「お兄様」
ササンがライザーとの試合が始まる数分前。私はお兄様とお父様がいる場所へと向かっていた。
ササンが戦う……それは私にとっては非常に不思議なことだ。だって、ササンが戦う所を私は聞いたことがない。
どれほどの力を持っているのか知らない……けども、ライザーに勝てないと私は思っている。ライザーの持つフェニックスの力。圧倒的な治癒力。例え、頭を吹き飛ばされようが、体を吹き飛ばされようが、精神が死なない限り死ぬことはない。
もし、今回のレーティングゲームの内容が相手の殲滅の場合なら、ササンが勝つのは無理。
……だけど、天なら或いは勝てる?
「お兄様、お父様、失礼します……!」
扉をノックし、中に入る。そこにはお父様とお兄様。そして、これからライザーと戦うはずのササンが。
「やあ、リアス。入りなさい」
「はい」
とりあえず、ササンの事は気にせず、お兄様に言われた通りにソファーに座る。
「では、サーゼクス様。お父上。私はこれにて失礼します」
「ああ、頑張ってくれたまえ、ササン」
私がソファーに座ると同時に、ササンはお兄様とお父様に頭を下げて出ていってしまった。
一体、何をしに来たのだろうか。
「それで、リアス。何をしに来たのかな?」
「あ、はい。お兄様、お父様。聞かせてください」
「何をだね?」
「どうして、ササンとライザーの試合を認めたのですか? いくら天がいるとしても、ササンのチームでは勝てない気がするのですが」
戦ったことはないが、メルトやナリヤ、二人でも勝てないと思う。そして、銀華でも勝てるかどうか。澪は、もしかしたら勝てるかもしれないが、どうなるかわからない。天の圧倒的な攻撃があればいけるかもしれないが、分からない。
全員の戦ってるところは見たことがないが、多分ライザーよりは弱い……というよりも、ライザーを仕留められるだけの破壊力を持っていないはず。
私が真剣な表情でお兄様に問うてみると、お兄様は私の顔を見てから一度笑う。
「そうか、リアスはまだ彼らの戦う姿を見たことがないんだったね。なら、勝てないと思うのは当然か」
クツクツと楽しそうにお兄様は笑う。
「何、彼らは負けはしないよ。むしろ、十全の余裕を持ってライザーに勝てるだろうね」
「そんな……」
「馬鹿なと思うかもしれないけど、それが事実なんだよ、リアス。彼らは凄いよ。眷属全員と見て、是非参考にしなさい……いや、まだ出来ないか」
何やら最後の方は聞こえなかったが……ササン、そんなに凄いの? お兄様の太鼓判を押されてるし……。
「ほら、始まるよ」
考えこんでいると、お兄様が机の上を指さす。そこには、ライザーとササンの両名が写っている。
「それでは、お兄様、お父様。失礼します」
「ああ、また後でね」
急いで二人に頭を下げ、転移魔法陣を使って眷属の皆の所に戻る。
「さあ、始まるよ。彼らの一方的な破壊が」
「さあ、皆。行くわよ」
いつもの部室に集まり、ダラダラと時間を潰していると、どこかに行っていたササンが戻ってきた。
行くわよって言われても、どこに行くのか。……あ、ちなみに私達の服装は、澪が堕天使の時に着ていたボンテージのような衣装で、天さんがいつもの黒スーツ。私とナリヤとメルトは学園の制服。そして、ササンの格好は上が水色のパーカーに下が緑のミニスカート。センスはともかく、凄い色合い。
「準備はいい? 各々の獲物の確認は終了した?」
獲物……私の場合は自分の神器
「そう、大丈夫みたいね。じゃあ、行きましょうか」
そう言って、足元に転移ようの魔法陣を展開するササン。
光が一瞬私達を包み込む。光がやんだ先は……あれ? さっきの部室と同じなんですが。
『皆様、今回のササン対ライザーのレーティングゲームを取り仕切らせてもらいます。グレイフィアでございます。今回の戦う場所は、レプリカの駒王学園です』
ああ、レプリカの駒王学園だったのか。どうりで、同じ場所だと思ったわけだ。
それにしても、悪魔の技術って凄いですね。そっくり別の空間に同じような場所を作り出すなんて。
『今、皆様がいる場所が両陣営の本陣です。兵士
なるほど……でもま、私達にはどの駒にでもなれるプロモーションをする兵士
『今回の試合はデスマッチ。相手陣営の眷属及び王
へ~デスマッチですか。いいですね、分かりやすくて。相手を倒せばいいのでしょう?
『尚、今回の試合はグレモリー家、フェニックス家、さらに各上級悪魔の方々が観戦致しております』
各上級悪魔……か。それほどこの試合は見ものってことだね。
『それでは、五分後試合を始めますので、それまでは各陣営で作戦会議となります』
「さて、作戦だけど……ナリヤ、メルト」
「はーい!」
「はいっす」
「貴方達は、多分ライザーの事だから、ライザーのいる本校舎までの近道である体育館を何人かで固めて取らせないようにしてるだろうから、そこを襲撃して一蹴して頂戴」
「了解っす」
「了解―!」
「で、銀華、澪」
「はい」
「何?」
さて、私達はどこを任せられるのでしょうか。楽しみです。
「貴方達は校庭に行って、正面から校舎に突っ込んでいって。その途中でライザーの眷属が出てきたら潰して頂戴」
「分かりました」
「分かったわ」
いいですね、正面突破ですか。単純かつ正直で大好きですよ。さあ、楽しくなってきました。
「ただし、銀華、貴方は魂を吸うのだけはやめなさい。そして、澪、貴方は槍の密度を落としなさい。これは、今回戦う上で決められたことだから、必ず守ってね」
魂を吸うって、そんなことしませんよ。アレは、無差別に殺していい時だけしかしません。今回はゲームなので、楽しむつもりですし。
「そして、天。貴方は上空から全員のサポート。もし、上から攻撃してくるような奴がいれば叩き落としていいわよ」
「了解」
「最後に私だけど、私はここを攻めてくる奴がいるだろうから、そいつらをボコしてからライザーの元に向かうから。皆も、自分の仕事を終えたらライザーの所に向かっていいからね」
ボコすって……ササンってそこまで強いんですか? 戦ったことないからわからないんで、ちょっと不安なんですよね。
「ササン、ササンって強いんですか?」
不安が残るとアレなんで、聞いてみる。その方が安心しますし。
「私? そうね……総合的な力で言えば、この中で一番弱いかもしれない」
それなら、私達の誰かがササンの守りに入ったほうがいいのでは?
「でも、それはあくまでこの中の話し。この中の話でなかったら、私はリアスの十倍は強いわ」
十倍……あの滅びの魔力を持つリアスの十倍って、それ、かなり強くないですか? だって、十倍ですよ? 簡単に言って、リアスが十人ですよ。
「それに、私にはこれがあるし」
そう言ってササンが取り出したのは、二丁の銃。細長く、まるで昔の火縄銃のような形状だが、色が白銀だ。
「双銃カストル。私の愛銃で、自分の魔力を直接打ち出すことができるの。その他にも色々とギミックがるんだけど……残念。時間ね」
凄い気になるんですが、そのカストルのギミックが。
「皆コレを付けて」
ササンが小さく丸いイヤホンみたいな物を渡してくる。……どうすればいいの? あ、皆耳に入れてるから、耳に入れればいいのかな?
「知ってると思うけど、これは発信機の役割をしてるから、連絡はこれでやりとってね」
『それでは、十秒前になりましたので、両陣営構えてください』
「皆、やるからには徹底的によ」
『イエス、マイマスター』
「さて、ここっすかね」
「そうだね」
私とメルトはコソコソと森の中を抜けて、体育館へとやってきた。
ここまで、何にもなかったけど、敵側は余裕なのかな? だって、トラップとかゼロだったんだよ。普通なら、トラップの三つや四つや五つや六つくらい用意しとくもんでしょう。ま、私達も一個もトラップなんて設置してないけどね。
体育館の横にある扉からこっそりと忍び込み中の様子を伺う。中にはチャイナドレスを着た女性と、チェーンソー持ちの体操服ブルマ少女が二人。
う~ん、こっちに気づいてる感じはない。ダメだなあ、いくらこっちが気配を消してるからって気づかないなんて。……しょうがない、気づかせてあげるかな。
「やっほー!」
「ちょ、ナリヤ。もう少し警戒しようっす」
元気いっぱいで飛び出してみれば、ようやく三人がこっちに気づいてくれた。もう、気づくのが遅い!
「な、いつの間に!?」
「気づくの遅すぎ。メルト、私は双子を殺るからチャイナよろしくね」
「チャイナをヤッチャイナっすか? 笑えないっすね」
メルト、いくらなんでも寒すぎるよ。あまりにもつまらなすぎて、チャイナとブルマがドン引きしちゃってるよ。
「ま、いいや。来なよ。ブルマ幼女」
「「馬鹿にして!」」
二人共声をハモらせながら、チェーンソーを起動させて突っ込んでくる。
あのチェーンソーに当たれば手足を切り落とされるだろうけど、問題はないね。だって、当たらなければいいんだもん。
「神をも捕縛する砕けぬ鎖
「「え?」」
向かってくる二人をムーンサルトで飛び越え、鎖をチェーンソーに巻きつけ、引っ張る。あらら、簡単に取れちゃったよ。全く、力が足りないね。
「よっと、さて、武器も取ったしどうするかな……あ、いいこと思いついた」
チェーンソーの持ち手に鎖を巻き直し、鎖を握る。うん、これでいける。
「さあ、来なよ」
「「え、ああ……」」
鎖を振り回し、チェーンソーをヌンチャクのように振り回す。いいね、コレ。もう少し慣れれば、音速の壁を超えられるかな。
「どうしたの、来ないなら!」
「「キャッ!」」
足元を薙ぐように鎖を振り回す。すると、ブルマの二人はジャンプして私のチェーンソー付き鎖を躱す。
ま、切り刻んで終わらせるのは流石に可哀想だからこれで決めてあげよ!
「よっと、これで終わりっと」
ブルマの二人がジャンプすると同時に、私自身もブルマの二人より高い場所まで跳び二人の頭の上から地面に向かって二人を蹴り落とす。
あまりにも威力が高かったせのか、二人共無言で落ちていったよ。そこまで強く蹴ったつもりはないんだけど。
地面にぶつかった二人はピクリとも動かない。そして、しばらく二人を見ていると、もうダメなのか、二人の体が光に包まれていく。
『ライザー様の兵士
「よし、こっちはこれでいいとして、メルト、そっちは……って」
二人を見てからメルトの方を見てみれば、そこにはボロボロになっているチャイナと全然余裕のメルトがいた。
メルト、楽しんでるよ。疲れきってる相手に向かって更に攻撃って、やっぱり、メルトはドSだったんだね。
「どうしたの、ねえ? どうしたの? もう終わりっすか? つまんないすねえ。この程度でフェニックスの眷属を名乗ってるんすか?」
「くッ、馬鹿にして、馬鹿にして、馬鹿にして!」
「ま、いいすけどね。もう終わらせるんで」
ふっとメルトの姿が消えたかと思うと、次の瞬間、チャイナが壁に向かってぶん投げられてた。
うわーメルト、凄い投げ技使うね。チャイナの背後に前転しながら跳んで、上から首を持ちながら、回転の勢いを利用して壁に向かってぶん投げたよ。
『ライザー様の戦車
「よし、終わったっす。それじゃあ、行きましょか」
「そうだね。でも、メルト。可哀想だから、あんまり虐めちゃダメだよ?」
「そうっすね。次は手っ取り早く片付けるっすよ」
「もー! 本当に分かってるんだか……」
メルトとふざけた事を言いながら体育館を後にして、本校舎へと向かう。皆……手加減して上げてるよね? もしかして、メルトみたいに本気でやっちゃいないよね。……大丈夫だと祈ろう。
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