では、第二話をどうぞ。
第二話 ササン・カラビア
あれから一年経ち春となり、リアス達との駒王学園の生活を謳歌している中。私は三人の変態組を土下座させて、その頭の上に足を置いて罵っていた。
「で、何か弁明はある? ゴミ虫ども」
「俺は覗いてない!! 松田と元浜が悪いんだ!!」
「あ! テメェ! 一人だけ逃げる気か!」
「うるせっ! 元々、お前らが覗こうなんて言ったんだろう!」
「何を言う、イッセーもノリノリだったではないか!」
私の目の前で、ギャーギャーと喧しく騒ぎ合ってる丸坊主とメガネとツンツンの三人組。その内一人は、自分は悪くないとか主張しているが、それはない。何故なら、こいつも私達の着替えを覗いていたのだから。
「だいたい、元浜が……」
「で、何か弁明はある? ゴミ虫ども」
全く最初と同じセリフを言ってやると、三人は顔を青ざめて、ガタガタと震えだした。
「何か弁明は?」
「「「すみませんでしたああああ!!!!」」」
「わかった」
土下座までして、地面に額を擦りつけてまで謝ってくる三人組に、私は笑顔で足を避ける。その行動に、許してもらえたと勘違いしている三人は、笑顔で頭を上げた。
「ほ、本当ですか銀華様!」
「勿論……」
大手を上げて、喜ぶ三人に、私は軽く手を上げ、後ろに箒やら竹刀やらを持って構えている女子達に指示を出す。
「許さない。者共、行けぇ」
「「「ぎゃああああああああああ!!!!」」」
取り敢えず、女子達に後は任せて、私は校舎へと戻る。しかし、何故だろう? 先程から、懐かしい気配を感じる。それは、とてもとても親しくして、その人はもうこの世にはいないはずなのに。
「あら、銀華ちゃんじゃない」
「ササン・カラビア」
エメラルドグリーン色のポニーテールに、スラッとした長身。顔は美人の部類に入るが、胸は……うん、ちょっと小さい。この学園三大美女の一人に入っている人、ササン・カラビア。
そんな彼女が、物思いにふけりながら廊下を歩いている私の背後から声を掛けてきた。
「なんでフルネームなのかしら」
「驚いたからです」
この方も、リアスと同じ上級悪魔。だけど、その名前はあまり有名ではない。けれども、その力は、若手の上級悪魔の間でも、一目置かれている程。なのに有名じゃないと言う二三転した矛盾を持つ人。
「そう。それにしても、何を物思いにふけっていたの?」
「ちょっと、懐かしい人の気配を感じましてね」
窓の外を見ながら、雲がゆったりと流れている雲を眺める。ただ、雲は流れているだけ。それが、とても気持ちよさそうに見える。
「そう……それにしても、最近あの子達も騒がしいわね」
窓の外を見ている私の隣に来て、ササンは変態三人組の方を眺めてながら言ってくる。そこには、女子達に箒で叩かれながら、なんとか逃げ出そうとしている変態三人組がいた。
「別段、いつもと変わらないと思いますけど?」
「気づかないかしら? ……いえ、気づいているのでしょうけど、まだ漠然としてるって感じかしらね」
意味の分からない事を言いながら、ササンは変態三人組の一人……兵藤一誠を見ている。その見ている表情は、どこか笑っているようで、少しだけ口元がつり上がっていた。
「あ、そうそう。明日か明後日辺りに、新しい担任が来るから、楽しみに待ってなさい」
「はて? どうしてですか?」
「ま、それはお楽しみってことで。じゃあね~」
後ろを向きながら手を振り、ササンはそのまま歩いて行ってしまった。
一体なんで私が新しい担任を楽しみに待ってなきゃいけないのでしょう? ……ま、それはササンの言った通り、楽しみに待ってましょうか。
「っとと、そろそろ時間ですね。戻らなければ」
休み時間もそろそろ終を迎えてきているので、教室へと戻る。明日の担任とやらを楽しみにしながら。
「は~あーい、元気にしている?」
「あぁ、元気にしているよ」
旧校舎にある、一室の中に入ると、私の『騎士
「まさか、この歳になってスーツを着るとは思わなかったよ」
「何言ってるのよ。貴方は悪魔になったのだから、まだまだ若いわよ」
「……そうだな。感謝してるよ、ササン。あの時、君が助けてくれなかったら、私は後悔したまま死んでいたよ」
哀愁漂う表情で彼はそう言うと、ソファーに前のめりなって座り直した。
「いいえ、私も私の為に貴方を転生させたのだから、感謝は無用よ」
「ハハハ、そういう事にしとくよ」
乾いた笑いをする彼の向かいのソファーに座り、私は腕を組む。別にこうする必要は無いのだが、なんとなく気分ってやつよ。
「それで、この学園はどういう感じ?」
「素晴らしい学園だ。気候は日本故に問題は無いし、何より面白い人物達が勢ぞろいしている」
ニヤリと口を三日月のように歪めて、彼は面白そうに笑った。まぁ、面白い人物達がいると言うのは、私も認めている。リアスにその眷属。それにもう一組の悪魔の眷属達。そして、あの二天竜の一角もいるし。
「さて、ではそろそろ私は帰らせてもらいます。明日の準備もありますし」
「そうね。それじゃあ、また明日学校で会いましょうね」
「はい。では」
頭を下げた彼は、ソファーから立ち上がると、部屋の出口へと向かった。ただ、それだけ。ただ、それだけだと言うのに、彼の動きが見えなかった。それは彼にとっては普通に歩いただけであって、決して自分の神器(セイグリット・ギア)の力は使ってない。これは、彼の素の力なのだ。
「全く……恐ろしいものだわ。そして……」
一人部屋に残った私は、自分で悪魔へと転生させた彼を思い出しながら、身震いした。恐怖等の感情で身震いした訳ではない。身震いしたのはたんに興奮したため。
「最高に刺激的だわ」
「監視……ですか、リアス?」
「そうよ、銀華」
授業も全て終わり、私はリアス達が作っている部活の部室へと訪れていた。
オカルト研究部。それは建前じょうであり、本来の目的は、リアス達の眷属が悪魔としての仕事をする的な部活だ。
そんな部室に顔を出してみれば、唐突にリアスにそんな事を言われた。
事の発端はこう。まず、この学園に、赤龍帝と言う、二天竜の一角を封印した神器
「なんやかんやって何よ」
「心を読まないでください」
「声に出てるのよ」
「これは失礼。……それで、誰を監視すればいいんですか?」
「この子なんだけど」
そう言って渡してきたのは一枚の写真。そこに写っているのは……。
「やめていいですか?」
「その気持ち、わかるけどもお願い」
この学園三大変態の一人、ツンツン野郎こと兵藤一誠……イッセーの姿が映っていた。確かに、彼には何かしら私と似通った物を感じてはいたけども、まさか変態に赤龍帝の神器
「じゃあ、お願いね」
「はぁ、わかりました。監視はこっちでこっそりとしますよ」
「よろしくね」
写真を胸ポケットに仕舞いつつ、私は部室を出た。もう、ここにいても用はないし、監視にも行かなければならないからね。
そうして、学校の外に出ようとすると、向こう側から男性が歩いてきた。年齢的には二十やそこら。どことなく、歴戦の戦士のような雰囲気を醸し出しているが、それは気のせいだろう。
今の日本、どれだけ頑張ってもこのような雰囲気は出せない。海外の戦場を駆け巡ったりすればこのような雰囲気を出せるかもしれないが、そんな稀有な人間はこんな学園なんかには来ずに、ずっと戦場にいるだろう。
だから、これは気のせい……と思いたのだけど、どうしてだろうか? 彼から目を離すことができない。
「……」
「……」
男性はすれ違いざまにチラッとこちらを見た後、無言で学園の方まで歩いて行った。
もしや、彼がササンの言っていた新しい担任とやらなのだろうか? それならば、なんでササンは彼の事を楽しみに待ってろと言ったのか……まぁ、そんなことはどうでもいいか。
姿が見えなくなるまで男性を見ていた私は、見えなくなると同時にイッセーを探しに歩き始めた。
彼の気配は、私の霊的な瞳
「そういえば、さっきの男性のオーラを見るのを忘れてました」
振り返るが、そこにはもう男性の姿はない。……また今度でも別にいいですかね。
「ま、いいです。行きましょうかね」
イッセーの気配の元まで行きますか。すごく嫌ですけど……。
「さて、ここまで来ましたが、なんとまぁ厄介なことに巻き込まれてますね」
あれから数十分程探し回っていると、民家の屋根の上からイッセーの姿を見つけた。ですが、ありえないことになんと彼の隣には女性がいたのです。見た目は隣町だかどっかの学生服を着た、中々の美人。変態のイッセーには不釣り合いすぎる。これは、天変地異の前触れなのではないのでしょうか?
「でも、あの気配、人間じゃないですね」
見た目は確かに美人……なのだけど、中身は人間じゃない。あの中身は……ふむ。どうやら堕天使の気配を感じるから、堕天使のようですね。
やはり、イッセーの中にある神器
それに、何やら話しあってるようですし……これは予測ですが、恋人のフリでもして、神器
「っと、何やら話しも終わり、別れるようですね」
二人はそれぞれお互いに手を振ると、正反対の方に歩き出した。
さて、ここでどうしましょうか? イッセーを追うか、さっきの堕天使の女を追うか……ここはイッセーでいいでしょう。女の方は、監視の手伝いを要請されていないのでね。
民家の屋根を蹴り、壁や民家の屋根を歩きつつ監視したが、その日は特に何もなくイッセーは無事に帰路へと着いた。
如何だったでしょうか?
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