今回の後半はグロ注意。一応オブラートには包んでいますが、理解すると、吐き気を催す気がしますので。
「どうっすかな~」
メルトとナリヤの昔の話をササン先輩から聞いた俺は、一人自分の部屋のベットに仰向けに寝転んでいた。
時刻はまだ五時程。俺以外の皆はまだ修行しているはず。俺も早く修行をしなければならないんだが……どうしてだか、さっきのササン先輩の話を聞いてからヤル気が起きない。
やっぱり、ナリヤの話が結構来てるな……。
「まさか、あの明るくおちゃらけてるナリヤにあんな過去があるなんて……」
想像したくない。……いや、そもそも俺の人生経験からは想像出来ない。きっとこんな平和な場所に生まれた俺らには想像できないだろう。
「……一体、どうやって天さんは壊れたナリヤの心を癒したんだ?」
気になる。気になってしまう。あんな風に言われたら。
「ああもう、気になる!」
体を横にして、窓を見る。もう、夕方だ。そろそろ修行に戻らないと……。
「ふむふむ、よく分からないがそんなに悩んでどうしたんだい、少年!」
「いやさ、実はナリヤとメルトの過去の話を聞いて……って、アレ?」
俺は今自室に一人。ベットに横になっているとは言え、ちゃんと一人しかいない事は確認済み。誰か入ってきた音もなかったし……じゃあ、今俺の後ろから聞こえた声の主は誰?
「ほうほう、私の過去を知ったんだね……これは、生かしておけないね」
「え、え!? う、嘘だろ!」
ベットから飛び降り、急いで振り返る。そこには、ベットに横になっているナリヤの姿が。
いや、そんなことより生かして置けないって、冗談だよな! 本気だったら逃げきれる自信がない!
「冗談だと思う?」
「冗談だと思いたい!」
「うんまあ、冗談だけどね」
「冗談なんだ!」
取り敢えず一安心!
体の力が一気に抜け、地面に座り込んでしまう。まったく、ナリヤも悪い冗談を言ってくる。もし本当だったら……考えたくもない。
俺が地面に座り込んでいると、ナリヤはベットから飛び降りて俺の前に立つ。
「それで、私の過去の話を聞いたんだって? どうだった? 凄いでしょう?」
「凄いって聞かれたら、凄かったけど。そんな笑って言えることなのか?」
こうもっと重くて話しづらいことだと思ってたんだけど……笑って話せるようなことなのか?
「アハハ、やっぱり皆最初はそんな風な感じになるんだよね~」
ナリヤは微笑みを浮かべると、ベットにぼすんと座る。
「ねえ、イッセー君。私はね、過去の事を気にしているかしてないかで聞かれれば、全然気にしてないの」
「……どうしてだ?」
例え時間がどれだけ過ぎようと、心に残った傷は中々治らないもんだと思う。特に、ナリヤみたいなモノは時間が治せるようなものではないと思う。
ナリヤは俺の言葉を聞くと、スッと表情を冷たくした。
「知りたい? なら、教えてあげる」
ゴクリと唾を飲む音がヤケに大きく聞こえる。これ以上は聞いては駄目だと本能が言ってるような気がする。
ナリヤは冷たい表情から下を向いて目元を隠して、ニッと口の端を釣り上げる。
「私を犯したら奴らと私を売った組織。そして私を売った父親全てを殺したからよ」
「……は?」
殺した? 組織や犯した連中と自身の父親を?
「もう一回言ってあげる。殺したの。私の父親を、組織を、犯した奴ら、ぜーんぶ殺した。一人も残さず、一片の欠片も残さず、この世から消し去ったの」
「ちょ、ちょっと待ってくれ! 殺した? 自分の父親もか?」
未だに顔を下に向けているナリヤは尚下に顔を向けたまま話す。
「ええ、父親をこの手でね。そもそも、あんな奴は父親でもなんでもない」
「ッ!」
ゆっくりとナリヤは顔を上げる。
いつもの、ナリヤの表情じゃない。瞳は冷たく笑っていない。なのにも関わらず、口の端は釣り上がっている。
怖い、恐ろしい。この前見た銀華とはまた違った恐ろしさがある。
「娘を犯した上に、娘を売る。これを父親と呼ぶなら、この世は腐ってる。それにね、イッセー君。今の私の父親は、天さんだよ」
天さんが父親?
「私の心を癒してくれたのは、天さん。天さんはね、心を閉ざした私の心に入ってきてただ一言こう言ってくれたの。力が無かったから売られ犯され辛い目にあったんだってね。それで、私は聞いたの。どうしたら強くなれるかってね」
「天さんはなんて……」
「ここから出て、私に教えを請え。それだけを言って天さんは私の中から出て行った」
そこまで言った所で、ナリヤは片手で頬を抑えて恍惚に満ちた表情を浮かべて俺から目線を外した。
「もうね! 最高だった! その一言に私は痺れた! 今まで何人も私に優しい言葉を掛けてきてくれる人はいたよ! 気を確かに、諦めないで、未来に希望を持って……馬鹿かっての! そんな事が言えるんだったらまず私を助けろっての!」
そこで言葉を一旦区切ると、恍惚とした表情のまま俺の瞳を真っ直ぐと見る。
「でもね、天さんは違った! 役に立たない口先だけの有象無象とは違った! ちゃんと私に足りない物を示し、更にはそれを私に与えてくれると言ってくれた! 口先だけではない、本当の救いをくれた! イッセー君には分かる? この本当の絶望から救い出された時の気持ち」
「……俺には、分からない」
ナリヤと絶望なんて比べられたもんじゃない。俺にとっての絶望とナリヤにとっての絶望では決定的に格が違う。
俺が言うと、ナリヤは一度目を瞑って開ける。そこにはもう、さっきの冷たい瞳は無かった。あったのは、いつもの陽気でおちゃらけている時のナリヤの瞳があった。
「ごめんね。ちょっと熱くなりすぎちゃった」
「いや……」
あまりの変わりように、少し面食らってしまう。まるで、二重人格みたいな変わりよう。……あの怖い感じもナリヤなんだよな。
「ふふ、少し怖かった?」
「うっ」
「正直に言っていいよ。怖かったでしょ?」
怖かったと言われれば、怖かった。これは、素直に言ってもいいのかな。
「ま、まあ、正直言うと、怖かった」
「だろうね。大抵、この話をすると、理解できずに恐怖するか、理解して恐怖するからね。そして、この話を聞いた人は気まずくなって私から離れていくんだよね」
話を聞いて離れていくって……あんまりだろ。別に話を聞いても、いつも通り接すればいいのに……
悲しそうな顔を浮かばえるナリヤ。これは、声を掛けるべきだよな。
「ナリヤ、俺は……」
「ハイストップ」
言おうとしたら、ナリヤは笑顔で俺の口に人差し指を当ててくる。
「分かってるよ。イッセー君はこの話を聞いた程度では離れないって」
……はっ! いかんいかん! ナリヤの微笑みに思わず見惚れていた!
「ふふ、初心で可愛いなあイッセー君よ! あの人が好いてるのも分かる気がする!」
「ちょ、ちょっと! ナリヤ……」
ベットから降りて、ナリヤはいきなり俺の頭を抱きしめると、頭を撫ででくる。さ、流石にちょっと、恥ずかしいんだが……いくらエロエロな妄想をしている俺でも、リアルでやられるとちょっと対応に困るというかなんというか。
そ、それにさっきから俺の顔にナリヤの、その、小さくとも女の子には必ず付いている二つの山が俺の顔に当たっている。
「ふう、ああ面白い!」
満足したのか、俺から離れるナリヤ。うむむ、ちょっと、もう少し堪能したかったかも。
「ねえ、イッセー君。さっきの話の続きになるんだけどさ、イッセー君私の過去知りたいって言ってたよね?」
「言ったけど、もう教えてもらっただろ?」
ナリヤの過去を一通り教えてもらったつもりなんだが、他にもまだあるのか?
「いやね、一通り教えたんだけど、実は一つ教えてなかったんだよね」
「何を?」
「天さんがやった事。多分、私の過去をササンから聞いたんだろうけど、私が救われた時の話は聞いた?」
えっと確か、アレだよな。天さんとメルトとササン先輩がナリヤの囚われてる所に殴り込みかけたって話。
「一応聞いたけど」
「その時、天さんが私を買った奴にした事って聞いた?」
ああ、確かササン先輩は聞きたかったら話してあげるわって言ってたな。
「いや、聞いてない」
「……聞きたい?」
う~む、聞きたいか聞きたくないで聞かれれば、ちょっと聞きたい。でも、このナリヤとササン先輩の渋りよう……マズイ話なのかな?
「ちょっと、聞いてみたい」
「そ、じゃあ、話してあげる。気持ち悪くなる話だから、いつでもストップかけていいからね」
「お、おう」
え、何? そんなにやばい話なの!?
えっとね、イッセー君にとって、というか男にとって一番大事な場所ってどこ?
「そ、そりゃあ、アレだろ」
うんまあ、そうだよね。両手で隠さなくていいよ。別に狙ってるわけじゃないんだから。
それでね、天さんは私を買った男にこの世の地獄を見せるって言って厨房に連れて行ったんだって。
で、天さんがやった事なんだけど、その男の大事な部分をね。
「部分を……」
スパっと。
「スパっと!?」
そう、スパっと。根元からスパっと。で、次に、切った奴を油でカラッと。
「カラッと!? え、ちょっと待って! アレをカラッと揚げたの!?」
揚げたの。
「うわ、気持ち悪くなってきた……」
で、カラッと下のを上の口にズボっと入れるんじゃなくて、下の口にズボッと入れたの。
「もう、何があろうとつっこまないぞ」
長でグリグリと揚げたのを出し入れしてから、茶色い物体を付けた揚げ物を今度は上の口にズボッと突っ込んで無理矢理食べさしたらしい。
「……」
で、食べさせた後、今度は残った玉の方を下の口に二個とも突っ込んで逆さ釣りにして、下の口にホースを突っ込んで水を流したの。
もう、あれだよね。胃の中ぐちゃぐちゃだよね。いや、そもそも、切られた時点で意識なくなるよ。天さんは、何か意識だけをすぐ回復できるようにして常に意識を保たせてたみたいだけどね。
「ノーコメント」
下の口から水流したら上の口から出てくるわけで、それはもうすごかったらしいよ。まるで人間蛇口だったって。
それで終わりかと思ったら大間違いで、今度は指の関節を一つずつ外していったんだって。あ、外したのは、第一関節からだからね。
全部の関節を外し終わったら、切って骨を取り除いてカラッとまた揚げて下の口から突っ込んで、また水流して、それを二十回くり返してそれから……
「分かった。もういい! それ以上はいい! ごめんなさい! 俺が悪かったです! 許してください!」
……むう、やはり刺激が強かったか。まあ、聞きたくないなら話はしないよ。これで終わり。……ああ、それとね。実は私、これと同じ事を私を犯した奴らと父親にやったんだ。
「……え?」
そんなわけで、今日はおしまい。またね~!
次回、修行パートでもしかしたら、終わるかな?
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