仮面ライダーディレイド   作:白き翼

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ダークライダーの世界を後にした吉良達。

次にやってきたのは、とある科学の超電磁砲と仮面ライダー鎧武の世界だったのだがそこで吉良はあるライダーたちと再会する。

それに合わせて、クロウもとある人物と出会うのだが、これが切っ掛けとなってとある事件に関わることとなっていく・・・。


とある果実の戦国騎士(アーマードライダー)の世界
旅人、オンザロード


「錠前に・・・スーツを着たカエル?」

 

「鎧武と・・・とある科学の超電磁砲(レールガン)の世界、かな・・・?」

「えと、今回はどんな世界なんだい?」

 

「この世界のライダーと言うのが鎧武、鎧武者と書いて鎧武(がいむ)です。絵に描かれてある果実が描かれた錠前のようなアイテム、ロックシードを使って変身する仮面ライダーです。鎧武以外にもいろいろライダーがいます」

「へぇー・・・」

 

「そして、とある科学の超電磁砲と言うのは、とある魔術の禁書目録(インデックス)と言うアニメにもなった小説作品の外伝作品なんです。えっと・・・何て言ったらいいかな?今僕達がいると思う『学園都市』と呼ばれる場所にいる超能力の女の子が主人公で、その子とその子の周りにいる人たちがいろんな騒動に立ち向かってくって感じのストーリー・・・だったよね?」

 

「簡単に言ったら、そんな感じかな・・・しっかし、まさか小説が元になってる世界にも来ることになるなんて・・・」

 

「っ?キズナ、今回は混ざった世界の事を知ってるのかい?」

「あ、うん。私小説よく読むから・・・ライトノベルとか二次小説とかだけど・・・」

 

「んじゃ、どんな世界かが大体分かったところでいつも通りに行きますか」

「そうだな」

 

今回の世界の説明をしている際にキズナが何か知っているような感じであったことに気づく宗一郎。

それに対して頷いて答えながらもキズナが話す中、いつも通りに紫音が指を弾く。

 

そしていつものように出現したオーロラが吉良にぶつかると吉良はウェイターを思わせる格好となった。

 

「な、何この格好?」

「ウェイター・・・?」

 

「今回はケーキ屋のバイトだ。場所は、分かるだろ?」

「あ、はい。大丈夫です。それじゃちょっくら行ってきます」

 

自分の格好に戸惑う吉良に対していつも通りに写真を撮っている宗一郎を余所に紫音が説明する。

そして、吉良は何時もの通りに頭の中に入っていたバイトする店へと向かう事にしたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、やって来たのは良いけど・・・何て言うお店なんだろ?」

 

マシーンディレイダーに乗って移動していた吉良はとりあえず店の近くにある駐車場にマシーンディレイダーを停める。

そして、店の屋根の辺りにでかでかと書かれた店名を見た。

 

「・・・シャルロッテ?あれ、どっかで・・・」

 

「あら、貴方今日からアルバイトに来る子ね?」

「っ?」

 

店名を見て、どこかで聞き覚えがあると思う吉良は突然声をかけられる。

それに驚きながらも後ろを振り返ると、ちょうど吉良の後ろに見知らぬスキンヘッドの男性が立っていた。

 

「えと、貴方は?」

「あぁ、失礼。私はこのシャルロッテの店長をしている西田 源介よ」

 

「え、えと、どうも・・・」

「それじゃ、こんな所で立ち話もなんだから店に入りましょうか」

「あ、はい」

 

突然現れたスキンヘッドの男性こと『西田 源介』はオカマを思わせるような口調で名乗りながらも最後は微笑んであいさつした。

その様子に流石に困惑しながらも挨拶し返すと、そのまま源介が先に行くのを見て吉良も追いかけるように店内に入るのであった。

 

店内に入った二人を出迎えたのは茶髪の眼鏡をかけた青年と黒髪の青年であった。

 

「あ、店長、ってあれ?そっちの子は・・・」

「今日からアルバイトとして入ってもらうの、二人ともいろいろ面倒見てあげて頂戴」

 

「初めまして、秋山吉良と言います」

 

「吉良か・・・俺は長谷川 宗二。こっちは篠内 泰英だ」

「よろしくね」

 

「こちらこそよろしくお願いします」

 

茶髪の青年こと『篠内泰英』と黒髪の青年こと『長谷川宗二』と簡単に挨拶を交わす吉良。

それからすぐに、吉良は篠内と長谷川にいろいろと教えてもらいながらも仕事を始めていく。

 

 

 

 

 

 

しばらくして・・・

 

 

 

 

 

 

 

「いらっしゃいませー!」

「あらあら、頑張ってるじゃない。ああいう頑張り屋さん、嫌いじゃないわ・・・さて、と・・・」

 

慣れていないので時々失敗してしまいながらも一生懸命仕事をする吉良を見て感心する源介はふと視線をそらす。

その先にはこっそりと店の端っこで隠れてサボっている長谷川の姿があった。

 

長谷川はこちらを見ている源介の姿に気づいていないのかのんびりしているのを見て、源介は近くの壁を指で軽く触れると素早く指を横にスライドさせる。

すると、指の動きに合わせて壁の一部がまるで引き戸のように動くと、そこにある幾つものボタンのうちの一つを押す。

 

直後、突然店内に妙な音楽が響き始める。

 

「や、やべっ!?」

 

いきなり店内に響く音楽に長谷川が反応した直後、いきなり天井から金ダライが落ちてくる。

だが、金ダライが落ちたのは長谷川ではなく、音楽にびっくりしてしまいながらも客の注文を取っている最中の吉良であった。

 

「ご注文は以上でよろしいです、がはぁっ!!?」

「きゃぁぁっ!?」

「ちょ、だ、大丈夫っ!?」

 

「あ、あれ!?何で吉良に落ちてんだよっ!?」

 

「あぁぁっ!?お、押すボタン間違えちゃったわっ!!」

「何してんすか店長!?てか、吉良君大丈夫ーっ!?」

 

金ダライが命中してぶっ倒れた吉良に注文を言おうとしていた客が驚きながらも慌てて声をかけ始め、長谷川が吉良にタライが落ちた事に仰天する。

その直後に、ボタンを押し間違えてしまったと声を上げる源介に慌てた様子で篠内がツッコミを入れながらも慌てて頭を押さえて悶絶している吉良に駆け寄る。

 

思わぬハプニングに店内が少々パニック状態になってしまう中で、いかにもガラの悪そうな感じのする男が店内に入ってくる。

 

「あ、いらっしゃいませー・・・って、あれ?アイツは・・・」

「あっ、アイツ前に店で騒ぎ起こして店長にボコボコにされた奴だ・・・てか、吉良君ホント大丈夫?クリーンヒットしたけど・・・」

 

長谷川と篠内がその男を知っているかのような事を言っている中、入ってきた男は手に持っているヒマワリの種が描かれたロックシードこと『ヒマワリロックシード』を開錠する。

すると、突然彼の近くにクラックが出現したかと思うとクラックから全体的に灰色な丸い感じの体をした怪物『初級インベス』が現れた。

 

「い、インベス!?」

「そんな、どうして実体化してるのよ!?」

 

「グガァァァァァッ!!」

「きゃぁぁぁっ!!」

「うわぁぁぁっ!?」

 

いきなり出て来た初級インベスを見て客は困惑する中で、初級インベスが声を上げると一斉にパニックになり始める。

その様子を見て初級インベスを呼び出した男が面白そうに笑みを浮かべる中で、涙目の吉良がふらふらと立ち上がるや否や初級インベスに駆け出した。

 

それを見て慌てて声を上げようとする篠内の前で、吉良はインベスに対して八つ当たりと言わんばかりにドロップキックをお見舞いした。

 

「すっげぇ痛かったですよコンチクショォォォォォッ!!」

「ギャァァァッ!!?」

 

「なぁぁ!?インベス相手にドロップキックかましたぁぁぁっ!!?」

「あの子・・・大人しそうな割に、出来るわっ!!」

「感心してる場合か店長!?」

 

綺麗にドロップキックが決まった事で吹っ飛んで偶然ドアが開きっぱなしだったためにそのまま店外に出ていく初級インベスを見ながらも仰天する篠内。

それを余所に吉良のドロップキックを見て感心する源介に長谷川がアホかと言わんばかりに言っている間に吉良は外に出ていく。

 

そして、睨みつけてくる初級インベスの前で吉良は懐に入れていたディレイドライバーを装着する。

 

「変身っ!!」

《カメンライド、ディレイド》

 

ディレイドライバーを装着すると同時にカードを装填し、ディレイドに変身する吉良。

それに少し驚いた様子の初級インベスを思い切りぶん殴って、そのまま初級インベスと戦い始めた。

 

「ちょ、何よあれ!?」

「あれも、アーマードライダー!?」

 

「で、でも!ロックシードを使ってないぞ!?」

「何か、カードで変身してたけど・・・」

 

「あの子、一体・・・」

 

「お、おい篠内!あれって・・・」

「うん、間違いないよ・・・!」

 

店内にいた客が吉良の変身したディレイドを見て騒いでいる中で源介も驚きを隠せないでいるのだが、長谷川と篠内だけは何やら様子が違った。

そんな中、初級インベスを呼び出した男がこっそり店の外に出て行くと、初級インベスと戦うディレイドを睨む。

 

「やろぉ・・・よくも邪魔しやがって!!」

 

そしてディレイドと初級インベスの戦いを見て、別のヒマワリロックシードを2つ取り出して開錠。

それにより、出現したクラックから別の初級インベスが2体現れてディレイドの背後から襲いかかる。

 

「「グァァァッ!!」」

「うわっと!?」

 

「ガァァァッ!!」

「ぐぅっ!?」

 

背後からの攻撃を受けてよろけるディレイドに戦っていた初級インベスの攻撃が決まる。

そのまま、3体の初級インベスの攻撃に先ほどの金ダライのダメージもあって苦戦し始めるディレイドを見て面白そうに笑みを浮かべていると、その横を誰かが駆け抜けていった。

 

それは店内で様子を見ていた篠内と長谷川であった。

 

「わぁぁぁぁっ!!」

「うぉぉぉぉっ!!」

 

「なっ、篠内さん!?長谷川さん!?」

 

篠内の声に気づいたディレイドの前で、長谷川は持っていたマツボックリが描かれたロックシードこと『マツボックリロックシード』、篠内は持っていたドングリが描かれたロックシードこと『ドングリロックシード』を開錠しながらも、いつの間にか腰に装着していた戦極ドライバーに装着する。

 

《ドングリ》

《マツボックリ》

 

《《ロックオン》》

 

「「変身!」」

《ソイヤッ!マツボックリアームズ!一撃、インザシャドウッ!!》

《カモン!ドングリアームズ!ネバーギブアップ!!》

 

装着したと同時にカッティングブレードを倒した事で、頭上のクラックから出現したドングリが頭にかぶさって電子音声に合わせて展開、長谷川は仮面ライダー黒影に、篠内は仮面ライダーグリドンに姿を変える。

そのまま黒影が初級インベスの一体を蹴り飛ばすと同時に、もう一体の初級インベスを影松で斬り付ける。

 

その間にディレイドのすぐ近くにいた初級インベスをグリドンがドンカチでぶっ叩き、ドンカチで叩かれたことでよろけた所にディレイドが腹に蹴りをお見舞いして距離を少し離させるや否やブレイブッカー・ガンモードを連射して後退させる。

ブレイブッカーで撃たれた初級インベスが後退してそのまま黒影に攻撃された初級インベスが合流するのに合わせて、グリドンと黒影がディレイドと合流する。

 

「だ、大丈夫!?」

「おいおい、しっかりしろよディレイド!」

 

「はい、何とか、ってどうして名前・・・あっ、もしかしてあの時のグリドンと黒影って・・・」

「あー、うん。俺達だよ・・・」

 

「「ギュルルゥッ!!」」

「「「っと!?」」」

 

心配した様子で声をかけて来たグリドンと黒影に返そうとした時に、黒影がディレイドの事を知ってた事にまさかと思い尋ねるディレイド。

それに対しグリドンが頷いて答えてディレイドが驚く中、初級インベス達が一斉に襲い掛かって来たために慌てて左右によける事で攻撃をかわす。

 

「とりあえず、今はこいつ等を何とかしましょうか、っとと・・・」

「だ、大丈夫?」

 

「す、すみません、さっきの金タライのダメージがまだ残ってる上にちょっとクラクラしまして・・・・面倒なのでとっとと決めます・・・!」

《スキルライド、トモエ マミ》

 

少しふらつくディレイドを心配するグリドンに返しながらもディレイドはカードを装填。

魔法少女姿のマミが現れたかと思うとすぐに消えた事に少し驚くグリドンに対しディレイドはマミの使用する黄色いリボンを右手に作り出すと同時にそれを振るう。

 

振るわれたリボンはまるで意志を持っているかのように動き、2体の初級インベスを纏めて締め上げて拘束する。

じたばたリボンを引き千切ろうとしたもののバランスを崩して倒れた初級インベス達を見ながらもディレイドはとっとと倒そうと超巨大なマスケット銃を作り出して構えたと同時にグリドンもカッティングブレードを三回倒した。

 

《ドングリ・スパーキング!》

 

「グリドンスマッシュッ!」

「ティロ・フィナーレッ!」

 

「「ギャァァァァッ!?」」

 

電子音声に合わせてグリドンはドンカチを振るう事でドングリ状のエネルギーを飛ばす『グリドンスマッシュ』を放つと同時に、ディレイドが超巨大なマスケット銃をぶっ放した。

身動きが取れないためにそのまま二人の攻撃を受けた初級インベス達は断末魔を上げながらも爆発する中で、残った最後の一匹がやけになったのか向かってくるのを見て黒影はカッティングブレードを1回倒す。

 

《マツボックリスカッシュ!》

「おぉぉぉりゃぁぁぁっ!!」

「グギャァァァァッ!?」

 

電子音声に合わせて駆け出してそのまま以前、クウガの世界での戦いでも使用した必殺技である影縫い突きを初級インベス目掛けて放つ。

その一撃は見事に初級インベスに直撃し、初級インベスはそのまま爆発した。

 

その様子を見ていた初級インベスを呼び出した男が別のロックシードを取り出そうとした時に肩を叩かれたので振り返ると同時に固まる。

何故なら彼の後ろには文字通り鬼の形相となった源介がいたからだ。

 

「あーた・・・前にもうちの店で騒ぎ起こしてくれたわよね?今度と言う今度は許さなくてよ・・・・」

「あ、あ・・・あぁ・・・!!」

 

指の関節を鳴らしながらもすごい迫力で言ってくる源介を見せ思わず後ずさりする男。

直後、男の悲鳴が響き渡る様子を見てディレイドと黒影とグリドンはそれぞれ顔を見合わせた後、静かに合掌するであった・・・。

 

 

 

 

 

 

しばらくして・・・

 

 

 

 

 

 

「そんじゃ、お邪魔しました」

「しっかり、お灸をすえてやって頂戴よ?」

 

「分かってますって、んじゃ行くじゃんよ」

「は、はい!」

 

初級インベスとの戦いが終わった後、源介の連絡を受けて学園都市の治安維持機関『警備員(アンチ・スキル)』が源介によってボコボコにされた男を連行していく。

男と共にやってきていた警備員達は、男を専用の車両に載せてそのまま車に乗って後にするのを見送る吉良達。

 

ちなみに男の使用したロックシードは警備員が回収して行っている。

 

「しっかし、何だったんだ?さっきのインベスは・・・」

「ロックシードってインベスゲームで使っても完全に実体化はできないのに・・・」

 

「確かに・・・一体どうなってるのかしら?」

 

警備員の車両を見送りながらも、長谷川と篠内と源介は先ほどの男の呼び出したインベスの事が気になっていた。

 

 

 

ちなみに、インベスゲームと言うのは吉良の知るの鎧武の物語でもあったインベス同士を戦わせる競技の事である。

インベスを戦わせると言っても、インベスゲームで出てくるのは先ほどの物とは違い半実体化したものとなるのだ。

 

しかも、普通のインベスゲームではこの世界のライダー達こと『アーマードライダー』やインベスのみ入ることが可能なバトルフィールド内で行う為、よほどの事がない限りは周囲に被害が及ぶことがないようになっているが先ほどはそのフィールドも出現しなかった上にインベスも実体化して出て来たのだ。

ちなみにアーマードライダーがインベスを召喚した場合はインベスは実体化できるのだが先ほどの男は変身もしてなかったので、三人揃ってこの事態に首を傾げている中で吉良は何となくだがこの事態の原因が理解できていた。

 

 

「・・・あの人が使ったロックシード・・・多分、リミッターカットをしたロックシードで間違いないな・・・」

 

近くにいる源介たちに聞こえないように呟く吉良。

 

 

 

実は吉良の知る鎧武の物語で似たような事態が起こった事があるのだ。

 

ロックシードにリミッターカットと言う裏技をすることでアーマードライダーでなくても実体化したインベスを呼び出すことができるようになると言うものだったのだが、リミッターカットはロックシードによってきまっているランクによってはインベスの制御が出来なくなってインベスが暴走してしまうと言う事態が発生する危険なものだ。

 

 

それを考えているうちに、リミッターカットのやり方を何処で知ったのかと考えている時に見知らぬ黒い帽子をかぶった男が遠くからこちらを見ていたことに気づく。

吉良はその男をじっと見ていると、見られているの気づいたのか足早に退散し始める。

 

その男が気になりながらも吉良は、源介達と共に店内へと戻っていくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んー・・・これと言って変な事は起こってないなぁ・・・」

『いたって平和な感じですね』

 

「そうだねぇ・・・」

 

その頃、クロウは学園都市内を適当にぶらぶらと歩いていた。

 

トラブルがあってもいいようにとウィザードライバーも持ってきているが、いざ出歩いてみれば特に騒ぎも起きてる様子もない。

 

首からぶら下げているエクスの言う通り、平和である・・・吉良の方では騒ぎは生きているが平和である。

 

そんな時、クロウの腹の虫が鳴り響いた。

 

「っと・・・何か食べよっかなぁ・・・」

『マスター、すぐ近くにコンビニがありますよ』

「あ、ホントだ・・・何か買ってこよ」

 

とりあえず何か食べようかと思うとエクスが声をかけてくる。

その言葉通りにコンビニが近くにあったのでそこで何か買おうと考えて直行するのであった。

 

「あんぱんと・・・牛乳でいいかな・・・」

 

あんぱんを片手に歩くクロウは適当に見つけたパックの牛乳に手を伸ばすと、別の誰かもクロウと同じものを取ろうとする。

それに気づいて手を伸ばした誰かを見ると、そこには赤茶色の癖がかかった長髪に、黒い革ジャンを羽織る男が立っていた。

 

「あ、どうぞ」

「っ?良いのか」

 

「えぇ・・・あ、これにするので」

「そっか、ワリィな」

 

同じものを買う気なのだと思うが牛乳は一つしかない事にクロウは気づき、クロウ自身は別に何でもよかったので牛乳を革ジャンの男に譲ることにした。

 

それに対して革ジャンの男が声をかけてきたので、返しながらもふと見覚えのある名前のココアを見つけたのでそれを手に取る。

それを見てフッと笑みを浮かべながらも礼を言う革ジャンの男は牛乳を持ってそのままレジへと向かい、それに合わせるようにクロウも別のレジへと向かう。

 

会計を済ませて、店の外に出てコンビ二のごみ箱の近くでアンパンにかぶりついてココアを飲む。

 

「うん、やっぱりココアはバンホテーンだな」

「やっぱ、牛乳はムサシノ牛乳だな」

 

「「・・・ん?」」

 

クロウの声とほぼ同時に響いた声に思わず反応して声のした方を見ると、そこには先ほどクロウが牛乳を譲った男が牛乳を飲んでいた。

 

「・・・そのココア好きなのか?」

「え?えぇ・・・そういうあなたもその牛乳好きなんですか?」

 

「あぁ・・・他のも好きなんだが、これが一番だ・・・ん?」

「っ?何だ、この音?」

 

それぞれの飲み物について話していると、何か甲高い音のようなものが聞こえ始める。

クロウはどこから響いているのかと思いながらも周りを見渡していると、革ジャンの男がどこかに歩いていく。

 

それを見たクロウは少し慌ててあんぱんを食べてココアで流し込んで革ジャンの男を追いかけていくと、何かの機材を乗せた車の近くに数人の男が立っていた。

そしてよく見ると、車の近くから入れる路地裏で数人の男が座り込んでいる制服姿の少女を取り囲んでいた事に気づく。

 

「っ、助けないと・・・!」

「そうだな・・・ちょっと、これ持っててくれ」

「えっ?」

 

それを見て少女を助けようと思うクロウだったが突然革ジャンの男が飲んでいた牛乳――『ムサシノ牛乳』を渡される。

いきなりの事にきょとんとなりながらも革ジャンの男を見るクロウの前で、少女を取り囲んでいる男達の方へと歩み寄っていく。

 

すると、車の近くにいた男が革ジャンの男に気づいて近づいていくと、革ジャンの男はそのまま近づいてきた男を殴り飛ばす。

それに気づいた少女を取り囲んでいる男達が声を荒げていると、革ジャンの男が何故か上の服を脱いで上半身裸になると同時に乱闘を始めた為に流石にクロウも見てはおれずに急いで向かう。

 

だが、クロウが到着した時には間に革ジャンの男に襲い掛かってきた男達はすべて地に伏せており、脱いだ服を着直している所であった。

 

「ふぅ・・・」

「・・・お強いんですね」

「ん?あぁ、こう見えても喧嘩はなれてるんでな・・・あ、ワリィな?急に持っててくれって頼んで」

「あ、いえ。お気になさらず」

 

クロウは革ジャンの男にムサシノ牛乳を返すと、そのまま近くに止めてあった車の機材に近づく。

どうやら甲高い音はこの機材から響いているようで適当にコードを引っこ抜いてみると、音が消えた。

 

「・・・何だったんでしょうか、この音?」

「さぁな、とりあえずただの音じゃなさそうだぜ?あの子苦しそうにしてたしな・・・」

 

首を傾げるクロウに対し、革ジャンの男も良く分からなさそうに呟きながらも男に取り囲まれていた少女を見る。

少女は気分が悪そうな様子で壁に背を預けた状態で座り込んでいた為、クロウは慌てて駆け寄る。

 

「君、大丈夫?」

「え、えぇ・・・何とか・・・」

 

「そっか・・・とりあえず怪我とかもなさそうだね、立てる?」

「すみません・・・あら?私を助けてくれた人は・・・?」

 

「えっ?あ、あれ?いない・・・」

 

少女の前で屈みながらも声をかけるクロウに少し苦しそうな様子で少女は返す。

とりあえず大丈夫な感じなのでほっとしながらもクロウは立ち上がるとそのまま少女に手を伸ばし、手を掴んだところで引っ張って少女を立たせる。

 

その時、少女が呟いた言葉によって始めてクロウは革ジャンの男の姿がなかったことに気づいたのであった。

 

 

それから5分も満たないうちに、偶然現場を目撃していた人からの連絡を受けた警備員がこの場に駆け付けた。

クロウは近くにいた為に事情を聴かれたので帰りが遅くなるかと思っていたが予想以上に早く解放されたので、そのまま光風館に帰る事にしたのであった。

 

 

 

 

 

 

To be continued・・・

 

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