ハイスクールD×D 天馬の神器を持つ者   作:gbliht

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第十三話 動きだす陣営

「え? イッセー君、今日は休みなの?」

 

「ええ、昨日はぐれ神父と戦ってね。その時に負った傷がまだ治ってなくてね。貴方もメルトから話は聞いてるでしょう?」

 

「聞いてるわ」

 

私ことササンは、朝学校に登校してからすぐさまリアスの元へと向かった。理由は昨日のはぐれ神父の一件。私の部下であるメルトが事件に関わってしまったから、その後始末をどうするかの相談で来たのよ。

 

結局後始末は全部リアスがやってくれるということで解決した……のは良かったんだけど、その話を終えて世間話をしてる途中に面白い話を聞いてしまったのだ。

 

それが、先ほど話題になっていたイッセーが学校を休んでいるということ。……さて、これがどれだけ重要な意味を持っているか分かる? いや、わかんなくて普通だけど。

 

説明させてもらうと、今回の事件の被害者であるシスター……確か調べた結果では、アーシア・アルジェントだったかしらね? その子が女の子で、傷つけられたっていうのとイッセーの神器(セイクリッド・ギア)に宿っているのが赤龍帝というのが重要。

 

この二つとイッセーの性格を合わせてみる。

 

代々赤龍帝は女性、強い者を引き寄せる性質がある。シスターアーシアはあのはぐれ神父によって逃げたいや悲しいといった感情を持ち、色々と助けられたイッセーに会いたいとする。そこにイッセーがアーシアを助けたいと思っていると仮定する。

 

結果、悲しみにくれているアーシアは散歩で気を紛らわしたり、逃げようとするかして外に出る。そこに、アーシアを助けたいと思うイッセーの思いが赤龍帝に呼応して、アーシアは赤龍帝であるイッセーに引き寄せられていくと思う。……あくまで、ここまでは私の想像よ?

 

ま、簡単に言えば、イッセーとアーシアがどこかで出会いそうってこと。

 

……さて、どうするかな。アーシアが来て約二日。そろそろ堕天使の方も動き出す頃よね。……よし、学校抜け出して決行しますか。

 

「ねえ、リアス。私今思い出したのだけれど、全身からガマ油が出るって呪いをかけられているの。だから、今日は学校を休むって先生に言っておいて」

 

「……え?」

 

「じゃあね!」

 

「え! ちょっと、ササン! どういうことよ!」

 

真顔で言った私に困惑していたリアスを放置して、言いたいことだけを全て言って、三階の窓から飛び降りる。良かったことに、下や周りには誰もいなかったので騒ぎにはならないだろう。

 

なんだか喚いているリアスの声を聞きながら地面に着地し、すぐに懐から携帯を取り出して雨天に掛ける。今は、朝のホームルーム終わりだから、出ると思うんだけど……。

 

「もしもし、私だ。どうした、ササン?」

 

「ああ、雨天。ちょっとイッセー君探して欲しいんだけど」

 

「分かった。少し待ってくれ」

 

良かった。電話に出てくれて。これで出てくれなかったら、銀華ちゃんに電話しなきゃいけないところだった。

 

「見つけた。公園だ。今遊具を使って体を動かしている。それにアレは……例のシスターもその付近を彷徨いている」

 

流石雨天。仕事が早い上に、私がしたいことを言わなくてもわかるなんて。

 

「ありがとう、雨天」

 

「気をつけろよ、ササン。なんたってお前は……」

 

「分かってるわよ。ちゃんと、自制は出来るわよ」

 

通話を切り、携帯をしまって走り出す。目指すのはアーシア……では無く。二人が合って、どちらにも一気に近寄れる場所。茂み辺りに隠れればバレずにいけるかな。

 

 

 

「参ったわね。少し遅かった」

 

公園に着き、二人へ一気に近寄れる場所に隠れたはいいのだけど、そこには予想外のお客さんがいた。

 

「さあ、アーシア。こっちに来なさい。貴方はこちら側の人間なのよ。そんな下賎な悪魔と一緒にいてはダメなのよ」

 

「レイナーレ様……」

 

堕天使レイナーレ。堕天使でも中堅程度の実力者だと私は思っている。……やっぱり間近で見て思ったけど、欲しいわね。

 

「夕麻ちゃん……いや、レイナーレ! アーシアが嫌がってるだ! お前なんかには渡さない!」

 

アーシアの前にイッセーが立ち、レイナーレの事を睨みつける。……ふ~ん、意外と勇気はあるのね。でも、実力がなければ、それは勇気ではなくただの無謀よ。

 

「下賎な悪魔風情が私の名を呼ぶな!」

 

憤怒の形相になり叫ぶレイナーレに、一瞬萎縮するイッセーだが、すぐに気合を入れなおすと、腕を突き出した。

 

「セイグリッド・ギア!」

 

先ほど突き出した腕が赤く光、イッセーの腕には神をも殺せる神器(セイクリッド・ギア)、赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)が装着される。

 

「や、やっ……けふッ!?」

 

「何だ、ただの龍の手(トゥワイス・クリティカル)なのね。上の方から指令で殺せと言われてどれだけ凶悪なものかと思えば、ただのありふれた神器(セイクリッド・ギア)だったとわね」

 

レイナーレ、貴方の目はまだまだね。イッセー君の神器(セイクリッド・ギア)の正体を誤解してる時点ではね。

 

それにしても、イッセー君。神器(セイクリッド・ギア)を出せた時に、油断しすぎよ。だから、両足を光の槍で貫かれるのよ。

 

苦しそうだけど、助けないわよ。だって、助ける役は――――――

 

「イッセーさん!」

 

悲痛な声を上げて走って近づくアーシアはイッセー君の元へとたどり着くと、イッセー君の両足に向かって手を向ける。すると、アーシアの両手から緑の光がイッセー君の足へと飛んでいく。

 

う~ん、やっぱり回復系は便利だけど、イマイチね。なんせ、回復役なら私がいるからね。

 

「アーシア、最後の忠告よ。私とついてくるならそこの下級悪魔は見逃してあげる。でも、もし断るようなら――――――」

 

レイナーレの手に光が集中していく。その濃さは先ほどとは比較にならないほど。アレを喰らえば、イッセー君はひとたまりもないわね。

 

……ああ、やっぱり欲しいわ。あの子。絶対仲間にしよう!

 

「……分かりました。レイナーレ様、あなた様について行きます」

 

「アーシア!?」

 

「イッセーさん、ありがとうござました。どうか、お元気で」

 

「いい子ね、アーシア」

 

レイナーレの元へと歩いてくアーシアを止められずに、未だ僅かに残った怪我のせいで動けずにいるイッセーは、悔しさのあまり握り拳を思いっきり握っている。

 

自分の不甲斐なさ。弱すぎる自分の嫌気がさしているのでしょうね。……ふふ、強くなるわよ。ああいう子は。

 

さて、私も準備しましょうか。

 

「アーシア、アーシアアアアアアアアアアアアア!!」

 

レイナーレがアーシアを連れたまま空に飛んだ。よし、このタイミングしかないわね。

 

空を悠々と跳ぶレイナーレ。多分、人間には見えない魔術でも掛けているのでしょうが、甘いわよ。悪魔が貴方の事を狙っているのだから。

 

走って追いかけ、森の茂みがあと少しで途切れると瞬間、私は懐からソフトボールくらいの大きさの玉を二個取り、思いっきりレイナーレに投げる。

 

「キャッ!? 何!?」

 

驚きのあまり硬直したレイナーレだが、すぐに周りの異変に気づき、警戒態勢を取る。

 

遅いわね。こちらは奇襲なのだから、少しでも油断すればやりたいことを達成できるわよ。……ここら辺の鈍感さは仲間に入れからゆっくりと教えていきましょう。

 

「煙幕! 誰がこんな小賢しい真似を……ッ!? チッ! アーシアを取られた!」

 

私が投げたのはけむり玉。これは、ぶつければ自動で破裂して煙が出るアイテム。製作者は私よ。

 

さて、レイナーレが混乱してる間に、私の小脇で寝ている者を抱えて、代わりに作った者を置いときましょう。

 

さっさと用事を済ませて、再び茂みの中へと戻る。それと同時に、周りを覆ってた煙が全て晴れた。

 

「ケホッ、ケホッ、アーシアは……いた。ふふ、間抜けな襲撃者さんね。自分で襲っておいて、アーシアを連れてくのを忘れるなんて」

 

私の思い通り、レイナーレは置いていた代わりに作った者を持って自分の陣地へ戻っていってしまった。

 

「……ふ~なんとか抑えられたわね。さて、計画も順調だし、帰ろう」

 

小脇に抱えている者を再び優しく持ち直してから、ゆっくりと起こさない程度に家へと帰る。……これで準備は整った。楽しい、楽しい、祭りの始まりよ!

 

 

 

「部長! お願いします! アーシアを助けに行かせてください」

 

「ダメなものはダメよ。敵だらけの陣地である教会に、シスターを救出しに行くなんて認めないわ。諦めなさい」

 

放課後の旧校舎。いつもの習慣でやって来たのはいいのだが、何故か旧校舎の部室内でイッセーとリアスが口論していた。ちなみに、他の皆は二人のことを遠くから眺めている。

 

内容を聞く限り、どうやらあの例のシスターが堕天使共に連れ去られたようですね。それに対して、イッセーが助けに行くといって、リアスが助けに行ってはダメの意見が平行線になっているせいで口論になっている……ってところですかね?

 

ソファーに座って二人のことを見ている小猫ちゃんの隣りに座りながら紅茶を飲み、この前調べたシスターについての情報を思い出す。

 

あの聖母の微笑(トワイライト・ヒーリング)の力で人々を治療し続けた結果、聖女として協会で崇められることになったアーシア・アルジェント。人々は喜んでアーシアを聖女として崇め続けたが、それもある事件がキッカケで掌を返される。

 

アーシアは、教会前で怪我を負って動けなくなっていた悪魔を、聖母の微笑(トワイライト・ヒーリング)で治療してしまったのだ。その一部始終を見ていた他の協会の者に見られ、悪魔をも回復できる呪われた力などと呼ばれるようになり、聖女として崇められていたアーシアは協会を追い出された。そして、今に至る。

 

こうして知らべてみて思いましたが、人間とは勝手な生き物ですよね。勝手に聖女として崇めて、自分たちにとって異端であったならば、すぐさま捨てる。……これだから、聖職者は嫌いなんですよ。ま、私は元聖職者ですがね。

 

「部長、そろそろ時間ですわ」

 

「そう、分かったわ、朱乃。いい、イッセー、絶対助けに行ってはダメよ」

 

時間? リアスに今夜予定は入っていなかったはずですが?

 

朱乃さんと二人、リアスは部室を出ていこうとするが、少し体を外に出したとこで振り返った。

 

「いい、イッセー。出て行く前に三つだけ教えていくわ」

 

「三つ……ですか?」

 

「ええ。一つ目は『兵士(ポーン)』は実はとっても大事な駒であること。この『兵士(ポーン)』は敵の陣地に入った時、プロモーションと言って『王(キング)』以外の駒になれる。二つ目は、神器(セイクリッド・ギア)は想いの力によって力を増すわ。そして、三つ目は――――――」

 

呆然と立ち尽くすイッセーから視線を外して、リアスは長い真紅の髪を靡かせながら扉の外に出て行く。

 

「貴方は、私の最強の『兵士(ポーン)』だという事よ」

 

その言葉がい終わると同時に、扉は閉まった。

 

……はぁ、全く、リアスも素直じゃないですね。助けに行きなさいって直接言わないなんて……でも、仕方ないですね。一応、リアスはこの地域を仕切ってる悪魔の立場があって、下手に動けませんからね。

 

さて、そこで立ち尽くしながら拳を握っているイッセー、貴方は助けに行くのですか? 行くなら……いえ、愚問ですね。貴方は、何が何でも助けに行く、そう言う人ですからね。

 

室内にいる木場君と小猫ちゃんに視線を向けると、二人共リアスの意図を理解しているのか、頷いてくる。

 

「どうするんだい、イッセー君?」

 

「……助けに行く。止めるなよ、木場。何を言われても、俺は行くぞ」

 

「そう……じゃあ、行こっか」

 

「そうですね」

 

「え?」

 

木場君は傍に置いていた剣を取って椅子から立ち上がると、驚いているイッセーに近づく。私はというと、まだ座ったままですよ。

 

「なんで……?」

 

「なんで? はぁ、貴方はリアスが好きなのに、何も分かっていないの?」

 

「んな!?」

 

おお、顔を真っ赤にして驚いてる驚いてる。可愛ですね~初心な男は。エロいくせして、恋愛には初心なんだから。

 

そんなイッセーに、ニコニコスマイルの木場君が説明する。

 

「部長はね、遠まわしに助けに行ってもいいって言ったんだよ。本当に行っちゃ駄目だったら『敵だらけの陣地である教会』なんて、プロモーションを許可するような事を言わないからね」

 

「それと、暗にイッセーのサポートをしろってリアスに言われたのよ。それに――――――」

 

お腹もすいたしね。

 

声に出さず、心の中でだけ言い、飲んでいた紅茶を全て飲み干して立ち上がる。

 

最近、まともな食事をしてませんからね。そろそろ、雑魚でもいいから捕食しないと……ね? ちなみに、私の食事の仕方なんですが……お楽しみという事で。

 

「……私も行きます」

 

「小猫ちゃん!?」

 

「……木場先輩とイッセー先輩が心配ですから」

 

「あれ~小猫ちゃん。私は?」

 

「……先輩は別に大丈夫です」

 

酷い。これでも私はか弱い乙女ですよ……な~んてね。小猫ちゃんの言うとおり。心配される必要なんてありません。大丈夫です。神父程度なら。

 

「小猫ちゃん、銀華……ありがとう」

 

「別に、いいよ。だから、さっさと助けに行くわよ。アーシアちゃんをね」

 

「イッセー君、僕もいるんだけど……」

 

苦笑い木場君。やはり、イケメンには困り顔が似合いますね。この顔……写真で取って売りさばけば結構な儲けになるんでは……。

 

「勿論、木場にも感謝してるぜ……うしっ! それじゃあ、アーシアを助けに行こう!」

 

気合十分、準備万端になったイッセーは、勢いよく拳を突き上げる。うん、元気があっていい事だよ。でもね――――――

 

「さっさと行こう」

 

「先行ってるよ、イッセー君」

 

「……お先します」

 

「あ、あれ? 皆乗ってくれないの?」

 

あえて、皆スルーします。

 

「それじゃあ、行こっか」

 

「はい」

 

「……行きましょう、銀華先輩」

 

「え、えぇ……お、おう」

 

でも、私の時には乗ってくれる。流石、ノリがわかる二人だ。

 

こうして、私達四人はアーシアちゃんが捕らえられている教会へと向かった。

 

 

 

「行ったか……なら、私達も作戦を始めるぞ」

 

「了―解! 任せて……ぬふふ、ああ、楽しみ」

 

「了解っす。いや~楽しみっすねぇ、久々の戦闘。ああ、楽しみ」

 

「楽しんでもいいが、気は抜くなよ」

 

「「了解」」

 




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