ハイスクールD×D 天馬の神器を持つ者   作:gbliht

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第二十四話 死神

「……ふう」

 

私はレーティングゲームが終わった後、リアス達が拠点としている駒王学園旧校舎のオカルト研究部部室に備え付けのシャワー室へと来ていた。

 

天さんみたいに、リタイアした者が行く場所にあるシャワー室に行こうと思ったけど、生憎と迷惑な客人が私の下へと来てしまったので、使うことができなかった。ったく、コイツさえ来なければ、天さんと一緒にシャワーを浴びれたというのに……。

 

「それで、いつまでこちらを見ているのですか? 生憎とコチラも花を恥じらう女子高生ですよ? 例え貴方がその他塵芥の存在だとしても、恥ずかしいのですが? 端的に言う、こっち見んな、クソが」

 

シャワー室を出て、部屋の隅で佇んでいる死神に睨みを聞かせながら言うと、豪華な装飾を施した布を着、仮面を付けて大鎌を携えている死神は仮面を左右に揺らす。

 

《それはお断りします。貴方の監視はハーデスさまのご命令ですので》

 

「この変態が」

 

死神を尻目に、自分の制服を着込み死神を正面に見据える。

 

「それで、何の用ですか、死神プルート」

 

死神プルート。冥界のさらに奥にある地獄の長であるハーデスの部下であり、最上級死神の一人。

 

何故プルートがここにいるのかというと、私の霊的な瞳(アウラー・オブ・ヴィジョンアイ)が関係している。

 

人や生物は死ねば地獄に魂が送られてハーデスによって裁判に掛けられる。そこで出た判決によって天国か地獄かに分けられるのだが、私の霊的な瞳(アウラー・オブ・ヴィジョンアイ)が魂を取ってしまうせいで、ハデスが仕事出来ないらしい。

 

仕事ができないハーデスは怒り、私を殺すために最上級死神であるプルートを送り込んできたのだが……天さんにボッコボコにされて帰っていった。

 

ハーデスは更に怒り、こうしてプルートがハーデスの命令で私の命を狙いに来るようになってしまった。これが、プルートが私を監視し続ける理由だ。

 

《聞かなくても分かっているでしょう。貴方の命を取りに来たんですよ》

 

「また……お前もハーデスの爺も懲りないですね」

 

《貴方が死なない限り、貴方が溜め込んだ魂は解放されませんし、正当な判決を与えることが出来ませんからね……なので、早く殺されてください》

 

大鎌を傍らに浮べ、プルートは私へと詰め寄ってくる。

 

死神の鎌は傷をつけるものであり、精神を削る鎌でもあるため、掠れば命を削り取られてしまう。

 

「相変わらず、うざったいですね」

 

霊的な瞳(アウラー・オブ・ヴィジョンアイ)を発動し、プルートの仮面に向かって蹴りを打ち込む。

 

真っ直ぐと進む私の脚は、プルートの仮面を打ち抜くが、プルートは何事もなかったかのように私の真横に音もなく移動すると、大鎌を振り下ろしてくる。

 

防御しようと刃を押さえれば、命を削られる。私の場合は溜め込んでいる魂を削れるだけだが、それでは私の力が落ちてしまう。ならば、大鎌の柄を掴むだけだ。

 

背後から振り下ろされる大鎌の柄を振り返って掴んだ私は、プルートから奪い取るとプルートに向かって大鎌を振るう。

 

豪華な装飾が施された布を大鎌は切り裂くが、手応えがない。やはり、死なないか。こいつを殺すには、私の霊的な瞳(アウラー・オブ・ヴィジョンアイ)で魂ごと吸収するか滅っするしかない。

 

切り裂かれた布は、まるで自身の意思を持ったかのように動きだし、私が振るった大鎌の刃の部分を包む。すると、私がさっきまで握っていた柄の部分が消えてしまった。

 

「……まだやる? これ以上は手加減は出来ませんよ」

 

窓際まで後退し、プルートへ問う。

 

《ええ、勿論。貴方の監視と貴方の命を奪うのが私の仕事ですから》

 

プルートは部屋の出口付近で大鎌を取り出すと、この旧校舎を覆う結界を張る。

 

この結界を張って私と何度も戦ってる割には、いつもいい所で逃げるんですよね、このプルート。いい加減、覚悟を決めて死ぬまで私と戦えばいいのに。

 

プルートの殺気が室内に充満していく。常人ならば、発狂するでしょうね。まあ、ここには発狂するようなやわな者はいませんがね。

 

自身も殺気を放ち、プルートを威嚇する。

 

互の殺気が濃密に室内に充満すると同時に、私はプルートに殴りかかろうとした。

 

そう、かかろうとした。ある者にプルートが気づくまでは。

 

 

 

「アイツが、俺達が倒さないといけない相手……」

 

レーティングゲームの観戦を終えた俺は、一人旧校舎へと向かっていた。

 

木場に朱乃さんに小猫ちゃんにアーシアは雨天先生の下に行っている。部長はなんだか怖い顔してお兄様に会いに行ってくるって言ってそのままどこかに行ってしまった。

 

で、一人残った俺はなんとなく旧校舎に向かっている。

 

「それにしても、ササン先輩の眷属、皆スゲーよな」

 

皆強くて、ライザーの眷属が弱く見えた。いや、ライザーの眷属だって皆強いんだろうけど……圧倒的にササン先輩の眷属が強過ぎた。

 

ササン先輩、銀華、ナリヤ、メルト、レイナーレ、雨天先生。同じ悪魔だっていうのに、物凄く遠くにいるような感じがした。

 

手を伸ばしても決して届かない。圧倒てきな力の差。どれだけ挑んでも、どれだけ制約を付けても勝てないと思う。それ程、俺とあの人達との力の差は歴然だった。

 

「俺も、いつかあの人達みたいに強くなれるだろうか……」

 

いや、強くなれるだろうかなんて、考えるんじゃない。強くなるんだ! だって、俺は部長の兵士(ポーン)だ! 目指すなら、あの人達みたいにじゃない! あの人達よりも強くなるんだ!

 

それに、俺には神を殺せる赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)が宿っているんだ! 俺は最強の兵士(ポーン)になってやるぜ!

 

ガッツポーズをし、気合を入れた俺は旧校舎へと入っていく。外見はボロイが中は綺麗な旧校舎。いつも通りのはずの旧校舎なのだが――――――

 

「な、なんだよこれ……」

 

気持ち悪い。旧校舎に踏み込むと同時に、吐き気とめまいがした。震えが止まらない。魂を鷲掴みにされてる気がする。一刻も早くここから出たい。

 

振り返り、入ってきた扉を開けようとするが……開かない。

 

「なっ! どうして、開かないんだよ」

 

何度も扉を開けようと押すが、開かない。まるで、何か強大な力で向こう側から押さえつけられているような感じだ。窓も、同じ感じだ。

 

「……行くしか、ないのか」

 

扉や窓から出られないということは、出られないようにしている奴を倒されなければならないってことだよな。数分もすれば出れるかもしれないけど、今は行ってみるしかない。

 

ゆっくりと体の震えを抑えながら歩いていく。徐々にこみ上げてくる吐き気を抑え、着いた場所はオカルト研究部部室だった。

 

「この、声は……」

 

オカルト研究部の部室から聞こえてくる声に耳を傾けると、銀華とノイズみたいな声が聞こえてくる。

 

僅かに扉を開け、扉の隙間から中を覗く。そこには、立っている銀華と――――――

 

《ほう、これはいい者が来た》

 

「うわ!?」

 

仮面がいた。驚きのあまり、後ろに飛び退いてしまいそうだったが、俺の体は見えない力の働きによって動けない。

 

なんだよコイツ! 見てるだけで気が狂っちまいそうだ!

 

「は、なせ……」

 

必死に喉から声を搾り出して、体を動かして逃げようとする。だが、体がピクリとも動かない。

 

仮面はゆっくりとした動きで俺の眼前に来ると、再び銀華の方に向き直る。

 

《銀華、交渉しましょう。この者の命を助ける代わりに、自害なさい》

 

「ッ!?」

 

自害しろって、それって銀華に死ねってことか! ふざけるな! 俺のためにわざわざ死ぬことはねえ!

 

「銀華、構うな! 俺は……」

 

《黙りなさい、赤龍帝。今、貴方に選択肢はない》

 

仮面の大鎌が喉に突きつけられる。

 

《今代の赤龍帝を殺せば白龍皇が怒るかもしれませんが、貴方を殺せるなら白龍皇の怒りなど安いもの》

 

誰だよ、白龍皇って……いや、今はそれよりも早く逃げる方法を見つけないと!

 

必死にもがくが、やはりピクリとも体が動かない。

 

《早く答えて頂きたいのですが?》

 

仮面の大鎌が俺の喉に僅かに刺さった。痛え。少ししか刺されてないのに、超痛え!

 

「……」

 

銀華は俯くと、何かを呟いた。瞬間、あたりの雰囲気が変わった……。

 

空気はまるで南極にいるかのように冷え、辺りの家具やソファーが地震が起きてるかのように揺れ出す。

 

異常な雰囲気に、思わず俺を捕まえている仮面が後ろに身じろいた気がした。

 

《なんて言ったのですか?》

 

仮面が聴くと、銀華はゆっくりと顔を上げた。

 

「ッ!?」

 

銀華を見た瞬間、思わず言葉を失う。

 

瞳は黄金になり輝く。そこまでは、いつもの銀華の神器(セイクリッド・ギア)の効果だ。だが、いつもと違う箇所が二つある。

 

一つは銀華の髪が黄金に染まり、腰の辺りまでに伸びていること。そして、もう一つが――――――

 

「黄金の、獅子……」

 

黄金の獅子が銀華の背後に見える。

 

この世に全てを食らい尽くし、自身こそが最強だ。そんな風に威嚇している獅子の姿が見える。

 

「死ねと言ったのだ。プルート」

 

《ッ!?》

 

一瞬でプルートと呼ばれた仮面は俺を離すと、廊下に飛び退いた。

 

《まさか、死神である私の魂を生きているのにも関わらず食い尽くそうとするとは……やはり、貴方は危険だ》

 

「黙れ。喋るな。我が友の命を奪おうとした者の言葉等、聞くに耐えん」

 

俺の下まで歩いてきた銀華が腕をプルートに向けると、銀華の髪が逆立った。

 

《これは……! 仕方がありません。ここは一時撤退です》

 

「死ね」

 

その言葉が聞こえると同時に、俺の視界は爆音と共に真っ白になった。

 

 

 

「……チッ! 逃がしましたか」

 

私が放ったモノは結界を軽々と破壊し、旧校舎の外へと飛んでいってしまった。

 

今のでプルートを殺せなかったのは、少しだけ惜しいことをしたと思っている。折角、プルートを殺す理由ができたというのに、仕留められないなんて。

 

「それにしても、我ながら久々にブチギレてしまいましたね」

 

背後で倒れているイッセーを見ながら、ため息を吐いてしまう。

 

「久方ぶりのブチギレでしたね。初めてキレた時以来じゃないでしょうか」

 

「う、う~ん」

 

思い出にふけっていると、さっきの爆音で気絶したイッセーが起きた。

 

「お目覚めはどうですか?」

 

「ん、銀華……? ッ! そうだ、銀華、さっきの奴は……」

 

「逃げましたよ、とっくにね」

 

「そうか。ごめん、俺のせいで……」

 

「貴方は何も悪くないですよ」

 

起きたイッセーは座りながら私の返事を聞くと、しょんぼりとしてしまった。

 

「むしろ、私の方が謝るべきです」

 

私とプルートの勝手な争いに偶然巻き込んでしまった。それに、プルートの鎌で僅かに傷を受けてしまっている。僅かとはいえ、死神の鎌。一年くらいの寿命が削られているはずだ。

 

何万年も生きる悪魔から見れば一年など僅かな年月でしょうが、それでもイッセーの寿命が一年減ったには変わりません。

 

「ごめんなさい、イッセー」

 

「別に、銀華が謝ることはないだろう。勝手に覗いて捕まった俺が悪んだから……」

 

「……では、どちらも悪かったということにしましょう。このままでは、永遠ループには入るからね」

 

「そうだな」

 

手を差し出し、イッセーを立たせる。

 

「そういえば、銀華。その髪、どうするんだ?」

 

埃を払い落としたイッセーが私の髪を指差しながら言ってくる。

 

「髪……ああ、これね」

 

この髪、私がブチギレた時に出てきた魂の一部が私に影響を及ぼしたせいでなったんですよ。何故だか、体や顔は変わりませんが髪だけ変わるんですよね。

 

「それに、この際だから聞くけど、どうして銀華は霊的な瞳(アウラー・オブ・ヴィジョンアイ)を発動すると瞳の色が変わるんだ?」

 

「話してなかったっけ?」

 

「うん」

 

「私、実は元の瞳の色が金色なのよ。普段はカラコン入れてるから分からないだろうけど」

 

目からカラコンを外し、イッセーを真っ直ぐと見る。

 

「どうしてカラコンなんか入れてるんだ?」

 

「素のままの瞳の色だと色々とめんどくさいの。買い物とかね」

 

「そうなのか……で、髪はどうするんだ?」

 

「髪の色は自然と時間が経てば元に戻るとして、髪は……」

 

正直、長髪だと髪の手入れがめんどくさいんですよね。リアスとか朱乃さんとか尊敬しますよ。

 

なので、こうなったら私がやる行動は一つですよ。

 

「切ります」

 

いつもの長さまで髪を持ったら、余った部分は素手でバッサリと切る。普通なら素手で切れませんが、まあそこは気合と根性と能力でどうにかしてます。

 

「ああああああああ!?」

 

「うるさい」

 

私が髪を切ると同時に、イッセーが泣き崩れた。意味が分からないのですが? 何、もしかして私の髪が欲しいの?

 

「せ、折角の金髪が! 貴重な金髪長髪が!」

 

「切った髪ならあげますよ」

 

「いらねえよ! っつか、そうじゃねえよ! 俺は欲しいんじゃなくて、俺はお前に金髪長髪の可愛い美少女でいてほしかったんだよ!」

 

「えっ……」

 

顔をわざと赤らめ、イッセーから視線を外す。

 

「あ、いや、その……」

 

「今、美少女って……」

 

おうおう、赤くなって。いっつも、エロいことしか考えてないから、こいうシチュエーションは未経験だと思っていたけど、やっぱり未経験だったか。

 

「そんな、当然のことを」

 

「……え?」

 

「私が美少女で可愛いのは当然よ。むしろ、私をブスだと言う奴は、もはやこの世の美を一つにしたくらいの人物ですよ。それに――――――」

 

「いてっ」

 

呆然としているイッセーの額をデコピンして、出口へ踵を返し向かう。

 

「そう言う言葉は、貴方を思っている子達、もしくは貴方が心から好きになった人に言うものですよ、イッセー。……いえ、人ではなく、悪魔ですかね」

 

ふふっと笑みを見せてから、部屋から出る。

 

これで、少しはアーシアちゃんとかリアスとかの仲が進めばいいんですがね。……まさか、私に来るなんてことはないですよね? 私は天さん一筋ですよ。

 

 

 

「……ハッ!? な、なんで銀華に見とれてんだよ! うがあああああああ! なんだこのもやもやした気持ち! 俺は、部長に惚れてるはずだああああああ!」

 




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