色々してたら全員病んだんですけど!?   作:ロウ・トウヤ

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当初の予定ではイヴでしたが予定を変更して花園ランドディストピアと致します、ごめんね。


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如月包囲網その3 【花園ランドディストピア】

「……どうしてこうなった」

 

僕はさっきまでパレオにドナドナされていたはずなのに、気付けば1人でさまよっている、片足が折れているというのに無茶だとは思うが動けるということはまだ歩けるということだ。

 

脇腹も時折痛む、肋骨も何本か、いや、僕が考えて分かることでもないか。

 

そもそもとして、なぜこうなっているのか。

 

その理由を知るためには、少し時を遡る。

 

 

 

僕、パレオ、チュチュは廃れた街中を抜け、花咲川女子学園へ向かっていた、人目につかないルートを選び、わざわざ遠回りをしてまで堅実に向かっていたのだ。

 

しかし、突如として気を失ったかと思えば目が覚めた時には街の一角に放置されていた、唖然とするのもつかの間、『とあるヤンデレ』に見つかってとりあえず逃げて、ここにいる。

 

状況を今一度理解しようとしても当然できない、僕の意思など関係なく、物事は発生するようだ。

 

そして、路地裏を抜ける。それと同時にまたもや見つかる。

 

「あっ」「──見つけた」

 

花園、たえ。

 

「オァァァァァァァ!」

「さ、早く行こ、私の理想の花園ランドに」

 

呆気なく首根っこを掴まれて引き摺られる、ちなみに花園ランドとは本人曰く理想郷らしい、一度連れて行かれた、その時の記憶には蓋をしたので何も思い出せない。

 

「あの、見られてるんですけど。

すっごく見られてるんですけど」

 

「大丈夫、ここら辺の人達はみーんな花園ランドの住人だから」

「うわぁほんとだ道行く何人かの目のハイライトが無いや」

 

つまり、この子はこの街自体を花園ランドとして扱っているということか、もはやなんも関係ないよ、都合のいい口実だよ。

 

「あの、花園ランドへの訪問はまた今度ということにはできませんかね」

「逃げるでしょ?」「ニゲマセンヨ〜」「ダメ」

「今回だけは!」

「そんなに花園ランド嫌なの?」

「花園ランドってそもそもなんですかね」

 

「楽園?」「嘘だぁ…」

 

引き摺られながらも普通に会話を交わせるのはまだマシか、いやでもこのままだと花園ランドに連れていかれる、どこかは知らないけど。

 

ズルズルと道を目立ちながら引き摺られていると、唐突に彼女から質問をされる。

 

「──そういえば、その傷どうしたの?」

「レイヤさんにボコボコに───転びました」

「レイがやったの?」

「ぐぇ……間違ってなくはなくはないです」

 

口を滑らせた、誤魔化しは効かないだろう。

首根っこを掴んでいた手は一瞬で手放され振り返る、それで見えたのは案の定ハイライトの消え去った眼。

 

レイガ、ヤッタノ?

 

2人は仲のいい幼馴染だ、僕はその関係を壊したくはない、いや僕の肋骨が何本か破壊されたし仕返ししてもいいのだが、胸糞悪さしか残らない、だからとりあえず隠し通そう。

 

 

◇◆◇数分後◇◆◇

 

 

「──とまぁ、レイヤさんにこんな事をされた訳です」

 

ごめんレイヤさん、花園ランド永住強制チケットとか言われてさすがに言わざるを得なかったっ……

 

話し終わり、少し悩むような動作を見せるたえちゃん、そしてその末に出した結論は─

「─────花園ランド、行こっか」

「なぜに!?」

 

話した!話したよね!?正直に言ったと思うんだけど!

 

「やっぱり、外の世界には君を傷付けるモノがいっぱいある。

なら、私の理想の花園ランドに居た方がずっと幸せ、だから連れて行くの」

 

「嫌だ!僕は死にたくない!」「死なないよ、幽閉するだけ」

「幽閉って今言ったぁ!」

 

何も変わってないぞちくしょう!こんな事なら話聞いてくれてる間に逃げてしまえば良かった!いや逃げれないな!足折れてたわ!

 

◇◆○また数分後◇◆◇

 

どなどなどーなーどーなー、不憫な僕をつーれーてー。

 

逃亡、首根っこ掴まれてる、足が折れてる、不可能。

説得、花園ランドの主、不可能。

撃破、出来るわけねえ。

=詰み、いつものこと。

 

「助けて、助けて蛇穴…」

 

引き摺られながら、もう自分での脱出を諦める、蛇穴さえ来てくれれば何とかなりそうな案件なのにあいつ花咲側女子学園に居るっぽいし、いや僕が遅れてるだけなんだけど。

 

「ジュンって、みんな拒絶してるね」

「そりゃまぁ、年齢という前提がありますから」

「ふーん……みんなのうち、誰かを可愛いとか思ったことある?」

「あります、けど、他の点があまりに邪魔で好きにはなれませんよ」

「病んでるところ?」「分かってるなら改善して貰えます?」

 

「───ジュンのせいだよ」「何度も言いますけど覚えがないんですよ」

 

こうやって、ヤンデレはいつも僕のせいだのなんだの言う、こう聞くと僕がクソ男のように見えるが、本当に覚えはない、彼女たちともバイト中に何度か話した程度だ。

 

それで、というのなら元から病んでいたのか一目惚れか、だ、少なくも僕のせいではない。

 

「ふーん……」

「満足ですか、では離してください」

「ダメだよ、花園ランドは理想郷、ハンバーグと兎とジュンが居れば理想郷どころか楽園、邪魔になる人は全員消さないと。レイ以外は」

「怖いなぁ、淡々と並べるところがまた怖いなぁ」

 

マジでこのままでは色々と収集付かなくなる、もう他のヤンデレでもいいから助けて……。

 

「……花ちゃん?」「─レイ?」「レイヤさん!?」

 

目先の路地裏から出てきた大人びた女性、和奏レイ、言わずもがな僕にこんな傷を負わせた犯人だ。

 

「花ちゃん、それ、どうするの?」

「花園ランドに連れていくよ、レイも来る?」

「久しぶりだし、着いて行こうかな」

「(゚⊿゚)」

「おお、とんでもない顔になってる」

「大丈夫じゃない?簡単には壊れないことは分かってるし」

「そうだね、行こっか」

 

過去一ヤバイ!花園ランドとかいうディストピアに連れていかれてしかもそこにとんでもないドS入り!?死ぬに決まってる!

夢ならばどれほど良かったでしょう……この曲の良さいまいちよく分からんのよな、ピースサインは分かるけど。

 

言ってる場合かァ!!

 

というかレイって僕をボコボコにした犯人なんですけど!?知ってますよね!友情第一かちくしょうめ!

 

 

あーもう仲良さそうに笑ってるよ!信じられるか、今コイツら成人男性拉致ろうとしてるんだぜ?

 

引き摺られてまたもや数分後、人通りが少し多い商店街を抜けて、人が全く居ない通りに来たと同時、行動は起こされた。

 

 

「タエ・ハナゾノ、今すぐキサラギを離しなさい、レイヤもよ」

 

痛みに眠ることも出来ずほぼ意識をシャットアウトしていた時、さっき聞いた声と呼び方、それで察知して目を覚ました。

 

「…チュチュこそ、そこを退いて。

退いてくれるなら何もしない、パレオも居ないでしょ、今」

 

「居ないからなに?ワタシ1人でもキサラギを取り戻すぐらい造作もないわ」

 

「────」「────」

 

チュチュが助けに来てくれた……けど、パレオが居ないんじゃ…。

 

「……いいわ、なら勝負しましょう」

 

チュチュがそう提案をする、勝負?チャージ3回、フリーエントリー、ノーオプションバトルか?知ってる人少ないと思う。

 

「内容は?」「キサラギの知ってることを言い合う」

「───こっちは2人だけど、問題ない?」

「パレオが居ないからって甘く見ないで、早く始めるわよ」

 

どういう勝負?というかなんで僕のこと知ってる前提で話進めてるの?2巡して終わるでしょ。

そもそも何でこの2人たえちゃんの話聞かずに馬鹿みたいな勝負始めようとしてるんだろう、本人の意見を尊重しろ、僕の意見を聞いてくれ。

 

「ぐぇ」「そこで待っててね」

 

少し乱暴に建物の壁に投げられ、声を漏らしもたれ掛かる、この人も乗り気だったわ、ヤバいやつ認定されてるだけはある。

そして、本人が見てる中で僕について知っていることが挙げられる。

 

「ワタシから、『キサラギの好物はマヨネーズ』」

「合ってますよこっち見ないで」

「──次、『寝る時には枕を抱いて寝る』」

「合ってますよなんで知ってるんですか」

 

こんな調子で勝負は続く、いつかネタが尽きるだろうと思っていたが何周しても尽きない、恐ろしい。

 

「『キサラギの嫌いなものはヤンデレ』」

「分かってるじゃないですか」

 

こんな調子でいつまで経っても終わらないのかなぁと思ってまた諦めかけていると、建物の方から声がかかる。

「──おい、如月」

 

「……蛇穴?」「そうだ、逃げるぞ」

 

建物の窓を少しだけ開けて応答してくれているようだ、小声で言葉を返すと上手く言葉を交わせた、それなら初めから助けてくれないかな。

 

「方法は?」「窓を開けて、そこからお前を引っ張り上げる」

「原始的ですね」「つまんねえけどありがたく思え」

 

そんな会話を交わしている中でも、勝負は継続していた。

 

「『キサラギの私服、持ってる服は同じ服の色違い』

「やめてくれませんかそう言うのバラすの」

 

隠してたのにバラされた、これはひどい。

質問が少し繰り返されると、さすがにネタが尽きてきて思案タイムに入る、僕に直接聞くなんてことはしないらしく唸って考えている。

そしてこれをチャンスとみた蛇穴が、指示を出す。

 

「……手を上げろ」

 

言われた通りに手を開けると、窓が一瞬で開いて身体が持ち上がる、ぐらりと揺らいだ視界はひっくり返り、背中から建物に叩きつけられた、苦痛の声は奥歯でかみ殺す。

 

「!?──逃げた!」「花ちゃん!」

 

「おい如月寝ていいとは言ってねえぞ!例の場所まで急ぐぞ!」

「足折れてるんですって!」「鉄パイプでも杖にしろ!逃げるぞ!」

「分かりましたよう!」

 

近くにあった鉄パイプを杖にして軽く走り出す、窓を閉めるのを忘れずに。

 

向かう先は花咲側、逃げ切れるかは──これからわかる事だ。

 

 




次回ッ!如月包囲網終結ッ!!

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