仮面ライダーディレイド   作:白き翼

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ソーンファンガイアの襲撃があったものの、無事にレーティングゲームは終了した。
だが、リアス達は敗北してしまったためにリアスの結婚が決まってしまうのであった・・・。

そんな中、吉良達はどうするのか・・・?


貴女の夢、守ります!

「ひ、ひひ・・・ひひひっ!」

 

夕日に照らされる廃工場の中、不気味に笑う少しボロボロの茶色いコートを羽織る男の姿があった。

廃工場の中は少し暗いので分かり辛いが、コートは赤黒く変色していた。

 

「やっぱりいいなぁ・・・次は誰をやろうかなぁ~・・・あん?」

 

ニヤニヤと笑みを浮かべながらも呟いていた男だったが、何かに気づいて廃工場の入り口を見る。

そこには制服姿の木場、小猫、朱乃の姿があった。

 

「ほぉ、お客さんとは珍しいねぇ~・・・どちら様だい?」

 

「はぐれ悪魔ギナウ!主の元を離れ、大勢の人間を殺めた行為・・・万死に値するっ!」

「リアス・グレモリーの命により、貴方を討伐させてもらいます」

「覚悟してください」

 

「ほぉ、リアス・グレモリーの眷属どもか・・・」

 

珍しそうに見ている男ことギナウに対して言い放つ木場達。

それに対して、ギナウはその姿を見て面白いと言わんばかりの様となる。

 

 

ちなみに、はぐれ悪魔と言うのは転生により下僕悪魔となったが、強力な力に溺れて主を殺してお尋ね者となった悪魔の事である。

契約の有無とは無関係に人間を襲う極めて危険な存在でもあり、ギナウもこれに該当しているのだ。

 

 

「ん?リアス・グレモリーの姿が無いな・・・それに噂で聞いたより数が足りない気がするが・・・」

 

「諸事情で休みです」

「けど、僕達だけでも討伐は出来るっ!」

 

「ほぉ・・言ってくれるねぇっ!!」

 

ギナウの質問に答える小猫とそれがどうしたと言わんばかりに剣を構えながらも告げる木場。

それを聞いてギナウが面白い、と言わんばかりに言い放った直後に顔に不気味な模様が現れたかと思うと、全体的に灰色で体には鎧をまとっているような姿で頭部がウナギを思わせる様な形となったオルフェノク『イールオルフェノク』へと姿を変えてしまう。

 

「っ!?オルフェノクになっていたのかっ!」

「そういう事だ・・・そう簡単にはやられねぇぜっ!」

 

オルフェノクになった事に驚く木場達に対してイールオルフェノクは左手を突き出すと同時に電撃を放ってくる。

回避してそのまま変身しようとする中で木場がよろけた拍子にバランスを崩して倒れてしまう。

 

「ぐぁっ!?」

「っ!?佑斗先輩っ!」

「ははっ、何か調子悪そうだな?そんなんで俺を倒そうだなんてなぁぁっ!!」

 

倒れた木場を見て声を上げる小猫を余所にイールオルフェノクはまずは木場を倒そうと何処からともなく取り出した槍を構えて突撃する。

すぐに朱乃が電撃を放って阻止しようとするが、電撃の直撃を物ともせずに木場に対して向かって行ってしまう。

 

そのまま木場に対して槍を振るおうとするのを見た木場がそれを剣で防ごうとしたその時、何処からともなく滅茶苦茶な軌道で飛んできた銃弾がイールオルフェノクに次々と命中する。

たまらずイールオルフェノクが後退する中で木場達が何事かと思っていると、廃工場の入り口の方から足音が聞こえたのでそちらを見てみるとそこにはディレイドとウィザード・フレイムスタイルの姿があった。

 

「クロウ君っ!?」

「秋山先輩!?」

 

「ど、どうしてここに!?」

 

「いや、家に返ってる最中にクロウさんが妙な魔力を感じ取ったから、調べに行こうと言う事になって・・・こんな事になってるとは予想外だったよ」

「とりあえず、助太刀させてもらうよ」

 

「ちぃっ、次から次へと・・・面倒だなぁっ!!」

「させるかっ!!」

 

「変身っ!」

《カメンライド、リュウキ》

 

イールオルフェノクが再び電撃を放つと共にウィザードも対抗して電撃を放つ。

ぶつかり合った両者の電撃が押し合いの状態となる中でディレイドはディレイドライバーにカードを装填し、電子音声と共に龍騎に姿を変えると同時に再びディレイドライバーにカードを装填した。

 

《アタックライド、アドベント》

 

「グォォォォンッ!!」

「なっ、どわぁぁぁっ!?」

 

「なっ・・・!?」

「赤い龍!?」

 

「一気に決めてやるっ!!」

《ファイナルアタックライド、リュ・リュ・リュ・リュウキ》

 

電子音声と共にイールオルフェノクの近くにあったひび割れた鏡からドラグレッダーが現れる。

それにイールオルフェノクが気付いたと同時にドラグレッダーの体当たりをまともに受けて槍を手放してしまいながらも吹っ飛ばされる。

 

イールオルフェノクが地面を転がっている中、木場達がドラグレッダーに驚いているのを余所にD龍騎がディレイドライバーにカードを装填する。

電子音声と共にドラグレッダーがD龍騎の周りをぐるぐると旋回する中で、D龍騎が飛び上がるのに合わせてドラグレッダーも上昇する。

 

その間に立ち上がっていたイールオルフェノクが上を見上げる中、D龍騎の周りをドラグレッダーが移動している間に飛び蹴りの体制となったD龍騎にドラグレッダーが炎を放ってそれを身に纏うかのような状態で放つ飛び蹴り――『ドラゴンライダーキック』をイールオルフェノク目掛けて放つ。

D龍騎が放った一撃はイールオルフェノクに炸裂し、イールオルフェノクは吹っ飛ばされた途端にそのまま大爆発を起こした。

 

「グォォォォォンッ!!」

「・・・よしっ」

 

爆発が起きる中でD龍騎が着地すると同時にドラグレッダーの咆哮が響き渡る。

そんな中で、D龍騎は静かにガッツポーズを取るのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ~、木場君達が無事でよかったね。吉良君」

 

「・・・そう、ですね」

「ん?吉良君、大丈夫?元気無さそうだけど・・・」

 

「あ、いえ。僕は大丈夫です。でも・・・一誠君は大丈夫かな、って・・・」

 

戦いを終えて光風館へと返る最中、少し元気がなさそうな吉良を見て心配した様子のクロウが声をかける。

それに対して吉良は答えながらも、一誠の事を心配していた。

 

 

レーティングゲームから二日ほど経っているが、あの戦い以来一誠は眠り続けてしまっている為に学校を休んでいるのだ。

アーシアも魔力を使い過ぎた事によって体調がすぐれずに休んでいるが、そんな状態でも一誠の看病をしているそうだ。

 

それだけならまだしも、イールオルフェノクとの戦いが終わった後に木場が教えてくれたので知った事だがリアスとライザーの結婚式が今日の夜に行われると言うのだ。

 

 

 

この状況に吉良は何かできる事は無いだろうか、と考えている中で光風館に到着する。

そのままクロウが先に入ろうとするが、急に足を止めてしまう。

 

「・・・この感じは・・・」

「っ?どうしたんですか、クロウさん」

 

『マスター、吉良さん。どうやら、光風館にお客さんがいらっしゃるようです』

「みたいだね」

 

「えっ?お客さん・・・?」

 

クロウの真剣な表情を見て、何事かと思う吉良に対してエクスが声を上げる。

それを聞いて頷くクロウを余所に吉良はきょとんとなってしまうが、とりあえずクロウと共に光風館に入る事にした。

 

すると、聞き覚えのある声が宗一郎と談笑するような声が耳に入る。

その聞き覚えのある声にまさか、と思いながらもクロウと共に急いで居間に向かう吉良。

 

吉良とクロウが居間に入ると、宗一郎とキズナとフェンと共に何時ものメイド服姿のグレイフィアが出迎えた。

 

「あ、二人ともお帰りっ!」

「お、お帰り・・・」

「キュルルー!」

 

「お邪魔しています」

 

「ぐ、グレイフィアさん!?」

「ど、どうして光風館に・・・と言うか、どうやってここに!?」

 

「リアスお嬢様から教えてもらったんです。それより、お二人はリアスお嬢様の結婚式の話は聞いていますか?」

「えぇ、木場君達から聞いてます。今日の夜、でしたよね?」

「はい・・・ですので、これを」

 

グレイフィアがいる事に驚く吉良を余所に、何故ここに来れたのかが気になったクロウに説明するグレイフィアはリアスの結婚式の話を持ち出してきた。

その件に関しては吉良とクロウは聞いていたので頷きながらも答えると、グレイフィアは一枚の紙を差し出してきた。

 

その紙には表と裏にそれぞれ異なる魔法陣が描かれていた。

 

「これは・・・魔法陣?」

「グレモリー家とフェニックス家の婚約パーティの会場に転移する為の魔法陣です。裏面にはこちらに帰る為の魔法陣があります・・・発動させたい魔法陣に魔力を込める事で発動できるようになっています」

 

「っ、どうしてこれを僕達に?」

「サーゼクス様から頼まれましたので・・・伝言も預かっております。『君達がこの結婚に納得ができないと言うのであれば遠慮なく殴りこんできなさい』と」

 

「・・・そうですか」

 

伝言を聞いて少し引っかかるものがありながらも差し出された紙を受け取る吉良。

それを確認した後、グレイフィアは椅子から立ち上がる。

 

「それでは用件も済んだのでお暇させていただきます・・・」

「あぁ、はい。お気を付けて」

 

「最後に一つ・・・兵藤様は既に会場へと向かわれていると思います、合流したいと思うのであればお早めに・・・」

 

宗一郎に挨拶を済ませた後に、一言言い残したグレイフィアは光風館を後にした。

その姿を見送った後で、宗一郎は吉良とクロウに声をかけた。

 

「二人とも・・・どうするんだい?」

「・・・許可は出てるんで、行ってきます」

「正直、今回の結婚の話は納得する気なんて全くないんで」

 

「そっか・・・それじゃ、気を付けて行ってらっしゃい」

「吉良、なるべく早く帰ってきなさいよ?あと、クロウさんに迷惑かけないようにね?」

 

「わ、分かってるよ!」

「行こうか、吉良君」

 

「はいっ!」

 

吉良とクロウは宗一郎とキズナに見送られながらも光風館を出ると、周囲に誰もいないことを確認してから吉良はクロウに魔法陣の書かれた紙を渡す。

クロウが、魔力を紙に描かれた魔法陣に込めると同時に二人は光と共に消えてしまった。

 

そして、二人は豪華な装飾が施されたどこかの屋敷の中へと転移した。

 

「・・・転移が成功したのかな?」

「多分、大丈夫だと思います」

 

「部長ぉぉぉぉぉっ!!」

 

「っ!?今のは・・・」

「一誠君の声だ、行ってみましょうっ!!」

 

吉良とクロウが周囲を見渡していた中、一誠の叫び声が聞こえた。

それを聞いて急いで声のした方へと走ると、何かを言っている様子の一誠の姿を見つけた。

 

「あ、あそこだっ!」

「一誠く・・・」

 

「リアスグレモリー様の処女は俺のものだぁぁぁっ!!!」

「「だぁぁぁぁっ!!?」」

 

吉良とクロウが一誠に近づこうとしたその時、一誠のとんでもない発言が響き渡る。

それを聞いた途端に吉良とクロウはずっこけてしまい、そのままヘッドスライディングの如く滑りながらも一誠の元へと向かう羽目となった。

 

「え、吉良!?それにクロウまで!?何で、ってかどうやってここに!?」

「ぐ、グレイフィアさんから招待状を貰ってね・・・」

「い、一誠君に加勢しに来たんだよ・・・でも、その前に一つだけ言わせてもらうよ」

 

「え?な、何だよ?」

 

滑りながらもやってきた吉良達に気づいて驚く一誠に対してずっこけた拍子に顔をぶつけた為に、顔を押さえながらも立ち上がり事情を説明する吉良。

同じように顔を押さえながらも立ち上がっていたクロウも説明したかと思うと、右手に指輪をつけるとそのままウィザードライバーを装着と同時に操作して右手をかざした。

 

《ハリセン、プリーズ》

 

「君は公衆の面前で何馬鹿な事を言ってるんだぁぁぁぁっ!?」

「あだぁぁぁぁっ!!?」

 

電子音声に合わせるようにクロウの右手にハリセンが出現、それと同時にクロウは一誠の頭を思い切り引っ叩いた。

凄く良い音が響き渡る中で一誠が余りの痛さに頭を押さえながらも屈むのを見て、大丈夫なのだろうかと心配しながらも吉良はリアスに対して叫んだ。

 

「部長さんっ!」

「っ!?」

 

「手が届くのに手を伸ばさなかったら死ぬほど後悔する!それが嫌だから、僕は貴女に手を伸ばしますっ!貴女を、助ける為にっ!!」

「いってて・・・そ、そこは僕達にしてくれよ吉良!?俺だって部長を助けに来たんだっ!!」

 

「もちろん、僕も同じだよ?リアス部長の、最後の希望となってあげる為にねっ!行こう、二人ともっ!!」

「おうっ!!」

「はいっ!!」

 

「吉良・・・クロウ・・・一誠・・・!」

「き、貴様等!さっきから偉そうに・・・何様のつもりだぁっ!!」

 

いきなり呼ばれて驚くリアスに対して、吉良は力強く叫ぶとそれを聞いた一誠が一部を訂正するように吉良に言いながらも、吉良と同じ思いを口にする。

一誠の言葉にクロウが同意の意思を示しながらも力強く声を上げ、吉良と一誠が頷いているのを見ていたリアスは堪えきれなかったのか涙を流す中、ライザーが三人に向かって怒鳴る。

 

それを聞いた吉良はクロウと一誠に何かを耳打ちをしたかと思うと、何やら打ち合わせをするかのようにこそこそと話す。

何をしているのだろうかと思う周囲を余所に、話し合いが終わった様子の三人は力強くそれぞれが叫んだ。

 

 

「通りすがりの旅人とっ!!」

 

「通りすがりの魔法使いとっ!!」

 

「リアス・グレモリーの『兵士(ポーン)』だっ!!」

 

「「「覚えとけっ!焼き鳥野郎っ!!!!」」」

 

 

「っ!!下級悪魔だけならまだしも、たかが人間風情が俺を焼き鳥呼ばわりするかぁっ!!警備兵っ!!何をしている、その三人をとっとと捕まえろぉっ!!」

 

 

三人の発言に明らかに怒りを露わにした様子のライザーが叫ぶと、吉良達の周囲を囲むように警備兵が現れた。

それを見たクロウは左手に指輪を付けてウィザードライバーを操作し、吉良もディレイドライバーを装着してブレイブッカーからカードを取り出す。

 

「「変身っ!!」」

《カメンライド、ディレイド》

《フレイム、プリーズ!ヒー、ヒー、ヒーヒーヒー!》

 

同時に叫ぶのに合わせてクロウが左手をウィザードライバーにかざし、吉良がディレイドライバーにカードを装填。

電子音声と共にディレイドとウィザード・フレイムスタイルに姿を変えるのを見て、一誠も変身しようとするがディレイドはそれを手で制した。

 

「大丈夫、僕達に任せてっ!!」

「ここからは、僕達のショータイムだっ!!」

 

ディレイドとウィザードが叫ぶと同時に警備兵が襲い掛かる。

それに対してディレイドはブレイブッカーを使わずに体術のみで蹴散らし、ウィザードは持っていたハリセンで警備兵を次々と張り倒して行く。

 

二人の仮面ライダーの活躍で次々と警備兵が倒されていくのだが二人を後回しにして一誠を先に捕えようと考えたのか警備兵が一誠に襲い掛かろうとする。

だが、そうはさせないと言わんばかりに先に会場に来ていた木場、小猫、朱乃の三人が蹴散らしてしまう。

 

「木場!小猫ちゃん!朱乃さんっ!」

 

「助太刀します」

「僕達も混ぜてもらうよっ!!」

「吉良君とクロウ君も頑張っているのですから、私も頑張らないといけませんわねっ!!」

 

『『『『ぐぁぁぁぁっ!!』』』』

 

自分を護るように戦う木場達を見て声を上げる一誠。

そんな彼を余所にディレイドとウィザードに木場達の活躍によってあっという間に警備兵は全滅してしまった。

 

「さぁ、早く部長の所に」

「行ってください、一誠先輩」

「頑張ってくださいね」

 

「っ、皆・・・ありがとう!」

「行こう、一誠君っ!!」

 

「あぁっ!!」

 

木場達の言葉を聞いて嬉しく思う中、ディレイドが肩を叩きながら声をかける。

それを聞いて頷いた一誠は、そのままディレイドとウィザードと共にリアスの元へと向かっていった。

 

そんな様子を見ていた周囲の悪魔たちはパニックになっていた。

 

「い、一体何がどうなっているんだ!?」

「リアス殿、これは一体・・・」

 

「私が用意した余興ですよ」

「さ、サーゼクス・ルシファー様!?」

 

パニック状態の周囲の悪魔を余所に落ち着いた様子でサーゼクスが声を上げる。

サーゼクスの言葉に驚く悪魔たちを余所にサーゼクスは続けていく。

 

「彼の持つ赤龍帝の力をこの目で直に見たくてね・・・そちらの彼等は人間ですが、リアスとその眷属たちを助けてくれた恩人であり、大切な友人・・・そんな彼等を招待してあげないのは可哀想だと思えましてね」

 

「さ、サーゼクス様!そのような勝手な真似は・・・」

「いいではないか、ライザー君。君とリアスのレーティングゲームは実に面白いものだった。しかし、レーティングゲームの経験が無い妹がフェニックス家の才児であるライザー君と戦うには、少々分が悪かったかなと思ってね・・・」

「っ、サーゼクス様はあの戦いにご不満でも・・・?」

 

「いやいや、私が言葉を差し挟めばレーティングゲームそのものの存在意義が失われてしまう・・・まして、今回は事情が事情。旧家の顔も立たないだろう?」

「では、サーゼクス。お前はどうしたいのだ?」

 

「父上、私は可愛い妹の婚約パーティは派手にやりたいと思うのですよ・・・そこの少年が持つドラゴンの力を直接この目で見たいと思ていてね・・・」

 

「なるほど、それはつまり・・・」

「あぁ・・・ドラゴン対フェニックス・・・伝説の力を宿す者同士の戦いで会場を盛り上げる、と言うのはどうかな?」

 

サーゼクスとライザーのやり取りを聞いていたサーゼクスと同じ紅い髪の男がサーゼクスに尋ねる。

それを聞いたサーゼクスは少し笑みを浮かべながらも返すときに、声をかけて来た男を父上と呼んでいた事に驚くディレイド達を余所に何が目的なのかを理解するライザー。

 

そんな彼の考えを肯定するかのように頷いた後、サーゼクスは提案をするとそれを聞いたライザーは望むところだと言わんばかりの声を上げる。

 

「ふっ、いいでしょう!このライザー、身を固める前の最後の炎をお見せしましょう・・・ですが、赤龍帝はレーティングゲームのダメージがまだ残っているやもしれません。完全な状態ではない奴と戦って勝つというのも面白みがありませんし、盛り上がらないかと思えます」

 

(あ、あれ?展開が違う・・・?)

「ほぉ・・・ではどうしたいんだい?」

 

ライザーの言葉を聞いて自分の知る展開と違う事に気づくディレイド。

そんな彼を余所にサーゼクスがライザーに尋ねた途端、ライザーはディレイドを指差して声を上げた。

 

「そこで、そこの小僧も相手に加えて欲しいのです!」

「え、えぇぇっ!?」

 

「・・・なるほど、それは面白そうだね」

「お、お兄様!?」

 

突然のライザーの指名に仰天するディレイドに対して、本当に面白そうだと言わんばかりの顔をしたサーゼクスを見て仰天するリアス。

却下されるどころか普通にOKが出そうな状況にさらに困惑するディレイドに対してサーゼクスが尋ねて来た。

 

「旅人君、急に招待した挙句に急な頼みをして申し訳ないんだが・・・そこのドラゴン使い君と共にライザー君と戦ってもらいたい・・・大丈夫かな?」

「・・・構いません。一誠君も戦うって事で大丈夫?」

 

「え?あ、あぁ!もちろんだ!だけど・・・良いのか?吉良」

「良いよ一誠君、こうなったらとことんやってやるだけだよ」

 

サーゼクスに頼まれたディレイドは、やれやれと思いながらも承諾すると一誠に戦いになる事は大丈夫かと尋ねる。

それを聞いた一誠は慌てて答える中で巻き込んでしまう事を申し訳なく思うが、ディレイドは全く気にしていない様子で答えた。

 

「さて・・・ドラゴン使い君に旅人君。勝利の対価は何が良い?」

 

「サーゼクス様!?下級悪魔に対価など・・・」

「それだけならまだしも、人間如きにまで対価を払う必要なんてありません!」

 

「お考え直しくださいっ!!」

 

「黙れ」

 

サーゼクスの言葉を聞いた数人の悪魔が驚いた様子で声を上げると、それに対して少し低い声で一言告げる。

それを聞いた途端に黙り込んでしまう悪魔達を見て驚くディレイド達を余所にサーゼクスは続ける。

 

「悪魔だろうと人間だろうと、こちらは頼んでいる側だ。それ相応のものを出さなければいけない・・・さぁ、何を望む?」

 

「俺が望むことはただ一つ・・・リアス部長を返してください。ただ、それだけです」

「僕も同じです・・・と言うより、他に望むことなんてありません」

 

「・・・なるほど、分かった。君達が勝った時にはリアスを連れていくと良い」

 

一誠とディレイドの言葉に微笑みながらもサーゼクスが返す。

それからすぐに、戦いを行うための即興の戦闘フィールドを作り上げたのでディレイドと一誠が空間に入る為の魔法陣に近づいた所でウィザードが声をかける。

 

「頑張ってね、二人とも・・・負けたらこれでしばき倒すから覚悟してね?」

「が、頑張りますっ!!」

「お、おぅっ!絶対勝つぜっ!!」

 

最後の辺りをハリセンで素振りしながらも告げるウィザード。

それを聞いてその威力は理解しているディレイドと一誠は少し顔を青くしながらも力強く答えた後、魔法陣で戦闘フィールドへと転移するのであった。

 

 

 

 

~戦闘フィールド~

 

「さて、やってやりますか」

「・・・吉良、ちょっと頼みがある」

「えっ?頼み?」

 

「最初は、俺一人にやらせてほしい」

「えっ!?だ、大丈夫なの?」

 

「あぁ、こう見えて色々と考えてきてるんだ、アイツを倒すために・・・だから、頼む」

「・・・分かった。だけど、危なくなったら手を出すよ?」

 

一誠の頼みに驚きながらも大丈夫かと尋ねるディイドに答える一誠。

真剣な表情の一誠を見たディレイドは一誠の言う通りにさせてあげようと思いながらも、一つ条件を出す。

 

それを聞いた一誠は静かに頷いた後に、一人で前に出るのを見送ったディレイドは一旦距離を置いた。

 

「おいおい、あの小僧と一緒に来ないのか?」

「あぁ、吉良の力に頼りすぎるのは良くないと思うからなっ!部長っ!!プロモーションの許可を願います!!」

「っ・・・分かったわ」

 

一誠から離れたディレイドを見て、一誠を馬鹿にするような態度をとるライザー。

そんな彼に対して言い返しながらも一誠がリアスに対して声を上げると、戦闘フィールドの様子を他の悪魔達と共に見ていたリアスは何をする気なのかと疑問になりながらも許可を出す。

 

 

ちなみに、プロモーションとは王(キング)が「敵の陣地」と認めた場所に兵士が行くときに王以外の駒――騎士(ナイト)、戦車(ルーク)、僧侶(ビショップ)、女王(クイーン)のどれかに昇格しその能力を使用できると言うものである。

一誠の場合、王はリアスなのでリアスの許可があればプロモーションが使用可能となるのだ。

 

 

「プロモーション、女王(クイーン)!」

「何をする気か分からないが・・・貴様一人ではどうすることもできんっ!!」

 

「そんなの、やってみないと分からねぇだろうがっ!!」

 

プロモーションを発動させて能力が強化された一誠に対してライザーが言い放つが、それを掻き消すように一誠が叫ぶ。

 

 

「部長っ!!俺には、木場のような剣術も朱乃さんのような魔力の才能も、小猫ちゃんのような馬鹿力もアーシアのような治癒の力も、吉良のような凄い力もない!けどっ!俺は最強の兵士になります!そして俺の力で貴方を守ってみせますっ!!」

 

 

駆け出しながらも一誠が叫び、勢いよく飛び上がる。

そしてそのまま、力強く左腕を振り上げて叫んだ。

 

「さぁ、力を貸しやがれ!赤龍帝ドライグッ!!輝きやがれっ!オーバーブーストォォッ!!」

《Welsh dragon over booster!》

 

赤龍帝の籠手からの電子音声。

それに合わせて一誠の姿が赤い光に包まれたかと思うと、一誠の姿が深紅の龍を思わせる全身鎧の姿へと変わった。

 

「これが龍帝の力・・・禁じ手(バランスブレイカー)、赤龍帝の鎧(ブーステッド・ギア・スケイルメイル)だっ!!」

 

『カッコつけているところ悪いが、カウント10が限界だ。忘れるなよ?』

「分かってるってのっ!!」

 

「ほぉ、赤龍帝の力を鎧として具現化させたのか・・・だが、それがどうしたっ!!火の鳥、鳳凰、そして不死鳥と称えられた我が一族の業火!その身で受けて、燃え尽きるがいいっ!」

 

《Ⅹ》

「そんなもので・・・燃え尽きるほど、軟じゃねぇぇぇぇっ!!」

 

深紅の全身鎧――『赤龍帝の鎧』を身に纏った一誠に対して左腕から、赤龍帝の籠手に宿る魂――二天龍と呼ばれる龍の一匹である『ドライグ』の声が響く。

 

それに対して一誠が答えるのを余所に見て、それがどうしたと言わんばかりに言い放ちながらもライザーは一誠に向かって火球を放つ。

それに対して一誠は左腕から響く音声を耳にしながらも放たれた火球を殴って粉砕し、そのままライザー目掛けて背中に付いているブースターを使って飛行するとそのまま左手で殴り掛かっていった。

 

ライザーはそれを見て防御することも回避しようともせず、迎え撃たんと言わんばかりに炎を纏った拳を放った。

その結果、一誠とライザーの拳はクロスカウンターのような状態で相手の顔を捕えた。

 

《Ⅸ》

 

「ぐはっ・・・!?」

「ふっ、そんなもの・・・がはっ!?」

 

一誠とライザーが同時に拳を放った直後、互いの拳が相手の顔に命中する。

 

鎧を纏う一誠の口から血が吐かれる中、平気そうにしていたライザーも口から血を吐いた。

この状況に訳が分からないと言わんばかりの様子のライザーはここである事に気づいた。

 

一誠の左手には十字架が握られていたのだ。

 

「じゅ、十字架だと・・・!?」

「うちの僧侶(ビショップ)は元シスターでね、持っていたのを借りて来たんだ・・・いくらアンタでも神器の力で強化した聖なる力は堪えるようだなっ!」

《Ⅷ》

 

「馬鹿な!?十字架を悪魔が持てばその身を激しく痛めつけられる!ドラゴンの鎧を纏っているとは言ってもお前も悪魔だ、何故平気でいられ・・・っ!?」

 

信じられないと言わんばかりの様子のライザーは一誠を見ていた時に、彼の左手に宿るものの事を考えた際に一つだけ思い当たることがあった。

だが、それはとても信じられない話であったがそうであるとしか思えなくなったライザーが叫ぶ。

 

「貴様、まさか籠手に宿るドラゴンに左腕を・・・!?」

「あぁ、そうさ。この力を一時的に使う代償として左腕をドラゴンにくれてやったのさ!ドラゴンの腕なら悪魔の弱点なんか関係ないからなっ!!」

 

「正気か貴様!?そんな事をすれば元には戻らないんだぞ!?」

 

《Ⅶ》

「それがどうしたっ!!俺の腕一本で部長が取り戻せるってんなら安いもんだぁっ!!」

 

ライザーに対して言い返しながらも再び殴りかかろうとする一誠。

だがその時、突然赤龍帝の鎧が解除されてしまいそれに驚いた拍子に一誠は転んでしまった。

 

「なっ、何で鎧が解除されたんだ!?」

『お前の力ではこれが限界だ。解除する瞬間に宝玉に力を移せたが、フェニックスの再生能力に対抗するには及ばないだろう』

 

「くそっ、また俺の力不足って事かよ・・・けど、諦めねぇっ!!」

 

ドライグの声を聴いた一誠は諦めず、ファイズフォンを構える。

それに続くように腰にファイズギアが現れ、ファイズフォンに変身コードを押し始める。

 

《Standing by》

「変身っ!!」

《Complete》

 

「ふん、どうあがこうが・・・今の貴様では何もできんっ!くらえぇぇっ!!」

「くそっ!ぐっ、あぁぁぁぁっ!!?」

 

電子音声と共にファイズに姿を変える一誠はライザーに向かって駆け出すのだが、そんな彼に対して火球を乱射するライザー。

最初は何とかかわしていたものの、全てをかわすことはできずに火球を受けてしまったファイズが爆発に飲まれる。

 

爆発に包まれてその身を焼かれるファイズはそのまま片膝をついてしまう中、勝利を確信したライザーは巨大な火球を作り出した。

 

「終わりだ、小僧っ!!」

「っ、やべっ・・・」

 

倒れているファイズ目掛けて火球を放つライザー。

ファイズは避けようにも動けず、そのまま迫る火球に対して何もできずにいた為にライザーは勝った、と思い込み笑みを浮かべる。

 

だが、彼は一つ忘れていた・・・敵は『ファイズだけでない』と言う事を。

 

 

《アタックライド、バリア》

 

 

電子音声と共にファイズを包むようにドーム状のバリアが現れたと同時にバリアにライザーの放った火球が命中して爆発が生じる。

だが、その爆発はファイズの体を焼くことはなくバリアすらも破けれなかった。

 

目の前の光景に驚いた様子のライザーを余所に、ディレイドがライザーとファイズの間に割って入ってきた。

 

「吉良・・・!」

「・・・危なくなったら手を出す、って言っておいたでしょ?」

 

「ちぃっ・・・余計な事をっ!!」

 

誰が自分を助けたのかにすぐに気づいていたファイズに対して、ディレイドは一言告げる。

そんなやり取りを見ていて苛ついた様子のライザーの体から炎が噴き上がる中、ディレイドは静かな口調で話し始めた。

 

「知ってますか?夢って言うのは時々切なくなるけど、時々すごく熱くなれる・・・らしいですよ」

 

「はっ?貴様・・・何が言いたいっ!?」

「僕には夢は無い・・・けど、夢を護ってあげる事は出来ます。『自分をリアスと見てくれる人と結婚したい』って言うリアス部長の夢をっ!」

 

「夢だと?そんなちっぽけなものなど守る価値などないっ!!」

 

ディレイドの言葉に何を言っているんだと言わんばかりにライザーが返しながらも火球をディレイドに投げつける。

だが、ディレイドは放たれた火球に対して右腕を振るって弾き飛ばしてしまった。

 

弾き飛ばされた火球がディレイド達から離れた場所に当たった事で爆発が起こる中、ライザーは自分の攻撃をあっさりと弾いた事に驚きを隠せなかった。

ファイズもその事に驚く中、ディレイドはライザーに対して言い放つ。

 

 

 

 

「貴方にとってはリアス部長の夢はちっぽけなものかもしれない・・・けど、ちっぽけだからこそ!守らないといけないんだっ!!」

 

 

 

 

 

ディレイドは大声でライザーに言い放つと同時に、ブレイブッカーからカードが飛び出した。

ディレイドがそれをキャッチすると同時にファイズに関係したカードの絵が元に戻り、さらには一誠達オカルト研究部の面々が描かれたカードが出現する。

 

カードを見た後、すぐにディレイドは新たに手にしたカードの一枚をディレイドライバーに装填した。

 

《ファイナルフォームライド、ファ・ファ・ファ・ファイズ》

「一誠君、力を貸して!それと、痛いかもしれないけど我慢してっ!」

 

「えっ!?お前何する気だよ!?」

「いいからいいからっ!」

 

「うわっ!?」

 

電子音声と共にファイズの手を引っ張って立たせながらも告げるディレイド。

その言葉に何をする気だと尋ねるがディレイドはそれに答えずにファイズの背中を叩いた。

 

直後、ファイズは変形してその姿を巨大な銃を思わせる『ファイズブラスター』へと姿を変えると同時にディレイドがファイズブラスターを構える。

思わぬ事態に困惑していたライザーが慌てて巨大な火球を作り出して投げつけてくると同時に、ディレイドがファイズブラスターを連射すると放たれたエネルギー弾がライザーの火球を粉砕しながらもライザーに次々と命中していった。

 

エネルギー弾に次々と体を貫かれていくライザーの体はすぐに再生を始めていく。

 

「く、くそぉっ!たかが、人間が一人加わっただけでぇぇぇ!!」

「甘いっ!!」

 

「がっ!?こ、これは・・・!!?」

 

ライザーが再生を終えると同時にその身に炎を纏わせたかと思うとそのままディレイド達目掛けて突撃してくる。

それに対してディレイドは落ち着いた様子でファイズブラスターを構えると、ファイズブラスターの銃身上部から放たれた光線がライザーに命中。

 

すると、その光線はファイズポインターから放たれる物と同じ赤い円錐状の光となるとライザーの動きを封じる。

身動きが取れなくなってしまったライザーに対して、ディレイドはファイズブラスターを構えたままディレイドライバーにカードを装填した。

 

《ファイナルアタックライド、ファ・ファ・ファイズ》

 

「いっけぇぇぇぇっ!!」

「ぎゃぁぁぁぁっ!!?」

 

電子音声に続くように叫びながらも、ディレイドがファイズブラスターの引き金を引くことで放たれた赤い光線『ディレイドフォトン』がライザー目掛けて放たれる。

 

身動きが出来ないているライザーはまともに光線を浴び、派手な爆発を起こしたかと思うと爆発した場所に赤いΦが浮かび上がった。

ディレイドはそれを確認してから、ファイズブラスターを軽く上に投げると同時にファイズブラスターがファイズの姿に戻る。

 

何とか着地したファイズが尻餅をついた途端、変身が解除されて一誠に戻っている最中でディレイドは爆発した場所を見つめているとそこからライザーが姿を現した。

 

「っ、倒しきれなかったか・・・!」

「くっ・・・流石に俺も今のは危なく思えたぞ・・・だが、貴様等では俺の炎を消しきる事など出来んっ!諦めろっ!!」

 

ライザーの言葉に対し、どうするかと考えているディレイド。

そんな時、一誠がディレイドの肩を叩いてきた。

 

「っ?一誠君?」

「・・・アイツの動きを止めてくれるか?効果がありそうな攻撃が一つだけある」

「・・・分かった、やってみるっ!変身っ!!」

 

《フォームライド、ウィザード・ランド》

《ランド、プリーズ!ドッドッドッドドドン!ドッドッドッドドン!》

 

「っ、あの銀髪と同じ姿か・・・だがっ!どんな姿になろうとも俺には勝てんっ!!」

「確かに、貴方は攻撃しても回復すると言う厄介な力がある・・・だったら、攻撃じゃない方法で苦しめるっ!!」

 

一誠の言葉を聞いて頷いて返しながらもディレイドはディレイドライバーにカードを装填すると同時に響く電子音声と共にディレイドはウィザード・ランドスタイルへと変身する。

 

それを見たライザーはDウィザードの姿を見てすぐにクロウが変身したものと同じである事に気づいて驚きながらも、それがどうしたと言わんばかりに声を上げる。

それに対してDウィザードが返しながらも、ブレイブッカーから再びカードを取り出してそのままディレイドライバーに装填する。

 

《アタックライド、スメル》

「くらえっ!!」

 

「はっ、そんな煙で何を・・・ぎゃぁぁぁぁっ!!?な、何だ、この臭いはぁぁぁぁっ!!?」

 

「くっさぁぁぁぁぁっ!?」

「うぉぉっ・・・結構キッツいなこれぇぇぇ・・・!!」

 

電子音声と共に目の前に出現した魔法陣にDウィザードが触れると同時に黄色い煙が放たれる。

煙を浴びても何も体に変化がない為に余裕そうにしていたライザーだったが煙の臭いを嗅いだ瞬間鼻を押さえて悲鳴を上げる。

 

悲鳴を上げ続けるライザーの様に一誠も口と鼻を手で押さえるようにしながらも叫ぶ中、Dウィザードも煙の臭いに思わずコートの裾を使って口の辺りを押さえる始末だ。

 

 

 

ディレイドの使ったアタックライドは、ウィザードの使用する指輪の一つ『スメル』の効果を発揮するカードだ。

スメルの効果は強烈な臭いを発生させると言うものなのだが、この臭いは発動させた本人にも効果がある面倒なものなのである。

 

 

ディレイドの知るウィザードの物語にもスメルの指輪は登場しており、初めて使用した際には現在の状況のように周囲の人間だけでなく魔法を発動させた本人までも臭いに苦しむ羽目になってしまっている。

 

 

「ぐぅぅ・・・だ、だったらぁぁぁっ!!」

「っ?何を・・・っ!?」

 

三人揃って煙の臭いに悶絶している最中、ライザーが突然でたらめに火球を投げ出し始める。

投げた火球が当たった場所で次々と爆発が起きる中で、ライザーの行動に首を傾げていたDウィザードはすぐに異変に気づく。

 

ライダーが投げた火球によって次々と起こる爆発で生じた爆風で煙が晴れて行っているのだ。

 

「っ、そうか!爆風を使って煙を吹き飛ばしたのか!」

「その通りだ・・・それはそうと貴様ぁっ!!よくもふざけた攻撃をしてくれたなぁぁぁぁっ!!」

 

「ぐっ・・・ま、まだだっ!!」

 

何が起こったのかを理解するDウィザードに対して怒りを露わにして火炎弾を連射するライザー。

Dウィザードはそれを回避しようとしたが数発当たってしまいながらも、痛みをこらえてカードをディレイドライバーに装填する。

 

《アタックライド、バインド》

「はぁっ!!」

 

「ぬぉっ!?だ、だがこの程度・・・」

「今だ、一誠君っ!!」

 

「なっ!?」

 

電子音声と共にライザーの周りに出現する魔法陣から土の鎖が伸びてそのままライザーを拘束する。

自身を拘束する鎖を自身の炎で焼き尽くそうとしたその時、Dウィザードの声に合わせて左手に何かの液体が入った小瓶を握った一誠がライザーの目の前に現れるとそのまま小瓶の中の液体をライザー目掛けてぶちまけた。

 

「火を消すには・・・水だよなっ!赤龍帝の贈り物(ブーステッド・ギア・ギフト)!」

《Transfer》

 

「ぐがぁぁぁぁっ!!?」

 

一誠の声に合わせて響く赤龍帝の籠手からの電子音声。

それが響くと同時に小瓶の中の液体が光り輝きながらもライザーにかかった直後、肉が焼けるような音と共にライザーの悲鳴が響き渡ると共に全身から炎が噴き上がり、土の鎖を焼き尽くすのだがその炎はぐにゃぐにゃとして勢いが安定してはいなかった。

 

 

一誠がかけた液体の正体、それは十字架を借りた時にアーシアに頼んできて貰って来ていた聖水である。

その聖水に対し、倍加の力を何かに譲渡する能力『赤龍帝の贈り物』の力で強化して、ライザーに浴びせたのだ。

 

普通に使用しても上級悪魔であるライザーには効果は無いが、強化された聖水はライザーを苦しめるのには十分すぎるほどの物となっていた。

 

 

「アーシアは言っていた。聖水と十字架は悪魔は苦手だって!聖水と十字架を同時に強化したら悪魔には相当なダメージだよなっ!!」

「ぐぅぅ・・・あぁぁぁっ!!!!」

 

アーシアの言っていた言葉を思い出しながらも告げる一誠に対してライザーが火球を飛ばす。

それに対し、一誠は思い切り飛び上がった事で放たれた火球をかわした。

 

「木場は言っていた、視野を広げて相手と周囲を見ろと!ふっ!!」

《Transfer》

 

着地と同時にかわした火球によって背後で爆発が起こる中、一誠は左手に握っていた十字架に聖水をかける。

それに合わせるように響き渡る電子音声と共に左手を握ると、その手が光り輝き始める。

 

「朱乃さんは言っていた!魔力は体を覆うオーラから流れるように集める、意識を集中させて魔力の波動を感じればいいと!そして、小猫ちゃんが言っていた!打撃は体の中心線を狙って、抉りこむように打つんだとっ!!」

《アタックライド、クロスアタック》

 

一誠が叫ぶように言う間に左手の輝きが増していく中、突然響いた電子音声に合わせてその輝きがさらに増し始めていく。

それに気づいて驚いた様子の一誠に対して、いつの間にかカメンライドを解除していたディレイドが叫ぶ。

 

「一誠君、トドメよろしくっ!!」

「っ・・・あぁっ!!これで、決めてやるっ!!」

 

「ま、待て!分かっているのか!?この婚約は悪魔の未来の為には必要で大事な事なんだ!お前達のような何も知らない連中がどうこうするような事じゃないんだ!!」

 

「難しい事は良く分からねぇよ!でも、お前に負けて気絶した時、うっすらと覚えてることがある・・・部長が泣いてたんだよっ!!俺がテメェを殴る理由はなぁっ!!」

「く、来るなぁぁぁっ!!」

 

「させるかぁっ!!」

 

一誠がライザーに向かって駆け出したと同時にライザーは一誠目掛けて火球を放つが、その火球はディレイドが先ほど使用したカードの効果で発動したディメンションパンチで粉砕してしまう。

そのままディレイドの横を通り抜けるようにして突き進んだ一誠はライザーに一気に接近する。

 

「それだけで十分だぁぁぁっ!!!!」

「がはぁぁっ!?」

 

一誠の放った左拳での一撃はライザーの腹に抉りこむように入った。

その一撃を受けたライザーは吐血したと同時に吹っ飛び、地面に倒れ伏すとそのまま動かなくなってしまったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~パーティ会場~

 

「部長さん、終わりましたよ」

「さぁ、帰りましょう!部長っ!」

 

「・・・・・」

 

「あ、あれ?」

「部長?どうしました・・・おわっ!?」

 

戦いを終えて変身を解除した吉良と共に一誠がリアスに歩み寄る。

二人はボロボロの姿でありながらもリアスに笑顔を見せていたのだが、そんな二人を見ていたリアスは何も言わずに俯いて黙っていた。

 

れを見た吉良と一誠がどうしたのだろうかと思い始めたその時、リアスは駆け出したかと思うとそのまま二人を抱きしめた。

 

「・・・ありがとう、吉良・・・一誠・・・本当に、ありがとう・・・!」

 

「ぶ、部長・・・」

「ど、どういたしまして・・・」

 

『一件落着、と言った所ですかね?』

「そんな感じだね・・・二人とも、早く部長さんを連れて帰ろう」

 

「あ、は、はい!」

「お、おうっ!」

 

抱きしめながらも吉良と一誠に礼を言うリアスに対して、いきなり抱きしめられて吉良と一誠は顔を赤くして恥ずかしそうにしていた。

それを見て微笑ながらも歩み寄る中でエクスと会話したウィザードは吉良と一誠に声をかけ、それを聞いた吉良と一誠が答えたのを見てリアスが離れる。

 

そしてそのまま、会場を後にしようとしたのだが数人の悪魔が数人の悪魔が吉良達の前に立ちはだかる。

 

「い、行かせるか!」

「この婚約は悪魔の未来にとって大切なものなのだぞっ!!」

「貴様等のような若造共に壊されてたまるかっ!!」

 

「ったく、邪魔立てするってんなら・・・」

《コネクト、プリーズ》

 

悪魔達の言葉を聞いて吉良は再び変身しようとするが、それよりも早くウィザードが右手の指輪を付け替えてウィザードライバーを操作した。

電子音声と共に傍に現れた魔法陣に手を突っ込み、そこからウィザーソードガン・ガンモードを取り出すと同時に立ちはだかる悪魔達の足元目掛けて銃弾を放った。

 

放たれた銃弾が着弾したと同時に火花が上がった事で驚く悪魔達に対し、ウィザードはウィザーソードガンの銃口を向けながらも静かに告げる。

 

「・・・どけ、彼等の歩く道だ」

「「「ひ、ひぃぃぃぃっ!!?」」」

 

ウィザードが告げるや否や、立ちはだかった悪魔達が情けない声を上げながらも逃げるように道を開ける。

それを見たウィザードはウィザーソードガンをおろして、吉良達の方を見る。

 

それに気づいた吉良が一誠を見ると同時に一誠は頷いてリアスの手を取り、そのまま二人で歩き出したので吉良とウィザードは二人の後に付いて会場を後にする。

それに続くように木場達も会場から出ていき、皆が揃った所で一誠が何かの紙を取り出したかと思うとその紙が光り始めた。

 

すると、目の前に頭部は鳥だが体はライオンを思わせるような姿をした生物が現れた。

 

「これは・・・グリフォンね」

「あらあら、折角ですし一誠君が部長を送って差し上げたらどうですか?」

 

「えっ!?」

「あら、それはいいわね。お願いできる?」

「は、はい!部長がそう仰ると言うのなら!」

 

「それじゃ、僕達も帰ろうか」

「あ、はい」

 

一誠がリアスを連れて行く事が決まる中、吉良とウィザードも帰ろうとウィザードが魔法陣が描かれた紙を取り出す。

そんな時、一誠が吉良とウィザードに歩み寄って来た。

 

「吉良、クロウ。今日はありがとな、この礼は必ずするぜ」

「その気持ちだけでいいよ。この世界でやる事も終わったから、もう次の世界に行かないといけない・・・だから、ここでお別れなんだ」

 

「っ、そっか・・・元気でな、吉良」

「うん、一誠君も頑張ってね」

 

「あぁっ!」

 

吉良がこの世界を去る事を告げると、一誠は寂しそうにしながらも左手を差し出す。

それを見た吉良は右手を差し出して、そのまま一誠と固く握手をした。

 

それからすぐに、吉良とウィザードは一誠達から少し離れるとウィザードが持っている紙に魔力を込めた。

 

「部長さんっ!皆っ!お元気でっ!!」

「お世話になりましたっ!!」

 

吉良とウィザードが一言ずつ告げると同時に転移して、一誠達の前からいなくなる。

その様子を見送った後、一誠とリアスは木場達に対して部室で先に待っていると告げるとそのままグリフォンに乗って飛び去っていくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~レギオクライス~

 

「ふぅ・・・あらかた片づけも終わったな」

「・・・そうだな。とっとと報告して休むとしよう」

「そうだな・・・ん?」

 

レギオネクスの移動基地であるレギオクライス。

その内部にある廊下をラストと翔が少し疲れた様子で歩いていた。

 

二人は、先ほどまでスワローテイルファンガイアが暴れた騒動の後始末をし終えた所であり、その事を骸に報告をしに行こうとしているところである。

そんな時、少し駆け足気味でどこかに向かう霧彦の姿を見つける。

 

「手品師?何故ここに・・・」

「変だな、奴は織姫と森亜と共にブレイドの世界に行っているはず・・・おいっ!何かあったのか?」

 

「おぉ、死神にラスト。実は、ブレイドの世界で妙な事が起こったからボスに報告しに来たんだよ」

「妙な事・・・?」

 

ここにいるはずのない人物の姿を見て声をかける翔とラストに対して、霧彦は困った様子で返してきた。

霧彦の言葉が気になった翔を見て、霧彦は話を続ける。

 

「それがね・・・織姫ちゃんが病衣姿の女の子が吸命牙を放って人間のライフエナジーを奪う所を目撃したんだ」

 

「何だと?」

「だが、レギオネクスにはファンガイアは・・・」

 

「その辺は良く分からないんだけど、妙なのはここからさ。その光景を目撃した織姫ちゃんが自分も襲われちゃったもんだから交戦しようとゾディアーツになった途端に、女の子が逃げ出したらしいんだけど・・・その時に、信じられない言葉を言ったんだって」

「信じられない言葉、だと?」

 

事情を説明する霧彦の話を聞いて引っ掛かる部分があったためにその部分を声に出したラスト。

それに対し、霧彦は少しだけ間をおいてその言葉を告げるのだがその言葉を聞いたラストと翔は驚きを隠せなかったのであった。

何故ならその言葉は以前レギオネクスが協力していた人物が口にしていた言葉だったからだ。

 

 

 

 

 

 

「なんでも・・・今度こそ、私は新世界の神になる・・・って、言ったんだって」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日・・・

 

 

 

~光風館~

 

「さて・・・今回はちょっと長かったけど、無事に終われたね」

「確かに、今までで一番滞在時間長かったわよね~」

 

「よぅ、吉良!どうやらこの世界でのやるべきことは終わったみたいだな?」

「あ、うん。ファイズのカードも元に戻ったから・・・次の世界に行くんだよね?」

 

「おうよ、やる事済んだんだから長居は無用だしな」

 

軽く体を伸ばしている吉良の言葉にキズナが頷きながらも返していると、そこに零慈がやって来た。

そのまま声をかけて来た零慈に吉良が尋ねると、零慈は答えながらも背景ロールに近づく。

 

「それじゃ・・・いざ向かわん、次の世界へと!よいしょぉっ!!」

 

零慈が元気よく言いながらも、背景ロールを下ろすと新しい絵が降りてくる。

その絵はヘルメットの様なものの傍に体にスペードのマークがあるカブトムシが描かれたカードが置かれている、と言う絵であった。

 

 

 

To be continued・・・

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