悩んだ末に出た答えはこれです、たぶん、いつもよりガバいかな。
ゲスト出演・白鷲千聖先輩。
追記・白鷲千聖さんをギタリストと間違えて明記しておりましたので書き直させて頂きました、パスパレのギタリストは日菜ちゃんです、間違えてしまい、本当に申し訳ありませんでした。
僕が目を覚ました時、2日経っていた。
裂かれた口は目覚めたら治っていた、あれが夢だったのか僕には分からないが、ダンボールが残っていたことを見ると、あれは現実だったと分かる。
そして、ダンボールの中には1枚の置き手紙。
『いつも貴方を見ています』
心当たりがあってしまう自分が嫌になるが、彼女、否、彼女らは僕の生理的なことは見ていないらしい、なので安心、少し感覚が麻痺ってる気もするが。
こんな体験をしては嫌になるのが人間というものだが、今のところ僕は彼女らの隙を伺っている、バレたら僕を拉致して監禁する人がいるからだ。
がしかし、無事であるのならば不自然さを出してはいけない、その瞬間悪魔たちは僕の自宅へと標的を定め、やってくる、そうなれば生きて帰れない。
何故か僕は死なないのだ、となればそれを存分に生かす。
僕は邪魔になったダンボールや荷物を片付け、それならばと準備を始める。
「……一番壊れてるのは僕、かもしれないな」
ぽつりと呟く、いやそんなことはない、周りの環境に慣れたと言うべきだ、僕は壊れてなど、狂ってはいない、事実として僕はバンド娘に難儀しているし、良い感情などミリも抱いていない。
「僕が狂ってる、なんて、笑える冗談ですね…」
乾いた笑みを浮かべ、僕は作業に戻っていた。
◇◆◇◆◇サークル◇◆◇◆◇
「聞いてくださいよまりなさーん!」
「また?今度はどうしたの?」
「今回はひでえっスよ!死にかけました!」
「また?」「またって言うのやめてもらっていいですか」
「だって、これで何回目なの?」
「……指折り数えて3、4回」
「よく生きてるよね」
「それは自分でも思います」
「だよねー……。あっ、そうだ。如月くん、呼ばれてたよ、対応してくれる?」
「分かりました〜、死の淵から蘇りし如月、行ってきまーす」
「逝ってらっしゃーい」
◇◆◇◆◇
まりなさんの言われた通り、とある練習室に2度ノックをし、中に入る、僕を呼んだ人がいるらしいが、どうせバンド娘だ。
「あら?久しぶりね、ジュン」
「余計なことだったら即刻僕は仕事に戻りますので」
中にいたのは湊友希那、ではなく、白鷲千聖。
パスパレというアイドルバンドのベーシストであり、その微笑みほど恐ろしいものは無いと言える、一応アイドル。
例外なく、病んでいる。
「釣れないわね♪今回は貴方に用があって呼んだの、そこでじっとしててくれる?」
「嫌です帰ります」
「ナニカイッタカシラ?」
蛇に睨まれた蛙、聞いたことぐらいはあるだろう。
今僕はホンモノの殺意と憎悪、そして愛情に当てられ、足がすくんで動けなくなってしまった、そういうことである。
「うふふ、それでいいのよ……あぁ、ジュンの匂い…♡」
「(諦め)」
彼女はそのまま、僕に飛びついて首筋に顔を埋める、くすぐったく、鼻腔を女の子の匂いがくすぐる、しかし反応したら負け、事案である。
そのまましばらく、匂いを嗅がれていると、不意に香水らしきものを彼女は手にした。
「えっと、それは?」「
この隠しきれない悪意と愛情である。
抗う間もなく香水がシュッと吹かれる、確かにいい香りだとは思うが、なんだろう、独特の香りがする。
「ちなみにどんなフレーバーです?」
「あぁ、それは───。ごめんなさい、電話だわ。
後でいいかしら?」
「え、いや気になるんですけど、待っ──。
……普通、自分から絡んで来てそんな話の切り方しますかね」
嵐のような人だった、電話に出るなり荷物をまとめて練習室から出ていき、その後は香水のフレーバーさえ教えてくれないまま、どこかへ行ってしまったようだ。
「はぁ、なんなんでしょこの匂い……まりなさんに聞いてきましょうかね」
すんすんと腕に付いた香水の残り香を嗅ぐが、千聖の匂いと混ざって結局いい匂いに感じてしまう、だがやはり独特な匂いだ。
ここに残る理由が無くなり、まりなさんに仕事終わりの報告と匂いの判断をして貰おうと思い歩き出す、静かな練習室に引きこもるのもいいが、単純に仕事をサボることになるのでダメだ。
ガチャリと練習室の扉を開け、僕が外に出るとほぼ同時に隣の練習室の扉も開き、中から銀色の髪をした凛々しい少女が現れる。
「……あ」「……準?」
言葉をぽつりと零し、名前を呼ばれると僕は練習室に引っ込もうと足を下げた、しかしそんなこと許してくれるはずもなく、気付けば僕はまたもや床に押し倒されていた。
「で、デジャブ……」
「今まで何をしていたの?どうしてここに顔を出さなかったの?どうして私に会いに来なかったの?私はここまで貴方を愛しているのに、私は貴方に全てを捧げる覚悟がある、なのにどうして貴方は私に全てを賭けようとしないの?不公平だわ、今すぐ私と──」
「あばばばばばばばばばば」
落ち着こうの一言さえ出せぬほどの息をつかせぬ猛攻、聞く限りでは僕の安否を心配していたようだが、だんだんシフトしている気がする。
その調子でこんな所で襲いかかってきそうな彼女──湊友希那、孤高の歌姫と呼ばれる凛々しい少女は、何かに気付いたようにピタリと動きを止めた。
「…何の匂いかしら、これは」
「あっ(察し)」
「他の女の匂い……これは?どういうこと?私を1番に据えずに他の女と遊んでた、そういうこと?」
「違います違います、これには訳があるんです」
「そう、なら、貴方を信じる」
「……あれ、意外と素直」
「気持ちに素直になることを勧めたのは貴方なのだけど」
「知りませんけど」
「───そう」
うーん、病むとこういう妄想をしてしまうのだろうか?そのせいで僕はさんざん振り回されたのだが、まぁ変に否定すると殺しにかかってくるのでやめておくが。
「…すいません、馬乗りやめてくれませんか?」
「分かったわ」
なんか、やけに素直だ、後が怖い。
「おおぅ、服が汚れてしまった……。
そういえば、湊さんはここで何を?」
「貴方を待って──。
……夫を待ってたわ(ドヤァ)」
素直だと思っていたがどうやら大嘘つきだったらしい。
「はいはい、そうですね。
それだけの為にライブハウスに入り浸るより、勉強した方が先決だと思いますよ?テスト、ダメダメでしょう」
「……」
無言の肯定、いや、これはお説教を素直に受け取っているという種の素直……?分からないな。
「……はぁ、全く、とりあえず僕は時間が惜しいので、帰りますよ、湊さんも、早く帰った方が──っとぉ!?」
流れるように歩きだし、湊さんにも帰宅を促す、しかしそれは逆効果だったようで、サークルの誰もいない入口付近、そこでグイッと手首を引かれる。
驚いてくるりと振り向くと、湊さんは僕をじっと見つめ、何かを言いたそうにしていた。
「…なんでしょうか?僕は忙しい──」
言葉が遮られ、一瞬でハイライトがオフになる、地雷を踏み抜いた自覚はないが、どうやらやってしまったらしい。
「アナタハイマ、スナオナノ?」
「っ……!?」
ゾクッとするほどのオーラ、掴まれた手首が少しずつ悲鳴を上げ、苦痛に顔を歪めながら答えを模索する。
「す、素直?それはもう、ものすっごく素直ですよ?」
「ワタシは、アナタニイワレテスナオニ、ジブンニウソをツカナイヨウニシタノ、アナタは、ワタシにウソヲツクノ?」
「くっ…」
呆気なく見抜かれた、作り笑いで誤魔化せるほど湊さんは甘くない。
どうすれば、どうすればここを切り抜けられる?
「私は貴方をアイシテル、これはワタシのスナオなキモチ。
アナタはワタシにアイを与えた、答えるのが責務、当然のコト。
スナオニナッテ?ソウスレバ、ワタシは………」
言葉から怨念が少し抜けて、カタコトではありながら愛を囁いてくる、掴まれた手はそっと彼女の胸に添えられて、柔らかな感触が堪能出来る。
抵抗する気力が、だんだん無くなっていく。
「……ネ?結ばれまショウ?アナタがスナオニさえナレバ、ワタシタチはムスバレル───」
不意に彼女の力が抜けた、こちら側が認めるのを待っているのかは知らないが、今僕にあるのは恐怖心だけだ。
素直という言葉を強要してくる、目の前の病んだ少女に対する、圧倒的な恐怖心。故に僕はこの場から逃げ出した。
「っ!ぁぁぁぁあっ!?」
情けないと笑え、根性無しと貶すがいいさ。
ただ、この空気に当てられてはいつか本当におかしくなる。
サークルから出て、走って、走って、走って。
逃げて、逃げて、逃げて───。
……不意に腕が掴まれて、声が、かけられた。
「どうしたの?悲しそうな顔しないで?ほら、笑って!笑えばぜーんぶ、笑い飛ばせるわ!」
湊友希那、ほんとに書きにくい!期待してた人は本当にごめんね!
これを押すと感想画面に飛べます、書いてくれれば投稿頻度が上がる…かも?
https://syosetu.org/?mode=review&nid=229678
以上!終わり!
ちなみに活動報告に新しいヤンデレの募集とTwitterURL乗ってるから、気になった人は見てね!じゃ!