこ頑丈にできてる。けど、完全に無音ってわけじゃないし、車体自体は透過できても雨なんかが降ればバレる。だから、夕凪ちゃんの質問に答えるなら、徒歩で移動するよりは格段に安全だけど見つからない保証がないわけじゃないってところかな」
「なるほど………わかりました」
「はいはーい、次は俺が質問してもええですか~?」
「ああ、構わないよ」
そう言って、凛音は許可を出す。大清は、少し間を開けた後助手席に座る太一にアイコンタクトを取り、切り出した。
「もしかしてなんやけど、凛音さんって——————俺らと同郷ですか?」