ハイスクールD×D 天馬の神器を持つ者   作:gbliht

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今回の話はちょっと危ない単語も入っているので、消されるかもしれない……。まあ、大丈夫でしょうけど。


第二十七話 メルトの過去とナリヤの過去

「痛い……」

 

ナリヤの奴、手加減なさすぎだろ。俺死にかけたぞ? 何度か死んだ爺ちゃんが川の向こう側から手振ってたのが見えたぞ。

 

「イッセーさん、大丈夫ですか?」

 

「ああ、大丈夫だよ、アーシア」

 

ナリヤとの修行を終えた俺は、痛む体を動かしてアーシアに傷やら打撲やらを治してもらいながら、コテージへと向かっていた。

 

次の修行担当は朱乃さんだ。朱乃さんからは、魔力を操る修行を付けてもらう予定。アーシアも、俺と一緒に魔力の操作を修行するらしい。

 

アーシアと共にコテージへと着き、朱乃さんがいるであろう部屋へと向かう。

 

「朱乃先輩。失礼します――――――んな!?」

 

扉を開けた瞬間、俺は固まってしまった。だって、だって!

 

「あらあら、イッセー君ったら。ノックもせずに入ってくるなんて、ダメですわよ」

 

おっぱいが、そこにはあった。

 

丸く形が整っているおっぱい。部長よりも張りがあり大きさがあるおっぱいが、そこにある。

 

どうやら朱乃さんは黒いジャージに着替えてる最中だったらしい。そこへ、ノック無しで俺突入。そしてこの展開。

 

「……グフ!」

 

「イッセーさん!?」

 

思わず朱乃さんのおっぱいを見たせいで、鼻血を吹き出して倒れてしまった。

 

ふふ、俺の負けたぜ。お前の勝ちだ。おっぱいよ。

 

アーシアが急いで駆け寄って来て、俺を回復してくれる。ああ、アーシア。俺はもうだめだ。我が人生に――――――悔いは残ってる! 俺は、おっぱいを触っていない!

 

鼻血を気合で止め、起き上がる。だが、眼前にはもうおっぱいはなかった。

 

「うふふ、ボーナスタイムは終了ですわ」

 

笑顔のまま人差し指を自分の唇に当てる朱乃さん。な、なんてお美しい姿!

 

朱乃さんはパンと小さく両手を合わせて音を出すと、再びニコニコとした表情になる。

 

「では、イッセー君、アーシアちゃん。魔力についてお勉強しましょうか」

 

「「はい!」」

 

 

 

「そうじゃないのよ。魔力は体全体を覆うオーラを流れるように操って魔力を集めるのです。意識を集中させて、魔力の波動を感じるのです」

 

うぬぬぬ! 朱乃さんの丁寧な説明の通りに掌に集中するようにやっているが、中々上手く出来ない! 

 

中々できない俺を見かねてか、朱乃さんは頬に片手を当てて微笑む。

 

「……そうですわね。ここに銀華ちゃんがいれば話が早いのですけど」

 

銀華? なんでだ? 確かに銀華は強いが、今関係あるのだろうか>

 

「朱乃さん、何故、銀華なんですか?」

 

「銀華ちゃんの神器(セイクリッド・ギア)、霊的な瞳(アウラー・オブ・ビジョンアイ)は、詳しくはわかりませんが私達の体を流れているオーラ、即ち魔力や気といったものが目で見えるのです。ですから、銀華ちゃんがいれば、イッセー君の魔力の流れにアドバイス出来ると思ったのですが……」

 

成程、銀華はそんな神器(セイクリッド・ギア)を持っていたのか。

 

何度か銀華が戦う所を見た事はあるが、まさかそんな神器(セイクリッド・ギア)持ってたとは思わなかった。ってか、俺ってササン先輩の眷属達、つまりササン先輩、ナリヤ、メルト、銀華、天さんの事について知ってることって少なくないか? ……今度、聞いてみよう。

 

「出来ました!」

 

隣から嬉しそうなアーシアの声が聞こえてくる。

 

急いでアーシアを見てみれば、掌に緑色の淡い光を放っている魔力の球体が作り出されていた。アーシアの魔力は緑なのか。ササン先輩と似てる。

 

「あらあら、アーシアちゃんはやっぱり魔力の才能があるのかもしれませんね」

 

うぐぐ……アーシアは魔力の才能があるのか。それに比べて、俺はてんでだめだ。なんとか小さな魔力の球体を作り出せはしたが、アーシアは俺の倍の倍以上の大きさ、ソフトボールくらいの大きさだ。

 

「では、その魔力を今度は炎や氷といったモノに変化させてみましょうか。これは、イメージ力の問題ですが、初心者の方は実際にある炎や氷を動かした方が上手くいくでしょう」

 

朱乃さんは水の入ったペットボトルを取り出すと、ペットボトルに魔力を込める。すると、ペットボトルの中に入っている水がトゲ状になって内側からペットボトルを貫いた。

 

うお! 凄いな! 慣れればこんな事も出来るようになるのか。

 

「では、アーシアちゃんは次にこれを練習してください。イッセー君はまた魔力を集める練習。いいですか、イッセー君。魔力の源流はイメージ力。とにかく頭の中に思い浮かべたものを具現化させてください」

 

イメージしたものを具現化……。

 

朱乃さんの言葉に、俺はじっと朱乃さんのおっぱいを見てしまう。

 

「いつも想像しているものやことなら比較的早く具現化出来るかもしれませんわ」

 

いつも想像していること……俺にとっていつも想像している事は……まさか! 魔力があれば! あんな事を出来るかもしれないのか!?

 

よし! ならば頑張るぞ! アレのためだ! 俺の魔力の全才能を注ぎ込んでやるぜ!

 

「あらあら、イッセー君ったら、ヤル気が出たようですわね」

 

「ええ! なんとしても、これは習得しなければならないので!」

 

 

 

「よし、ある程度はイメージは固まった! あとは練習あるのみだ!」

 

朱乃さんとの修行を終えた俺は、コテージから少し離れた山の中へと向かっていた。

 

部長とはなんの修行をするかは聞いていない。多分、俺がここ最近毎朝やっているトレーニングと一緒だと思う。走ったり筋トレしたりだ。

 

「ん?」

 

「……う、でも、用心はしておいて……ゼルからも定期的に連絡を受けておいて」

 

部長の下へと向かっている途中、茂みの奥の方から誰かの話声が聞こえた。

 

この声は……ササン先輩? 一体誰と話しているんだ? ……部長との修行までにはまだ時間がる。気になるから、ササン先輩の下に行ってみるか。

 

茂みの中を歩き、少しすると開けた場所でササン先輩が手元に魔法陣を展開して話していた。

 

「……ええ、そうね。白の動向と旧の動向。そしてカオス……そう、じゃあよろしく……ふう」

 

草陰に隠れていたから途切れ途切れでしか聞こえなかったが……白に旧? 何の話だ?

 

ササン先輩は誰かとの話を終えると、一息吐き、ニヤっと笑った。

 

「さて、イッセー君。そろそろ出てきたらどう? 盗み聞きなんて、男のすることじゃないわよ」

 

う!? バレていたのか。いや、隠れるつもりはなかったんだけど。

 

「すみません。ササン先輩。盗み聞きするつもりはなかったんですが……」

 

「うむ、ちゃんと謝ってよろしい。ただ、言い訳するのは良くないわよ」

 

後頭部を掻きながら草陰から出ると、笑顔でササン先輩が俺の額を小突いてきた。

 

痛くはない。ただ軽くコツンと。何故だろう。このササン先輩の行動が胸にくるものがある!

 

「すみません、今後気をつけます」

 

「うむ……で、イッセー君はどうしてこんな所に? リアスとの修行は?」

 

「部長との修行はこのあと行きます。ここに来たのは、その……ササン先輩が何か話していたのでつい」

 

「成程ね。……聞きたい? さっきの話」

 

う~ん、聞きたいか聞きたくないかで聞かれれば、正直聞きたい。でも、聞くのはササン先輩に悪い気がする。

 

……あ! でも、違うことなら聞きたいことがある。

 

「いえ、さっきの話はいいです。でも、ちょっとほかに何か聞きたいことがあります」

 

「何かしら。お姉さんが答えられる範囲でなら答えるわよ」

 

人差し指を滑らせるように動かして俺の顎を撫でてくるササン先輩!? うわ! ササンお姉様の色気がダイレクトで俺の心に!

 

「ほら、早く言わないと……」

 

「い、言わないと?」

 

ゴクリと生唾を飲んでしまう! 早く言わないと、俺何されちゃうの!?

 

ドキドキとしながらいると、ササン先輩は人差し指を俺の顎から話して俺の後ろを指差す。

 

「リアスがキレちゃうわよ」

 

「へ……」

 

「イッセー……何してるのかしら~!」

 

恐る恐る後ろを向くと、そこには怒りの形相で腕組みしている部長が!

 

「な、なんで部長が!?」

 

「あんまりにもイッセーが遅いから迎えに来てみれば……ササンと何をしようとしていたのかしら?」

 

や、やばい! 部長の体の周りに赤いオーラが漂い始めている! 

 

「い、いや、ササン先輩にはただ聞きたいことがあって……」

 

「聞きたいこと?」

 

おお! なんとか部長の赤いオーラが霧散した! 良かった。これで一命は取り留められた!

 

さっきまで俺の顎を指で撫でていたササン先輩が俺の隣に来る。

 

「そうみたいなのよ。全くリアスったら、何をどう想像したのかしら?」

 

「な!? ササン! どういうことよ!」

 

「さあ? 貴方の考えてることを知っているのは、貴方だけよ」

 

ぐぬぬと涙目で唸る部長。……なんでだろう。どうしてだか、いつも凛としている部長のこういう面をみるとものすごく可愛く感じる。いや、普段もメッチャ綺麗だし可愛いけどさ!

 

「で! イッセー! 一体ササンに何を聞こうとしてたのよ!」

 

八つ当たり気味で言われる俺! うぅ、リアスお姉さまが怖いです……。

 

「えっと、ササン先輩に聞こうとしていたのは、ササン先輩の眷属についてなんですけど……」

 

俺が言うと、部長とササン先輩はキョトンとした表情でお互いの顔を見合った。アレ? 俺なんか変なこと聞いた?

 

「……リアス、貴方私達の事話してないの?」

 

「……ええ、まあ。本人達の許可なく話すのはいけないと思って何も話してないわ」

 

「そうなの。ふ~ん……イッセー君」

 

「は、はい」

 

「教えてあげる。私と、そしてナリヤ、メルト、天、銀華のこと」

 

「今日の私の修行は無しにしてあげるから、この時間はササンの話を聞きなさい」

 

部長のお許しが出た。でも、なんだがお許しを出した部長の顔色が優れない。

 

「わかりました」

 

部長の顔色が気になるが、取り敢えず首を縦に振る。

 

「じゃあ、話すわよ。まずは一番最初に眷属になったメルトについて話しましょうか」

 

 

 

あれは、天と出会う数ヶ月前の事。私は一人、自身の眷属を求めて魔物が住む冥界の辺境に向かっていたわ。

 

私が眷属として最初に求めていたのは、コカトリス。バジリスクと同一視されることもある幻獣よ。それと冥界の辺境になんの関係があるのかというと、そこはコカトリスの産卵場所でもあるの。

 

バジリスクはギリシャ神話のヘラクレスに殺されたメデューサの血から生まれたとかいう逸話があるけど、そこら辺の話はカットさせてもらうわね。

 

で、向かうこと幾日か。コカトリスが住む冥界の辺境へと着いたわ。

 

丁度その日はコカトリスの産卵日でもあってね。何十体ものコカトリスがいたわ。本来、鶏の卵がカエルによって温められたら生まれるはずのコカトリスだけども、最近のは種族同士でも生まれるようになったみたいね。

 

私はというと、コカトリスに見つからないようコソっと草陰に隠れて産卵シーンを見ていたわ。

 

それで、何体目でしょうね。十個か二十個か。どれほど卵を産んだかは知らないけど、とうとう最後の出産に入ったの。

 

最後のコカトリスは大きかったわ。大体十メーターくらいだったかしらね。私なんか頭から丸呑みされるレベルの大きさね。

 

ま、その最後のコカトリスが卵を産み終えた時、ある事が起きたの。それはね――――――生まれたばかりの卵が一瞬で蒸して卵から出てきたの。それだけだったら良かったんだけどもね。ここからが本題。

 

卵から生まれたコカトリスの大きさは母体を大きく上回り、大体二十メーター程かしらね。で、その二十メーター位の大きさの子供は何を思ったのか、急に雄叫びを上げると、周りにいた仲間達を食い殺したの。

 

もうね、凄かったわよ本当。まるごとがっぷりと頭から母体を飲み込んだのだから。もうね圧巻の一言よ。

 

そのまま子供は周りにいたコカトリスを食いまくり、とうとう自信しかいなくなってしまったわ。

 

子供の周りは血まみれ。無垢な子供だから出来る事なのかしらね。普通なら絶対にやりはしないわ。

 

「で、ササン先輩はどうしたんですか?」

 

勿論、子供が周りにいたコカトリスを喰らい尽くした所で飛び出したわ。

 

近くで見たコカトリスはもう鳥肌が立ちまくりだったわよ。イッセー君は普段のメルトしか見てないから分からないと思うけど、彼女の本体は凄いからね。

 

鶏の頭に、言葉では説明しきれない程ぶっとい胴体。背中にはこれまた馬鹿でかい竜の翼が四つもついていて、お尻の方には大蛇のような蛇の頭が五本もあるの。で最後に黄金の鬣に黄金の羽毛。

 

「ど、どうやってそんな化物をササン先輩は眷属にしたんですか?」

 

それはね。まあ、もう少しのお楽しみ。話はまだ続くのよ。

 

コカトリスの前に飛び出した私は口元をにやけさせながらコカトリスに歩み寄ったわ。コカトリスは訝しげな目で私を見てはくるけど、決して襲ってこようとはしなかったわ。

 

コカトリスに歩み寄った私はこう言ったの。貴方、もっと暴れたくない? って。

 

でも、言った後でしまったと思ったわ。だって、生まれたばかりの子に言葉なんて分かるはずないもの。でもね、その時また私は驚いたわ。なんとね、生まれて間もないはずのコカトリスが喋ったんだもの。

 

「眷属だと? 私よりも弱い者に私は仕える気はない。それにだ。私はお前を頼らずとも一人で暴れられる」

 

生意気な大人びた声でそう言ってきたの。

 

後で聞いた話なんだけど、なんでメルトがこの時に言葉を理解できてたのかというと、食った仲間から基本的な生活に必要な記憶を抜き取ったんだって。普通は出来ないことなんだけど……まあ、そこら辺の細い所は本人に聞いて頂戴。

 

「ササン先輩はなんて言ったんですが?」

 

私もその時はブチギレたからよく覚えてないんだけど、メルトの話では――――――調子に乗るなよ。って言ったらしい。

 

で、そこからはブチギレた私と、私の言葉によってブチギレたコカトリス状態のメルトとのガチンコバトル。

 

この前見せた銃や刀があるでしょう? アレを使ってメルトと戦ったの。いや~キツかったね。撃っても撃っても弾かれて、切ったら切ったで傷口から致死毒が溢れてくるんだもの。

 

「致死毒って……ササン先輩無事だったんすか?」

 

無事じゃあ済まないわよ。なんとか解毒できる毒もあったけど、解毒できない毒もあって、急遽抗体を作らないといけないなんて自体にもなったし。でも、互角には戦い続けたわよ。流石に、生まれたばかりのガキンチョには引けを取りません。

 

まあ、それは置いといて。私とメルトは戦い続けたの。何時間、或いは何十時間かしらね。で、それくらいの時間が過ぎ去ったあと、私とメルトは同時に地面にブッ倒れたわ。

 

コカトリスの顔が私の前に、私の顔がコカトリスの前に、私とコカトリスは目と目があったの。そして、何ででしょうね。戦ったせいなのか、私とメルトはそこで面白くなって吹き出して笑ったちゃったの。

 

で、しばらく笑ったあと、コカトリスが言ったの。

 

「ハハハ! 私は貴殿を侮っていたようだ! 私より弱い? とんでもない。貴殿は私より強い!」

 

でしょう。どんなもんじゃい。

 

「ああ、よかろう。我が主よ。私を眷属にしてくれ。我命、貴殿が死ぬその時まで貴殿に尽くすと決めよう」

 

こうして、メルトは私の眷属になったの。……今思うけど、私って運がいいわね。これだけ強いメルトが、僧侶(ビショップ)の駒一つで済んだんだから。

 

ちなみに、メルトがなんで人型になっているのかというと、人間世界で動く時に元の姿だと動きづらいから、人型になるよう魔力で体を作り替えているの。コカトリスの姿にも戻れるわよ。重要な時以外は戻らないように命令しているけど。

 

イッセー君。一応メルトは人間との生殖行為で子をなすことは出来るからね。

 

「な、何言ってるんですか! そ、そんなメルトと生殖行為だなんて……」

 

ふふ、若いわね。まあ、あの子には好きな人がいるから、無理かもしれないけど。

 

……それじゃあ、次はナリヤについて話しましょうか。イッセー君。ナリヤの話は胸糞悪くなるから、聞かないなら今のうちよ?

 

「……聞きます。仲間の事は知っておきたいんで。どんな話でも聞きますよ」

 

……そう、なら話すわね。

 

 

 

ナリヤ・エクスパレント。イッセー君は、売女という言葉を知っているかしら?

 

「一応知っています」

 

金のために体を売った少女、もしくは売らなければならなかった少女。簡単に言えばそういう事ね。ナリヤは、売女だったの。でもね、彼女の人生は売女だけではないわ。

 

彼女の人生は壮絶よ。彼女は西洋の方面で生まれたわ。ごく普通の家庭にね。でも、ごく普通の家庭に生まれた彼女は、生まれた数年後に父親に犯された。八歳から十歳の時だと聞いているわ。

 

理由は会社をリストラされ、自分の妻に逃げられたストレスを発散するためにしたそうよ。

 

そして一年後、彼女の父親が膨大な借金を背負うと同時に、彼女は特異な力を目覚めさせた。その特異な力とは神器(セイクリッド・ギア)。彼女は、父の借金のかたに借金取りに売られたわ。

 

借金取りの方では、裏の世界……つまり、膨大な金をあぶくのように使える奴らの集まりに神器(セイクリッド・ギア)という特異な力を持つ珍しい見世物として、売女として、最後には商品として売りに出されたそうなの。

 

幼い見た目に、特異な力。一部の好色家達は彼女をなんとしても手に入れるために莫大な金を彼女につぎ込んだらしいわ。

 

そして、彼女は買い取られた。二十億という人間の作り出した何の価値もない金によって。

 

首輪を巻かれ、犬のように扱われる上に、中年の小太り男に性処理道具として散々に扱われたそうよ。

 

時に薬物。時に機械。時に獣。時に複数。少女の心を壊すには十分な責め苦を男は飽きもせず毎日、数年間続けたわ。

 

でもね、散々やり尽くして飽きたのかしら。男はとうとう少女に見向きもしなくなったわ。飯は与えている。生きる場所も与えている。けれども、彼女は性処理道具として男の部下どもに回され続けたわ。

 

そして、彼女から反応がなくなると同時に、部下も、そして男も誰一人見向きもしなかったわ。飯を抜かれ、最低限の居場所も彼女は失いかけた。その時かな。私とメルト。そして、天がナリヤの所に向かったのは。

 

何故ナリヤの下へ行けたかというと、ある筋によって聞かされたの。人間社会の裏で、無垢な幼い少女が地獄を味わっていると。

 

この言葉を聞いた天はブチギレた。あの天の表情は今でも忘れない。憤怒を丸出しにした天の表情を。まるで悪鬼羅刹のようだったわ。

 

即座に私達は男の下へ乗り込んだわ。男の手下が数十人で警備していたけど、ブチギレた天が一人残さず滅したわ。どうやったのかは知らないけど、本当に何も残さなかったわ。

 

そして、警備を抜けて男の部屋に向かう途中、また警備員に出会ったわ。

 

でも、今度の警備員は普通とは違ったの。全員、何かしらの神器(セイクリッド・ギア)だったわ。

 

攻撃型からサポート型まで選り取りみどり。大体三十人程いたわね。……ま、全員、一片の躊躇もなく殺したけどね。

 

警備員を殺した後、死体はそのままにして男の部屋へと突入したわ。

 

中には小太りの男が葉巻を吸って椅子にふんぞり返っていたわ。その男の横には、檻の中に閉じ込められて、今にも死んでしまいそうなくらい衰弱している少女――――――ナリヤがいたわ。

 

「うるせえなぁ、勝手に入ってくんじゃねえよ。ちゃんとノックしてから入ってこいって教えてるだろうが。それよりも、侵入者は死んだのか? 死んでねえなら、さっさと持ち場に戻って殺せ」

 

男は私達が侵入者だという事を理解していないのか、そう言ってきた。

 

私達は男が私達の方を向く前に近づいて思いっきり椅子をぶっ壊してやったわ。男には一切傷をつけないようにね。

 

「ってえな! ゴラァ! テメエ、誰に向かって……」

 

腰を摩りつつ振り返って私達の方を見た男は、言葉を失って徐々に顔を青くしていったわ。

 

「て、テメエら何もんだよ!? 外の警備員共は何してやがる!?」

 

「全員この世にはいない。残るは貴様だけだ」

 

天の静かな怒気が含まれている言葉に、男は共学の表情を浮かべたあと、後ずさって逃げようとする。

 

私とメルトは動かないわ。……いえ、正確に言うと、動けなかったわ。天の怒気はそれほどだったの。

 

男は後ずさりながら言ったわ。

 

「て、テメエらの目的は何だよ!?」

 

「貴様を殺すことだ」

 

「何故俺を殺す! ま、まさか、どこかの企業の奴が俺を消すために雇ったのか!?」

 

「違う。貴様、この数年前に裏の競売で買った少女を知っているな?」

 

「裏の競売だと……! あ、ああ、アイツか! なんだ、テメエらアイツが欲しいのかよ! ならとっとと持ってけ! もう、アイツには飽きたからな!」

 

男は醜悪な笑みを浮かべると、平然とそう言ってきたわ。ナリヤの命をまるで自分の所有物のように。

 

「……貴様には、少女と同じようにこの世の地獄を見せてから殺してやろう」

 

「ひ!? な、何すんだよ!? やめろ! 離せ! テメエ! 俺に喧嘩売ったらどうなるか分かってんだろうな!」

 

「知らんな。最低でも、貴様よりは俺の方が立場は上だ」

 

天は胸ぐらを掴むと、男を引きずりながら何処かへ行ったわ。後から聞いた話だと、天は男を連れて厨房に行ったらしいの。そこで天がやった事は……これはまあ、聞きたかったら話してあげるわ。男にとってはキツイ話だから。

 

天がいなくなってから、私とメルトは急いでナリヤの下へ向かったわ。

 

ナリヤの息は殆ど無かった。後一日遅れていたら、餓死、もしくは衰弱死していたでしょうね。それ程までに、ナリヤはボロボロだったわ。

 

急いで各種栄養剤と僧侶(ビショップ)の駒をナリヤに与え、ナリヤの回復を促したわ。本人に許可なく悪魔にしたのは悪いけど、あの状態ではああでもしないと各種栄養剤だけで回復は無理だったわ。

 

その後、天が帰ってきて、ナリヤを屋敷まで連れてきて目を覚ました後のアフターケアは尋常ではなかった。

 

まず、ナリヤは自我を失っていたわ。目は虚ろで、ベットに座ったままどこを見ているのかわからない。こちらが言葉を投げかけても一切返事はしなかったし、そもそも、まず生きるという事を諦めていたわ。

 

仕方ないとは思うけどね。若干十歳位の女の子が監禁されて尚且拷問に近い行為を数年間続けられていたんだもの。心の一つや二つは壊れてもおかしくはない。

 

こちらからのコンタクトは意味を持たない。ナリヤの心を取り戻す方法が見つからず、もうこのままだと思ったその時、天が言ったの。

 

「……彼女の心は、俺が取り戻す」

 

ベットに座っていたナリヤを抱えて連れて行った天は、部屋を出てから三日後位にナリヤと一緒に帰ってきたわ。どこに行っていたのかとか、色々と聞きたいことがあったけど、そんな事よりも驚くことがあったの。

 

ナリヤの瞳がしっかりとした自我を持っていたの。

 

「……天、さん。この人達は誰ですか」

 

か細いけども、天の後ろに隠れながらナリヤは言葉を発したわ。今まで一切の反応を見せなかった彼女からの初めての反応。

 

思わず私とメルトはお互いに顔を見合わせたわ。

 

「ナリヤ。この人達は大丈夫だよ」

 

「……」

 

いや~今思い出すとあの時のナリヤって警戒心バリバリでずっと警戒していたわねえ。私とメルトがまともに話すようになったのって、一ヶ月くらい経ってからだったかしらね。

 

ま、そんなこんなでナリヤは徐々に心を開いてくれて、今の関係になったの。本当、昔を思い出すと、よくここまで明るくなれたわよね、ナリヤ。

 

これくらいかしらね。他の細い所は、ナリヤとメルトの本人達から聞いて頂戴。

 

「……分かりました、聞いてみます」

 

うん。それじゃあ、私の話はこれで終わり。なんならこの後にナリヤかメルトに話を聞いてきたら? どうせ、その体じゃあ今日はもう動けないでしょう? 余程ナリヤに絞られたみたいね。

 

……さて、じゃあ、これで今回はおしまい。また暇があったら、昔話してあげるよ。イッセー君。

 




天のやったことが知りたい方は感想に書いてください。次話で書きます。

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