では、第二十九話をどうぞ。
「……はぁ、はぁ、当たらない」
「祐斗先輩でも追いつかないなんて……」
「小猫ちゃん、祐斗君。動きが遅いし鈍くなってきてるわよ」
イッセー君にナリヤの過去を話した後、私は木々が鬱蒼と茂っている山の中に来て二人を扱いていた。扱きの相手は小猫ちゃんと祐斗君。その二人に今、それぞれ足りない物を鍛え込んでいる最中。
祐斗君に足りない物は防御力。圧倒的な速度で相手を攪乱させ惑わし、攻撃を避けて尚且フェイントを入れて攻撃していくスタイル。でもこれじゃあ、もし相手が高威力かつ祐斗君より早く動いてきたら一発でアウト。だから、今は少しでもいいから、防御力を上げている。ついでに、速度も。
一方の小猫ちゃんは高威力かつ高防御力を持つ攻防一体型。しかし、速度と決定打に欠けている。これからの事を考えれば、イッセー君と祐斗君、そしてリアスが高威力のアタッカーになってしまい、小猫ちゃんの出番がなくなってしまう。そうならないよう、小猫ちゃんが隠している力を表に出させようとしているのだが、一向に出そうとしない。……まあ、これには深い理由があるから今回出せなくても仕方がないけど。
それは置いといて、今小猫ちゃんには自身が持っている攻防力を少しでも高めてもらう。出来れば、ライザーの女王
「さあ、あと二日しかないのだから寝ている暇と休んでいる暇はないわよ。貴方達には少しでも強くなってもらわないといけないのだから」
私の愛刀である白銀の刀ハルフゥを片手で握って肩に担ぎ、もう片方の手に持っているカストルを、剣を地面に刺して片膝を着いている木場君の頭に向け引き金を絞る。
「ッ!」
咄嗟に横っ飛びで躱す祐斗君。しかし遅すぎる。
「ッァ!」
すぐさま祐斗君の後を追い、側頭部に蹴りを入れ、木にぶつける。木から落ちて蹲っている木場君から、小さな声が漏れるが、気にせずまた祐斗君の頭にカストルを当てて再び引き金を絞る。
今度は躱す気力がなかったのか、モロに私のカストルの弾丸を頭に当ててしまう祐斗君。あらら、気絶しちゃった。
「う~ん、私の軽い弾丸で総勢十七発。並の中級悪魔ならこれくらいは軽く耐えられるんだけど……まあ、最初にしては及第点かしら。もう少し耐えれるようにするのはまた追々ね。じゃあ、次小猫ちゃん。ラストスパート行くわよ」
「はい」
「気絶するまで耐えなさい。ブレイカー起動」
両手に持っていたカストルとハルフゥを片手で握り呟くと同時に閃光が辺りを包む。目が見えなくなる程の閃光。まるで閃光弾ね。
光がやみ、徐々に私が持っている物の形が鮮明に浮かび上がってくる。
「それは……」
「これがブレイカー。破壊するもの。ようは、ハンマーね」
そう。私が持っていたのはハンマー。色は白銀。ハンマーの殴る部分の大きさは直径三メートル程。見た目以外はごく普通のハンマー。ただし、これには二つ仕掛けがしてある。
「魔力をかなり喰うからあまり連発はできないけど……威力は絶大よ」
ブンッ! と音を出して片手でハンマーを担ぐ。大きさと色合いに目を奪われたのか、全身傷だらけでボロボロになっている小猫ちゃんは私を見て固まっている。
「見るのは後にしなさい」
「ッ! はい」
返事を聞くと共にハンマーを小猫ちゃんの真横に振るう。咄嗟に両腕をハンマーの方に向けて十字に組み、踏ん張る小猫ちゃん。そんじょそこからの相手ならそれで防げるでしょうが、私の一撃はその程度では防げないわよ。
「小猫ちゃん。限界を超えなさい」
ドグ! という鈍い音が聞こえる。それもそのはず。何故なら小猫ちゃんの両腕に当たったハンマーは小猫ちゃんの防御力を超えて、両腕をへし折ったのだから。
両腕をへし折られ、吹っ飛んでいった小猫ちゃんは木々を何本もへし折って飛んでいき、最後に岩に全身を打ち付けて地面に倒れてしまう。並大抵の悪魔ならこれで終わりなのだが、なんと小猫ちゃんは気合を入れて立ち上がろうとする。
「っぅぐ」
「……これに少しは耐えられたなら合格よ。だから、少し休みなさい。あとは、コテージに連れて行ってあげるから」
「……」
ハンマーを逆さまにして地面に着け、両腕をハンマーの持ち手の頂点に置いて言う。すると、小猫ちゃんが無言のまま正面に倒れこむように崩れてしまう。
「よっと。流石に虐めすぎたかしらね。……でも、これくらいしないと、これからの戦いでは勝てないわよ」
倒れる小猫ちゃんの体を受け止め、ゆっくりと抱きかかえる。
「メルト、そこにいるのでしょう?」
「いまっすよ」
気絶している祐斗君の近くにある木の上からメルトが飛び降りてくる。この娘、さっきからずっと私達の事を見てたのよね。祐斗君と小猫ちゃんは気づいてないだろうけど。
「祐斗君を頼んでいいかしら? あと、コテージの方に着いたらこれとこれ塗って。あ、その前にちゃんと体は拭いてあげてね」
「了解っす。小猫ちゃんの方は?」
「こっちでやるわ。小猫ちゃんは祐斗君より傷が深いから」
「わかったっす」
祐斗君を背負い、私から瓶入りの粉状の薬を二三個貰ったメルトはその場で跳び、木々の上を渡ってコテージの方に向かっていく。
メルトの姿を見送った私は、抱きかかえている小猫ちゃんのバキバキに折れた腕を見ながらお腹の部分を触る。
「内臓は破裂していない。なら、私特製の薬で治るわね」
腰から四個程粉の入った瓶を取り出し、空中に魔法陣を作り出し小さな水の球体を四つ作る。そして、その一個一個にさっき取りだした粉を入れていく。
「聞こえてないかもしれないけど、ゆっくりと飲んで頂戴」
四つの薬入りの水の球体を小猫ちゃんの口元に近づけ、ゆっくりと流し込んでいく。うん、つまらないように飲めている。これで全部飲めば……よし、これで、一時間もすれば、バキバキに折れた骨は自然とくっついていくはず。
あとは、汚れちゃった体とかを綺麗にしないとね。女の子なんだから、こんな泥だらけの姿じゃ可愛そうよね。
「よいしょっと、それじゃあ帰りましょうか」
小猫ちゃんを抱っこから背中に背負うのに変えて、コテージに向かって歩き出す。
「はぁぁぁあああああ!!」
コテージに向かって歩き出していると、どこからか物凄く気合の入った、それもこの修行中一回も聞いた事がないくらい気合が入った声が聞こえてきた。この声って……イッセー君?
本当なら急いでコテージに行かなきゃいけないんだけど、ここは気になったので見に行ってみよう。
そんな訳でイッセー君の声のしたとこに着いたのだけど……
「何やってるの、イッセー君?」
「うお!? ササン先輩いつからそこに!」
「キャッ! ササンさん!?」
そこにいたのは、涙を流しながらアーシアちゃんの下着らしき物を握りしめてるイッセー君と、所々服が破り捨てられて涙目を浮かべているアーシアちゃんが。
「……ああ、なる程。そういう事ね」
「へ?」
「情事に及ぼうとしていたのね。ごめんなさい、空気を読まないお姉さんで。まさか、こんな人気のない所にアーシアを呼び出して、嫌がるアーシアちゃんの服を無理矢理引っペがした上に涙目のアーシアちゃんを犯そうとするなんて、さすがよ。これはもう、リアスに言うしかないわね」
まさか、こんな事をしてるなんてね。
「ちょ、ちょっと待ってください! ササン先輩! それは違い……」
慌てた様子で首を横に何度も振るが、私は無視して話を続ける。
「いいのよ否定しなくて。……そうね。私がアドバイスできるのは、お互い悔いの残らないようにヤルことね。特に、アーシアちゃんは教会育ちの箱入り娘なのだから、丁寧にヤってあげるのよ。……それとも、やっぱり泣いてるアーシアちゃんを無理矢理犯すのが好みかしらね。お姉さん、感心しないわよ」
「違……」
じりじりと迫り寄ってくるイッセー君から徐々に距離を取る。まあ、大方のことは理解してるつもりよ。でもね、こんなに弄りがいがあるのに、弄らないなんて選択しないでしょう。
「じゃあね。お姉さん、これ以上いたらご迷惑だと思うから。精々泣かせないように」
イッセー君に片手を上げて、即座に走ってコテージに向かう。これ以上邪魔したら、魔術の練習に支障をきたすだろうからね。
「よっこいしょっと。ふ~疲れた」
コテージに着き、小猫ちゃんの部屋に入ってベットの上に小猫ちゃんを寝かせた私はベットの近くにあった椅子に座って一息。
「夕飯まで一時間以上あるから、夕飯までには目を覚ますはね。それじゃあ次は、体の方を拭かないと」
大浴場に桶はあったかしら? あとタオル。ここのコテージってリアスの家の所有物だからどこに何があるのか分からないのよね。
「あら? リアス、どうしたの?」
大浴場から桶を、自室からタオルを持って小猫ちゃんの寝ている部屋に戻ってきてみたら、リアスがさっき私が座っていた椅子に座って小猫ちゃんの寝顔を見ていた。
「ササン……」
悲しそうな顔で小猫ちゃんの頭を撫でたリアスはゆっくりと話し始める。
「私は一体、何をしているのかしらね?」
「何をしているって、どういうことよ」
珍しいわね。こんな風に弱気になっているリアスってのは。十数年一緒にいるけど、滅多に見ないわよ。
「身勝手な私の都合で、可愛い眷属達を苦しませている。私が大人しくライザーと結婚していたら、皆は苦しまなくていいのに。この子達を巻き込まず、私一人で解決したらよかったんじゃないかな……」
自虐的に微笑むと、リアスは窓の外を見る。
「ようはね。私の我儘に無理矢理付き合わせてるんじゃないかなって思って不安なのよ、私は」
なるほどね。自分の都合で振り回している下僕達に申し訳ないと。でも、そう思う必要はないと思うのだけれど。少なくとも一人、喜んで戦ってくれる子がいるのだから。
リアスとは反対の、小猫ちゃんの眠っているベットの空いてる所に座り、私はリアスに体を向けずに肩ごしに三つ指を立てた。
「そうね……リアス。私から三つアドバイスしてあげるわ」
「何?」
「まず一つ目。貴方は不安がることはない。……貴方はライザーとの結婚が嫌なんでしょう?」
「ええ」
「なら、いいじゃない。眷属達が迷惑だと思っていようがいまいが、眷属にとっては主の願いが最優先。それは鉄則よ」
そう。それが鉄則。これを守れないよう奴は、主を殺してとっととはぐれになっているか、そもそも眷属になぞなってはいない。
「ならば、貴方のやった事は正しい。嫌な事は嫌だと言えるだけまだいい方じゃない。世の上級悪魔には、有無を言わさず強制的に結婚してるのなんかいっぱいいるのだから」
どれだけいるだろうか。この上級悪魔が少なくなった世の中で自身の最愛の人を見つけて結婚できた人は。
「そして二つ目。遅かれ早かれ、貴方達は結局傷つき、修行をしなければなくなるわ」
「……どういうこと?」
「貴方の最終目標は昔と変わらなければ、レーティングゲームの王者。つまり一位ね。だったら、修行しなくてどうするの。相手の眷属は貴方達より何倍も強いわよ。……それに」
「それに?」
「貴方は、龍……ドラゴンを眷属にしてしまった。まあ、イッセー君の事なんだけど。それはいいとして。……ドラゴンはいわば力の象徴よ。強い奴が寄ってくるの。それも、貴方達から見ても化物のように感じる強大な敵がね」
「……そう。そうよね。結局は強くならなきゃいけない。これ程の修行では足りない修行を。血反吐を吐いても足りないほどに」
「ええ。そうでなくてはならないの。それが、ドラゴンを仲間にした宿命よ」
もっと、もっと強くなってもらはなければならない。神をも殺せる存在に。でなければ、イッセー君に小猫ちゃん。アーシアちゃんにリアス。朱乃に木場君はいずれ死ぬ。殺される。私達のサポートがあるとは言え、いつでも守れるわけではないのだから。
「最後に三つ目。リアス、貴方って自分がどんな人物だと思う?」
「どんなって……成績優秀スポーツ万能の才色兼備なお姉様」
……思わず頭に手を当ててしまいたくなる。ここまで自惚れられるなんて思ってもいなかったわ。
「はぁ。あのね、リアス。それはあくまで人間から見た貴方よ」
「じゃあ、ササンは私の事どんな人物だと思うのよ」
「馬鹿」
「は?」
「馬鹿よ馬鹿。大馬鹿よ。チェスでは私に勝てない。精々勝ってるのは胸くらいね」
それ以外言い様がないほどの馬鹿である。考えてはいるけども、一歩足りない馬鹿である。よく言って、どこか一歩抜けている年上のお姉さんくらいよ。
「ちょ、ちょっとササン! 急に何よ馬鹿って! もう少し言いようがあるでしょう!」
私の背中に向かって叫んでるのだろうけど、気にはしない。どうでもいい。
「ないわよ馬鹿。人に自分をどう思っているのかさりげなく聞けないような悪魔は馬鹿意外ないわよ。しかも、自分の下僕相手に」
「ササン……」
「だからね、リアス。不安だったら聞きなさい。自身が信じている下僕達に。これが私からの最後のアドバイスよ。……それに、どうやら少なくとも二人は進んで貴方のために戦ってくれるみたいだし」
ベットから立ち上がり、扉の前に立った私は、振り返らずに一言。
「ね? 小猫ちゃん」
「……リアス部長」
「小猫! 目が覚めたのね!」
「はい。ササン先輩のアドバイス三つ目が始まった時くらいに……」
ここから先、私はいる必要はないわね。頑張るのよ。リアス。
そして、リアスと別れた翌日。本日をもって対ライザーの修業は終了となる。本当なら後一日修業できるのだが、残りの一日は明後日の試合に備えてお休みらしい。
「ふあ~あ」
緑色のふわふわパジャマを着ながら、コテージの廊下にある窓から見える朝日を拝む。昨日、リアスはちゃんと自分の心の内を開けられたかしらねえ。……まあ、出来ていなければ嘲笑ってやるけど。
「おはよう、ササン」
「ん、おはよう。……ふ~ん、どうやら、スッキリしたみたいね」
朝の挨拶をされた方を見てみれば、そこには昨日のうじうじしたリアスはおらず、いつも通りの凛としたリアスが立っていた。……パジャマ姿だけど。
私の言葉に対して軽く自嘲気味にリアスは笑うと、ゆっくりと窓枠に腕を置く。
「ええ、スッキリしたわ。……ササンと別れた後ね、私の眷属を集めて聞いてみたの。私の身勝手な理由が原因で行われる今回の戦いに嫌々参加してない? ってね」
くつくつと楽しそうにリアスは笑うと、目を細める。
「そしたら、朱乃がね。笑顔で近寄って来て思いっきり頬にビンタしてきたわ」
わお、流石リアスの親友の朱乃だこと。
「どうしてかしら?」
朱乃の意図を理解している私はニタニタと笑いながらリアスに聞くと、リアスは昨日ビンタされたらしき場所を摩りながら言ってくる。
「リアス、何を馬鹿な事を言っているのですか? 嫌々やっている? ふざけた事を抜かさないで! リアスの為に嫌々やっているのっだったら、元から貴方の眷属なんかにはならないし、今回の戦いに参加なんかしないわよ! ……ってね」
「ふふ、朱乃ったら、途中から素が出てるじゃない。……でもそれって、素に戻るくらいリアスに怒ってたって事よね」
「ええ、そうね。……朱乃にビンタされた後、私の可愛い下僕達は次に次に言ってくれたわ。『……嫌々やってないです』『僕は騎士
「……ふふ、あははは!」
「な、何笑ってるのよ!」
面白い。やっぱり、リアスの眷属も主を一番に思っているじゃない。それなのに、リアスったら鈍感なんだから。
「ごめんなさい。……良かったわね、リアス。貴方は皆から信頼されてるじゃない。これで、何も不安に思う事は無いわね」
なら、良かった。これでウジウジ悩んだままだったらライザーになんか勝てないからね。
「じゃあ、リアス、悩みも解決した事だしそろそろ朝食と行きましょう。今日は修業の最終日。全員どれだけレベルアップしたか見るんでしょう?」
「ええ、そうね。朱乃やアーシアはいいとして、イッセーがどれだけレベルアップしたか見ないと」
リアスと一緒に並び食堂へと向かう。さ~て、皆どれほどレベルアップしたかな?
「まあ、妥協点くらいかしら」
朝食を食べ終え、コテージ前へと全員で集合し、今回の修業でどれだけ皆がレベルアップしたかを見ることとなった。
結果として、皆いい感じに仕上がっていた。木場君は持ち前のスピードを少しながらも上げる事に成功し、小猫ちゃんもボムクイーン並みの攻撃に二三発は耐えれる程になっている。
そして、一番伸びたのはイッセー君。彼は戦いという物を全く経験した事は無かったのだが、ここ数日の修業が功をなしたのか、相手の攻撃から避ける事位は出来るようになった。
避けるだけなら戦いに居ても居なくてもさほど問題は無い。だが、イッセー君は違う。イッセー君の神器
十秒毎に自信の力を倍にしていく神器
「アレ、俺がやったんすか?」
山半分を吹き飛ばしたイッセー君は呆然としている。無理もないわね。修業前はこんなこと出来なかったんだから。
「そうっすよ。イッセー君自身がこれをやったんす」
「よかったね、イッセー君! これで、イッセー君は役立たずじゃなくなったよ! むしろ、私との修業で役立たずのままだたったら……ね?」
「ッ!? ナリヤ師匠! すみません!」
何やらナリヤとイッセー君の間で上下関係が出来ているが、気にしないでおこう。
「リアス、ちょっといいかしら?」
「何、ササン?」
一通り、皆のレベルアップを見た私はリアスの肩を叩いて耳を貸すように指でクイクイっと自分の方に向けて曲げる。
「最後の締めに入りたいんだけど、いい?」
「いいわよ。ありがとうね。修業に付き合って貰っちゃって」
「別に問題ないわよ。私も楽しかったし……それじゃあ」
リアスとの会話をやめ、全員私を見るように両手を合わせてパンっと鳴らす。
「リアスの眷属の皆よく聞いて。まず、この九日間の修業お疲れ様。皆それぞれ修業前とは段違いに強くなってるわ。……さて、修業は終わったけど、皆の目的は修業で強くなって終わりではないわよ。皆の目的は修業で強くなってライザー及びライザーの眷属を叩き潰すことよ」
皆の顔が一斉に引き締まる。ん~いい表情。
「皆強くなったとは言え、戦闘経験で言えば相手の方が上よ。戦術、戦い方は相手が上だと思って。力では負けてないと思うけどね。……でもね、一番厄介なのは、ライザーよ」
ライザー・フェニックス。彼が、今回のレーティングゲームで最も攻略が難しいだろう。不死とか何をやっても倒せないとか、物理的な事ではない。心の事だ。
「ライザーは、私達との戦いで覚悟を決めている。絶対に負けないという覚悟をね。これを崩すには圧倒的な力でねじ伏せるか、ライザー以上の覚悟を持って戦いに挑まなければならないわ。……貴方達に、ライザー以上の覚悟があるかしら」
「「「「あります」」」」
即答。別に前もって言っていた訳ではないのだけど、皆声を揃えて答えてくれた。
「そう……その言葉が嘘じゃないと信じるわ。頑張りなさい、皆」
これにて、九日間の修業は終わった。後は明後日の試合のみ。勝てる勝てないは今の所分からないけど、善戦はするでしょう。いざとなったら、私達が結婚式を滅茶苦茶にしてやればいいし。汚名を被るのは慣れている。
「……そういえば、銀華はちゃんと契約を結べたかしら?」
次回、一話挟んだ後ライザー戦です。
感想、アドバイス、誤字、お待ちしております。