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今回はあんまり痛めつけません、チュチュの性質上、そもそも題名で察して、今回病み要素少なめだよ。
では、始まります。
「骨が何本かいってるわね、
「ええそうよ、パレオ、治療は後回し、今はここから離れましょう。
他の人に見つかったら厄介だもの、特にユキナ、ユキナにはゼッタイ、準は渡せない」
……途切れ途切れの意識の合間、聞こえた言葉。
誰の言葉か判断できるほどの気力は残っていないが、人名が出たので予想だけはできた。
恐らく、RASのあの二人だろう。
◇◆◇◆◇
「……おぅ」
騒がしい声でも音でもなく、僕は静寂の中で目を覚ました。
立ち上がろうと脚に力を込めても思うように動かず、変な声が出てしまった、もしかして足の骨も逝ったのか。
というか、ここはどこだ。
不明瞭な視界が定まってくると、ようやく自分が曇り空の下で寝転び、見上げていることが分かった。
状況把握に時間を費やしていると、突然ぬっと少女が僕の顔を覗き込む、前髪だけでもわかるカラフルな髪色、そして赤とピンクの入り混じった瞳、特徴としては十分だろう。
「目を覚ましましたか?」
「──パレオ」
「はい、パレオです」
RASのキーボード、パレオ、本名鳰原れおな、中学2年生でありながらとんでもないキーボードの腕を持っている少女。
そして、彼女がいるということは。
「傷の具合はどう?キサラギ」
声が聞こえて、上半身を起こす、それと同時にのしっと腹部に重さがかかる、その方へと目線を向けると身を乗り出して僕の顔を覗き込んでいるチュチュが居た、少し近すぎる気がする。
「……とりあえず降りてもらえます?動きにくいんですよ」
軽くあしらうと、チュチュは不満げに服の裾を掴んできた。
「少しぐらいいいじゃない!最近……できなかったもの」
何が出来なかった、と聞く前にチュチュはそれこそ猫のように擦り寄ってきた、ゴロゴロとご機嫌に喉を鳴らす幻聴が微妙に聞こえる。
チュチュこと、珠手ちゆは甘えん坊だ、普段強がっている反動が僕に返ってくるというはた迷惑な話だが、悪い気はしない自分のせいでもある。
「…ごめんね、パレオちゃん、色々としてもらって」
片手でチュチュに預けて、パレオの方へ目を向ける、この人はなんというか、よく分からない人だ。
「いえいえ、大丈夫です、私はチュチュ様に言われた通り如月さんを運んだだけですから!」
チュチュの言うことには従う、逆に言えばそれだけ、他に何もすることはないし、自由意志があるのかも分からない。
だけど、危害は加えて来ないと思う。
レイヤさんの事もあるから警戒して損は無いと思うけど。
「ありがとうございます、チュチュと少しの間遊んだら出発するから、そうなったらチュチュの相手はお願いするね」
ぺこりと頭を下げる、チュチュは預けられた片手に頬擦りしたり、自分の頭の上に乗せたり、色々としている、頭の上に乗せるのは撫でて欲しいのサインだ。
そしてこのまま少し遊んで蛇穴の元へ行かなければと思っていた矢先、パレオがにこりと微笑んだ。
「──ダメですよ?」
「え?」
「チュチュ様は如月さんが危ない目に遭うのを、できる限り少なくしたいと考えています、ですから。
如月さんは、チュチュ様のそばに居てもらいます」
「…待って、いや待って?パレオちゃん?」
傍らに膝を着くパレオ、その目は他の人たちと変わらない程度には濁っていて、これは僕に対する愛ではなく……チュチュに対する、忠誠心?
「チュチュ様〜?如月さんに何して欲しいですか〜?」
「いやいや、あのねパレオちゃん、チュチュはただ甘えてるだけなんだからそれは失礼じゃないかな?」
「撫でて欲しい……」
「ほら、純粋無垢だ」
「……独り占めしたい」
「チュチュ?」
おっと雲行きが不安だぞ、もしもパレオがチュチュの望みを叶えるんだとしたらその望みを叶えることに──。
「如月さん」「ハイ」「分かりますよね♪」
「ちょっと分からないです」
足が使えないため、引き摺るようにして後ろに下がる、手を握るチュチュが止めてこないのは普通に甘えたいからだろうか。
「パレオは気付いたんです、チュチュ様はいつも頑張ってて、その反動が如月さんに返ってくる、でもそれだと、如月さんが疲れてしまう。
──それなら、パレオが如月さんを甘やかせば解決しますよね?」
「お前はいったい何を言っているんだ」
理論はわかる、何が言いたいか、やりたいかも分かる。
しかし、なぜそんな考えに至ったのかが分からない。
というか忠誠心と献身が歪んだ形になった結果か、これは。
「という訳で、大人しくしててくださいね♪」
足が思うように動かない状態でロクに行動が出来るはずもなく、一瞬でパレオに背後を取られ、優しく膝の上に寝かされた。
──あれ、これ膝枕では?
「チュチュ様ー、如月さんを好きにできますよ♪」
「────」
「チュチュ?え、何する気?」
起き上がるのは肩を抑えられているのでそもそも諦め、ギリギリ目線を上げるとチュチュがごくりと唾を飲んでいた。
「……キサラギ」「ハイ、ナンデショウカ」
「今からやる事をユキナに言ったら、捕まえて軟禁するから」
「ほんとに何する気!?」
叫び虚しく、チュチュはある事をした。
詳しくは言えないが、猫は飼い主とかが寝転がってるとお腹の上に乗ってくる、それでそのお腹の上に寝転がったりするのだが。
──簡単に言えば、それだ。
おおよそ数十分後
「なんか、甘やかされつつ甘やかすって新体験でした」
「良かったですね」「良かったじゃない」
良かった……のだろうか。
ようやく解放されて、チュチュはいつも通りに戻って甘えていた時の記憶を全て消している、都合がいいな。
「それで、キサラギはどこへいく予定?」
「花咲川女子学園ですけど、こんな状態じゃ…」
聞くだけか、それとも何かしら行動してくれるのか、チュチュの親は富豪だ、タクシーとかとってくれるのが一番有難い。
「……パレオ、キサラギをおぶって、連れていくわよ」
「え?いいんですか?独り占めしなくて」
「うるさいわよ!?いいから連れてくの!」
「手段が原始的だなぁ……」
甘えていた時の言動を掘り返されるのは嫌いなようでぎゃんぎゃん騒いで描き消すチュチュ、はーい♪と僕を軽くおぶるパレオ、中学2年生の女の子に背負われるのって……。
パレオに背負われるとチュチュが僕の背中に触れて、不安そうに、心配そうに、今にも消え入りそうな声で言った。
「キサラギ──。
──ワタシを、置いていかないで」
───依存、今回はヤンデレではないが、一歩間違えれば、きっと。
いや、考えないようにしよう、とりあえず僕はコクリと頷く、そうするとチュチュは前に出て、花咲川の方へと歩き出した。
【無理をした少女の発散先、彼が彼女を拒否することがあれば、それこそ彼は終わるだろう】
如月くんのメンタルを修復する回です、次の次で如月包囲網は終わるかなと。
新しく投稿した話、パステルカラーとろくでなしマネージャー、もご覧下さいね、では!